December 2015
はじめに発売開始後3年になるSONYのα99の後継機が、いよいよ発売される様です。 恐らく本年2月のCP+にお披露目されるのでしょうが、それまで待てない貴方に予想スペックをお伝えしたいと思います。 何事も願いが叶う前が一番楽しいものです。 当たらずとも遠からずの本書予測をお楽しみ下さい。 なお本書は2015/12に初版をアップしたのですが、その後キヤノン、ニコンから最新のフラッグシップ機が発表され、さらには当初予想した2016年2月のCP+には発表されず、ついにはライバル機ともいえるキヤノンのEOS 5D Mark IVまで2016年8月に発表されましたので、それらについても触れて改訂しています。 ただしα99IIの仕様については、特に変更を加えてはいませんので、ご安心ください。
基本コンセプト初代α99の基本コンセプトは、”α史上最高の画質を目指す”でした。 恐らくα99 IIにおいても、この基本コンセプトを踏襲するのは間違いないでしょう。 なぜならば、次世代機は先代の性能を下回ってはならないという不文律が存在するからです。 もしオリンピック開催年に発売するからと言って、Nikon D4SやEOS-1D Xの様にスポーツ/報道に焦点を合わせたモデルに変更すると、画質よりスピードを優先せざるを得なくなります。 Nikon D4S EOS-1D X スピードではなく、画質を優先するとなると大凡(おおよそ)の仕様は見えてきます。 すなわち、当然ローパスフィルターレスの高画素撮像素子が搭載されるのでしょう。 また今更光学ファインダーに戻るとは考えられませんので、トランスルーセントミラーを採用する事になるでしょう。 ところで、α99 IIと共に、巷ではα88の存在も噂されています。 となると、α88はα99 IIの普及機という考えもありますが、α88は当然ながらスピード優先機になるというのが本書の予想です。 α88は縦位置グリップ一体型になるかも もしかしたらα88は、他社のフラッグシップ機の様に縦位置グリップ一体型になるかもしれません。 それはともかく、先ずはα99 IIの仕様を順を追って推測してみたいと思います。 デザイン後継機をα99マークIIと名付ける以上、デザインは現状と殆ど変らないと見るべきでしょう。 α99のディメンション できる事ならもう少しスマートなればと思うものの、むしろ可能な限り筐体を初代と共通化して、極力価格を抑えて貰った方が良いかもしれません。 実際単体で見ると大柄に見えますが、光学プリズムが無い分、競合機と比べるとそれほど大きくはありません。 α99とEOS 5Dのサイズ比較 少しでも多くの方に購入して貰える様に、可能な限り部品の共通化を図ってほしいものです。 ただしいかつい縦位置グリップだけは、もう少しスマートにして貰いたいものです。 α99と縦位置グリップ ところで、NIKONの「D800」に「D800E」の外観カバーを不正に換装して「D800E」をうたう改造品や、「D4」に「D4S」の外観カバーを不正に換装した改造品、「D7100」に「D610」の銘版などを不正に換装した改造品などが発生しています。 このため、できれば一目でα99とα99 IIを識別でき、尚且つ簡単には交換できない識別用アイテムを装着してほしいものです。 操作系操作系についても、現行品と殆ど変らないとみて良いでしょう。 実際、2014/6に発売されたソニーのデジタル一眼レフの中で一番新しいα77IIの操作系と比べても、ボタン配列に差が見当たらない事からも、変更は殆どないと考えて間違いないでしょう。 α99の上面 α77IIの上面 α99の背面 α77IIの背面 ただここで気になるのは、背面モニターにタッチパネルを搭載するかどうかです。 2万円以下の価格アップだったら追加してほしいのですが、もしそれ以上だったら諦めます。 なぜならば、α99(並びにα77II)には、指を離す事なく操れるジョイスティックが付いているからです。 という訳で、本書はタッチパネルは非搭載と予想します。 撮像素子次に選択しなければいけないのが、撮像素子です。 ソニーの場合、自社で撮像素子を生産している事もあり、撮像素子の選択肢には事欠きません。 以下の表の様に何と5種類のフルサイズの撮像素子が既に存在しています。
