デジタルカメラ便覧
2014/10:発行
2020/01:更新
2020/01:更新
目次
APS-Cサイズミラーレス
ソニー、フジフィルムと続いて、次はキヤノン、ニコン、シグマ、リコーのAPS-Cサイズミラーレスを見てみましょう。
キヤノン
RFマウント機
フルサイズのEOS Rが発売されてから4年目、出る出ないと噂されていたRFマウントのAPS-Cサイズ機が発売されました。
それが上級機のEOS R7と中級機のEOS R10です。
EOS R7(左)とEOS R10(右)
EOS R100(左)とEOS R50(右)
Mマウント機
キヤノンにおいては、2012年にミラーレス市場に参入してきたものの、当初は明らかに本腰を入れるつもりもなく、市場調査を兼ねておまけで販売している様な状況でした。
何の特徴も無かった初代EOS M
ただしさすがにここにきて他社のミラーレスの売り上げに危機感をもってきた様で、遅ればせながら2015年に発売したEOS M3でようやく少しまともな製品を投入してきて、EOS M5で本腰を入れたつもりでしょうが、先行している他社にはまだまだというのが実感でした。
EOS M5 |
EOS M3 |
EOS M2 |
EOS M10 |
EOS M |
ところが、2018年に発売されたEOS Kiss Mにおいては、入門機クラスでありながら一部は2016年に発売された上位機種であるEOS M5を凌ぐ性能を有しています。
キヤノンはこの分野においては、とことん低価格帯機で市場シェアを獲得しようと目論んでいる様に思われます。
EOS M200 |
EOS M6 II |
EOS Kiss M |
EOS 100 |
EOS M6 |
EOS Kiss M2 |
モデル | 特徴 | 動画 | 自撮り | ストロボ | 連写 | シャッター 速度 |
ISO感度 (拡張) |
画素数 |
EOS Kiss M2 2020/11 |
EOS Kiss Mの後継機。 ただし、外観、画素数、画像処理エンジンは前モデルと共通で、瞳AFのサーボ・動画対応や追従性能の向上などが図られている。 |
4K 25P クロップ HD 120P |
可 V |
内蔵 | 10 コマ/秒 |
1/4000 | 30秒 B |
100- 25600 (51200) |
2400 万画素 |
EOS M200 2019/10 |
EOS M100の後継機。 撮像素子はEOS M100と同じながら新作像エンジン(DIGIC 8)を採用。 これに伴い、ISO感度、AF性能、動画性能が向上。新たにサイレントモード、デュアルセンシングIS、4K切り出し等搭載。 |
4K 25P クロップ HD 120P |
可 T |
内蔵 | 6 コマ/秒 |
100- 25600 (51200) |
2400 万画素 |
|
EOS M6 II 2019/9 |
EOS M6の後継機。 撮像素子が3250万画素になり、新映像エンジン(DIGIC 8)を搭載。 連写速度が15コマ/秒になり、更に電子シャッターの場合AF追従で約30コマ/秒の連写も可能。4K/30PとFHD/120Pに対応。 |
4K 30P ノンクロップFHD 120P |
可 T |
内蔵 | 15 コマ/秒 |
100- 25600 (51200) |
3250 万画素 |
|
EOS Kiss M 2018/3 |
EF-Mマウント初のKissシリーズ 新作像エンジン(DIGIC 7)になり、デュアルピクセルCMOS AFの測距点が大幅アップ。 M5と違って、操作性は初心者向きでモニターがバリアングル式となる。 ただし新たに4K( 24p)動画、サイレント撮影に対応。 |
4K 25P クロップ HD 120P |
可 V |
内蔵 | 10 コマ/秒 |
100- 25600 (51200) |
2400 万画素 |
|
EOS M100 2017/10 |
EOS M10の後継機であり、ファインダーの無いEOS M6のディチューンモデル。 作像系やAF性能はEOS M6と同じながら、連写速度、ISO感度、モニター開閉角度等が劣っている。 |
FHD 60P |
可 T |
内蔵 | 6 コマ/秒 |
100- 6400 (25600) |
2400 万画素 |
|
EOS M6 2017/4 |
M5からEVFを削除したモデル。 これに伴い、M5より小さく軽くなったものの、タッチ&ドラッグAF機能も削除された。 |
FHD 60P |
可 T |
内蔵 | 9 コマ/秒 |
100- 25600 |
2400 万画素 |
|
EOS M5 2016/11 |
EVFを搭載し、タッチパネルでタッチ&ドラッグAFも可能。デュアルピクセルCMOS AFを採用し、全画素が撮像と位相差AFの両方を兼ねて機能する。 モニターは上下チルト式ながら、下方向に180度反転可能。 |
FHD 60P |
可 T |
内蔵 | 9 コマ/秒 |
100- 25600 |
2400 万画素 |
|
EOS M10 2015/10 |
小型軽量の入門機 M3に対して、画素数とAF性能を落としたモデル。ただし自撮り用チルト式液晶タッチパネルとWi-Fi/NFCを搭載。 |
FHD 30P |
可 T |
内蔵 | 4.6 コマ/秒 |
100- 12800 (25600) |
1800 万画素 |
|
EOS M3 2015/3 |
チルト式液晶タッチパネル、3種の操作ダイヤル、Wi-Fi/NFC、外付け236万ドット EVF対応 。 | FHD 30P |
不可 T |
内蔵 | 4.1 コマ/秒 |
2420 万画素 |
||
EOS M2 2013/12 |
EOS Mの改良版(AFスピード改善) | FHD 30P |
不可 | なし | 4.6 コマ/秒 |
1800 万画素 |
||
EOS M 2012/9 |
キヤノン初のミラーレス(液晶固定) ミラーレス以外に何の特徴もないカメラ。 |
