2015/10: 初版
はじめに
EOS-1D X EOS 5D Mark III Nikon D4S Nikon Df α99 そして、その理由を以下にじっくりとお伝えしたいと思います。 なるべく客観的に迫ったつもりです、最後までお付き合い頂ければ幸甚です。 α7Sの特徴
α7 α7R α7S 第2世代 α7 II α7R II α7S II
特徴1:ミラーレス一眼であるご存じの様にミラーレス一眼とは、デジタル一眼レフカメラからミラーと光学系ファインダーとAFユニットを取り除いたものです。 SONYのα7シリーズは、現在市販されているデカメの中で、唯一のフルサイズ対応のミラーレス機です。 ファインダーは光学式が良いか、電子式が良いかは意見が分かれる所ですが、合理性や将来性を考えれば、今後ミラーレス機が主流になるのは間違いありません。 実際上のグラフの様に、ソニーがキヤノンとニコンの牙城を徐々に切り崩してきているのからも、それが窺えます。 特徴2:高感度カメラであるα7Sにおいては、α7に対してイメージセンサー1画素の面積を2倍に大きくする事で、ISO感度を常用域で102,400(α7は25,600)の4倍にまでアップしました。 他の機種と比べてみると下のチャートの様になり、他社のフラッグシップ機並みの高感度です。 これら二つが、数々のメリットを生み出します。 なおできる事ならα7SIIをお勧めしたいのですが、いかんせん本機は新品で40万円と余りにも高過ぎます。 なぜこんなにもα7SIIが高いかについて興味がありましたら、こちらをご参照下さい。 ベストの理由それではα7Sがベストの理由を述べたいと思います。 1)小型軽量α7Sだけではないのですが、α7シリーズはミラーレスを採用した事による構造上の理由と、小さくするのが得意なSONYが手掛けた事もあり、とにかくボディーが小型軽量です。 ちなみにキヤノンの最も小型のフルサイズ一眼レフであるEOS 6Dで755gなのに対して、α7Sで489gと2/3(65%)の重さしかありません。 また長さで比較すると下表の様に、88%~68%もα7Sが小さくなります。
2)レンズも小型軽量ご存じとは思いますが、同じフルサイズ対応のレンズでも、デジタル一眼レフカメラ用とミラーレス一眼用を比べると、明らかにミラーレス用レンズの方が小型に成ります。 例えばキヤノンのEF24-70mm F4.0の重さが600gであるのに対して、SONYのFE 24-70mm F4 ZA OSSは426gとやはり2/3(66%)の重さです。 EF24-70mm F4.0 FE 24-70mm F4 ZA これはミラーが無い事により、イメージセンサーとレンズ間を近づけられる事により、レンズ設計の自由度が上がるためと考えて頂ければ良いと思います。 本体もレンズも2/3の重さで済むという事は、ミラーレスのα7Sにすれば、450gのレンズをもう1本持っていける事になります。 3)手振れ防止機能が不要であるα7シリーズは、第2世代になってボディー内に5軸手ブレ補正機能を搭載しました。 となると初代のα7Sは、それより手振れに関しては劣っていると思ってしまいますが、そんな事はありません。 ご存じの様に手振れはシャッタースピードが遅い場合に発生しますが、α7Sにおいては積極的にISO感度を上げて手振れの発生しないシャッタースピードでの撮影が可能になります。 実際α7Sでしたら、ISO3,200程度まででしたら、何の問題もなく使用できます。 だとしますと、下の表の様に例えばISO100で1/15のシャッタースピードで適正露出となる暗さであっても、ISO3,200にすれば1/500のシャッタースピードが使用できるのです。 これでしたら余程の事がなければ、ブレ様がありません。 また手振れ補正はあくまでもカメラのブレを抑えるもので、被写体のブレは決して抑えられません。 例えばですが、折角手振れ補正機能をONにしても、被写体である花が風に揺れたらブレてしまいます。 ところがISO感度を上げてシャッタースピードを上げてやれば、手振れも被写体振れも両方抑えられるのです。 さらに下の写真の様に思い切ってISO12,800にすれば、手持ちで夜のポートレートまで撮れるという訳です。 SONY α7 NFD85mm F1.2 1/750 sec. ISO 12,800 かなり美味しい話ではないでしょうか? 4)ストロボが不要であるそして高感度であるもう一つのメリットが、ストロボが不要という事です。 それほど大したメリットとは思われないかもしれませんが、どこかに写真を撮りに行く際、使うかどうかも分からない邪魔なストロボを持っていくのは結構面倒だと思うのですが、いかがでしょうか? おまけにストロボを持参するとなると、電池や充電器まで揃える必要があります。 