2018年版
最先端ストロボはどれだ!?
2018/6/14:発行
はじめに
昨年、2017年度版の最先端ストロボはどれだを発行しましたが、それから1年後、SONYからようやく最新の電波制御式大光量ワイヤレスストロボのHVL-F60RMが発売されました。
SONYからようやく発売された電波制御式大光量ストロボHVL-F60RM
既に1年前の2017年に、SONYから中型の電波制御式ワイヤレスストロボHVL-F45RMがリリースされていましたが、本格的な大光量のストロボの登場を待ちわびていた方も多かったのではないでしょうか。
SONYの中型電波制御式ワイヤレスストロボHVL-F45RM
という訳で、これを交えて2018年における最先端ストロボはどれか検証すると共に、最新ストロボの動向を探ってみたいと思います。
はたして最新のSONYストロボが、キヤノン、ニコンのストロボを超えるのでしょうか。
そして、これからのストロボに求められる新機能とはどんなものでしょうか。
結果をお楽しみに。
概要
それでは大手3社のフラグッシプとも言える大光量ストロボの3機種をご紹介したいと思います。
CANON 600EX II-RT
2016年6月にEOS-1D X Mark IIと同時期に発売されたキヤノンの600EX II-RTは、2013年3月に発売された600EX-RTの後継機で、連続発光性能、操作性の改善、及びカラーフィルターなどのアクセサリーの拡充が図られています。
EOS-1D X+600EX II-RT+コンパクトバッテリーパックCP-E4N
本機は当然ながらEOS-1D X Mark IIと同様にオリンピックで使われる事を前提に開発されたモデルですので、キヤノンとしても普段以上に気合が入っているのは間違いありません。
なお本年(2018年)5月にミドルクラスながら、自動バウンス機能機能を搭載した470EX-AIが発売されましたので、話題の最新機種としてここにご紹介しておきます。
自動バウンス機能機能を搭載した470EX-AI
ちなみにこの自動バウンス機能機能とは、最初に1枚通常のストロボ撮影し、次に1枚真上の天井にバウンズさせてストロボ撮影し、この2枚の写真からベストのバウンス角度を算出して自動で撮影する機能です。
恐らくこの販売状況によっては、今後のフラッグシップモデルにもこの機能が盛り込まれていくのは間違いないでしょう。
NIKON SB-5000
同じく2016年3月に発売されたニコンのSB-5000は、先代のSB-910に対して、ニコンで初となる電波制御によるワイヤレス増灯撮影機能や、連続発光回数を大幅に向上させる「クーリングシステム」などの新機能を搭載しています。
Nikon D5+SB-5000+電波送信機WR-R10+WR-A10(右肩)
これもまた、Nikon D5と同様にオリンピックで活躍する使命を帯びたモデルと言っても良いでしょう。
SONY HVL-F60M
そして本年(2018年)5月に発売されたSONYのHVL-F60RMは、上記他社モデルに対して2年ものアドバンテージがあるバリバリの新製品です。
α7S IIとHVL-F60RM
仕様を見る限り、明らかに600EX II-RTを意識していますので、これがキヤノンの性能を超えられるかどうかが、今回の見所と言っても良いでしょう。
仕様書比較
各モデルの仕様を比較すると以下の様になります。
メーカー | キヤノン | ニコン | SONY |
機種名 | 600EX II-RT | SB-5000 | HVL-F60RM |
発売日 | 2016年 6月23日 | 2016年 3月26日 | 2018年5月25日 |
発売時価格 | 72,000円 | 72,500円 | 68,300円 |
市場価格 | 56,000円 | 61,000円 | 62,000円 |
ガイドナンバー公称値 (ISO100) |
60(200mm) | 55(200mm) 34.5(35mm) |
60(200mm) |
ガイドナンバー (ISO100、50mm) |
42 | 40 | 37 |
配光切り換え | ○ | ○ | ○ |
バウンス (上下方向) |
90°/7° | 90°/7° | 150°/8° |
バウンス (左右方向) |
左/右:180° | 左/右:180° | 左/右:90° (クイックシフトバウンス対応) |
パワーズーム (ワイドパネル使用時) |
