キヤノンとニコンは出遅れたのか?
2021/01/28:発行
はじめに
最近、キヤノンとニコンはフルサイズのミラーレス一眼の市場に出遅れたという記事を良く見かけますが、本当なのでしょうか?
今回はそれについて述べてみます。
全ては予定通り
結論は簡単です。
キヤノンとニコンは出遅れたのではなく、予定通りという事です。
その理由は明確です。
下は過去7年間のにおける、全世界(W/W)と日本国内における一眼レフとミラーレス一眼の販売金額の推移を表すチャートです。
これをご覧頂きます様に、両者の販売金額は日本で2018年、W/Wで2019年に逆転しました。
そしてソニーがフルサーズのミラーレス一眼を発売したのが2013年です。
このチャートをご覧頂きます様に、その当時は一眼レフの方が遥かに売れていました。
その理由は、この時代は明らかに一眼レフの方が性能が上だったからです。
何を隠そう幣サイトは、ミラーレス一眼の方が明らかに将来性があると思い、初代のα7Sから始まって、α7R II、α99 II、α7 IIIと買い替えていったのですが、今頃になって一眼レフにしておけば良かったと深く後悔している次第です。
何しろ、初代のα7シリーズに後年発売された大口径レンズを付けると、まともにピントが合わなかったのですから。
恐らくあの時代にα7シリーズを買われた方は、中華製のマウントアダプターを使って、古いマニュアルレンズを使うのが主目的だったのでしょう。
そんな時に、キヤノンとニコンがフルサイズのミラーレス一眼を発売したとしたら、どうなるでしょう。
当然ながらそれなりに売れたでしょうが、、芳(かんば)しい評判も得られなかった事でしょうし、それ以上に自社の一眼レフ機の売り上げが急激に落ちたのは間違いありませんし。
ちょうど老舗の和菓子屋で、目先の売り上げがほしくて洋菓子を販売する様なものです。
峠のだんご屋でシュークリームを売ったらどうなる?
という事は、悪評判と一眼レフの開発費を回収できないという、とんでもない悪循環に陥ります。
ではいつになればフルサイズのミラーレス一眼を売り出せば良いかとなると、少なくとも一眼レフと同等の性能にでき、且つ一眼レフの開発費を回収できるまで待つしかありません。
そんな訳で、満を持してニコンとキヤノンが2018年にフルサイズのミラーレス一眼を発売したという訳です。
実際ようやくα7シリーズがまともに使える様になったのは、2018年に発売されたα7 IIIからと言っても責められる事はないでしょう。
明らかに従来機と一線を画したα7 III
そしてそれが、市場で一眼レフとミラーレス一眼とが逆転する年と、奇(く)しくも同じ時期になったという訳です。
奇(く)しくもと書きましたが、それらが全て合致するのは、(デカルト風に言えば)それこそ必然性と言った方が良いかもしれません。
いずれにしろ、ニコンもキヤノンも出遅れたのではなく、全く以って計画通りなのです。
何故この記事を書いたのか
恐らく上記を読まれて、そんな事は百も承知だと思われる方が大半ではないでしょうか。
ではなぜこんな記事を書いたかといえば、くだんの東洋経済の記事です。
本年1月、ニコンの常務執行役員が、”フルサイズミラーレスカメラの強化策が遅れるなど、ニコン自身の戦略の失敗があったのではないですか”の問いに対して、”食い合いを恐れたというより、市場を冷静に、客観的に見ることができなかった”と述べたそうです。
恐らくこの方も、今頃多いに後悔されていう事でしょう。
全て予定通りだ、勝負はこれからだ、と言えば良かったと。