EOS Rを1年使って思うこと
2020/04/15:発行
目次
- はじめに
- どうしても慣れない操作性
- まとめ
はじめに
EOS Rを使ってほぼ1年が経過しました。
EOS R + RF85mm F1.2 L USM
本機につきましては、次機種の期待を込めて既に色々問題点を述べさせて頂きましたが、その後どうなったか思い付く事を述べたいと思います。
なお事前にお断りしておきますと、残念ながら良い話ではありません。
どうしても慣れない操作性
1年使った感想となると、真っ先にお伝えしたくなるのが、その操作性です。
1. 最悪の電源スイッチ位置
しつこいと言われるかもしれませんが、電池を消耗するミラーレス機でありながら、何故頻繁に操作する電源スイッチを左肩に持ってきたのでしょう。
EOS Rの電源スイッチは左肩にある
他社機と同じ様に右肩にあれば、本体に目を落とす事もなく片手で操作できるにも関わらず、EOS Rの場合どうしても両手を使わないと、操作できないのです。
もしかしたら、左手だけで操作できると思われるかもしれませんが、それも無理です。
何故ならば、左手でカメラを支えると、決して電源スイッチに親指は届かないからです。
それまで使っていたα7シリーズの楽な操作に一度慣れてしまった以上、それよりも不便な事に慣れる事など到底不可能だというのをつくづく実感した次第です。
だったら、右肩にある(一度も使った事のない)Lockボタンと入れ替えてほしいくらなのですが、開発発表されたEOS R5を見る限りキヤノンはこの配置を変える気は毛頭ない様です。
今まで一度も使った事のないLOCKボタン
2. 面倒なモードダイヤル
言い出したら止まらくなるのですが、モードダイヤルもやっぱり不便です。
EOS Rのモードダイヤル
何故ならば、一般的なモードダイヤルならただ回すだけで済むのに、本機の場合一度モードボタンを押してメニューを表示し、それからモードダイヤルを回してモードを選択し、さらにまたモードボタンを押して確定しなければならないからです。
他社機であればただの1工程で済むのに、EOS Rは押す/回す/押すと動きの異なる3つの工程を順番に行わなければならないのです。
ただ回すだけで済むα6400のモードダイヤル
暇なときなら良いのですが、ファインダーを覗いて撮影している最中にモードを変えようとすると、何でこんな無駄な事をやらされなければいけないのかと、沸々と怒りがこみ上げてくる程です。
3. 結局使わなくなったマルチファンクションバー
発売当時色々話題になったマルチファンクションバーですが、何とか使いこなそうと思ってはいたものの、いつの間に使わなくなりました。
評判の悪いマルチファンクションバー
今では何を登録したのかさえ思い出せません。
4. 嘆きのバリアングルモニター
うんざりなのがバリアングルモニターです。
180度開かないと上にも下にも向けられないバリアングルモニター
誰がどう考えても、静止画撮影ならチルト式の方が断然有利でしょう。
なぜキヤノンはスチールカメラにバリアングルモニターを搭載したのでしょう。
実際キヤノンのAPS-CサイズのEOS Mシリーズは代々チルト式を採用しているのです。
EOS M5はチルト式モニターを採用
一方EOS Mシリーズの派生機とも言えるEOS Kiss Mは、何故かバリアングルです。
一体キヤノンのチルト式とバリアングルの採用基準は何なのでしょうか?
さすがに次のフルサイズ一眼はチルト式だろうと期待したのですが、EOS R5を見て見事に裏切られました。
またもバリアングルモニターを搭載したEOS R5
モニターを使ったウェストレベルの撮影を多用する者としては、さすがにこの使い難いバリアングルにはうんざりです。
5. 100%確実でなければ使わなくなる瞳AF
瞳AFも同じ様なものです。
瞳や顔を認識してくれている分には当然ながら便利なのですが、一度それを見失うとあらぬ方向に合焦マークが飛んでしまいそこから離れてくれないのです。
そうなると止む無く、ボタンを何度か押して通常の1点AFに切り替えます。
そうすると、2度と瞳AFに切り替える事なく、結局そのまま撮り続ける事になるのです。
それで分かった事は、確かに瞳AFや顔認識は便利なものの、100%確実で無ければ、結局100%確実なものに戻るという事です。
このため、SONY機の様にボタン一つで瞳AFと1点AFを切り替えられる様にするか、さもなければ瞳や顔を見失ったら中央の1点フォーカスに戻ってきてくれれば良いのですが、何を言っても無駄なので止めておきます。
結論
本来でしたら良い点も書くべきなのでしょうが、1年経って思い付くのは上記5項目です。
そして、どうしても許容できないのが、電源スイッチとモードダイヤルとバリアングルモニターでしょうか。
そして、その中でも最も許容できないのが、バリアングルモニターです。
蒸し返す様で恐縮ですが、上から見るだけなのに、いちいちモニターを180度開いて、更に回転しなければならないのは、さすがにもうウンザリです。
おまけにこれが180度完全に開いてくれればまだしも、下の写真の様に170度ほどしか開かないのです。
バリアングルモニターは180度開かない
ですので、これでモニターを上に向けると下の様になります。
バリアングルモニターはレンズの光軸と並行にズレているだけでなく大きく傾いている
一般的に言われているバリアングルモニターの短所は、単にレンズの光軸とのズレ(シフトズレ)なのですが、実際には光軸との向きもこんなにもズレ(スキューズレ)ているのです。
余談ですが、エラー(誤差)の語源をご存知でしょうか?
エラー(Error)とは、ラテン語で道に迷うという意味です。
峠にある道しるべの向きが10度も違っていたら、一昔前なら遭難するのは間違いありません。
道しるべの向きが10度ズレていたらどうなる
同じ様に光軸とモニターの向きがこれだけズレていたら、一体どうやって正確に構図を決められるのでしょうか?
本書としてはこのバリアングルモニターを、誤差モニターと呼びたいくらいです。
キヤノンの評価部門は、このモニターを使って方眼紙(垂直線や水平線のある写真)を撮った事があるのでしょうか?
という訳で、気持はもう完全に買い替えモードです。
もし噂される次期EOS R6がまたもこの誤差モニターであれば、残念ですがEOS Rシリーズを今後も使い続ける事はないでしょう。