20~200mm (14mm) |
24~200mm (ワイドパネル有り) |
24-200mm (14mm) |
電波通信ワイヤレス対応 | ○ | △ (送信機要) |
○ |
光通信ワイヤレス対応 | ○ | ○ 電波通信と併用可 |
○ |
LEDライト | - | - | ○ |
カラーフィルター対応 | ○ | ○ | ○ |
キャッチライトパネル | ○ | ○ | ○ |
バウンスアダプター | ○ | ○ | ○ |
ハイスピードシンクロ | ○ | ○ | ○ |
FEロック | ○ | ○ | ○ |
調光補正 | +3.0~-3.0 1/3段と1/2段ステップ |
+3.0~-3.0 1/3段ステップ |
+3.0~-3.0 1/3段ステップ (カメラ側の設定と組み合わせで最大6段階) |
マニュアル発光 | ○ | ○ | ○ |
モデリング発光 | ○ | ○ | ○ |
テスト発光 | ○ | ○ | ○ |
マルチ発光 (リピーティング発光) |
○ | ○ | ○ |
後幕シンクロ | ○ | ○ | ○ |
色温度情報通信 | ○ | ○ | ○ |
画面サイズ対応ズーム | ○ | ○ | ○ |
充電完了電子音 | ○ | △ (子機のみ対応) |
○ |
リモートレリーズ | ○ | - | ○ |
AF補助光 | ○ | ○ | ○ |
カスタムファンクション | 18種 | 24種 | 12種 |
外部電源 | ○ | ○ | ○ |
連続発光回数(冷却/断熱) | 耐熱性の高い材料の採用や光学系・内部構造の設計変更 | 「クーリングシステム」搭載 | 耐熱材料の採用と発光アルゴリズムの最適化により、オーバーヒート耐性を大幅に改善。 |
防塵防滴 | ○ | - | ○ |
シンクロ接点 | ○ | ○ | ○ |
ロック機構 | ロックプレート およびロックピン |
ロックプレート およびロックピン |
ロックプレート およびロックピン |
サイズ (mm) |
79×143×123 | 73×137×103.5 | 78 x140×105 |
重さ | 435g | 420g | 449g |
これを見て頂くだけで、凡その違いが分かって頂けると思うのですが、次からは仕様の異なる部分(太字箇所)をかいつまでご紹介したいと思います。
操作性
操作性については、どれも似たり寄ったりです、と言いたい所ですが、結構違います。
Canon 600EX II-RT Nikon SB-5000 Sony HVL-F60RM
600EX II-RT
先ず600EX II-RTは上段4つのボタンがソフトスイッチになっており、表示部によって機能が変化します。
具体的には、調光補正、ズーム、メニュー、テスト発光等がアサインされます。
また一番左にあるボタンがワイヤレス、その下がモードになっています。
また表示部の色は、親機が緑で、子機がオレンジに点灯する様になっています。
SB-5000
SB-5000の場合は、上段4つのボタンが、左からiボタン、モデリング、ワイヤレス、テスト発光になっており、ホイールコントロールにズーム、調光補正、モードが組み込まれています。
そいてiボタンを押すと、その他の細かい機能を設定できる様になっています。
HVL-F60RM
HVL-F60RMの場合は、上段4つのボタンが、左から調光補正の⊕と⊖、ファンクション、メニューになっており、ホイールコントロールにズームとワイヤレスが組み込まれています。
さて、この内どのモデルが一番使い易いかとか、洗練されているかというのは難しいのですが、最も使う頻度が高いだろうと思われる調光補正のボタンが独立しているHVL-F60RMは評価できます。
ただし600EX II-RTとHVL-F60RMは、ON/OFFスイッチにLOCLポジションがあるのは頂けません。
ONポジションより使う頻度の少ないLOCLポジションは、一番端に設けるべきでしょう。
ガイドナンバー
次はガイドナンバーです。
ストロボが普及し始めた頃でしたら、一つのストロボには一つのガイドナンバーで済んだのですが、ストロボにパワーズームの機能が付いてから、ややこしくなってきました。
機種名 | 600EX II-RT | SB-5000 | HVL-F60RM |
発売日 | 2016年 6月23日 | 2016年 3月26日 | 2018年5月25日 |
