待望の低画素高性能機EOS R6

2020/05/07:発行
2020/07/07:更新

目次


  1. はじめに
  2. 噂のスペック
  3. 他社ミラーレス機との比較
  4. 自社ミラーレス機との比較
  5. 自社一眼レフとの比較
  6. EOS R6の撮像素子
  7. EOS R6のスペック
  8. EOS R6への期待
  9. 懸念点

1. はじめに


既にご存知の様にキヤノンからEOS R5が発表されましたが、それと共にEOS R6なる存在も噂されています。


間もなく登場が噂されるEOS R6

ネットでは、型番が”6”と共通なので、一眼レフのEOS 6D IIに当たるフルサイズの入門機クラスの様な扱いを受けていますが、本当の所はどうなのでしょうか?
型番が同じフルサイズの入門機EOS 6D II
いつも新製品予測をしては外してばかりの幣サイトが、性懲りもなくEOS R6のターゲット層と基本コンセプトを推測してみました。

どんな結論になるかお楽しみに。


2. 噂のスペック


先ずは噂されるEOS R6のスペックを見てみましょう。

2000万画素
ボディ内手ブレ補正
メカシャッターで連写12コマ/秒、電子で20コマ/秒
動画は4K60p、フルHD120p
デュアルカードスロット
上面液晶なし
EVFはEOS R5よりは低解像度
ボディの造りはEOS R5 以下
新型バッテリー

これは、海外のCanon Rumorsの情報を元にしている様ですが、そこそこ信憑性は高い様です。

ところで、このスペックを見て入門機だと思う方はいらっしゃらないでしょう。

誰がどう見ても、低画素の高性能機です。

そんな訳で、先ずは他社のミラーレス一眼と性能を比べてみたいと思います。


3. 他社ミラーレス機との比較


下の表が、他社のミラーレス機と比較した結果になります。

項目\機種 EOS R6 α9 II α7 III Nikon Z6 Lumix S1
画素数 2000万画素 2400万画素 2400万画素 2400万画素 2400万画素
メカ連写速度 12コマ/秒 10コマ/秒 10コマ/秒 12コマ/秒 9コマ/秒
電子連写速度 20コマ/秒 20コマ/秒 N/A N/A 9コマ/秒
手振れ補正 搭載 搭載 搭載 搭載 搭載
カードスロット デュアル デュアル デュアル デュアル デュアル
動画 4K60p
フルHD120p
4K30p
フルHD120p
4K30p
フルHD60p
4K30p
フルHD120p
4K60p
フルHD180p
価格 40万円? 50万円 24万円 22万円 34万円


 EOS R6   

α9II

α7 III

Nikon Z 6

Lumix S1

これをご覧頂きます様に、画素数以外では他社機の代表機種より明らかに優れています。

特にソニーのフラッグシップ機とも言えるα9 IIをも、画素数以外ではほぼ同じというより、むしろ凌駕していると言った方が良さそうな感じです。


4. 自社ミラーレス機との比較


それでは次に、自社のミラーレス機と比べてみましょう。

項目\機種 EOS R5 EOS R6 EOS R EOS RP
画素数 (4000万画素) 2000万画素 3000万画素 2600万画素
メカ連写速度 12コマ/秒 12コマ/秒 8コマ/秒 5コマ/秒
電子連写速度 20コマ/秒 20コマ/秒 N/A N/A
手振れ補正 搭載 搭載 非搭載 非搭載
カードスロット デュアル デュアル シングル シングル
動画 8K30p
4K120p
4K60p
フルHD120p
4K30p
フルHD120p
4K24p
フルHD60p


  EOS R5   

EOS R6   

EOS R

EOS RP

上の表をご覧頂きます様に、もし噂が本当だとするとEOS R6はEOS RPはおろか、EOS Rをも凌ぐ高性能機です。

またEOS RもEOS RPも、手振れ補正は非搭載でカードスロットもシングルですので、間違いなくEOS R6はそれらより大柄になるのは間違いありません。

ですので、EOS R6は間違いなくEOS RとEOS R5の中間に位置する機種です。

という事は、キヤノン機の階層構造からするとEOS R(3000万画素)はハイアマチュアクラスに分類されていますので、2000万画素のEOS R6も当然同じハイアマチュアクラスに分類されるのは間違いないでしょう。
一方、同じ2600万画素のEOS RPやEOS 6D IIは、その下のミドルクラスになります。
となると、ここで大きな問題が生じます。

