デジタルカメラ便覧

2014/10:発行
2020/01:更新

目次


▼デジタルカメラ分類チャート

APS-Cサイズミラーレス


ソニーフジフィルムと続いて、次はキヤノンニコンシグマリコーのAPS-Cサイズミラーレスを見てみましょう。


キヤノン


RFマウント機

フルサイズのEOS Rが発売されてから4年目、出る出ないと噂されていたRFマウントのAPS-Cサイズ機が発売されました。

それが上級機のEOS R7と中級機のEOS R10です。


EOS R7(左)とEOS R10(右)

そして入門機のR50と最廉価版のEOS R100です。


EOS R100(左)とEOS R50(右)

モデル 特徴 動画 モニタ&
EVF
連写
(電子)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
EOS  R100
2023/6
EOS Rシリーズの最廉価モデル。
EOS R50の外装とEOS Kiss M2の中身を流用し、更に徹底的にコストダウンしたモデル。
背面モニターが固定でタッチ操作に非対応。AF機能も測距エリアの分割数が異なり、被写体検出AFが非搭載(顔/瞳AFは利用可能)。マルチアクセサリーシュー非対応。

4K/24PクロップとFHD60Pに対応。
4K24P

FHD120P
3型
104万dot

0.39型
236万dot
6.5
コマ/秒
1/4000
(8k)
|
30秒
B
100-
12800
(25600)
2410
万画素
EOS  R50
2023/3
RFマウントを採用した入門機でEOS Kiss Mシリーズの後継機。
EOS R10と同じ撮像エンジンと撮像素子を搭載するも、片幕メカシャッターを採用し、モニター解像度、連写、動画性能等が劣る。マルチアクセサリーシュー対応なれど、従来のホットシュー端子を削除したためこのままではそれ以外のストロボは発光すらできず。
4K/30PクロップとFHD/120Pに対応。
4K30P
クロップ

FHD120P
3型
104万dot
Vali
Touch

0.39型
236万dot
12
コマ/秒

(15コマ/秒)
1/4000
(8k)
|
30秒
B
100-
32000
(51200)
2420
万画素
EOS  R10
2022/6
RFマウントを採用したAPS-Cサイズミラーレスの中級機。
新開発の撮像素子と、EOS R7と同じ映像エンジン(DIGIC X)を搭載し、同じ画素数のEOS Kiss M2に対して、連写性能、AF性能、動画性能向上。
ボディー内手振れ補正は非搭載ながら、ストロボ内蔵。
4K/60PクロップとFHD/120Pに対応。
4K60P
クロップ

FHD120P
3型
162万dot
Vali
Touch

0.39型
236万dot
15
コマ/秒

(23コマ/秒)
1/4000
(16k)
|
30秒
B
100-
32000
(51200)
2420
万画素
EOS  R7
2022/6
RFマウントを採用したAPS-Cサイズミラーレスの上級機。
新開発の撮像素子と、EOS R3と同じ映像エンジン(DIGIC X)を搭載し、同じ画素数のEOS M6 IIに対して、高感度特性、連写性能、AF性能、動画性能向上。
ボディー内手振れ補正搭載ながら、内蔵ストロボは非搭載。
4K/60PとFHD/120Pに対応。
4K60P
ノンクロップ

FHD120P
3型
162万dot
Vali
Touch

0.39型
236万dot
15
コマ/秒

(30コマ/秒)
1/8000
(1/16k)
|
30秒
B
100-
32000
(51200)
3250
万画素

Mマウント機

キヤノンにおいては、2012年にミラーレス市場に参入してきたものの、当初は明らかに本腰を入れるつもりもなく、市場調査を兼ねておまけで販売している様な状況でした。


何の特徴も無かった初代EOS M

ただしさすがにここにきて他社のミラーレスの売り上げに危機感をもってきた様で、遅ればせながら2015年に発売したEOS M3でようやく少しまともな製品を投入してきて、EOS M5で本腰を入れたつもりでしょうが、先行している他社にはまだまだというのが実感でした。


EOS M5

EOS M3

EOS M2

EOS M10

EOS M

ところが、2018年に発売されたEOS Kiss Mにおいては、入門機クラスでありながら一部は2016年に発売された上位機種であるEOS M5を凌ぐ性能を有しています。


キヤノンはこの分野においては、とことん低価格帯機で市場シェアを獲得しようと目論んでいる様に思われます。


EOS M200

EOS M6 II

EOS Kiss M

EOS 100

 EOS M6 


EOS Kiss M2


モデル 特徴 動画 自撮り ストロボ 連写 シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
EOS Kiss M2
2020/11
EOS Kiss Mの後継機。
ただし、外観、画素数、画像処理エンジンは前モデルと共通で、瞳AFのサーボ・動画対応や追従性能の向上などが図られている。
4K
25P
クロップ
HD
120P