次期α99がどれを搭載するかは、もう明白でしょう。 最高画質を目指すと言う以上、EOS5s並みの5,000万画素超を目指すべきかもしれませんが、量産効果を考えればα7RIIに使われている4,200万画素の撮像素子に間違いありません。 おまけにこの撮像素子は、フルサイズで世界初の裏面照射型構造を採用しているので、画素サイズが縮小しているにも関わらず集光率を大幅に向上させているのです。 これに伴い、有効画素数4,240万という高解像度を達成しながら、高感度・低ノイズ性能と広いダイナミックレンジを実現させています。 α99 IIがこの撮像素子を選択しない事はあり得ないでしょう。 参考で主要機種の画素数を比較したグラフを貼付しておきます。 EOS 5Dsには劣るものの、この先数年はこの画素数でも第一線で十分通用すると言えます。 AF性能それでは次にAFの性能を予測したいと思います。 とは言え、実はこれも撮像素子が分かった瞬間に、殆ど決まってしまいます。 なぜならば4,200万画素の撮像素子には、像面位相差AFセンサーが既に埋め込まれているからです。 ですが、ここが次期α99 II最大の見せ所ですので、現行α99を含めて関連機種のAF性能をおさらいしておきましょう。 α99のAF性能先ずは、現行α99のAF性能です。 α99のAFセンサー配置 上図の様に、クロスセンサーを11点配置した19点位相差AFセンサー(実測7%カバー)と、撮像素子上に102点像面位相差センサー(実測23%カバー)を採用しています。 これにより、19点のAFセンサー上から被写体が外れた場合でも、102点の多点像面位相差センサーが面で被写体を捉え続けてピントを合わせる、高精度・高速AFシステムを実現しています。 ただし現行α99においては、理論上位相差センサーよりAF精度の高いコントラストAFは採用していません。 α7RIIのAF性能それでは次に、α99 IIが流用することになるであろう、4,200万画素の撮像素子を搭載しているα7RIIのAF性能を見てみましょう。 SONY α7RII これはかなりびっくりです。 SONY α7RIIのAFセンサー配置 SONYでファストハイブリッドAFと呼ぶ、全画面の45%をカバーする399点の像面位相差AFと、更に全画面の64%をカバーする25点のコントラスト検出方式AFを搭載しています。 64%と聞くと大した事はない様に感じるかもしれませんが、これ以外の領域にピントを合わせたい被写体がある事は極めて稀だと言い切れます。 これにより被写体がどこにあろうと、像面位相差AFで被写体をとらえ、最終的にコントラストAFでピントを追い込む事で、スピードと精度を両立しています。 コンティニュアスAFにおいても働く瞳AF さらにこの大量のAFセンサーにより、シングルAFはおろかコンティニュアスAFにおいても瞳AFが働く優れものです。 α77IIのAF性能ついでに、α99の弟分であるα77II(APS-Cサイズ対応のデジタル一眼)のAF性能を見てみましょう。 α77II このAFセンサーの配置は以下の様になっており、位相差AFセンサーは79点(実測で32%カバー)で、画面全体の40%以上をカバーし、使用頻度の高い中央部15点には、より精度を高めるクロスセンサーが採用されています。 α77IIのAFセンサー配置 これを前述のα99と比べてみると、APS-Cサイズなので全体の面積は小さいながらも、カバーする率は広い事が分かります。 α99のAFセンサー配置 さらに中央測距点にはF2.8対応のセンサーを重ねて配置し、よりシビアなピント精度が要求される大口径レンズ使用時でも高い合焦精度を実現しています。 おまけにα77IIは、-2EVの低輝度環境下でも高速・高精度なAFが可能。光量の少ない室内での撮影はもちろん、夜の暗いシーンでも被写体に的確にピントを合わせ、撮影をサポートします。 ただしコントラストAFは全く採用していませんので、スピード最優先のAFと言えるかもしれません。 なお79点の位相差AFセンサーを利用して、瞳AFが働きます。
