SONY α9の仕様を大胆予測

September 2016
Revised March 2017


目次


  1. はじめに
  2. 基本コンセプト
  3. 撮像素子
  4. 連写速度
  5. 大きさ
  6. 外観の特徴
  7. 高速ハイブリッドAF
  8. Aマウントレンズ対応強化
  9. 価格
  10. 発売時期
  11. 結論

はじめに


いよいよ登場するのではないかと噂されるSONYのミラーレス一眼α9。


α9はどんなモデルになるのか?

ミラーレス一眼のα7が発売された当初から、いつかはフラッグシップのα9が出るかもしれないと、昔ながらのカメラファンでしたら誰しも予想されていた事でしょう。

何故ならば、古くは初代α-7000とα-9000、直近ではα77とα99の様に、ミノルタ時代からこの中級機と高級機の系譜が綿々と続いてきたからです。


恐らくSONYにおいても、そういったα9に対する市場での期待度を見極めるために、この”7”の数字を世界初のフルサイズミラーレス一眼であるα7に使ったのは間違いないでしょう。

ですが本サイトにおきましては、α7R IIの仕様を見る限り、α9の必要性が全く見出せませんでした。

何故ならば、α7R IIに搭載された高精細高感度を両立した4200万画素の裏面照射型撮像素子に、ハイブリッドAF、5軸手振れ補正、毎秒6コマの連写速度に何の不足があるのだろうと思っていたからです。

敢えてα9の名称を冠して、更にどんな性能や機能が必要なのかと。

 
SONYのフルサイズ一眼レフ機のフラッグシップとなるα99 II

しかしながらつい最近(2016/9/19)発表されたフルサイズ一眼レフ機のフラッグシップであるα99 IIの仕様書を見て、ようやくその影がおぼろげながら見えてきました。

一体何が見えてきたのか、α9の発表が間近に控えた今、その仕様を大胆予測してみたいと思います。

なお最後の最後に、とんでもない大ドンデン返しがあります事ご容赦願います。


基本コンセプト


まず間違いないでしょう。

α9の基本コンセプトは、α99 IIと同じで”α至上最高の画質とスピードを目指す”です。

もっと端的に言ってしまいましょう。

ずばり、α9はα99 IIのコンポーネントを流用したミラーレス機として登壇します。

そうすればα至上最高の高画質とスピードのフラッグシップ機を、過去のレンズ資産を活かせる一眼レフタイプと、技術的には明らかに将来性の高いミラーレスの両方で展開できます。

下の表は現在のSONYのカメラ商品群ですが、これにα9が加われば、キヤノンやニコンをも凌駕する、かなり盤石な商品構成を構築できます。

SONYのカメラ商品群
撮像素子 カメラ構成 メーカー
中判サイズ N/A
フルサイズ
(100%)
1: 一眼レフ α99 II
2: ミラーレス α7R II、α7R II、α7R II、α7R 、α7S、α7
3: コンパクト RX1 II、RX1R、RX1
APS-Cサイズ
(43-38%)
4: 一眼レフ α77 II
5: ミラーレス α6500、α6300、α6000、α5100
6: コンパクト N/A
1型サイズ
(14%以下)
7: 一眼レフ N/A
8: ミラーレス N/A
9: コンパクト RX10III、RX10 II、RX100 V、RX100 IV
RX100 III、RX100 II、RX100
1型サイズ未満
10:コンパクト HX400V、HX90V等

もしこの基本コンセプトが当たっていれば、α9はα99 IIのユニットを徹底的に流用する事を大前提に商品企画が行われ、α99 IIの仕様が固まった後に開発がスタートしたと推測されます。

こうする事でα9の開発期間も短縮できますし、何よりもユニットの共通化と量産効果によって、大幅なコストダウンが期待できます。

もし本当にそうならば、SONYはウマイい手を考えたものです。


撮像素子


という訳で、α9に搭載される撮像素子は間違いなくRX1R IIやα7R II、α99 IIと同様の4200万画素裏面照射型CMOSセンサーでしょう。

   

この撮像素子は399点の像面位相差センサーを搭載しており、裏面照射に伴い2400万画素の撮像素子と同程度のISO感度を持ち、さらに解像度の高さはα7R IIで実証済です。


