デジタルカメラ便覧
2014/10:発行
2020/01:更新
2020/01:更新
目次
APS-Cサイズ一眼レフ
APS-Cサイズの撮像素子を搭載したデジタル一眼レフカメラを発売しているのは、国内ではペンタックス、ニコン、ソニー、キヤノンの4社になります。
ご存じかもしれませんが、APS-Cサイズは元々はカートリッジ式のフィルムのサイズ(24 x 16mmから来ているのですが、撮像素子になると若干小型の物が使われています。
APS-Cサイズフィルムの大きさ
もう少し詳しく述べますと、APS-Cサイズ撮像素子の大きさは以下の様に凡そ2種類あります。
撮像素子 | サイズ | 採用会社 | 比率 | 比率 |
フルサイズ | 36mmx24mm | キヤノン、ニコン、ソニー | 100% | 235% |
APS-C(大) | 25.1mmx16.7mm | ニコン、ペンタックス、ソニー、シグマ | 43% | 100% |
APS-C(小) | 23.6mmx15.6mm | キヤノン | 38% | 89% |
中でもキヤノンは、他社より1割以上も小さな撮像素子を使っていますので、他社よりコスト的にも性能的にも作り易い条件にあると言えます。
これを100m競争に例えるならば、他社は100m走っていながら、キヤノンだけ89m走ってタイムを競っている様なものなのです。
キヤノンのAPS-Cサイズ機は、他社のAPS-Cサイズ機よりも基本性能が11%も劣っている事を忘れてはなりません。
ついでに言っておきますと、他社のAPS-Cサイズ対応レンズは自社のフルサイズ対応デジタル一眼レフにも装着できるのですが、キヤノンのみ(楽に小型化と広角ズーム化を実現するために)できない仕様になっています。
いずれにしろこれらの機種の最大の特徴は、フルサイズ対応機種より安価である事、及びフルサイズ対応の豊富な交換レンズがレンズアダプター無しに使える事です。
それでは先ず、モデル数の最も多いキヤノンから見ていきましょう。
キヤノン
キヤノンのフルサイズ機は5機種であったのに対して、APS-Cサイズ機は7機種もラインアップしています。
その内、これからお伝えするEOS+数字シリーズが上位モデルで、後述するEOS Kissシリーズがエントリーモデルの扱いになっています。
EOS+数字(7以上)シリーズ
APS-CサイズのEOS+数字(7以上)シリーズは、以下の様な分類になっています。
モデル | 機種 | ポジション |
1桁モデル | EOS 7D II EOS 7D |
フラッグシップ |
2桁モデル | EOS 90D EOS 80D EOS 70D |
ハイアマチュアモデル |
4桁モデル | EOS 9000D EOS 8000D |
プレミアムエントリーモデル |
なおご存じの様に、”6”以下の一桁モデル(EOS 6D、EOS 5D、EOS-1D)はフルサイズ対応の一眼レフを指します。
1桁モデル(フラッグシップ)
EOS 7D Mark II |
EOS 7D |
モデル | 特徴 | ストロボ | 自撮り | Wi Fi |
連写 | シャッター速度 | ISO感度 | 画素数 |
EOS 7D Mark II 2014/10 |
APS-Cサイズの最高級機。 視野率100%、モニター固定、デュアルピクセルAF、AF測距65点、GPS搭載。 |
内蔵 | 3型 104万 dot 固定 |
無 | 10コマ/秒 | 1/8000 | 100- 16000 (51k) |
2020 万画素 |
EOS 7D 2009/10 |
一世代前のAPS-Cサイズの最高級機 防塵防滴、視野率約100%、19点のクロスタイプAF等、フルサイズのEOS-1D並みの性能を持っている |
内蔵 | 3型 104万 dot 固定 |
無 | 8コマ/秒 | 1/8000 | 100- 6400 |
1800 万画素 |
EOS 7D Mark II(14万円)は、どちらかと言えば高速撮影用ですので、ポートレートを考慮すれば、ボケ易いフルサイズのEOS 6D(14万円)の方が良いかもしれません。
