デジタルカメラ便覧
2014/10:発行
2021/03:更新
2021/03:更新
目次
APS-Cサイズ一眼レフ
続いては、キヤノン以外(ニコン、ソニー、ペンタックス、シグマ)のAPS-Cサイズ一眼レフカメラを見ていきます。
なおニコン、ペンタックス、シグマが光学式ファインダーを踏襲しているのに対して、ソニーはデジタル一眼レフカメラでありながらも電子式ビューファインダーを搭載しているのが興味深い所です。
またこの中でどこが一番この分野に力を入れているかと言えば、間違いなくペンタックスになります。
と言いながらも、やはりキヤノンの次にモデル数の多いニコンから見ていきたいと思います。
ニコン
ニコンはキヤノンと対称的に、APS-Cサイズ対応モデルは従来3機種でしたが、この度最上位モデルのD500がD3桁シリーズとして復活しました。
シリーズ | ポジション | 特徴 |
D3桁シリーズ | 最上位モデル | プロ用モデル チルト式モニター |
D7000シリーズ | ハイアマチュアモデル | 防塵防滴の金属ボディー チルト式モニター |
D5000シリーズ | 普及モデル | バリアングルモニター |
D3000シリーズ | 入門モデル | 固定モニター |
D3桁シリーズ
D3桁シリーズは、フルサイズのフラグッシプ機であるニコンの1桁シリーズの最新技術を流用したAPS-Cサイズ一眼レフの最上位機種として開発されています。
このシリーズは、2009年発売のD300以降途絶えていたのですが、D400をスキップして、D500として2016年に復活しました。
Nikon D500 |
Nikon D300S |
Nikon D300 |
Nikon D200 |
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | Wi-Fi | 連写 | シャッター速度 | 常用 ISO感度 (拡張) |
画素数 |
Nikon D500 2016/4 |
DX(APS-C)サイズの最上位モデル D5のAFシステムを流用し中央-4EVのAFに対応、AF測距点153点、XQDカードとSDXCメモリーカードのダブルスロット、4K UHDの動画対応、上下チルト式3.2型約236万ドットタッチパネルモニター搭載。 |
外付け | 3.2型 236万 dot Tilt Touch |
有 | 10コマ/秒 | 1/8000- 30秒 B, T, X250 |
100- 51,200 (1640k) |
2,088万画素 |
Nikon D300S 2009/8 |
D300のマイナーチェンジ版 高速化、デュアルスロット化、動画対応、電子水準器新規搭載。 |
内蔵 | 3.2型 92万 dot 固定 |
無 | 7コマ/秒 | 1/8000- 30秒 B, X250 |
(100) 200- 3,200 (6,400) |
1230万画素 |
Nikon D300 2007/11 |
一世代前のDX(APS-C)サイズの最上位モデル ニコンD3のユニットを流用。ニコンとしては初めてライブビュー機能を搭載。 |
内蔵 | 3.2型 92万 dot 固定 |
無 | 6コマ/秒 | 1/8000- 30秒 B, X250 |
(100) 200- 3,200 (6,400) |
1230万画素 |
D500の価格は20万円超(23万円)で当時、フルサイズの最高級機であるD810(26万円)とハイアマチュア用のD750(17万円)の中間に位置しています。
D500はユニットの多くをフラッグシップのD5から流用しており、APS-Cサイズのプロ用機材と言えるかもしれません。
D7000シリーズ
ハイアマチュアモデルとして開発されたD7000シリーズは、D7300までは防塵防滴、モニター固定、ストロボ内蔵が特徴だったのですが、D7500ではD500の基本性能を流用したハイアマチュア向けの軽量モデルとなり、防塵防滴は削られ、モニターはチルト式になり、ストロボ内蔵のみ引き継がれました。
Nikon D7500 |
Nikon D7200 |
Nikon D7100 |
D5000シリーズ
普及機のD5000シリーズは、更に自撮り対応のバリアングルモニターを備えています。
Nikon D5600 |
Nikon D5500 |
Nikon D5300 |
これらの詳細は以下の通りです。
D3000シリーズ
D3000シリーズは、小型軽量が最大の特徴と言えそうです。
このためボディー内のAF用モーターも省略されています。
Nikon D3500 |
Nikon D3400 |
Nikon D3300 |
Nikon D3200 |
これらの詳細は以下の通りです。
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | Wi Fi |
連写 | シャッター 速度 |
常用 ISO感度 (拡張) |
画素数 |
Nikon D3500 2018/9 |
