カメラのダイナミックレンジ
(RAWファイルの本当のメリットとは?)

Feb. 2016:Release

目次



3) カメラのダイナミックレンジ


さて、140dBもある日常光の範囲において、カメラで写せる光の範囲はどれくらいでしょうか?

答えは以下の通りです。


上の図のブルーの矢印が、一般的なカメラのダイナミックレンジという訳です。


これをご覧頂きます様に、カメラのダイナミックレンジは70dB程度ですので、1回の撮影で日常光の半分(注1)程度が写せる事になります。

注1

本来デシベル同士の比較では比率を使ってはいけないのですが、説明を簡単にするために半分と書いています事何卒ご容赦願います。(良い子は決して真似してはいけません)

もし140dBと70dBの差を正確に倍率で表すと、3162倍(=10^((140-70)/20))になります。

また対数軸上では青い矢印の長さも描く位置によって若干変わるのですが、分かり易くするために本書では固定にしています事ご容赦願います。

なお以前は、カメラメーカーからダイナミックレンジの値は殆ど公表されていなかったのですが、最近になっていくつかのメーカーから14ストップ(14EV)だの15ストップ(15EV)だのという記述を見掛ける様になってきました。


中判デジタルカメラHASSELBLAD X1D-50cのダイナミックレンジは14ストップ(84dB)


SONY α7 IIIの広告にあるダイナミックレンジ15ストップ(90dB)の記述


Fujifilm GFX 50Sの広告にあるダイナミックレンジ14段の記述


Lumix S1の広告にあるダイナミックレンジ14+ストップ(84dB)の記述


SONY α7S IIIの広告にあるダイナミックレンジ15+ストップの記事

ですが、これは1画素が比較的大きなカメラの場合であって、一般的なカメラのダイナミックレンジは70dB(11.6EV)程度だとしておいて頂けると助かります。

そして、もしこのカメラで撮った写真の中にチャートにあるブルーの矢印より上の明るい物が入っているとその画像は真っ白になり、このラインより下の暗い物は真っ黒になるという訳です。

最近のカメラには、画像が白く飛んだ箇所を示すゼブラ表示(或いはハイライト表示)と呼ばれる機能がありますが、これがダイナミックレンジより上の明るさの部分である事を示しています。


白飛びした箇所(ダイナミックレンジより明るい箇所)を示すゼブラ表示

そして、このブルーの矢印が長ければダイナミックレンジが広いと呼び、短いとダイナミックレンジが狭いと呼びます。

なおブルーの矢印は分かり易く、図の中央に書いていますが、絞りやシャッター速度を変える事で、長さはそのままで上下する事は可能です。

なお、ISO100のネガフィルのダイナミックレンジが60dB(10EV)、ISO25のリバーサルフィルムで50dB(8.5EV)程度ですので、カメラのダイナミックレンジがフィルムより下というのは間違いと思って頂いて結構です

どうです、簡単でしょう。

これで貴方は、ダイナミックレンジについて50%理解したと言えます。

それでは残りの50%について、これからじっくりご説明したいと思います。




3) カメラのダイナミックレンジ





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