電子ファインダーのトップはどれだ?
2019/3/18: 発行
はじめに
ニコン、キヤノン、パナソニックからフルサイズミラーレス一眼が発売され、これで噂される全メーカーのミラーレス一眼が一通り揃ったのではないでしょうか。
となると、ミラーレス一眼の最大の特徴とも言える、電子ファインダーの性能が一番高い機種がどれか知りたくなります。
また電子ファインダーのドット数の差で、見え方でどうの程度違うか知りたくはないでしょうか?
という訳で、どれが一番高性能の電子ファインダーを搭載しているか、そして最後に電子ファインダーのドット数の違いによる見え方の差をお伝えしたいと思います。
フルサイズ機
それでは先ず、フルサイズミラーレス一眼の電子ファインダーの仕様を比べてみます。
機種 \項目 | ドット数 | 倍率 | サイズ | アイポイント | フレームレート | 遅延時間 |
Lumix S1R | 576万ドット | 0.78倍 | 0.5型 | 21mm | 120fps | 5ms |
Lumix S1 | 576万ドット | 0.78倍 | 0.5型 | 21mm | 120fps | 5ms |
Leica SL | 440万ドット | 0.8倍 | 不明 | 20mm | 不明 | 不明 |
Nikon Z 7 | 369万ドット | 0.8倍 | 0.5型 | 21mm | 不明 | 不明 |
Nikon Z 6 | 369万ドット | 0.8倍 | 0.5型 | 21mm | 不明 | 不明 |
α 9 | 369万ドット | 0.78倍 | 0.5型 | 23mm | 120fps | 不明 |
α 7R III | 369万ドット | 0.78倍 | 0.5型 | 23mm | 120fps | 不明 |
EOS R | 369万ドット | 0.76倍 | 0.39型 | 23mm | 不明 | 不明 |
α7 III | 236万ドット | 0.78倍 | 0.5型 | 23mm | 不明 | 不明 |
α99 II | 236万ドット | 0.78倍 | 0.5型 | 23mm | 不明 | 不明 |
EOS RP | 236万ドット | 0.70倍 | 0.39型 | 22mm | 不明 | 不明 |
フルサイズミラーレス一眼の電子ファインダーの仕様一覧
上の表をご覧頂きます様に、トップは断トツでLumix Sシリーズ(Lumix S1とS1R)と言って良いでしょう。
Lumix S1シリーズの電子ファインダーは業界トップ
なにしろ他社の中高級機でもせいぜい369万ドットで、80万円もするLeica SLが440万ドットなのに対して、いきなり576万ドットなのですから。
おまけにフレームレートは、(最高ドット数でありながら)120fpsと速く、表示の遅延時間はたった5msですので、アイポイントの距離を除く全てでトップです。
Panasonicの気合の入れ方が伝わります。
なお上の表をご覧頂きます様に、フルサイズ機における全体の傾向としては、高級機が500万ドット前後、中級機が369万ドット、入門機が236万ドットといった感じです。
Lumix S1 |
Nikon Z 6 |
α9 |
EOS R |
α7 III |
今後発売が予想される、CanonとNikonの最高機種がどんな電子ファインダーを搭載するか、気になる所です。
また不明と書かれている仕様書に記載の無いフレームレートは、恐らく入門機が60fps前後で、中級機が100fps程度と推測されます。
このフレームレートや遅延時間も更に速く、短くなるのでしょうか?