ではなぜストロボは不要なのか、もう余計かもしれませんが付け加えておきます。 元々ストロボの目的は、周囲の光だけでは撮影する光量が足りない場合、それを補う事です。 例えばですが、屋外の撮影において、ISO感度が100のときシャッタースピードが8秒の非常に暗い場合だとすると、当然ストロボを使います。 SONY α7S 24mm F2.8 1/60 sec. ISO51,200 しかし、以下の表を見て頂きます様に、ISO感度を51,200まで上げれば、シャッタースピードは1/60まで上げられるのです。 ここまでできれば、顔が異常に白くなり、且つ不自然な影が出るストロボなんていりません。 更に広角系のレンズでしたら、三脚も使わずに撮影できます。 ただしα7Sと言えども、上の写真の様にさすがにISO 51,200ではノイズが目立ってきますので、ぎりぎりISO 25,600で止めておいた方が無難かもしれません。 5)ダイナミックレンジが広いダイナミックレンジとはカメラで1回シャッターを押したときに、写せる光の範囲を指します。 これを図で表すと以下の様になります。 生憎ダイナミックレンジがどれくらいあるかは、SONYから正確な発表はないのですが、目安としてα7Rが65dB、α7が70dB、α7Sが75dBくらいと考えれば大きな間違いはないと思います。 なお民間の試験レポートによれば、α7シリーズのダイナミックレンジは78dB(13EVs)~84dB(14EVs)に達するとのデータもあるのですが、試験方法が開示されていないので、本書ではこのままとします。 上の図では、分かり易い様に明部から暗部に掛けて青い線を延ばしていますが、実際にα7Sとα7を比べると、α7Sの方が5dB分暗闇に強い(下側に線が延びている)と言えます。 実際、両者で最大常用ISO感度が4倍違い、この4倍をデシベルに直すと6dBですので、ほぼこれで辻褄が合います。 なおダイナミックレンジについて、もう少し詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
6)諧調性はトップクラスである諧調性とは、濃淡の変化を細かく正確に表せる度合いの事です。 カメラの場合、海や空の色の様に淡い水色から濃い紺色に滑らかに変わっている被写体を、高い再現性を持って記録できる事が重要になります。 SONY α7S 16mm F5.0 8 sec. ISO 6,400 この諧調性について、α7Sは大きなアドバンテージがあるのです。 それでは、以下のグラフをご覧ください。 これはα7Sとα7で、諧調性チャートを写した時の1画素当たりの出力値を示しています。 ご存じに様にα7Sの1画素の大きさは、α7の2倍ありますので、例えばα7に強い光が入った場合の出力電圧が1Vだとすると、同じ光がα7Sに入るとその出力は2Vになります。(すなわち分解能は2倍になります) この2倍高い電圧値を200等分するのと、低い電圧を100等分して濃淡を表すのでは、どちらが高い諧調性を持っているかは明らかでしょう。 実際はα7Sもα7も14bit(16,384当分)に分割しているのですが、同じ分割でも入力電圧が高い方がより高い諧調性を表現できる事は間違いありません。 高感度となると、当然ながらダイナミックレンジも高くなるのですが、むしろ諧調性がアップしてグラデーションの表現力がアップする事の方が、昼間の撮影においては効果が大きい気がしますがいかかでしょうか。 7)他社製レンズが使えるこれはご存じの方が多いでしょう。 フランジバックの短いミラーレスのα7シリーズは、レンズ変換アダプターを介して、ほぼ全ての他社製交換レンズを使用可能なのです。 これで押し入れに眠っていたマニュアルフォーカス時代のオールドレンズも、使える様になります。 ニッコールやロッコール、SMCタクマー、フジノン、FDレンズ等々をもう一度使いたいという方には朗報ではないでしょうか? 筆者の場合、α7SにキヤノンFD 85mm/F1.2レンズを付けて楽しんでします。 ただしマニュアルフォーカスになりますので、パシャパシャ撮るには向きません。 なおオールドレンズの使い方について知りたい方は、こちらをご覧下さい。 8)APS-Cサイズレンズが使えるこれも皆さんご存じでしょう。 α7シリーズの場合、その下のクラスになるAPS-Cサイズレンズがそのまま使えるのです。 でもそのメリットをしっかり認識されていますでしょうか? たしかに折角のフルサイズカメラに、わざわざAPS-Cサイズのレンズを付けるのは宝の持ち腐れの様に思われるでしょうが、そのメリットは十分あります。 