次期SONY α7 IVを他社機と比べて気付いた事
2021/1/14:発行
はじめに
年明け早々ですが、毎度当たらない新製品予想をしてみたいと思います。
となると真っ先に予想したくなるのが、ソニーのα7 IVでしょう。
ご存知の通り、現状のα7IIIはフラッグシップ機であるα9の裏面照射型撮像素子を流用し、ボディー内手ブレ補正もあり、瞳AFもかなり使える様になってきて、動画も4K30P(ただしクロップ)可能と、正にフルサイズミラーレス一眼の標準機とも言える存在でした。
となれば、次期α7 IVも期待せずにはいられません。
そんな訳で、新製品のスペック予想と共に、それを元に他社の競合機と比べてみた所、驚愕の事実に行き着きました。
それが何か、心してお読み頂ければと思います。
α7 IVの撮像素子
α7 IVの最大の関心事は、当然ながら撮像素子です。
噂によれば、現行の2400万画素から3000万画素程度に上げるのではないかと言われていますが、それについては非常に懐疑的です。
なぜならば当然ながらコストも上がりますし、迂闊に解像度を上げると、動画用に画素数を落とすためにピクセルビニングやらクロップやらと動画性能を却って低下させる事にも成り兼ねないからです。
実際α7 IIIにおいては、全画素読み込みが可能なスーパー35mmフォーマットの方が、ピクセルビニングを行なうフルサイズフォーマットより4K動画の画質は上なのです。
そんな訳でここでは、動画性能はそれなりで且つ価格も20万円台に抑えるとしたら、α7 IVは従来の2400万画素の撮像素子を踏襲するという事で話を進めたいと思います。
α7 IVの予想スペック
それを基に作成したα7 IVの予想スペックは以下の通りです。
項目\機種 | α7S III (2020/10) |
α7 III (2018/3) |
α7 IV (2021/?) |
α7R IV (2019/9) |
画素数 | 1210万画素 | 2420万画素 | 2420万画素 | 6100万画素 |
電子幕速度 | 1/125秒 | 1/20秒 | 1/20秒 | 1/20秒 |
ISO感度 (拡張) |
80-102,400 (40-409,600) |
100-51,200 (50-204,800) |
100-51,200 (50-204,800) |
100-32,000 (50-102,400) |
シャッタースピード | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B |
AF | リアルタイム 瞳AF |
4D FOCUS リアルタイム 瞳AF |
4D FOCUS リアルタイム 瞳AF |
4D FOCUS リアルタイム 瞳AF |
連写 | 10コマ/秒 | 10コマ/秒 | 10コマ/秒 | 10コマ/秒 |
手ブレ補正 | 最大5.5段 | 最大5段 | 最大5.5段 | 最大5.5段 |
ファインダー | 0.64型 944万dot 0.9倍 21mm |
0.5型 236万dot 0.78倍 19mm |
0.5型 369万dot 0.78倍 21mm |
0.5型 576万dot 0.78倍 19mm |
モニター | 3型 144万dot バリアングル |
3型 92万dot チルト |
3型 144万dot チルト |
3型 144万dot チルト |
動画 | 4K60P 4K120P |
4K30P (クロップ) FHD120P |
4K60P (クロップ) FHD120P |
4K30P FHD120P |
無線LAN | 802.11ac | 802.11b/g/n | 802.11ac | 802.11ac |
デジタルオーディオ インターフェース |
対応 | 非対応 | 対応 | 対応 |
太字はα7 IIIより優れている性能を指す(スキャン速度は推定値)
と偉そうな事を言いながら、実は他のα7シリーズの仕様をツギハギしただけのものですので、はっきり言って小学生でも作れそうな内容です。
何しろ撮像素子が変わらないとすると、画像の読み出し速度も、像面位相差AFセンサーの数も変わりませんので、そうそう基本性能を上げる事はできません。
そんな訳でα7 IVの進化点は、映像エンジン更新に伴う手ブレ補正効果とAF性能アップ、ファインダーとモニターの解像度アップ、デジタルオーディオインターフェース追加、無線LANの11ac対応、それにメニューの刷新くらいではないでしょうか。
また動画についても、頑張ってクロップ有りの4K60P(もしくはクロップ無しの4K30P)が限界ではないでしょうか。
他社機との比較
それでは上記予想スペックを元に、直接のライバルとも言えるNikon Z 6 IIとLumix 5、それに少々高くなりますがEOS R6と比べてみます。
項目\機種 | Nikon Z 6 II (2020/11) |
α7 IV (2021/?) |
Lumix S5 (2020/9) |
EOS R6 (2020/8) |
画素数 | 2450万画素 | 2420万画素 | 2420万画素 | 2010万画素 |