なおキヤノンのAPC-Cサイズ対応一眼レフの場合、EOS 7D Mark IIのみが金属ボディーですが、その他は全てプラスチックのボディーになります。
2桁モデル(ハイアマチュアモデル)
ハイアマチュアモデルであるEOSの2桁モデルは、2019/10にEOS 90Dが発売されました。
公式にはEOS 80Dの後継機ですが、ミラーレス一眼に軸足を移す事に伴い、EOS 7D IIの後継機を兼ねているかもしれません。
EOS 90D |
EOS 80D |
EOS 70D |
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | Wi Fi |
連写 | シャッター速度 (電子) |
ISO感度 | 画素数 |
EOS 90D 2019/10 |
EOS 80Dの後継機 撮像素子と画像処理エンジンを刷新し、3250万画素で秒速11コマを達成。 測距点はオールクロス45点に対応し、新たにマルチコントローラ搭載。 またファインダー撮影時でも顔認識が可能となり、ライブビュー撮影ではサーボAF時の瞳AF対応や、EV−5での合焦も可能。 4K 30pに対応。 |
内蔵 | 3型 104万 dot Vari Touch |
有 | 11コマ/秒 | 1/8000 (1/16k) |
100- 25600 (51.2k) |
3250 万画素 |
EOS 80D 2016/3 |
EOS 70Dの後継機 撮像素子と画像処理エンジンを刷新し、AFを強化(45点)、視野率100%を達成。 |
内蔵 | 3型 104万 dot Vari Touch |
有 | 7コマ/秒 | 1/8000 | 100- 16000 (25.6k) |
2420 万画素 |
EOS 70D 2013/8 |
ハイアマチュア向けモデル ライブビューにおけるAF性能改善。 タッチパネル搭載のバリアングル液晶搭載、操作系はフルサイズの6Dを流用。 |
内蔵 | 3型 104万 dot Vari Touch |
有 | 7コマ/秒 | 1/8000 | 100- 12800 (25.6k) |
2020 万画素 |
また最新のEOS80D(実勢価格12万円)においても、(4万円高価ですが)やはり頑張ってEOS 6D(14万円)を購入した方があとあと後悔しないと思います。
4桁モデル(プレミアムエントリーモデル)
4桁のプレミアムエントリモデル。
基本性能はEOS Kissの上位機種(Xi系)と同じながら、Kissという名称に抵抗がある人用のモデル
EOS 9000D(左)とEOS kiss X9i(右)
同時発売されたEOS 9000DとEOS kiss X9iの大きな違いは、サブモニターの有無とモードダイヤル位置
EOS 9000D |
EOS 8000D |
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | Wi Fi |
連写 | シャッター速度 | ISO感度 | 画素数 |
EOS 9000D 2017/7 |
EOS 8000Dの後継機。 基本性能はEOS kiss X9iと共通で、新たにオールクロス45点AFセンサー、デュアルピクセルCMOS AFを搭載し、ライブビューて世界最速のAFを達成。Bluetooth、NFC追加。 |
内蔵 | 3型 104万 dot Vari Touch |
有 | 6コマ/秒 | 1/4000 | 100-25600 | 2420万画素 |
EOS 8000D 2015/4 |
プレミアムエントリーモデル 基本性能はX8iと共通だが、ライブビュー時のサーボAFや動画時のデジタルズーム、電子水準器を搭載。 タッチパネル、バリアングル液晶採用。 |
内蔵 | 3型 104万 dot Vari Touch |
有 | 5コマ/秒 | 1/4000 | 100- 12800 |
2420 万画素 |
EOS 8000DとEOS Kiss X8i(いずれも8万円)は、同じプラットホームを使ったエントリーモデルの最上位機種です。
ですので、どうしてもAPS-Cサイズのキヤノン機を購入したいのでしたら、EOS 8000DもしくはEOS Kiss X8iとして、これに単焦点のEFレンズ(フルサイズ対応レンズ)を使って、ポートレートに挑戦するのも良いかもしれません。