ご存知かもしれませんが、EOSの階層構造においては、下位モデルの性能が上位モデルを超えてはいけないとの厳しい鉄の掟があるのです。
下位モデルが上位モデルを超えてはいけなEOSのカースト制度
ですので画素数や連写速度やシャッタースピード等において、従来下位モデルが上位モデルを超える事は決してありませんでした。

唯一の例外は、プロフェッショナルモデルのEOS-1Dシリーズが、プロの要望に応えて低画素の撮像素子を搭載している事くらいです。

にも関わらず、2000万画素のEOS R6が、2600万画素のEOS RPを飛び越えて、3000万画素のEOS R以上の性能になるのです。

何故なのでしょう?

何故キヤノンは、この下克上を許したのでしょうか?

と、含みを持たせて次に行きます。


5. 自社一眼レフとの比較


それでは次に、自社の一眼レフと比べてみます。

すると、更に興味深い事が分かってきます。

項目\機種 EOS-1DX III EOS-1DX II EOS R6 EOS 5D IV EOS 6D II
画素数 2000万画素 2000万画素 2000万画素 3000万画素 2600万画素
メカ連写速度 20コマ/秒 14コマ/秒 12コマ/秒 7コマ/秒 9コマ/秒
電子連写速度 20コマ/秒 16コマ/秒 20コマ/秒 N/A 9コマ/秒
手振れ補正 非搭載 非搭載 搭載 非搭載 非搭載
カードスロット デュアル デュアル デュアル デュアル シングル
動画 4K60p
フルHD120p
4K60p
フルHD120p
4K60p
フルHD120p
4K30p
フルHD60p
4K非対応
フルHD60p


EOS-1D X III

EOS-1D X II

EOS R6   

EOS 5D Mark IV

EOS 6D Mark II

これをご覧頂きます様に、EOS R6の基本性能は、EOS 6D IIやEOS 5D IVを超えるだけでなく、先代のプロ機であるEOS-1DX IIに迫る勢いなのです。


2000万画素のEOS-1DX II(左)とEOS-1DX III(右)

そしてまた、画素数はEOS-1DX IIと同じ2000万画素なのです。

この事はどう考えれば良いのでしょうか。

導き出される答えは一つでしょう。

EOS R6は、EOS-1DXシリーズのサブ機という使命を帯びているのではないでしょうか。

実際今まで一眼レフを使っていたプロ達も、徐々にミラーレス機に移行していますが、マウントが異なる事から、ミラーレス機になると別のメーカーに鞍替えする事も可能になります。

となると、特にプロユーザーを多く抱えるキヤノンとしては、ミラーレス機も何としてでも自社製にして貰いたい所です。

もっと具体的に言うと、しびれを切らしたプロ達がこれ以上ソニーのα9に流れるのを、一刻も早く食い止めなければなりません。

とは言ってもEOS Rシリーズのプロフェッショナルモデルの開発にはもう数年は掛かるため、それまでの繋(つな)ぎとなるモデルがどうしても必要になります。

ところが、秒速8コマで3000万画素のEOS Rでは、帯に短しタスキに長しです。

となると、取り敢えず当面のプロ用機材としては一眼レフのEOS-1DXシリーズに任せるとして、そのサブ機としてミラーレス機を用意するのは理に適った方法と言えます。

また当初からEOS Rシリーズ用に高価なLレンズから発売したのは、早い時点でこのプロユーザー取り組みの一環だったのかもしれません。

そんな訳で、従来のキヤノンヒエラルキー(階層)から外れるEOS R6なる異端児が生まれる事になったと言えば、少々ドラマチックな展開ではないでしょうか。


6. EOS R6の撮像素子


もしそうだとしたら、EOS R6の撮像素子も分かります。

恐らくブランニューモデルであるEOS-1DX IIIの撮像素子は、現在鋭意開発中のEOS R-1に使うのでしょう。


Mark IIの撮像素子がEOS R6、Mark IIIの撮像素子がEOS R-1に?