先ずAPS-Cサイズのレンズは、フルサイズのレンズと比べて格段に安く軽量小型なのです。 FE 28mm F2 35mm F2.8 35mm F1.4 55mm F1.8 APS-Cサイズ対応レンズ(Eレンズ) 20(30)mm F2.8 24(36)mm F1.8 35(53)mm F1.8 50(75)mm F1.8 にも関わらず、AFもレンズ内手振れ補正も完璧に働きますので、フルサイズでない事を除けばいい事ずくめです。 大多数の写真をそれこそ襖(ふすま)サイズまで引き延ばさない限り、安いAPS-Cサイズのレンズを使うのは断然お勧めです。 多少専門的になりますが、同じ画角で同じ絞り値のフルサイズ対応とAPS-Cサイズ対応のレンズがあった場合、APS-Cサイズレンズの方が被写体深度は2段階ほど深くなります。 ですので、もしボケを有効活用したい場合(中望遠系)はフルサイズ対応レンズ、それ以外の広角系ではAPS-Cサイズ対応レンズを使うのが非常に合理的な選択と言えます。 特にSONYの場合、APS-Cサイズ対応16mm F2.8のレンズ(SEL16F28) に装着するフィッシュアイコンバーター(旧VCL-ECF1、新VCL-ECF2)、ウルトラワイドコンバーター(旧VCL-ECU1、新VCL-ECU2)があります。 16mm F2.8 VCL-ECF1 VCL-ECF2 VCL-ECU1 VCL-ECU2 通常この画角のフルサイズ対応レンズですとかなり高価で重い物になりますが、上のアマゾンの広告をご覧頂きます様に大きさも価格もかなり手頃です。 実際今年発売されたフルサイズ対応の同種のレンズは2倍以上の価格になります。 FE 28mm F2 ワイドコンバーター フィッシュアイコンバーター 下の写真の様に、広範囲の空を入れて星の写真を撮る場合などは、かなりお勧めです。 SONY α7S 16mm+魚眼コンバーター F2.8 30 sec. ISO 6,400 なおここまでお話すると、だったらAPS-Cサイズのミラーレス一眼を買うのが合理的だろうとのご指摘があると思います。 α6000 α 5100 α5000 NEX-7 NEX-5R 全くもってその通りなのですが、残念ながらSONYのAPS-Cサイズのミラーレス一眼には、α7Sの様な高感度モデルは存在しないのです。 もし高感度モデルが発売されれば、こと広角レンズを使う場合においては、そちらを買い求めた方が間違いなく合理的です。 いつか発売してほしいものです。 9)ミノルタ時代のAFレンズが使えるご存じの様にSONYレンズのマウントは、ミラーレスのEマウントと、一眼レフの流れを汲むAマウントの2種類あります。 このAマウントレンズをAFで使うための専用アダプタもあるのですが、現在販売されているAマウントレンズはどれもかなり高価です。 35mm F1.4 50mm F1.4 85mm F1.4 135mm F1.8 24-70mm F2.8 かと言って、Eマウントレンズもはっきり言って興味をそそられる物は残念ながらありません。 そこで俄然注目されるのが、古いミノルタ時代のAFレンズです。 これらですと、一般的な24-105mmあるいは100-300mmのレンズが、それこそ数千円台で購入可能です。 α7S+マウントアダプターLA-EA4+ミノルタAF100-300mm 確かに高いレンズは解像度やMTF値はそれなりに優れているものの、こういう格安レンズを使いこなすのもまた楽しみと言えるかもしれません。 SONY α7S 300mm F4.5 1/6400 ISO 1,600 ただし上の写真の様にデジタルズームを使い過ぎると一気に画質が悪くなりますので、ご注意ください。 10)暗闇に強いAFさて、これまでのアドバンテージはかなり知られている事ではないかと思います。 ですが、これは余りご存じではないのではないでしょうか? なんとα7Sは、-4EVまでAFが働くのです。 ちなみにα7ですと0EV、他社機ではEOS-1D XやEOS 5D Mark IIIで-2EVですので、-4EVはかなり飛び抜けた値である事が分かります。 実際夕焼け後の暗闇における撮影においても、本体の補助光が発光すれば間違いなく合焦します。 ところが、α7に同じレンズを付けて何度シャッターボタンを軽く押しても、合焦しない事が良くあります。 被写体が良く見えない暗闇でもAFが効くのは、大きな優位性があります。 まとめ
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