D3400のマイナーチェンジ機。高さ1mm奥行き6mm質量30gだけ小型軽量化され365g。撮影可能コマ数は1200コマから1550コマに向上。 SnapBridge新規搭載。 |
内蔵 | 3型 92万 dot 固定 |
無 | 5コマ/秒 | 1/4000- 30秒, B, T | 100- 25,600 |
2,416万画素 |
Nikon D3400 2016/9 |
入門モデルであるD3300の後継機 外形はD3300とほぼ同じであるが、SnapBridge搭載、高速AF、省電力化、軽量化が図られている。 |
内蔵 | 3型 92万 dot 固定 |
無 | 5コマ/秒 | 1/4000- 30秒, B, T | 100- 25,600 |
2,416万画素 |
Nikon D3300 2014/2 |
入門モデル 小型軽量のエントリーモデル、ローパスフィルターレス、固定液晶 |
内蔵 | 3型 92万 dot 固定 |
無 | 5コマ/秒 | 1/4000- 30秒, B, T | 100- 12,800 |
2,416万画素 |
Nikon D3200 2012/5 |
D3100の後継入門モデル D3100に対して、大きさはほぼ同じで、画素数、液晶モニター解像度、連写速度が向上している。 |
内蔵 | 3型 92万 dot 固定 |
無 | 4コマ/秒 | 1/4000- 30秒, B, T | 100- 6,400 (12,800) |
2,416万画素 |
ニコンレンズ群
ニコンのAPS-Cサイズ一眼レフ専用のレンズは、AF-S DXニッコールと呼ばれ、ペンタックス(29本)に次ぐ14本を揃えています。
キヤノン同様マクロレンズ以外は殆どズームレンズなのですが、以下の様に1本35mm F1.8というレンズがあります。
DX 35mm |
DX 17-55mm |
DX 18-105mm |
DX 18-200mm |
これでしたら、ズームレンズより多少ボケを活かした撮影ができるかもしれません。
ペンタックス
ペンタックスと聞くとそれほど目立った印象派ないのですが、調べてみるとどうしてどうして、かなり性能にこだわっています。
シリーズ | ポジション |
---|---|
K-3 | フラッグシップ機 |
KP | K-1の操作性を引き継いだ上級機 |
K-5 | 中級機 |
K-S | 画質優先の入門機 |
K-50 K-70 |
アクティブ派用の入門機 |
少なくとも、APS-Cサイズ一眼レフでは断トツの性能と言って良いと思います。
それを知って頂いた上で、先ずは上級機に当たるK-3及びK-5シリーズを見てみましょう。
と以前は言っていたのですが、ミラーレスに追われて今(2021年)ではK-70だけだったのが、ようやくK-3 IIIが発売されました。
KP, K-3 & K-5シリーズ
K-3 III |
K-3 II |
KP |
K-3 II |
K-3 |
K-5 II |
K-5 IIs |
特徴は以下の通りで、明らかに他社機より上級指向です。
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | 連写 | 常用最大感度 | シャッター速度 (電子) |
画素数 |
K-3 III 2021/4 |
K-3の第3世代となるフラッグシップ機。 光学ファインダーを新設計し倍率1.05倍を達成。ボディー内手振れ補正は5.5段に向上し4K60Pに対応。 |
外付け | 3.2型 162万dot 固定 |
12コマ/秒 | 100 ~ 1600k |
1/8000 -30, B,T (1/2.4k) |
2573万画素 |
KP 2017/2 |
フルサイズ機であるK-1の操作性を引き継いだ機能盛沢山のフラグシップ機。 撮像素子は以前と同じ2400画素ながらアクセラレータユニットを搭載してISO819200の超高感度撮影を実現。 小型ながら交換式グリップを準備。 手ブレ補正機構はK-1のSRIIを搭載し、ローパスセレクター、リアル・レゾリューション・システム、構図微調整、自動水平補整機能も搭載し、防塵防滴。 |
内蔵 | 3型 92万dot Tilt |
7コマ/秒 | 100 ~ 819.2k |
1/6000 -30, B (1/2.4k) |
2400万画素 |
K-3 II 2015/5 |
K-3の第2世代 Kシリーズ最高となる手ぶれ補正性能と新開発の超解像技術“リアル・レゾリューション・システム”搭載。 GPSユニットと電子コンパスを内蔵し、モニター固定。 |
外付け | 3.2型 104万 dot 固定 |
8.3コマ/秒 | 51200 | 1/8000 -30, B |
2400万画素 |
K-3 2013/11 |
フラッグシップ機 ボディー内手ぶれ補正、撮像素子を微振動させるローパスセレクタ搭載。モニター固定。 |
内蔵 | 3型 92万 dot 固定 |
8.3コマ/秒 | 51200 | 1/8000 -30, B |