そして、EOS R6については、一世代前のEOS-1DX IIの撮像素子を使うのではないでしょうか。
EOS-1DX IIの2000万画素の撮像素子
一世代前と言っても、デュアルピクセルAFに対応していますし、EOS RはEOS 5D IVの撮像素子、EOS RPはEOS 6D IIの撮像素子を流用した事を考えれば、これまた実に自然な流れです。

キヤノン機の撮像素子の流れ
一眼レフ ミラーレス
EOS-1DX III EOS R1
N/A EOS R5
EOS-1DX II EOS R6
EOS 5D IV EOS R
EOS 6D II EOS RP

またこの撮像素子をEOS-1DX IIの1世代のみに使うのはもったいない事で、これを使ったミラーレス機を出すのはコスト面やミラーレス機の選択肢を増やすのにも有効です。

また撮像素子が同じでも、画像処理エンジンの進化により、多少なりともISO感度も上げる事が可能です。

これでEOS R6の基本コンセプトが見えてきました。

EOS R6の基本コンセプト
2020/05/25:追記

EOS R6は、従来EOS-1Dシリーズを使い続けてきたプロユーザ及びハイアマチュアをターゲットとし、EOS-1DXのサブ機並びに自社の高級一眼レフから自社のミラーレス機への橋渡しを担うモデルである。

このため本機の撮像素子は、既に市場で実績のあるEOS-1DX IIの2000万画素撮像素子を流用して、信頼性、高速連写、並びにワークフローの維持向上を図ると共に、新しい画像処理エンジンの搭載によって更なる高感度特性を含めた画質向上を目指したモデルである。

いかがでしょうか?

それほど大きくは外してはいないと思うのですが。

そして基本コンセプトが分かれば、EOS R6のその他のスペックは自(おの)ずと見えてきます。


7. EOS R6のスペック


そんな訳で、本書が予想したEOS R6のスペックは以下の通りです。

EOS R6の予想スペック
項目\機種 EOS R5 EOS R6 EOS R EOS RP
画素数 4000万画素? 2000万画素 3000万画素 2600万画素
ISO感度 (50)
100
-
32,000
(102.4k)
(50)
100
-
51,200
(409.6k)
(50)
100
-
40,000
(102.4k)
(50)
100
-
40,000
(102.4k)
ファインダー 0.76倍
369万dot
0.7倍
236万dot
0.76倍
369万dot
0.7倍
236万dot
モニター 3.15型
210万dot
3型
104万dot
3.15型
210万dot
3型
104万dot
メカ連写速度 12コマ/秒 12コマ/秒 8コマ/秒 5コマ/秒
電子連写速度 20コマ/秒 20コマ/秒 N/A N/A
手振れ補正 搭載 搭載 非搭載 非搭載
カードスロット デュアル デュアル シングル シングル
動画 8K30p
4K120p
4K60p
フルHD120p
4K30p
フルHD120p
4K24p
フルHD60p
価格 70万円? 40万円? 20万円 15万円

とは言っても、ISO感度はEOS-1DX IIから、ファインダーとモニターはEOS RPから持ってきただけです。(ISO感度は、EOS-1DX III並みに102,400にまで引き上げられるかもしれません)