V
内蔵 10
コマ/秒
1/4000
|
30秒
B
100-
25600
(51200)
2400
万画素
EOS M200
2019/10
EOS M100の後継機。
撮像素子はEOS M100と同じながら新作像エンジン(DIGIC 8)を採用。
これに伴い、ISO感度、AF性能、動画性能が向上。新たにサイレントモード、デュアルセンシングIS、4K切り出し等搭載。
4K
25P
クロップ
HD
120P

T
内蔵 6
コマ/秒
100-
25600
(51200)
2400
万画素
EOS M6 II
2019/9
EOS M6の後継機。
撮像素子が3250万画素になり、新映像エンジン(DIGIC 8)を搭載。
連写速度が15コマ/秒になり、更に電子シャッターの場合AF追従で約30コマ/秒の連写も可能。4K/30PとFHD/120Pに対応。
4K
30P
ノンクロップFHD
120P

T
内蔵 15
コマ/秒
100-
25600
(51200)
3250
万画素
EOS Kiss M
2018/3
EF-Mマウント初のKissシリーズ
新作像エンジン(DIGIC 7)になり、デュアルピクセルCMOS AFの測距点が大幅アップ。
M5と違って、操作性は初心者向きでモニターがバリアングル式となる。
ただし新たに4K( 24p)動画、サイレント撮影に対応。
4K
25P
クロップ
HD
120P

V
内蔵 10
コマ/秒
100-
25600
(51200)
2400
万画素
EOS M100
2017/10
EOS M10の後継機であり、ファインダーの無いEOS M6のディチューンモデル。
作像系やAF性能はEOS M6と同じながら、連写速度、ISO感度、モニター開閉角度等が劣っている。
FHD
60P

T
内蔵 6
コマ/秒
100-
6400
(25600)
2400
万画素
EOS M6
2017/4
M5からEVFを削除したモデル。
これに伴い、M5より小さく軽くなったものの、タッチ&ドラッグAF機能も削除された。
FHD
60P

T
内蔵 9
コマ/秒
100-
25600
2400
万画素
EOS M5
2016/11
EVFを搭載し、タッチパネルでタッチ&ドラッグAFも可能。デュアルピクセルCMOS AFを採用し、全画素が撮像と位相差AFの両方を兼ねて機能する。
モニターは上下チルト式ながら、下方向に180度反転可能。
FHD
60P

T
内蔵 9
コマ/秒
100-
25600
2400
万画素
EOS M10
2015/10
小型軽量の入門機
M3に対して、画素数とAF性能を落としたモデル。ただし自撮り用チルト式液晶タッチパネルとWi-Fi/NFCを搭載。
FHD
30P

T
内蔵 4.6
コマ/秒
100-
12800

(25600)
1800
万画素
EOS M3
2015/3
チルト式液晶タッチパネル、3種の操作ダイヤル、Wi-Fi/NFC、外付け236万ドット EVF対応 。 FHD
30P
不可
T
内蔵 4.1
コマ/秒
2420
万画素
EOS M2
2013/12
EOS Mの改良版(AFスピード改善) FHD
30P
不可 なし 4.6
コマ/秒
1800
万画素
EOS M
2012/9
キヤノン初のミラーレス(液晶固定)
ミラーレス以外に何の特徴もないカメラ。
FHD
30P
不可 なし 4.3
コマ/秒
1800
万画素

おまけに専用レンズについても、本数が少なく殆どが暗いズームレンズばかりで特に目を引く物はありません。


EF-M11-22mm
F4-5.6 IS STM
(18-35mm)

EF-M15-45mm
F3.5-6.3 IS STM
(24-72mm)

EF-M18-55mm
F3.5-5.6 IS STM
(29-88mm)

EF-M18-150mm
F3.5-6.3 IS STM
(29-240mm)

EF-M55-200mm
F4.5-6.3 IS STM
(88-320mm)


EF-M22mm
F2 STM
(35mm)

EF-M28mm F3.5
マクロ IS STM
(45mm)

EF-M32mm
F1.4 STM
(51mm)

確かにレンズアダプターを使えば、豊富なキヤノンのEFレンズが使えるのが魅力ですが、これから本腰を入れて撮影したい方には残念ながらとてもお勧めできません。

ついでにお伝えしておきますと、(ご存じかもしれませんが)キヤノンのAPS-Cサイズは、他社(ペンタックス、ニコン、ソニー)より1割以上(正確には11%)も小さい事を忘れてはいけません。

おまけにボディーだけでも10万円近くする最新のM5ですら筐体はプラスチックですので、他社との気合の入れ方の違いが伺えます。



ニコン


ニコンは従来、APS-Cサイズのミラーレスは発売していなかったのですが、フルサイズミラーレスと同じZマウントを使ったAPS-Cサイズミラーレスを2019年に発売しました。

