カメラのダイナミックレンジ
(RAWファイルの本当のメリットとは?)
Feb. 2016:Release
目次
8) JPEGファイルとは
モニターのダイナミックレンジを持ちだしてきたのには、もう一つ別の理由があります。
その理由は、次にJPEGファイルについてどうしてもお話ししたかったからです。
JPEG(Joint Photographic Experts Group)ファイルとは、メカと電気の国際標準部門が作成したカメラの代表的な画像ファイルで、カメラで撮影した画像はJPEGファイルとしてメモリーに保存されます。
そのJPEGファイルのダイナミックレンジですが、単なる画像ファイルですので、それ自体はダイナミックレンジを持っていません。
それではなかなか話が続けられないので、取り敢えずJPEGのダイナミックレンジはモニターのダイナミックレンジである40dBと同じだと想定して話を進めようという魂胆(こんたん)です。

JPEGファイルのダイナミックレンジは凡そ40dBと想定する
少々無謀と言われるかもしれませんが、JPEGファイルは元々PCで見るために開発されたものですので、全く的外れという事もない筈です。
実際非常にラフな計算ですが、JPEGファイルはフルカラーを24bitで表現できます。
と言う事は、1色が8ビットですので、1色で64倍の明るさを表現できる事になります。
更にそれが3色あるので、3倍すると192倍の明るさを表現でる事になります。
この192倍をデシベルに変換すると46dBになり、上図の40dBに近い値になります。
また次の中級編を聞いて頂ければ、そこそこ辻褄が合いますので、騙されたと思ってお付き合い頂ければと思います。
JPEGとGIFとPINGの違い
折角ですので、この話もここでしておきたいと思います。
皆さんは同じ画像ファイルの代表格である、JPEGとGIFとPINGの違いはご存じでしょうか?
ネットで調べると、それこそ山の様に説明が見つかりますが、未だに違いを明確に認識できている方は少ないのではないでしょうか。
それもその筈で、大半のネット記事はただでさえ分かり難いウィキペディアのパクリだからと言ったら、言い過ぎでしょうか?
それはさて置き、以下の様に特徴と用途を理解して頂ければ必ず役に立つと思います。
画像ファイル | 特徴と用途 |
JPEG | フルカラー24ビット(1677万色)の高圧縮画像ファイルです。 写真用の画像ファイルと言えばこれです。 |
GIF | 最大256色までしか表現できないイラスト用の画像ファイルですが、コマ送りが可能です。 ですので、アニメーション用の画像ファイルと言えばこれです。 |
PING | 256色でGIFより高圧縮のPING-8と、透明部分を扱える1677万色のPING-24があります。 ですので、イラスト用の画像ファイルと言えばPING-8になります。 そして透明部分を扱える写真用の画像ファイルと言えばPING-24です。 ただしJPEGより容量が大きくなります。 |
この説明でクリアになりましたでしょうか?
さて、中級編に行く前に、もう一つお伝えしなければいけない事があります。
先ほどJPEGファイルは元々PC(モニター)用に開発されたとお伝えしました。
だとすると、紙にプリントする場合はどうしているのでしょう。
モニターと紙ではダイナミックレンジが異なりますし、そもそも1画素の構成自体も全く異なる(詳細はこちらへ)ので、そのままプリントすると誰がどう考えても不自然な画像になる筈です。
にも関わらず綺麗にプリントされるという事は、どこかで誰かが調整している筈です。
貴方は調整していますか?
してませんよね。
実はプリンターのドライバーが、JPEGファイルにある40dB分のダイナミックレンジを、紙写真の25dBに調整してくれているのです。

プリンタードライバーがJPEGファイルを最適画像になる様に調整している
例えばインクジェットプリンターで出力する場合は、そのプリンターのドライバーによって、JPEGファイルが綺麗にプリントされる様に調整されているのです。
LBPでプリントする場合も、サーマルプリンターでプリントする場合も、外部のラボで印画紙にプリントする場合も、全て使用するPCのドライバーでそのJPEGファイルが最適にプリントできる様に調整されているという訳です。
プリンターのドライバーがプリンターメーカーから供給されているのは、そういった所にも理由があるのです。
貴方が知らない間に、色々な加工が色々な所で行われて、綺麗な写真が作られていたのです。
話が色々飛んでしまいましたが、兎にも角にもJPEGの中には40dB分の画像情報が入っているという事で、初級篇のまとめに進みます。