カメラの画素数とモニターの解像度との関係

2016/05:発行
2019/12:更新
2020/12/28:誤記訂正


目次



1: はじめに


最近のカメラの場合、画素数はコンパクトカメラでさえ2,000万画素(20Mpix)、デジタル一眼レフでは最大で5,000万画素(50MPix)以上にも達しています。

 

一方モニターの解像度については、初期のハイビジョンの92万画素(1280 x720)からフルハイビジョンの207万画素(1920 x1080)、4Kモニターの830万画素(3,840×2,160)、そして今では試作品ながら8Kモニターの1660万画素(7680×4320)まで存在しています。


モニターの解像度(画素数)

ではカメラで撮った2,000万画素の画像を綺麗に見るには、どの程度の解像度のモニターで見ると一番綺麗に見えるのでしょうか?

また自宅のモニターでカメラ写真を見る場合、画素数が多ければ多いほど綺麗に見えるのでしょうか?

そう訊かれると、誰もが答えに窮するのではないでしょうか?

そもそもカメラの画素数とモニターの画素数は同じものなのでしょうか?

もし同じだとすると、なぜカメラは画素数と呼んで、モニターは解像度と呼ぶのでしょうか?

という訳で、本書ではカメラの画素数とモニターの解像度の関係を、小学生にも分かる様にご説明したいと思います。

これさえ読めば、カメラとモニターの通になれる事請け合いです。

なお、既にカメラの画素数とプリンターの関係をお読み頂いたとしたら、本書の2: 言葉の定義3: カメラの画像ファイルは全く同じ内容ですので、一気に4: モニターと記録画素数の関係まで進んで下さい。


2: 言葉の定義


いきなり本題に進んでも良いのですが、恐らく本書を読んでいくうちに、画素とかピクセルとか解像度とか、100万画素とか1MPixとか、似た様で異なる単語が出てくるので、混乱される方があるかもしれません。

という訳で、ここで言葉の意味と単位について書いておこうと思います。

じっくり読む必要はないのですが、前段階として目を通しておいて頂けると、後々混乱しないで済むと思います。

名称 定義
画素
(Pixel)

画素とは、デジタル入出力機器においてフルカラーを表現できる最小単位を指します

一つの画素は、さまざな明るさと色の値を持っていますので、それだけである一つの色を表現できます。


また本書では使っていませんが、一般的に良く聞くピクセル(pixel)とは画素と全く同じものです。

また単位も、全て”画素”で統一しています。

なおSI単位(国際規格)の接頭語を使うと、100万は1M(メガ)と表せるため、100万画素を1MPix(メガピクセル)と表記する場合があります。

ですので、例えば1200万画素と言えば、12MPixになります。

解像度
(Resolution)

解像度とは、画像や文字の繊細さの尺度であり、モニターやプリンターにおいて使用されます。

もっと分かり易く言うと、モニターやプリンターで出力される画像や文字の精細さの程度を指します。


本来解像度とは、単位面積(或いは単位長さ)当たりの画素数を指すのですが、カメラやモニターにおいては画面の大きさに関わらず単純に全画素数、プリンターでは1インチ(25.4mm)当たりのドット数で表します。

ですので、カメラやモニターにおける解像度の単位は画素、プリンターでの単位はdpiを使う事にします。

画像ファイル

本書では、1画素に入っている画像情報を画像データと呼ぶ事にします。


更にこの画像データが沢山集まってできた1枚の写真の画像情報を画像ファイルと呼ぶ事にします


また画像ファイルには、後述しますRAWファイルとJPEGファイルの2種類があります。

いずれも大きさの単位はMB(メガバイト)です。

記録画素数
(画像サイズ)

記録画素数とは、カメラで撮影する画像の総画素数を指し、一般的にS、M、Lの3種類が指定できます。


Lを指定すると、カメラが搭載している撮像素子の全画像データを画像ファイルとして取り込むのに対して、MSはそれより少ない画像データを画像ファイルにします。

ですので、例えば2400万画素の撮像素子を搭載したカメラの場合、Lで撮影すれば解像度は2400万画素なのに対して、Mだと1000万画素、Sだと600万画素程度になります。