一部では更なる高精細撮像素子を予想する記事もありますが、全く新しい撮像素子をフラッグシップ機にいきなり投入するのはさすがにリスクが大き過ぎます。

実際5060万画素の撮像素子を搭載したキヤノンのEOS 5Dsにおいては、EOS 5D Mark IIIを流用したのはご存じ通りです。


5060万画素のEOS 5DsはEOS 5D Mark IIIの筐体を流用した

ですので、信頼性の観点から言ってもこの撮像素子こそ、フラッグシップ機に使うには持って来いの実力と言えます。


連写速度


また同様の理由で、α9の連写速度はα99 IIと同様最大12コマ/秒なのは間違いありません。

何度も言う様に、α99 II用に開発された画像処理エンジンや周辺LSIはそのまま流用されるのでしょう。

なぜならば、もしそれ以上にすれば全ての電子回路と評価をやり直す事になるからです。

ついでに回路基板までそのまま流用できたとしたら、画期的な事で、部品の管理費だけで相当のカストダウンになります。

なお噂では、RAWフォーマットで無制限で連続記録できる言われていますが、これもα99 IIと同様に最大56枚に制限されるでしょう。


大きさ


噂ではα9はα7シリーズより一回り大きくなる言われていますが、本サイトではそれはないと見ています。

なぜならば、ミラーレス機の最大の利点は小型だという事だからです。

もし大きくて良いのならば、α99 IIを買えば良いのです。

α9の最大の目標は、α99 IIと同等の性能でα7R IIとほぼ同じ大きさにする事でしょう。

なにしろ、それこそSONYのお家芸なのですから。

筐体を大きくして性能を上げるのは、それこそ子供でもできる事です。

実際α99 IIも、APS-Cサイズのα77 IIと同じ大きさに小型化したのですから。


外観の特徴


とは言え、フラッグシップとなったらα7R IIに対して増やすべき、いくつかの機能があります。

本体上部へ小型液晶モニター追加

先ず1点目が、本体上部(軍艦部)への小型液晶モニターの追加です。

カメラの設定でしたら背面モニターで確認すれば良いのですが、我儘なプロ用ともなるとそうともいかず、常時一目で設定を確認できる様にするため、本体上部への小型液晶モニター追加はどうしても必要でしょう。

実際、自社他社を問わずフラッグシップ機には、全て小型モニターが本体上部に搭載されています。


それも間違いなく本体上部の右側に。

と思ってα7R IIの本体上部を見ると、そこにはコントロールダイヤルが鎮座しています。


α7R IIの右肩にはコントロールダイヤルがある

となると当然コントロールダイヤルはα99 IIの様に左肩に移動する事になるでしょう。


α9の上面


α99 IIの上面


これはかなりの変更になると思われますが、全て新設計するのであれば左程大変な事ではなく、尚且つ中級機であるα7シリーズとの差別化にはちょうど良いかもしれません。


ダブルスロット化

二点目はメモリーカードのダブルスロット化です。


これもプロ用となれば必須でしょう。

なおダブルスロットの目的は、通常データ保存の信頼性アップとか利便性のアップといわれますが、大きなアドバンテージはメモリーカードの入れ忘れを100%防げる事です。

何方も経験があると思いますが、いざ写真を撮ろうとしたら、メモリーカードをうっかりPCに入れたままにしている事は良くあります。

またSDカードのダブルスロットは、それなりに体積アップにつながりますので、本サイトでは追加のスロットは小型のマイクロSDカード用と予想します。

多少抜き差しはが難しくても、大容量のマイクロSDカードが常時カメラの中に入っていれば、とてつもなくカメラの信頼度はアップします。

バッテリー

三点目の問題は、バッテリーです。

最大12コマ/秒の高速撮影となると、当然ながらバッテリーは早く消耗します。

このためニコンやキヤノンのフラッグシップ機は、下の写真の様に縦位置グリップ兼用の大容量電池室を一体化しています。


ではα9はどうなるかですが、当然ながら従来の電池を1個だけ搭載すると読んでいます。

何故ならば、小型化こそがα9の最優先の命題だからです。

プロと言えども、年中秒速12枚の高速連写をする訳ではありませんし、そんな時は予備のバッテリーを格納できる縦位置グリップを装着しておけば良いのです。


α7 IIの縦位置グリップ

なお現行の縦位置グリップは、本体に装着するとバッテリーを2本しか搭載できませんが、α9用の縦位置グリップには3本まで搭載可能と見ています。

小型でありながら、いざとなったら秒速12枚の高速連写できる。

それこそが、α9の真骨頂です。

なお人によっては、限られた条件で数枚撮影できるリザーブ用内蔵バッテリーがほしいなどと思われるかもしれませんが、クルマでもスマホにも全く見られない様にこれは役に立たない機能です。

という訳で、α9の大きさは限りなく現行のα7シリーズに近いとうのが、本サイトの結論です。

夜間照明

ついでに言えば、ニコンD5やペンタックスK-1に搭載された夜間照明も付けてほしいものです。


ペンタックスK-1のアシストライト機能

さらに言わせて頂ければ、モニターを完全に正面に向けて、ビデオライト代わりに使えれば申し分ありません。



高速ハイブリッドAF


それでは最後にAFの性能をみておきましょう。

α99 IIは一眼レフタイプであるが故に位相差センサーを搭載していますので、位相差センサーと像面位相差センサーを組み合わせて79点のクロスセンサーと399点の広域像面位相差のハイブリッドAFを達成しています。