電子幕速度 | 1/45秒 | 1/20秒 | 1/20秒 | 1/60秒 |
ISO感度 (拡張) |
100-51,200 (50-204,800) |
100-51,200 (50-204,800) |
100-51,200 (50-204,800) |
100-102,400 (50-204,800) |
シャッタースピード | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B |
AF | ハイブリッドAF 瞳AF 動物AF 最大81% EV-4.5 |
4D FOCUS リアルタイム 瞳AF 動物検出 最大93% EV-3 |
空間認識AF リアルタイム 認識AF 顔瞳動物認識 |
デュアルピクセル CMOS AF II 瞳・顔・頭部検出 犬・猫・鳥検出 最大100% EV-6.5 |
連写 (電子シャッター) |
14コマ/秒 | 10コマ/秒 | 7コマ/秒 | 12コマ/秒 (20コマ/秒) |
手ブレ補正 | 最大5段 | 最大5.5段 | 最大6.5段 | 最大8段 |
ファインダー | 0.5型 369万dot 0.8倍 21mm |
0.5型 369万dot 0.78倍 21mm |
0.5型 238万dot 0.74倍 20mm |
0.5型 369万dot 0.76倍 23mm |
モニター | 3.2型 210万dot チルト |
3型 144万dot チルト |
3型 184万dot バリアングル |
3型 162万dot バリアングル |
動画 | 4K60P (クロップ) FHD120P |
4K60P (クロップ) FHD120P |
4K60P (クロップ) FHD180P (MF) |
4K60P (1.1倍クロップ) FHD120P |
無線LAN | 802.11ac | 802.11ac | 802.11ac | 802.11b/g/n |
デジタルオーディオ インターフェース |
N/A | 対応 | N/A | N/A |
価格 | 25万円 | 25万円 | 24万円 | 30万円 |
太字は3機種の中で最も優れている性能を指す(スキャン速度は推定値)
するとご覧の様に、同じ価格帯で同じ撮像素子を搭載するNikon Z 6 IIより優れていると思いきや、むしろ劣っているのです。
実はこの表を作る前は、ニコンの映像エンジンを2基搭載したZ6 IIの対応は付け焼刃的なものだと思っていたのですが、このZ6 IIのスペックは(α7 IVのスペックを見越して)Z6の開発段階から周到に計画されていたのではないでしょうか。
例えば連写速度のアップは、単に画像処理速度のアップだけではなく、メカシャッターの巻き速度も耐久性も上げなければいけませんので、そう簡単にできるものではありません。
何しろ秒速14コマは、ニコンのプロ機であるNikon D6と同じなのですから。
またデュアルスロット化においても、Z6の設計段階からある程度のスペースが確保されていたのではないでしょうか。
そう考えると、ニコンもなかなかの策士ではないかと嬉しくなってしまいます。
またLumix S5と比べるとほぼ同じ性能で、EOS R6と比べてみると確かに5万円の価格差はあるのですが、どうみてもEOS R6の圧勝と言わざるを得ない感じです。
Nikon Z 6 II |
α7 III |
EOS R6 |
Lumix S5 |
すなわち他社も、数年も前からα7 IVに焦点を当ててミラーレス一眼の開発を進めていたのかもしれません。
フルサイズミラーレス一眼で5年以上先行してきたソニーが、これから先数年これで他社機と競合しなければならないとなると、かなり苦戦を強いられるのではないでしょうか。
ちなみにα7S IIIは4K60Pを1時間超で撮れるという事で、辛うじてメンツを保つ事ができました。
ところが、EOS R6は5.1Kのオーバーサンプリング、EOS R5に至っては8.2Kのオーバーサンプリングから4K動画を生成していますので、両機の方が格段に動画性能は上(すなわち遥かに昇温に不利)なのです。
もし上記予想のままα7 IV発売されたとなると、撮像素子を自社開発しているとか、他社より5年も先行しているという神通力ももはや通じなくなります。
まとめ
それではまとめです。
①次期SONY α7 IVは、もしα7 IIIと同じ撮像素子を使うのであれば、進化点は手ブレ補正効果とAF性能アップ、ファインダーとモニターの解像度アップ、デジタルオーディオインターフェース追加、無線LANの11ac対応、クロップ無しの4K30P動画対応、くらいである。
②もしそうであれば、同じ価格帯のNikon Z 6 IIより、連写性能、背面モニター等で劣る事になり、Lumix S5と似た様な性能になる。
③また価格が高いもののEOS R6と比べれば、連写性能、手ブレ補正、AF性能、動画性能で大きく劣る事になる。
④このため、これから数年競合機に対して苦戦いを強いられる可能性がある。
果たして、この予想を超えるα 7 IVが登場するのか?
それともこの予想通りになるのか?
興味津々です。
次期SONY α7 IVを他社機と比べて気付いた事