発売時価格 | 72,000円 | 72,500円 | 68,300円 |
市場価格 | 56,000円 | 61,000円 | 62,000円 |
ガイドナンバー公称値 (ISO100) |
60(200mm) | 55(200mm) 34.5(35mm) |
60(200mm) |
上の比較表を見て頂く様に、公称ガイドナンバーの焦点距離がそれぞれ異なるので、今では単純に比較できません。
このため本書におきましては、マニュアルに記載されているデータ(下表参照)から、どの社も基準としていない50mmレンズ装着時のガイドナンバーで比べてみたいと思います。
焦点距離 | 600EX II-RT | SB-910 (SB-5000) |
HVL-F60M |
14mm | 15 | 16 | 14 |
20mm | 26 | 24 | 25 |
24mm | 28 | 27 | 26 |
28mm | 30 | 30 | 28 |
35mm | 36 | 34 (34.5) |
30 |
50mm | 42 | 40 | 37 |
70mm | 50 | 44 | 46 |
80mm | 53 | 45 | |
105mm | 58 | 49 | 49 |
135mm | 59 | 51 | 54 |
200mm | 60 | 53 (55) |
60 |
上の表をご覧頂きます様に、焦点距離50mmにおけるガイドナンバーは37~42で、キヤノン、ニコン、ソニーの順になります。
なおどういう訳か、SB-5000のマニュアルにはガイドナンバー表が記載されていないため、前モデルのSB-910から流用しています。
ガイドナンバー34(35mm/ISO100)のSB-910
ちなみに前述の表をプロットして平滑処理すると、以下の様になります。
3ストロボの焦点距離とガイドナンバーの関係
これを見ると、80mmを超えるとニコンとソニーが逆転するのが分かりますが、いずれにしろキヤノンが一番優れているのは間違いありません
なお広角側のガイドナンバーはどれもかなり似通っているので、もしかしたら発光管の性能(輝度)は同じなのかもしれません。
配光切り替え
配光切り替えとは、画面中央と周辺の光量差を選択できる機能です。
標準 | 一般的な配光 |
均等 | 中央と周辺の光量差が少ない(ガイドナンバーが下がる、集合写真向け |
中央重点 | 中央が明るい(ガイドナンバーが上がる、ポートレート向き) |
従来はソニー機だけ対応していなかったのですが、HVL-F60RMからようやく対応する様になりました。
バウンス機能
バウンス機能については、600EX II-RTとSB-5000は一般的なヘッドが上下左右に回転するタイプなのに対して、HVL-F60RMは先代よりクイックシフトバウンスと呼ばれる凝った機構を採用しています。
クイックシフトバウンスにおける縦位置と横位置のヘッドの向き
これについては、既に散々述べてきたので、ここでは多くは語りませんが、要点だけ述べておきます。
【メリット】
カメラを横位置から縦位置に変えたとき、ストロボのバウンスの角度を一定にできる。
【デメリット】
①ヘッドと操作部を回転させる機構のため、本体が大きく重くなる。
②ヘッドを回すのに大きな力が必要となり、カメラだけではなくストロボも支えなくてはヘッドを回せない。
③ヘッドを左右に少し振るだけでも、2軸を回転させなければいけない。
④ヘッドが完全に真後ろに向かず、背面の壁を使ったバウンス撮影ができない
このクイックシフトバウンスとは、縦位置/横位置のカメラの向きに合わせてヘッド部を(レンズの光軸方向を中心に)回転させることで、両撮影方向においてヘッドの向きを同じにできるというのが売りです。
だし実際に使ってみると、大したメリットは感じられず、それより以下の幣害の方が気になります。
とういう訳で、バウンス機能については、従来型の600EX II-RTやSB-5000の方が格段に優れていると言えます。
パワーズーム
パワーズームに関しても、SONYだけ105mmまでだったのですが、HVL-F60RMも200mmまで対応となりました。
3ストロボの焦点距離とガイドナンバーの関係
これとガイドナンバーを関係を見れば、やはりキヤノンが一番と言えます。
電波制御式ワイヤレス増灯
最大の注目は電波制御式ワイヤレス増灯でしょう。
はたしてHVL-F60RMの性能はどうなのでしょうか?