もしかしたら、ファインダーとモニターがEOS RPと一緒というのはご納得頂けないかもしれませんが、EOS RとEOS RPを見比べても大した差は無いのです。

だったらもう少し輝度を高めて貰った方が、余程使い易くなります。

それで40万円以下を達成してくれたら、これはかなりインパクトのある機種になるのは間違いないでしょう。


8. EOS R6への期待


ご存知の様にカメラ市場では、依然高解像度至上主義が跋扈(ばっこ)しています。

クルマで言えば、街中では運転し難くて遅いにも関わらず、出力(馬力)が高い程高性能と思われているのと同じ様なものです。


高出力なれどトルクが小さくて最終的に排気量を2,200ccにアップしたホンダS2000

ですが、実際には高性能な低画素機を持ち望んでいるプロ以外のユーザーも意外に多いのは間違いありません。

クルマで言えば、多少出力は低くても、街中や峠で断然速い高トルクエンジン搭載を望むユーザーが居るのと同じです。


高トルクのディーゼルエンジンを搭載したMAZDA CX-30

ところが、市場を見渡してもプロ用モデル以外でフルサイズで2400万画素未満の機種は、現状1200万画素のソニーのα7S IIしかないのです。
 
基本性能が古いソニーのα7S II(1200万画素)
おまけに本機の基本性能は2014年発売の初代α7Sと同じで、AFはコントラスト方式のみで、連写は秒速5コマが限界です。

そこにようやく、異端児とも言える低画素高性能のEOS R6が登場するのです。

おまけにCanon Rumorsの情報によれば、上面の液晶は削除されるとの事ですので、使い難いモードダイヤルも廃止になるのでしょう。
とんでもなく使い難いEOS Rのモードダイヤル
また操作系も、EOS-1DXシリーズと極力共通化させるのでしょう。

そして本書が最も気になるのは、背面モニターです。

これがまた、静止画では使い辛いバリアングルモニターを採用したら、ガックリです。

8. 懸念点

2020/7/6

価格は40万円前後と予想しているのですが、フト心配事が頭を過りました。

過去キヤノンは、キャノネット、AE-1、EOS Kiss Digital、EOS 5Dとカメラ業界内に価格破壊をもたらしながらシェアを拡大してきました。


それまで高価だったフルサイズ機を一般ユーザーにも手の届く価格に抑えた初代EOS 5D

となると、EOS R6こそキヤノンにおけるフルサイズミラーレスのシェア奪回マシンなのかもしれません。

もしそうだとすると、キヤノンはEOS R6に対して徹底的にコストダウンを行なうかもしれません。

その内容ですが、考えられるオプションとしては、筐体のプラスチック化、非防塵防滴、シャッタースピード1/4000秒、先幕電子シャッター(後膜メカシャッター廃止)、バリアングルモニター等です。

既に発表まで秒読み段階に突入していますが、多少高くても良いから、それだけは止めてほしいと祈るばかりです。


現実

2020/07/07(火)

ついに待ちに待ったEOS R6の外観が判明しました。


EOS R5(左)とEOS R6(右)

ですが正直な所、これを見てガックリしてしまいました。

心配していた事が、全て現実になってしまった感じです。

先ずは、上の写真を見て頂けますでしょうか。

EOS R5はシャッター膜が閉じているのに対して、EOS R6は撮像素子がむき出しになっています。

これが何を表しているかと言えば、EOS R6は電子先幕シャッターを採用しているという事です。

すなわち、メカ的な先幕は存在していないのです。

それで何が起きるかと言えば、高速でシャッターを切るとボケ欠けが発生するのです。(詳細はこちら


電子先幕シャッターのEOS RPで高速シャッターを使うとボケ欠けが発生する

待望の低画素高性能機だとばかり思っていたのに、何でこんな大事な所をコストダウンしたのでしょうか。

となるとシャッターユニットはEOS RPと同じで、最速シャッタースピードは1/4000秒止まりなのでしょう。

更には、ボディーもプラスチックで、防塵防滴も非対応の可能性もあります。

キヤノンお得意のヒエラルキー(階層構造)はまだまだ健在です。

そして、背面もしかりです。


EOS R5(左)とEOS R6(右)

期待した幣サイトがいけないのですが、ジョイスティックや背面ダイヤルまで備えながら、何でまたスチール撮影では使い難いバリアングルモニターなのでしょうか。

更に上面に至っては、EOS RPとほぼ同じ構成になっています。


EOS R5(左)とEOS R6(右)

ですので、EOS Rシリーズの最大の欠点とも言える使い難い左肩の電源スイッチや、使いもしない右肩のLOCKスイッチはしっかり継承されています。(何故入れ替えないのでしょう)

どうやらEOS R6には、第一世代のEOS RやEOS RPにおける市場の声は、微塵も反映されていない模様です。



待望の低画素高性能機EOS R6





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