2400万画素 |
K-5 II 2012/9 |
中級機 -3EVの低輝度でも働くオートフォーカス、ボディー内手ぶれ補正、14ビットAD変換を搭載。モニター固定。 |
内蔵 | 3型 92万 dot 固定 |
7コマ/秒 | 12800 | 1/8000 -30, B |
2400万画素 |
K-5 IIs 2012/9 |
K-5IIからローパスフィルターを削除した高精細追求モデル。モニター固定。 | 内蔵 | 3型 92万 dot 固定 |
7コマ/秒 | 12800 | 1/8000 -30, B |
2400万画素 |
特に撮像素子を1画素分移動して超高精細画像を生成するリアル・レゾリューション・システムや、撮像素子を微振動させるローパスセレクタ、全機種ボディー内手ブレ補正を内蔵しているのは驚きです。
この理由は簡単で、フルサイズ一眼レフを持たないペンタックスは、これらモデルに自社の最新技術を惜しげもなく投入できるからです。
K-70、K-S 、K-50、K-70シリーズ
次に入門から普及機に当たるK-SシリーズとK-50、K-70について見てみます。
K-70 |
K-S2 |
K-S1 |
K-50 |
下の表にはありませんが、入門機ですらファインダー視野率100%を達成しているのは立派です。
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | 連写 | 常用最大感度 | シャッター速度 | 画素数 |
K-70 (2016/7) |
アウトドア用のスタンダード機。 防塵防滴で-10℃まで動作保証。 新開発のアクセラレーターユニットを搭載し、最高ISO感度 102400を実現。 ペンタックス初の像面位相差AFとコントラストAFのハイブリッドAFを採用。 リアル・レゾリューション、光学ローパ"ローパスセレクター、視野率100%の光学ファインダー、シャッタースピード換算で4.5段分に相当するボディ内手ぶれ補正など、上位機並みの本格機能を搭載。 |
内蔵 | 3型92万dot Vali |
6コマ/秒 | 102.4k | 1/6000 -30, B |
2424万画素 |
K-S2 2015/3 |
K-S1に対してバリアングル液晶、防塵防滴構造、Wi-Fi、NFC、AFの検出輝度範囲、ストロボ光量アップ等、新機能満載。 | 内蔵 | 3型 92万dot 固定 |
5.5コマ/秒 | 51200 | 1/6000 -30, B |
2000万画素 |
K-S1 2014/9 |
画質優先の入門機 ローパスセレクタ搭載、1/6000秒 |
内蔵 | 5.4コマ/秒 | 51200 | 1/6000 -30, B |
2000万画素 | |
K-50 2013/7 |
アクティブ派用の入門機 ボディー内手ぶれ補正、防塵防滴、ISO感度51,200を実現 |
内蔵 | 6.0コマ/秒 | 51200 | 1/6000 -30, B |
1600万画素 |
ですので、もしAPS-Cサイズの一眼レフで、少し気合いを入れて撮りたいと思ったらペンタックスはお勧めです。
またこの中のお勧め機種ですが、正直選ぶのが難しい状況です。
すなわち、いずれの機種も価格相応のパフォーマンスを秘めており、これが一番妥当だとするのが無い代わりに、どれを買っても後悔しないといった感じです。
ただし、さすがにK-3IIは少々オーバースペックな気がします。
ペンタックスレンズ群
ペンタックス用の交換レンズは、型番を見ても今一つ良く分からないので、簡単に解説しておきます。
型番 | 内容 |
DA | APS-Cサイズ対応の一般レンズ |
DA★ | DAレンズに対して、画質優先レンズ |
DA Limited | DAレンズに対して、画像の質感を優先したレンズ |
DFA | フルサイズ対応のデジタル用一般レンズ |
FA | フィルムカメラ時代のフルサイズ対応の一般レンズ |
DA50mm F1.8 (75mm) |
DA★55mm F1.4 (83mm) |
DA70mm F2.4 (107mm) |
DA★16-50mmF2.8 (24-75mm) |
DA★50-135mm (75-203mm) |
上図の様にペンタックスは、ポートレートにも十分使える単焦点レンズが充実しているのが分かります。
実際、ペンタックスのAPS-Cサイズ用レンズの本数は2016/4の時点で29本もあり、キヤノン(14本)やニコン(17本)、ソニー(10本)より断トツの豊富さを誇っています。(2016/4の本数)
FA31mm F1.8 (47mm) |
FA43mmF1.9 (65mm) |
FA50mmF1.4 (75mm) |
FA77mmF1.8 (116mm) |
FA77mmF1.8 (116mm) |
なお上のレンズはフルサイズ対応のFAレンズですので、もし購入する場合は撮影可能領域に無駄のない、上段のDAレンズをお勧めします。
ソニー