なお2020/2にEOS kiss X10iが発売されてもEOS10000Dが発売されなかった事を考えると、このシリーズはこれでディスコンになるかもしれません。
EOS Kissシリーズ
次はEOS Kissシリーズです。
Kissシリーズの構成は以下の様になっています。
モデル | 機種 | 特徴 |
X+1桁+i | X10i、X9i、 X8i、X7i、X6i |
現在のKissの本流(隔年新機種発売) バリアングルモニター搭載 |
X+1桁 | X10、X9、 X7、X5、X4、X3等 |
以前はKissの本流だったが(隔年新機種発売) X7以降は小型軽量を目指した普及機 |
X+2桁 | X90、X80、 X70、X50 |
機能を削った廉価版 |
X+1桁+iモデル(Kissの本流)
EOS Kiss X10i |
EOS Kiss X9i |
EOS Kiss X8i |
EOS Kiss X7i |
EOS Kiss X6i |
上記機種の特徴を簡単に解説すると、以下の様になります。
X+1桁モデル(Kissの小型軽量普及機)
EOS Kiss X10 |
EOS Kiss X9 |
EOS Kiss X7 |
EOS Kiss X5 |
上記機種の特徴を簡単に解説すると、以下の様になります。
X+2桁モデル(Kissの廉価版)
EOS Kiss X90 |
EOS Kiss X80 |
EOS Kiss X70 |
上記機種の特徴を簡単に解説すると、以下の様になります。
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | Wi Fi |
連写 | シャッター速度 | ISO感度 | 画素数 |
EOS Kiss X90 2018/2 |
X80のマイナーチェンジ版で、外観はほぼ同じ。 画素数を2400万画素にアップ。 |
内蔵 | 3型 92万dot 固定 |
有 | 3コマ/秒 | 1/4000 | 100-6400 (12800) |
2410万画素 |
EOS Kiss X80 2016/3 |
X70の後継機 最新映像エンジン採用、モニターを高解像に変更、Wi-FiとNFC搭載 |
内蔵 | 有 | 3コマ/秒 | 1/4000 | 100-6400 (12800) |
1800万画素 | |
EOS Kiss X70 2014/3 |
誰でも簡単綺麗に撮れるを目指したローエンドモデル モニター固定 |
内蔵 | 3型 46万dot 固定 |
無 | 3コマ/秒 | 1/4000 | 100-6400 (12800) |
1800万画素 |
キヤノンレンズ群
キヤノンのAPS-Cサイズ一眼レフ専用のレンズは、EF-Sレンズと呼ばれ、14本が用意されています。
EF-Sレンズは、マクロレンズ以外は全てズームレンズで、一番明るいレンズでもF2.8なのですが、何とかポートレートに使えそうな物を載せておきます。
EF-S 17-55mm (27-88mm F2.8) |
EF-S 18-135mm (29-216mm F3.5-5.6) |
EF-S 18-200mm (29-320mm F3.5-5.6) |
更にボケるレンズとなるとやはりフルサイズのEFレンズを使うしかないのですが、(何度も言いますが)折角のフルサイズ対応のレンズをAPS-Cサイズ一眼レフで使うのはかなりもったいない話です。
なお前述しました様に、EF-Sレンズはフルサイズ一眼レフのEOSには装着できない様になっています。
この理由は、レンズ設計の効率化のためにEF-Sレンズのレンズ後端を伸ばした事により、フルサイズ一眼レフに装着すると、ミラーがレンズ後端にぶつかってしまうからです。
ちなみに他社機(ペンタックス、ニコン、ソニー)においては、装着可能です。
思想の違いと言えばそれまでですが、ユーザーとしてはいずれのレンズも装着可能が望ましいのは間違いありません。
前述のAPS-Cサイズが他社より1割小さい事と共に、キヤノンは他社より楽なカメラ作りをしていると言わざるを得ません。