  79点位相差センサー   399点像面位相差センサー    ハイブリッドAF   

一方ミラーレス機であるα9は、位相差センサーは搭載できませんので、α7R IIと同様に399点像面位相差センサーとコントラスト方式によるハイブリッドAFになります


SONY α7RIIのAFセンサー配置

ただし制御系は大幅に改良され、(特定のレンズだけでしょうが)APS-Cサイズのミラーレス機であるα6000シリーズと同様に世界最速に近いAFスピードを達成するかもしれません。


Aマウントレンズ対応強化


以上がα9の予想スペックなのですが、単にα99 IIをミラーレス化しただけでは少々インパクトが少ないと誰でも思うのではないでしょうか。

またα9をプロ用と呼ぶにはEマウントレンズは、まだまだ種類が少な過ぎます。

特に300mm以上の望遠レンズが完全に手薄です。

となったら、何か隠し玉があると見るのが普通でしょう。

という訳で本サイトの考える隠し玉は、レンズの種類の多いAマウントレンズをα99 II並みに使えるマウントアダプターの同時開発です


中央がマウントアダプターのLA-EA4

現在SONYからLA-EA4というマウントアダプターが発売されているのですが、これに搭載されるのは3点クロスの15点位相差センサーで、完全に役不足です。


このバージョンアップモデルとして、α99 IIに搭載している15点クロス79点位相差センサーを搭載した新マウントアダプターを同時発売するというのが本サイトのシナリオです。

更にこれをα9に装着する事で、α99 IIと同じ位相差センサーと像面位相差センサーのハイブリッドAFを達成し、更に4D AFにも対応させるという訳です。

すなわち、このマウントアダプタを装着した瞬間、α9がα99 IIに変身するという訳です。

実現の可能性はかなり低いのですが、あながち有り得ない話ではないと思うのですが、いかがでしょうか?


これが実現すれば、Eマウントレンズに300mm以上の望遠レンズが少ない件を一気に解決できます。


価格


予想ですので、ここまではかなり気楽にお話できたのですが、価格の話をすると事態は一変します。

すなわち、はじめにでご紹介した大どんでん返しがここです。

最近公表されたα99 IIの値段が、何と39万円なのです。

ご存じの様にα7R IIの市場価格は、2016年9月時点で未だに30万円以上もします。

 

今までお話してきました様に、性能的にもコスト的にもα7R IIよりα99 IIの方が断然上ですので、α7R IIの値段を考えれば50万円近い値付けでもおかしくありません。

にも関わらず、α99 IIはα7R IIと同じ価格帯なのです。

という事は、SONYとしてはα99 IIとα7R IIを同格の製品と捉えている事になります。

これはかなり戦略的な値付けで、SONYとしてはAマウント(一眼レフタイプ)のフラッグシップであるα99 IIを、Eマウント(ミラーレス)の最上位機種であるα7R IIより拡販する事を狙っているのは間違いないでしょう。

だとするとです。

もしα99 IIとほぼ同じ性能であるα9を50万円で販売したとすれば、誰もα9を買いません。

一方、もしα9を40万円前後で販売したら、誰もα7R IIを買いません。

となると結論は一つです。

α9は、α99 II以上の性能とコストの掛かった製品になるという事です。

すなわち、本書が長々と述べていた、α9はα99 IIのユニットを流用した同性能のミラーレス一眼であるという予測は間違いだという事です。

ではα9はα99 IIとどこが違うかですが、考えられる事はただ一つ、画素数アップされた新撮像素子の投入でしょう。

とは言え、さすがに4800万画素の2倍の9600万画素は無理でしょうから、3600万画素の2倍の7200万画素あたりが妥当なところではないでしょうか。


発売時期


という訳で、α9は今年(2016年)に発売される事は決してありません。

何故ならばα9は次世代の撮像素子を搭載するからです。

下の表にあります様に撮像素子の進化は、ほぼ3~4年の周期で増えています。

発売年 画素数 搭載機種
2005 1200万画素 Canon EOS 5D
2008 2400万画素 SONY α900
2012 3600万画素 Nikon D800
2015 4800万画素 Sony α7R II
2015 5000万画素 Canon EOS 5Ds

仮にα9が7200万画素の撮像素子を搭載するとすると、どなに急いでも2018年でしょう。


結論


結論です。

残念ながら、α9は当面発売される事はありません。

またSONYとしては高画素はミラーレススピードは一眼レフタイプとするのかもしれません。

当たるか外れるか、乞うご期待。


α9の仕様を大胆予測





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