Nikon Z 50

その第一弾が2000万画素の撮像素子を搭載したNikon Z 50です。

 
Nikon Z 50 + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

本機は同社の一眼レフである、Nikon D500やD7500の撮像素子を流用しているため、同種のカメラの中ではトップクラスの性能を秘めています。

モデル
(発売日)
特徴 ストロボ モニタ&
EVF
Wi
-
Fi
連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
Nikon Z50
(19/11)
ニコン初のAPS-Cサイズミラーレス。
AFはハイブリッド方式で、ストロボ内蔵。
グリップが深く、鏡筒に絞りリング採用。
下開きの自撮り可能チルト式背面モニター採用。
金属ボディーながら防塵防滴非対応。
ノンクロップの4K30PとFHD120Pに対応。
内蔵 3.2型
104万dot
Tilt
下開き
自撮可
Touch

0.39型
236万dot
対応

BT
11
コマ
1/4000
-30, B,T

電子も同様
100-
51200
(204.8k)
2088
万画素

Nikon Z fc

Nikon Z fcは、Nikon Z 50 を流用して、外観と操作正を古(いにしえ)のNikon FM2に似せたカメラです。

 
Nikon Z fc+ NIKKOR NIKKOR Z 28mm f/2.8

モデル
(発売日)
特徴 ストロボ モニタ&
EVF
Wi
-
Fi
連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
Nikon Z fc
(21/7)
Nikon Z 50を流用したノスタルジックスタイルのカメラ。
基本性能はZ 50と同じだが、バリアングルモニターを採用し、内蔵ストロボは無し。
外付け 3.2型
104万dot
Vali
下開き
自撮可
Touch

0.39型
236万dot
対応

BT
11
コマ
1/4000
-30, B,T

電子も同様
100-
51200
(204.8k)
2088
万画素


Nikon Z 30

Nikon Z 30は、Z 50からファインダーとストロボを削除して、背面モニターをチルト式からバリアングルに変更したVlog撮影を意識したモデルです。

 
Nikon Z50 + NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR

ただし静止画撮影でも十分使えますので、むしろ小型軽量カメラとしてもっと早く登場していればと思わないではいられません。

モデル
(発売日)
特徴 ストロボ モニター Wi
-
Fi
連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
Nikon Z 30
(22/08)
Z 50からファインダーとストロボを削除して、背面モニターをチルト式からバリアングルに変更したモデル 外付け 3.2型
104万dot
Vali
Touch
対応

BT
11
コマ
1/4000
-30, B,T

電子も同様
100-
51200
(204.8k)
2088
万画素


シグマ


APS-Cサイズのミラーレス機の中で最も異色なのはシグマでしょう。

何しろ色補完の一切必要のないフォビオン製の3層構造の撮像素子を使っているからです。

一般的には、偽色やモアレの発生がないのでローパスフィルターを必要としないから解像度が高いと言われていますが、画面全体が純粋な色情報だけで構成されているという事が最大のメリットです。

現在は、従来から続く一眼レフタイプのSD1 Merrillも発売されていますが、恐らくこれからはミラーレス機を主流にするのでしょう。

 
sd Quattro H    sd Quattro 

モデル 特徴 ストロボ 連写 シャッター速度 ISO感度 画素数
sd
Quattro H
2016/12
APS-Cサイズ(23.4×15.5mm )より一回り大きなAPS-Hサイズ(26.7×17.9mm )を搭載したモデル。 外付け 5コマ/秒 1/4000
-30秒
100-
6400
2500
万画素
sd
Quattro
2016/8
3層構造の撮像素子を使ったミラーレス一眼 外付け 5コマ/秒 1/4000
-30秒
100-
6400
2000
万画素

高価だったフォビオンの撮像素子がかなり手頃な価格になりましたので、思い切って検討してみる価値はあるかもしれません。


シグマのレンズ群


シグマのレンズはARTシリーズとして、かなり気になる物があります。


24mm F1.4

35mm F1.4

50mm F1.4

85mm F1.4

24-105mm

ただし上のレンズはいずれもフルサイズ用ですので、APS-C用には少々もったいないかもしれません。


リコー


リコーのGXR(ボデイ)とそのカメラユニット(撮像素子付きレンズユニット)は、レンズと撮像素子の最適化という意味では確かに理に叶ったシステムでインパクトはあったのですが、本体の生産終了に伴ってその意義も終えた模様です。


リコーのGXR(ボデイ)とそのカメラユニット

               

そう言うと、終わった技術の様に思われるかもしれませんが、この技術と知見はリコーとペンタックスのカメラに綿々と引き継がれる事になるのでしょう。

こういった(今にすれば)特殊なカメラは、黎明期にはどうしても必要な物なのかもしれません。




キヤノン、シグマ、リコー/APS-Cサイズミラーレス





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