メーカーによっては、これを画像サイズと呼んでいる場合もあります。

いずれの場合も、単位は画素もしくはPixです。



 3: カメラの画像ファイル


それでは次に、カメラの画像ファイルにはどんな情報が含まれていて、出力機器であるモニターはその画像ファイルをどうやって表示しているかをご説明したいと思います。

という訳で、先ずはカメラの画像ファイルについて述べたいと思います。

読み物風になっていますので、順番に読み進んで頂ければと思います。


1. 撮像素子の構造

それでは早速、カメラの画像ファイルについてご説明しますと言いたい所ですが、その前に(今まで一度も話に出なかった)撮像素子の話から進めたいと思います。

遠回りの様に思われる方もあるかもしれませんが、その方が断然近道ですので、少々お時間を下さい。

撮像素子とはご存じの通りカメラのレンズの裏側にある受光体で、フィルムカメラのフィルムに当たります。


カメラ内部


撮像素子

この撮像素子にレンズを通った光が結像することで、画像が形成されます。

その撮像素子の構造ですが、下の図の様に光を受けると電圧を発生するフォトダイオードが格子状にびっしり並んでいます。


このフォトダイオード1個が1画素に当たりますので、もし1,600万画素の撮像素子でしたら、フォトダイオードが水平方向に46万個、垂直方向に34万個並んでいて、46万個と34万個を掛けると1,600万個になるという訳です。

このフォトダイオードは、光の強さを感知することはできますが、色の違いは感じられないため、フォトダイオードの前には、赤青緑のカラーフィルターが装着されています。

この3色の光の信号が、A/D(アナログ→デジタル)コンバータで12ビット、もしくは14ビットのデジタル信号に変換され、更に各種画像処理が加えられて、メモリーカードに書き込まれるという訳です。


キヤノン EOS 7D Mark IIの画像処理ブロック図

この12ビットのデジタル信号に変換するというのは、例えばフォトダイオードの出力が、受けた明るさによって0~3Vに変化するとすると、0~4096のデジタル値(2の12乗)のデジタル値に変換する事を表します。

14ビットでしたら0~16384(2の14乗)のデジタル値になりますので、14ビットの方が4倍細かく明るさを表す事ができるという訳です。

またご存じと思いますが、赤青緑は光の3原色ですので、この3色の光の強さが分かれば、全ての色を再現する事ができます。


また一つのフォトダイオードの前には、1色のフィルターが付いていますので、本来ならば1画素の持つ画像データは、1色の明るさの情報しか持っていない事になります。

ですが、この1画素がメモリーに書き込まれる際、何故か3色分の画像データが書き込まれるのです。


2. 1画素の画像データ

ではなぜ本来一色分のデータしか持っていない1画素が、3色分のデータを持っているのでしょう。

それは、この1画素の周囲にある画素のデータを参考にして、この1画素の中に3色の画像データを持たせているのです。

すなわち、カメラの1画素の画像データの中には(1色ではなく)フルカラーの情報が入っているという訳です。

例えば、赤のフィルターが乗った画素で空の青い色を読み込んだとすると、その周辺も空で殆ど大きな差はないだろうから、周囲の緑と青のフィルターが乗った画素情報を流用して、その画素の3色の画像データにしているのです。


べイヤー配列における1画素の情報

ただし空の様に似た色が続いている場合はそれで全く問題ないのですが、空と人物の境目の様に色が大きく変化する場合はそれではうまくいかないので、偽色と呼ばれる本来存在しない色が境目に発生する事があります。

またこの3色の画像データは、前節でご説明した様に、 1色につき12~14ビットの情報を持っていますので、もし12ビットであれば3色合わせて36ビット、14ビットであれば3色合わせて42ビットの情報量になります。