α6000のAF性能ついでに世界最速を謳うα6000(APS-Cサイズ対応のミラーレス一眼)のAF性能も見ておきましょう。 α6000は、画面のほぼ全域をカバーする179点像面位相差検出方式AFセンサー(実測で80%カバー)と25点のコントラスト検出方式AF(実測で62%カバー)を採用しており、画面はじの被写体に対してもAFが瞬時に反応可能です。 α6000のAFセンサー配置 これにより動きのある被写体への追随性も向上し、より多くのシーンで位相差AFによる高速AFが可能になっています。 さらに、世界最速0.06秒のAFスピードを実現し、狙った被写体を瞬時にとらえ、大切なシャッターチャンスを逃しません。 なお本気においても、当然瞳AFが働きます。 α99 IIのAF性能関連機種のAF性能を見た所で、いよいよα99 IIのAF性能を大胆に予想してみましょう。 まず、α7RIIと同じ撮像素子を使う事から、間違いなく全体の45%をカバーする399点像面位相差AFセンサーと64%をカバーする25点のコントラスト検出方式AFが搭載されるでしょう。 SONY α7RIIのAFセンサー配置 さらにそれに、α77IIから流用した79点の位相差AFセンサー(計算上13%カバー)、もしくは改良品が付く事になるのもほぼ間違いないでしょう。 α77IIのAFセンサー配置 となると79点位相差AFセンサーによる高速AF、399点の像面位相差AFセンサーによる広域AF、25点のコントラスト検出方式AFによる高精度AFが実現できます。 当然ながらコンティニュアスAF時も含めて瞳AFは働くでしょう。 α7シリーズ及びα6000系の開発によって、SONYはコントラスト検出方式AFのノウハウも蓄えたとの事ですので、もしかしたら史上最速/最高精度のAFになる可能性があります。 Nikon D4SついでにニコンのフラッグシップであるNikon D4Sについても見ておきましょう。 この場合、位相差センサー51点(実測で15%カバー)が上図の様に配置されているそうですが、旧態依然の感は否めません。 ライビューにすれば当然コントラストAFも可能なのですが、これを見る限り光学ファインダーの限界を感じます。 もちろん瞳AFは働きません。 Nikon D5最近Nikon D5が発表されましたので、これも見ておきましょう。 本機にいては、従来の位相差センサー51点に対して153点(うち55点を任意選択可能)になり、D4S比で130%以上の広い範囲を高密度にカバーしてくれるそうです。 またこのうち99点は、クロスセンサーとしているそうです。 実測ではAFのカバーエリアは19%ほどです。 これからすると、次期α99の399点の像面位相差AFセンサーや、全画面の64%をカバーするコントラストAFの方が明らかに優れていると言えます。 EOS-1D X続いてもう一方の雄であるキヤノンのEOS-1D Xも見ておきましょう。 これも相変わらずの方式と言わざるを得ません。 上の図の様に、61点の位相差センサーが以下の様に配置されています。 AFの精度から言えば、位相差方式よりコントラスト方式の方が有利である事が分かってきましたので、明るい単焦点レンズを装着した場合、α99 IIの方が合焦精度が高いと言えます。 おまけに、本機も瞳AFは働きません。 EOS-1D X IIこれも最近後継機のEOS-1D X MarkIIが発表されましたので、これも一緒に見ておきましょう。 測距センサー数は、従来と同じ61ポイントですが、画素数は従来の約3倍の36万画素RGBセンサーとIRセンサーを搭載したそうです。 ただしミラーレスで使用できるコントラスト方式でしたら、理論上全画面をAFセンサーとして使用できる事を考えると、左程の感慨は湧きません。 またAF輝度範囲も-3EVまで広がりましたが、NIKON D5の-4EVには後塵を拝しました。 AF性能のまとめ上記をまとめると、以下の様になります。
という訳で、位相差AFのポイント数ではNIKON D5に劣りますが、位相差AFセンサーと広範囲の像面位相差AFを使える事を考えると、とんでもなく動きの激しい被写体を撮るのでなければα99 IIがトップと言えます。 ISO感度ISO感度についても撮像素子が決まれば、(余程周辺回路に手を加えない限り)必然的に決まってしまいます。 もし後継機がα7RIIと同様ならば、ISO感度は100-25,600となり先代のα99と同じですが、拡張でISO感度を50-102,400にできる所がミソです。