電子ファインダーだけでも、色々興味は尽きません。
APS-Cサイズ機
続いては、現在Fujifilm、Canon、Sonyの3社がリリースしているAPS-Cサイズのミラーレス一眼です。
項目\機種 | ドット数 | 倍率 | サイズ | アイポイント | フレームレート | 遅延時間 |
X-T3 | 369万ドット | 0.75倍 | 0.5型 | 23mm | 100fps | 5ms |
X-H1 | 369万ドット | 0.75倍 | 0.5型 | 23mm | 100fps | 5ms |
X-T2 | 236万ドット | 0.77倍 | 0.5型 | 23mm | 100fps | 5ms |
α6500 | 236万ドット | 0.70倍 | 0.39型 | 23mm | 120fps | 不明 |
α6400 | 236万ドット | 0.70倍 | 0.39型 | 23mm | 120fps | 不明 |
EOS Kiss M | 236万ドット | 0.70倍 | 0.39型 | 22mm | 不明 | 不明 |
EOS M5 | 236万ドット | 0.70倍 | 0.39型 | 22mm | 不明 | 不明 |
APS-Cサイズミラーレス一眼の電子ファインダーの仕様一覧
上の表をご覧頂きます様に、APS-Cサイズ機におけるトップは、Fujifilmのプロ用モデルのX-H1とハイアマチュア向けのX-T3です。
Fujifilmの場合、他社と違ってフルサイズ機がないため、APS-C機に高画素の電子ファインダーを奢れるのかもしれません。
X-H1 |
X-T3 |
X-T2 |
一方SonyとCanonは、ある程度フルサイズ機とのクラス分けが必要のためか、いずれの機種も236万ドットと控え目のドット数です。
更にキヤノン機の電子ファンダーは、倍率やアイポイント等、他の全項目において他社機より劣っていますが、これは他社機より徹底的にコストを抑えて、低価格戦略を目指しているためと思われます。
α6500 |
α6400 |
EOS M5 |
EOS Kiss M |
実際、上のAmazon広告においても、その傾向が見て取れます。
4/3(フォーサーズ)サイズ機
続いてはPanasonicとOlympusの2社がリリースしている4/3サイズのミラーレス一眼です。
項目\機種 | ドット数 | 倍率 | サイズ | アイポイント | フレームレート | 遅延時間 |
GH5 | 368万ドット | 0.83倍 | 0.76型 | 21mm | 不明 | 1ms |
G9 PRO | 368万ドット | 0.83倍 | 0.5型 | 21mm | 100fps | 5ms |
GX7 III | 276万ドット | 0.7倍 | 0.38型 (16:9) |
17.5mm | 60fps | 不明 |
E-M1 X | 238万ドット | 0.83倍 | 不明 | 21mm | 120fps | 5ms |
E-M1 II | 238万ドット | 0.74倍 | 不明 | 21mm | 120fps | 5ms |
GX8 | 236万ドット | 0.77倍 | 不明 | 21mm | 不明 | 不明 |
E-M5 II | 236万ドット | 0.74倍 | 不明 | 21mm | 不明 | 10ms |
E-M10 III | 236万ドット | 0.62倍 | 不明 | 19.2mm | 不明 | 不明 |
4/3サイズ対応ミラーレス一眼の電子ファインダーの仕様一覧
上の表をご覧頂きます様に、ここでも機種名がGで始まるLumixブランドのPanasonicが気を吐いています。
特にGH5とG9 PROは、フルサイズの中級機並みの368万ドットの電子ファインダーを搭載しているのは驚きです。
おまけにGH5に至っては、遅延時間が1msと、高解像度に関わらずとんでもない値を出しています。
GH5 |
G9 PRO |
GX7 III |
GX8 |
なおPanasonicのGX7 IIIは、276万ドットの液晶を搭載していますが、縦横比が16:9ですので、実質的には238万ドットに近いのではないかと思われます。
ただしGX7 IIIは、他社にはない可変式ファインダーを搭載していますので、これは大いに評価できます。
他社にはない可変式ファインダーを搭載したしGX7 III
一方Olympusは、動体撮影を売りにしている事もあり、ドット数は並みの238万ドットでありながら、フレームレート120fpsと遅延時間5msを達成しているのは立派です。
E-M1 X |
E-M1 II |
E-M5 II |
E-M10 III |
ドット数の違い
電子ファインダーのドット数が一通り分かった所で、それでは電子ファインダーのドット数の差が見え方でどれくらい違うのかをお伝えしたいと思います。
下の写真は、576万ドットをモニターの標準(等倍)画像だとして、電子ファインダーのドット数の比率で解像度を落とした画像になります。
576万ドット(100%)
440万ドット(76%)
369万ドット(64%)
236万ドット(41%)
人の目の分解能もありますので、一概にこれだけの差がある訳ではありませんし、ましてや236万ドットの電子ファインダーがこんなにボケて見える訳ではありませんが、576万ドットの画像を基準にすると理論上はこれぐらいの差があるという事です。
まとめ
それでは最後にまとめです。
①電子ファインダーの最高峰はLumix Sシリーズで、Panasonicがあらゆる面でトップのミラーレス一眼を開発しようとする意気込みが感じられる。
②フルサイズ一眼においては、今の所最高級機は5000万ドット、中級機は369万ドット、入門機は236万ドットのクラス分けが行われている。
③APS-Cサイズ機においては、フルサイズ機を持たないFujifilmが高級機に369万ドットを採用しているが、それ以外では236万ドットを採用している。
④4/3サイズ機においては、Panasonicが上位機種に369万ドットを採用しているが、Olympusは最上位機種においても、236万ドットである。
⑤今後の動向については、Lumix Sシリーズの576万ドットが、市場でどれほど評価されるかに掛かっているかもしれない。
すなわち、576万ドットの評価が高ければ追随するメーカーがあるかもしれないが、目立った高評価が無ければ、上位機種でも369万ドットが一般的になるかもしれない。