という訳で、今回はHVL-F60RMから見ていきたいと思います。
HVL-F60RM
HVL-F60RMの場合、以下の様に最大5グループに計15台のストロボが接続可能です。
HVL-F60RMの電波制御式ワイヤレス増灯のイメージ図
内訳は以下の通りです。
グループ | 発光モード | 最大接続台数 |
---|---|---|
グループA~B | TTL自動調光もしくは マニュアル発光 |
各4台 |
グループC~D | マニュアル発光 | 各2台 |
電波式ワイヤレス増灯の基本性能は、2017年4月に発売されたHVL-F45RMと同じです。
このため、子機の場合のオートパワーオフ時間は1時間もしくは4時間から選択できますが、これはどうみても長すぎるでしょう。(親機の場合、30秒もしくは3分)
ただし改良点もあって、本機より新たに追加された“TTL発光メモリー”機能を使うと、直前にTTL自動調光した発光量を維持したままマニュアル発光に切り替えられる様になりました。
また(先代のHVL-F60Mにもありましたが)子機を含めて、充電完了時に電子音を鳴らす機能も備わっています。
600EX II-RT
一方迎え討つキヤノンの600EX II-RTは、同じく最大5グループに計15台のストロボが接続可能です。
600EX II-RTの電波制御式ワイヤレス増灯のイメージ図
ただし15台の分配の仕方には、SONYと違って制限がありません。
これだけで親機にも子機にもなる600EX II-RTとEOS-5D III
また以下の様に細かい機能も盛り沢山です。
増灯時は照射角度をワイドに自動設定。
カメラの絞り込みボタンで、モデリング発光可能。
親機はオートパワーオフまで5分、子機で5分に設定可能。
子機がオートパワーOFFのとき、親機のテストボタンを押すと自動復帰。
すべてのストロボの充電が完了したら電子音を鳴らし、親機のモニターでも確認可能。
子機の充電が完了したら、AF補助光の点滅を止める事もできる。
親機と子機のストロボ充電中は、親機の表示パネル照明が点灯し、充電完了後12秒で消灯する。
SB-5000
SB-5000においては、最大6グループに計18台のストロボが接続可能です。
また、下の図の様にSB-5000を子機とした場合、光通信と電波通信の併用も可能です。
SB-5000のワイヤレス増灯のイメージ図
ただしSB-5000が電波通信に関して600EX II-RTより進んでいるかと言えば、そうでもありません。
なにしろ下の図にあります様に、SB-5000単独で対応可能なのは電波受信(子機)のみで、送信機能が必要な親機(マスター)として使うためには、別売の送信機であるワイヤレスリモートコントローラー WR-R10が必要なのです。
SB-5000の電波通信ワイヤレスの説明図
おまけにD5、D500にWR-R10を装着するには、コネクターの関係で更にWR用変換アダプターWR-A10も必要との事です。
好意的に見れば、子機用として使うストロボ(SB-5000)にまで送信機を付けなくても済むので安くなるとも言えるのですが、今どきこの程度のものならばストロボに内蔵するのが妥当でしょう。
またどう見ても華奢そうな外付けの送信機(下図の赤丸部分)をカメラ本体に装着して現場で使えば、どこかにぶつけて壊しまいそうです。
Nikon D500に装着した電波送信機(WR-R10+WR-A10)とSB-5000
なおその他の機能は以下の通りです。
増灯時に、テレもしくはワイドに自動切り替え。
サウンドモニター有り。
オートパワーオフの機能無し。
という訳で、本件につきましては、一番は機能が豊富な600EX II-RT、2番はHVL-F60RM、3番は送信機が必要なSB-5000という結果になります。
光制御式ワイヤレス増灯
光制御式ワイヤレス増灯は、3機種とも可能なのですが、電波制御式がメインになると思いますので、ここでは割愛します。
LEDライト
HVL-F60RMにはLEDライトが搭載されています。
HVL-F60MのLEDライト
それも横方向に広くなる様にLEDは3素子も使っています。
もしかしたら動画用に使われている方もいらっしゃるのかもしれませんが、600EX II-RTとSB-5000には付いていません。