ライバル機と比べると上表の様になり、太字がその項目で一番を表します。 数値だけですと分かり難いので、これを対数グラフで表すと以下の様になります。 これもISO感度の桁数が多くて分かり難いので、ISO100を0とした場合のEV値で表示したグラフが以下になります。 α99 IIは1番ではありませんが、高画素である事を考慮すれば、かなりのアドバンテージがあると言えます。 実際画素数が半分のEOS 5D IIと、同性能のISO感度特性を有しているのは立派です。 背面モニター背面モニターについては当然ながらα99に使われている、3軸チルト液晶モニターは踏襲されるのは間違いないでしょう。 上下左右にも動く3軸チルト液晶モニター また液晶パネルについては、α7RIIに使われているRGBW配列の123万ドットの液晶パネルが使われる事でしょう。 RGBW配列の昼までも明るい液晶パネル もしこれにタッチパネルが付いて、画面があと少し大きくなったら、恐らく史上最強の背面モニターと言えると思います。 と、以前はお伝えしていたのですが、NIKON D5が軽くこのスペックを超えてきました。
α99 IIが超えるかどうか見どころですが、恐らくコストの制約からここまではしないのではないかと予想しています。 電子ファインダー電子ファインダー(EVF)も、世界最大の倍率(0.78倍)となるα7RIIのものを流用する事になるでしょう。 そうなれば、光学ファインダーにない数々のメリットを提供してくれる事になります。
特に動画撮影時の優位性は特筆ものです。 手振れ補正ボディー内手振れ補正はα99にも搭載されていましたが、α99 IIにはα7RIIと同様の光学式5軸ボディ内手ブレ補正を流用する事になるのは間違いないでしょう。 競合機と比べて、これも大きなアドバンテージになります。 連写速度連射速度については現行のα99が、毎秒6コマです。 一方、α7RIIが毎秒5コマです。 恐らくフルサイズの4,800万画素を読み込むには相応の時間が掛かりますので、α99 IIも最速で6コマが限界かもしれません。 ただしAPS-Cサイズのクロップモードでしたら、理論的には半分の時間で読み込めますので、毎秒10コマを達成するかもしれません。 4K動画当然ながらα99 IIも4K 動画に対応するのでしょう。 おまけにα7RIIと同様に、スーパー35mm(APS-C)時には全画素読み出しを行ない、15メガピクセルの情報を4Kの8メガピクセルに凝縮することで、解像感を高めながらノイズの粒を小さくして、最終的には高解像、低ノイズの4K動画が得られるようにチューニングされる事でしょう。 またフルサイズにおいては、全画素読み出しではないものの、もっと広角で撮影したい、もっと背景をぼかしたいというニーズに対応した“フルサイズの4K”を用意される事でしょう。 ですがα7RIIと違って、この大きさですので、わざわざこれで動画を撮る人はそれほどいないでしょう。 おまけに、もし4K動画を撮れる様にすると、それだけで10万円近く価格がアップしてしまいます。 という訳で、できれば4K動画の機能は搭載しないモデルも準備してほしい、と言っても無理なのでしょう。 このため、例えばですが、α99 IIstlというスチール専用モデルを作って貰えないものでしょうか? 動画撮影モードの無いニコンDf 実際ニコンDfは、動画撮影モードを無くしてもそこそこ売れているのですから。 まとめ好き勝手な事を書かせて頂きましたが、いかがでしょうか? これまでの仕様をまとめますと、以下の様になります。
これらを俯瞰して眺めると、α99 IIは高精細でありながら、高感度を維持し、且つAFは世界最高レベルで、ボディー内5軸手振れ補正を搭載しているとなると、非常にそそられるカメラになり得ると思います。 恐らく価格は40万円を超えるのでしょうが、これでもし30万円台となれば言う事ありません。 発表は今年2月下旬です。
SONY α99 IIの仕様を大胆予測 戻る α7でMFレンズを使う方法 次へ SONY α99 IIの衝撃
|