ソニー機の特徴は、フルサイズのα99と同様に全機種液晶ファインダーと、固定式の半透明ミラーを搭載している事です。
シリーズ | ポジション |
---|---|
α70 | フラッグシップ |
α60 | 中級機 |
α50 | 画質優先の入門機 |
ソニー
α77II |
α77 |
α65 |
α58 |
モデル | 特徴 | ストロボ | モニター | Wi Fi |
連写 | シャッター 速度 |
常用 ISO感度 |
画素数 |
α77II 2014/6 |
上級モデル 3軸チルト式背面モニター、79点AF搭載、手ブレ補正 |
内蔵 | 3型 123万dot Tilt+ Vari |
有 | 12コマ/秒 | 1/8000 -30, B |
100-25600 (50)-(51200) |
2430 万画素 |
α58 2013/8 |
初級モデル チルト背面モニター、15点AF搭載、手ブレ補正 |
内蔵 | 2.7型 46万dot Tilt |
無 | 5コマ/秒 | 1/8000 -30, B |
100-16000 (25600) |
2010 万画素 |
α65 2012/1 |
中級モデル バリアングル背面モニター、15点AF搭載、手ブレ補正 |
内蔵 | 3型 92万dot 縦開き Vari |
無 | 10コマ/秒 | 1/8000 -30, B |
100-16000 | 2430 万画素 |
α77 2011/10 |
上級モデル 3軸チルト式背面モニター、有機ELファインダー、フルハイビジョン動画撮影。 |
内蔵 | 3型 92万dot Tilt+ Vari |
有 | 12コマ/秒 | 1/8000 -30, B |
100-25600 (50)-(51200) |
1620 万画素 |
ソニーに限らないのですが、このカテゴリーのモデルは、連写速度、AFの測距点の数、或いは合焦速度が売りになっています。
αシリーズ一眼レフの特徴は固定式透過ミラーを使っている事で、可動式ミラーを搭載した他メーカーのモデルと比べて明らかな優位性があります。
ソニーレンズ群
ソニーのAPS-Cサイズ一眼レフ専用のレンズは、DTレンズと呼ばれており、ラインナップは10本です。
他社と同じ様にズームレンズが主体なのですが、標準系ながら明るい単焦点レンズも用意しています。
35mm F1.8 (53mm F1.8) |
50mm F1.8 (75mm F1.8) |
16-50mm (24-75mm) |
18-135mm (27-203mm) |
16-80mm (24-120mm) |
どのメーカーも同じですが、望遠系の明るいレンズが無い事を考えると、このカテゴリーのカメラは記念撮影が主用途と捉えられているのかもしれません。
シグマ
APS-Cサイズの一眼レフの中で最も異色なのはシグマでしょう。
何しろ色補完の必要のない3層構造の撮像素子を使っているからです。
一般的には、偽色やモアレの発生がないのでローパスフィルターを必要としないから解像度が高いと言われていますが、画面全体が純粋な画像データだけで構成されているという事が最大のメリットです。
本機は2002年発売のSD9から始まって、現在は先代のSD1と仕様は同じで、低価格を実現したSD1 Merrillが発売されています。
SD1 Merrill |
SD1 |
モデル | 特徴 | ストロボ | 自撮り | 連写 | シャッター速度 | ISO感度 | 画素数 |
SD1 Merrill 2013/3 |
撮像素子の製造方法を一部見直すことで大幅なコストダウンを実現。 | 外付け | 非対応 | 5コマ/秒 | 1/8000 -30秒 |
100- 6400 |
1500 万画素 |
SD1 2015/4 |
3層構造の撮像素子を使った一眼レフのフラッグシップ機。 発売当初の価格は70万円。 |
外付け | 非対応 | 5コマ/秒 | 1/8000 -30秒 |
100- 6400 |
1500 万画素 |
高価だったフォビオンの撮像素子がかなり手頃な価格になりましたので、思い切って検討してみる価値はあるかもしれません。
シグマのレンズ
シグマのレンズはARTシリーズとして、かなり気になる物があります。
24mm F1.4 |
35mm F1.4 |
50mm F1.4 |
85mm F1.4 |
24-105mm |
ただし上のレンズはいずれもフルサイズ用ですので、APS-C用には少々もったいないかもしれません。
まとめ
もしどうしても光学系ファインダーを備えたAPS-Cサイズ一眼レフを使いたいとなれば、お勧めなのはやはり機能もレンズも各段に充実しているペンタックスでしょう。
その中でお勧めモデルとしては、値段の順になってしまいますが、K-3、K-5IIs、K-5IIの順になると思います。
あとは全く勧めませんが、強いて言えばAFが速く3軸チルト式背面モニターを搭載したソニーのα77IIか、タッチパネルを搭載した小型軽量のニコンD5500でしょうか。