恐らくこの先、この2台にはLED照明は付かないでしょう。
なぜならば、600EX II-RTとSB-5000はオリンピックで活躍するスチールカメラ用のストロボとして開発されているからです。
少なくともスチールカメラ用の大容量ストロボにはLEDライトは不要というのが、本書の結論です。
カラーフィルター
カラーフィルターを聞くと、ストロボの光に色を付けるというイメージですが、メーカーの考えはむしろ逆です。
ストロボの光を周囲と同じ色にして、色ムラを無くそうという訳です。
600EX II-RT
600EX II-RTの電球用カラーフィルター
600EX II-RTには電球用が濃淡で2枚用意されています。
SB-5000
SB-5000には蛍光灯用と電球用が各1枚同梱されています。
さらにSB-5000には、赤や青の色を付ける事もできるホルダーも別売ながら用意されています。
SB-5000用のアクセサリー
下にある様な市販のカラーフィルターを付ければ済む事ですが、自動でフィルターを検知してホワイトバランスを調整してくれるのも助かります。
HVL-F60RM
これに対して、ようやくHVL-F60RMにも電球用と蛍光灯用のカラーフィルターが同梱されました。
HVL-F60RMの電灯用と蛍光灯用のカラーフィルター
ですので本件については、カラーフィルターホルダーが用意されているSB-5000がトップと言えます。
リモートレリーズ
リモートレリーズは、従来600EX II-RTだけが搭載していた機能です。
この機能によって、スピードライト600EX II-RTを装着したEOSが複数あれば、最大15台までのシャッターをほぼ同時に切ることができます。
ストロボを発光させない状態での連動撮影も可能になります。
一人で二人分の仕事ができますし、面白い使い方としてはストロボの配置等の撮影風景も記録できますので、かなり便利なのは間違いありません。
これに対して、HVL-60RMも同機能が使える様になりました。
ただし別売のケーブルが子機の台数分必要になります。
SONYはかなり600EX II-RTを意識していますが、追加ケーブル無しでリモートレリーズができる600EX II-RTの方が優れているのは間違いありません。
連続発光回数(冷却/断熱)
HVlL-F60RMではようやくオーバーヒート対策が盛り込まれました。
それぞれのHPの記載は以下の通りです。
連続発光回数が単体で最大約1.5倍に向上
耐熱性の高い材料の採用や光学系・内部構造の設計変更により、従来機※と比較して、連続発光回数が単体で最大1.5倍アップ(最大約100回)。
コンパクトバッテリーパックCP-E4N使用時には、従来機※と組み合せた時(最大約50回)と比較して約1.5倍~2倍(最大約100回)にアップしています。
発光間隔を段階的に制御する新発光アルゴリズムの導入により、連続発光による発光不良や発光管の破損を抑制します。
※スピードライト600EX-RT
耐熱性の高い材料の採用や光学系・内部構造の設計変更により、従来機※と比較して、連続発光回数が単体で最大1.5倍アップ(最大約100回)。
コンパクトバッテリーパックCP-E4N使用時には、従来機※と組み合せた時(最大約50回)と比較して約1.5倍~2倍(最大約100回)にアップしています。
発光間隔を段階的に制御する新発光アルゴリズムの導入により、連続発光による発光不良や発光管の破損を抑制します。
※スピードライト600EX-RT
600EX II-RTの記載
世界初※「クーリングシステム」搭載で、連続発光できる回数も大幅に向上
ストロボヘッド内部の発熱を抑え、連続発光による発光パネルの過熱を抑制する新機能「クーリングシステム」を搭載しています。
連続発光による発光パネルの過熱が抑制され、連続発光できる回数が大幅に向上。
ストロボ使用の連続撮影を繰り返す撮影も、冷却時間を取ることなく、これまで以上に継続できます。
※スピードライト含むクリップオンタイプのストロボにおいて。2016年1月6日現在。
SB-5000の記載
耐熱材料の採用と発光アルゴリズムの最適化により、オーバーヒート耐性を大幅に改善。発光回数は220回(*1)、発光間隔は1.7秒(*1)を実現しました。