FHD 30P |
不可 | なし | 4.3 コマ/秒 |
1800 万画素 |
おまけに専用レンズについても、本数が少なく殆どが暗いズームレンズばかりで特に目を引く物はありません。
EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM (18-35mm) |
EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM (24-72mm) |
EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM (29-88mm) |
EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM (29-240mm) |
EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM (88-320mm) |
EF-M22mm F2 STM (35mm) |
EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM (45mm) |
EF-M32mm F1.4 STM (51mm) |
確かにレンズアダプターを使えば、豊富なキヤノンのEFレンズが使えるのが魅力ですが、これから本腰を入れて撮影したい方には残念ながらとてもお勧めできません。
ついでにお伝えしておきますと、(ご存じかもしれませんが)キヤノンのAPS-Cサイズは、他社(ペンタックス、ニコン、ソニー)より1割以上(正確には11%)も小さい事を忘れてはいけません。
おまけにボディーだけでも10万円近くする最新のM5ですら筐体はプラスチックですので、他社との気合の入れ方の違いが伺えます。
ニコン
ニコンは従来、APS-Cサイズのミラーレスは発売していなかったのですが、フルサイズミラーレスと同じZマウントを使ったAPS-Cサイズミラーレスを2019年に発売しました。
Nikon Z 50
その第一弾が2000万画素の撮像素子を搭載したNikon Z 50です。
本機は同社の一眼レフである、Nikon D500やD7500の撮像素子を流用しているため、同種のカメラの中ではトップクラスの性能を秘めています。
Nikon Z fc
Nikon Z fcは、Nikon Z 50 を流用して、外観と操作正を古(いにしえ)のNikon FM2に似せたカメラです。
モデル (発売日) |
特徴 | ストロボ | モニタ& EVF |
Wi - Fi |
連写 (コマ/秒) |
シャッター 速度 |
ISO感度 (拡張) |
画素数 |
Nikon Z fc (21/7) |
Nikon Z 50を流用したノスタルジックスタイルのカメラ。 基本性能はZ 50と同じだが、バリアングルモニターを採用し、内蔵ストロボは無し。 |
外付け | 3.2型 104万dot Vali 下開き 自撮可 Touch 0.39型 236万dot |
対応 BT |
11 コマ |
1/4000 -30, B,T 電子も同様 |
100- 51200 (204.8k) |
2088 万画素 |
Nikon Z 30
Nikon Z 30は、Z 50からファインダーとストロボを削除して、背面モニターをチルト式からバリアングルに変更したVlog撮影を意識したモデルです。
ただし静止画撮影でも十分使えますので、むしろ小型軽量カメラとしてもっと早く登場していればと思わないではいられません。
シグマ
APS-Cサイズのミラーレス機の中で最も異色なのはシグマでしょう。
何しろ色補完の一切必要のないフォビオン製の3層構造の撮像素子を使っているからです。
一般的には、偽色やモアレの発生がないのでローパスフィルターを必要としないから解像度が高いと言われていますが、画面全体が純粋な色情報だけで構成されているという事が最大のメリットです。
現在は、従来から続く一眼レフタイプのSD1 Merrillも発売されていますが、恐らくこれからはミラーレス機を主流にするのでしょう。
sd Quattro H sd Quattro
モデル | 特徴 | ストロボ | 連写 | シャッター速度 | ISO感度 | 画素数 |
sd Quattro H 2016/12 |
APS-Cサイズ(23.4×15.5mm )より一回り大きなAPS-Hサイズ(26.7×17.9mm )を搭載したモデル。 | 外付け | 5コマ/秒 | 1/4000 -30秒 |
100- 6400 |
2500 万画素 |
sd Quattro 2016/8 |
3層構造の撮像素子を使ったミラーレス一眼 | 外付け | 5コマ/秒 | 1/4000 -30秒 |
100- 6400 |
2000 万画素 |
高価だったフォビオンの撮像素子がかなり手頃な価格になりましたので、思い切って検討してみる価値はあるかもしれません。
シグマのレンズ群
シグマのレンズはARTシリーズとして、かなり気になる物があります。
24mm F1.4 |
35mm F1.4 |
50mm F1.4 |
85mm F1.4 |
24-105mm |
ただし上のレンズはいずれもフルサイズ用ですので、APS-C用には少々もったいないかもしれません。
リコー
リコーのGXR(ボデイ)とそのカメラユニット(撮像素子付きレンズユニット)は、レンズと撮像素子の最適化という意味では確かに理に叶ったシステムでインパクトはあったのですが、本体の生産終了に伴ってその意義も終えた模様です。
リコーのGXR(ボデイ)とそのカメラユニット
そう言うと、終わった技術の様に思われるかもしれませんが、この技術と知見はリコーとペンタックスのカメラに綿々と引き継がれる事になるのでしょう。
こういった(今にすれば)特殊なカメラは、黎明期にはどうしても必要な物なのかもしれません。