先ほどお伝えした様に、12ビットとは2の12乗で4,096諧調、14ビットとは2の14乗で16,384諧調性を持っている事になります。

それが3色分ありますので、これを3乗すると、12ビットで68,719,476,736(680億色)、14ビットで4,398,046,511,104(4兆3980億色)と、とんでもない程の色を表現できる事になります。

このとんでもない程の色情報を持っているのが、次の項でお話ししますRAWファイルです。


3. RAWファイル

RAWファイルとは、光の明るさをA/D変換して、周囲の画素情報から3色分の明るさの情報を持った、JPEGの様な一般的な画像ファイルになる前の生データの事です。

下の図はα7R IIの画像処理ブロック図ですが、この図の黄色で示された”ファイル記録RAW”と書かれたのがRAWファイルを表します。


ソニー α7R IIの画像処理ブロック図

以前はカメラ内部でのみ使われていたのですが、JPEGより遥かに多い画像情報を持っているので、近年外部に取り出して、専用ソフトで自分の好みに加工してJPEG等に変換できる様になりました。

となると、次に知りたいのは、RAWファイルの容量ではないでしょうか?

先ほど、3色の画像データは、 1色につき12~14ビットの情報量を持っているとお伝えしました。

だとすると、1バイトが8ビットですので、全容量(バイト)は画素数xビット数÷8ビットで計算できます。

ですので、仮に1600万画素(16Mpix)の場合ですと、

12ビットで、16Mpix x 12 / 8=24MB
14ビットで、16Mpix x 14 / 8=28MB

誤記訂正
2020/12/28

以下の誤記がありましたので、お詫びして訂正致します。


12ビットで、16Mpix x 3色 x 12 / 8=72MB
14ビットで、16Mpix x 3色 x 14 / 8=84MB

12ビットで、16Mpix x 12 / 8=24MB
14ビットで、16Mpix x 14 / 8=28MB

また計算結果についても、本文内は全て修正済です。

になります。

さて、それでは実際にRAWファイルで画像を出力したら、どの程度のメモリー容量になるでしょうか?

手元のカメラで調べた結果が以下の表になります。

機種 ソニーα7
ソニーNEX-5R
富士フィルムX-T1
画素数 2,400 万画素 1,610 万画素 1,630 万画素
RAWファイル容量 実測値 24MB 16MB 33MB
公称値 27MB 18MB 35MB

例えば表中央にある1610万画素のNEX-5Rの場合、RAWファイルの実容量は16MBです。

NEX-5Rの分解能(情報量)は14ビットなので、前述の計算ですと28MBのはずなのですが、実際にはその4/7である、たったの16MBしかないのです。

どこかで計算が間違っていると言いたい所ですが、それはありません。

なぜ16MBしかないかと言えば、この28MBを圧縮して16MBにしているからです。

一方、ほぼ同じ画素数のX-T1の場合、RAWファイルの容量は、33MBです。

この様に同じ画素数にも関わらず、RAWファイルの容量が異なるのはメーカーによって、圧縮方法と圧縮率が異なるからです。

このため各メーカーによって、RAWファイルの現像用ソフトが異なるという訳です。

なお最近ではα7R IIの様にRAWファイルを圧縮しないで、そのまま出力できる機種もあります。

これでRAWファイルの中身と、その容量の関係について分かって頂けましたでしょうか?