*1 ニッケル水素電池使用時。当社測定条件による
*1 ニッケル水素電池使用時。当社測定条件による
HVlL-F60RMの記載
これも実際には比べてみるしかありませんが、一応同列にしておきたいと思います。
防塵防滴
これについても600EX II-RTの圧勝と言っても良いでしょう。
600EX II-RT
下の図をご覧の様に、600EX II-RTは単に外装パネルやボタンにシーリングを施すだけではなく、ストロボをカメラに差し込んでロックレーバーをセットすると、防塵アダプターが下りてきてアクセサリーシュー全体を覆う構造になっているのです。
600EX II-RTの防塵防滴機能
更に本機には、ダストワイト機構と呼ぶ、ストロボ端子の汚れを一旦除去したのち、端子を僅かに戻して接触不良を防ぐという、凝った機構まで入っています。
ここまでやって貰えれば、プロも安心できる事でしょう。
HVL-F60RM
また防塵防滴についてはHVL-F60RMも考慮されているのですが、レインガードは別売になっています。
HVL-F60RMのレインガード(FA-RG)
SB-5000
SB-5000についてはカタログにも仕様書にも、防塵防滴の記述は一切ありません。
ところが現品を見てみると、電池室のカバーにはゴムのパッキンが付いており、全く気を使っていない訳でもなさそうです。
またSB-5000のアクセサリーの中には、ウォーターガードと呼ぶキヤノンの様にアクセサリーシュー全体を覆うカバーを販売しています。
SB-5000用のウォーターガード (WG-AS4)
これからすると、SB-5000については多少防塵防滴に気は使っているのかもしれませんが、防塵防滴と公に謳っていない以上は最下位と扱うしかありません。
という訳で、本件については600EX II-RT、HVL-F60M、SB-5000の順になります。
まとめ
それではまとめです。
機種名 | 600EX II-RT | SB-5000 | HVL-F60RM |
発売日 | 2016年 6月23日 | 2016年 3月26日 | 2018年5月25日 |
発売時価格 | 72,000円 | 72,500円 | 68,300円 |
2018年市場価格 | 56,000円 | 61,000円 | 62,000円 |
ガイドナンバー |
◎ | ○ | △ |
配光切り換え | ○ | ○ | ○ |
バウンス機構 | ○ | ○ | △ |
パワーズーム | ○ | ○ | ○ |
電波通信ワイヤレス対応 | ◎ | △ | ○ |
LEDライト | X | X | ○ |
カラーフィルター対応 | ○ | ◎ | △ |
リモートレリーズ | ○ | X | ○ |
連続発光回数 (冷却/断熱) |
○ | ○ | ○ |
防塵防滴 | ◎ | △ | 〇 |
サイズ (mm) |
79 ×143 ×123 | 73×137×104 | 78×140×105 |
重さ | 435g | 420g | 449g |
上の星取表をご覧頂きます様に、トップはキヤノンの600EX II-RTに間違いないでしょう。
LED照明は必要ないので、次期モデルに必要なのは小型軽量化ぐらいしか思いつかない程です。
またもし言わせて頂けるのであれば、チャージ音を復活してほしい所です。
生憎600EX II-RTはEOSにしか使えないのですが、このストロボを使うためにEOSに買い換える方もいらっしゃるかもしれません。
600EX II-RT 外部電源 トランスミッター ディフューザー
そして2番目はSONYのHVL-F60RMです。
HVL-F60RM 外部電源 レインガード HVL-F45RM
これについてはかなり600EX II-RTに近付いていますが、ガイドナンバーの低下、使い難いバウンス機能、細かい所で劣る電波通信ワイヤレス機能、防塵防滴についてはもう一歩といった感じです。
最下位となるのは、ニコンのSB-5000です。
SB-5000 外部電源 リモコンセット ウォーターガード
SB-5000の今後の課題は、ストロボ単体での電波通信ワイヤレスの対応と防塵防滴対策でしょう。
本書がお役に立てば幸いです。
2018年版:最先端ストロボはどれだ