4. JPEGファイル

RAWファイルの次は、一般的な画像ファイルであるJPEGファイルをしたいと思います。

後程またお話しますが、このJPEGファイルはモニターに対応した画像ファイルになります。

先ほどお伝えしました様に、RAWファイルは1色12~14ビットの情報を持っていますが、JPEGファイルになると1色8ビット(256諧調)の情報に減ります。


ソニー α7R IIの画像処理ブロック図

上図の青色の部分が、JEPGファイルの事です。

とは言え、これが3色分ありますので、256X256X256となり全部で16,777,216(1,678万)通りの色が表現でき、現実的にはほぼ十分と言えます。

なおこの1,678万色という数値は後程また出てきますので、是非覚えておいてください。

ですので、14ビットのRAWファイルを現像して8ビットのJPEGファイルに変換するという事は、画像データを圧縮するという事になります。

ちなみにソニーのα7、NEX-5R、富士フィルムのX-T1を使ってJPEGを撮影すると、その容量は以下の様になります。

各機種の画質とサイズの組み合わせにおけるデータ容量
項目\機種 SONY α7 SONY NEX Fujifilm X-T1
画質 記録
画素数
(画像
サイズ)
2400万画素
(24Mpix)
1610万画素
(16.1Mpix)
1630万画素
(16.3Mpix)
記録
画素数
容量(MB) 記録
画素数
容量(MB) 記録
画素数
容量(MB)
実測 公称 実測 公称 実測 公称
EXT FINE L 2400 16 19 N/A N/A
M 1000 8
S 600 5
Fine L 2400 8 10 1610 4 7 1630 5 7
M 1000 4 840 3 800 4
S 600 3 400 1 420 2
Normal L 2400 5 7 1610 3 5 1600 3 4
M 1000 3 840 2 800 2
S 600 2 400 1 420 1

これをご覧頂きます様に、FINEのLを選択すると、RAWファイルに対して、1/3~1/4に圧縮される事が分かります。

ところで、上記の表で、どの記録画素数と画質を選ぶのが一番合理的で無駄が無いかは後程ご説明したいと思います。


4: モニターと記録画素数の関係


モニターにも色々な種類がありますが、ここでは最も一般的なフルハイビジョンテレビに使われている液晶モニターを例にしてお話ししたいと思います。

1. 液晶モニターの解像度

ご存じかもしれませんが、フルハイビジョン液晶テレビの解像度は1920x1080ピクセル(Pix)です。

これを画素数で表すと、以下の様になります。

1920Pix x 1080Pix=2,073,600Pix=207万画素

またついでに、その他のモニターの解像度も見ておきましょう。

モニター解像度 (Pix) 例(用途)
3840 x2160 830万画素 4Kテレビ(16:9)
Xperia Z5 Premium
2732 x2048 560万画素 iPad Pro(4:3)
2560 x1600 400万画素 Xperia Z4 Tablet (16:10)
2048 x1536 314万画素 現行iPad、iPad mini(4:3)
1920 x1200 230万画素 Xperia Z3 Tablet Compact(16:10)
1920 x1080
207万画素 フルHVテレビ(16:9)
iPhone 6Plus系
1440 x900 130万画素 MacBook Air 13インチ(16:10)
1366 x768 105万画素 MacBook Air 11インチ(16:9)
1334 x750 100万画素 iPhone 6系(16:9)
1280 x720 92万画素 初期HVテレビ(16:9)
1024 x768 78万画素
(236万ドット)
初代iPad、iPad mini(4:3)
ミラーレス一眼用電子ファインダー
(α7シリーズ、X-T1等)
1136 x640 73万画素 iPhone 5系(16:9)
720 x480 35万画素
(104万ドット)
カメラ用背面モニター(3:2)
EOS 5Ds、X-T1等
640 x480 31万画素
(123万ドット)
カメラ用背面モニター(4:3)
(赤青緑に白を追加)
(α7IIシリーズ、Nikon D7100等)
640 x480 31万画素
(92万ドット)
カメラ用背面モニター(4:3)
(α7シリーズ等)
480 x320 15万画素 初期iPhone(3:2)
青字がテレビ系モニター、紫字がカメラのモニターを示す

これを見て、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

大画面のハイビジョンテレビ(207万画素)より、iPad等のタブレット型PC(300万画素~)の方が実は解像度は高い(画素数が多い)のです。


モニターの解像度(画素数)

これは、大画面テレビは離れて見るのに対して、タブレット型PCは近くで見る事から、より高精細性が求められるからです。


2. 液晶モニターの画素

それでは次に、液晶モニターの表面を拡大して見てみましょう。


すると上の写真の様に、液晶画面は赤緑青のセルが短冊状に並んでいるのが分かります。

とすると、207万画素のハイビジョンテレビにはこの赤緑青のセルが207万個あるという事で宜しいでしょうか?

恐らく何方もそう思われるかもしれませんが、答えはNOです。

実は液晶画面でいう所の1画素(ピクセル)とは、赤緑青の3セルが一対になったものを指すのです。


またついでに言っておきますと、この3つが並んだ1画素が正方形になる様になっています。

ですので、ハイビジョンテレビには(赤緑青の3セルが一対になった)画素が207万個ある、というのが正解になります。


ちなみに今話題の4Kテレビの画素数は、ハイビジョンテレビの4倍の829万画素になります。

撮像素子の場合、一つのセルが3色分の画像情報を持った1画素だったのに対して、モニターの場合は3色のセルが対になって1画素となる違いがあります。


3. 液晶モニターの諧調

液晶モニターの場合、この赤青緑のセルがそれぞれ256段階の強さで光りますので、1色が256の諧調を持っていると言えます。

これが3色ありますので、256の3乗(256x256x256)で1678万(16,777,216)通りの色が表現できるという訳です。

具体的には、赤青緑が全て消灯(全てゼロ)したら黒になり、赤青緑が全てフル点灯(全て256)でしたら一番明るい白になり、赤だけフル点灯(赤だけ256で他はゼロ)すると明るい赤になり、赤と緑がフル点灯で黄色になるという訳です。


ここまでをまとめると、以下の様になります。

①液晶モニターの1画素は、赤青緑の三つのセルで構成されており、1画素で1,678万色が表現できる。

②1,678万色を表現できる画素が全部で207万個(1,920x1,080)あるのが、ハイビジョンモニターである。


1,678万色と聞いて、どこかで聞いた事があると思った方はいらっしゃいませんでしょうか?

そうです。

JPEGファイルの1画素が持っている色情報も1,678万色でした。

と言う事は、JPEGファイルはモニターに対応した画像ファイルという事です。

ご理解頂けましたでしょうか。


4.記録画素数とモニターの解像度との関係

それではいよいよ、記録画素数とモニターの解像度との関係を見てみましょう。

と言うと難しそうに聞こえますが、ここまでくれば簡単です。

前記しました様に、画像ファイルの画素とモニターの画素は1対1に対応します。

ですので、カメラの記録画素数とモニターの解像度が同じであれば良い事になります。

もしカメラで撮った写真を、207万画素のハイビジョンテレビに等倍で映し出すには、画像ファイルも同じ様に207万画素(1920x1080画素)の記録画素数を持っていれば良い事になります。

ただしハイビジョンテレビの縦横比が16:9なのに対して、一般的なカメラの画像ファイルの縦横比は3:2ですので、もし縦横比が3:2のままで同じ207万画素の画像ファイルにしたら、縦横が1764x1176画素になってしまい、下図の様に画像が上下でははみ出して、左右では足りなくなってしまいます。


3:2の画像ファイルの場合、207万画素でもハイビジョンテレビに収まらない

このため、ハイビジョンテレビに等倍で映すためには、下図の様に横幅がハイビジョンテレビと同じ1920画素の画像ファイルが必要になるという訳です。


3:2の画像ファイルの場合、246万画素が必要になる

この場合、1920x1280画素になりますので、全画素数は246万画素になります。

本項をまとめると、以下の様になります。

①カメラで撮った写真をハイビジョンテレビに等倍で映し出すには、画像ファイルも同じ様に1920x1080画素(207万画素)の記録画素数が必要である。

②もし縦横比3:2の画像ファイルをハイビジョンテレビに等倍で映し出したいのであれば、画像ファイルは1920x1280画素(246万画素)の記録画素数が必要である。


③もっと端的に言えば、ハイビジョンテレビで写真を見るのであれば、縦横比が何であれ300万画素で十分である。


5. モニター上の画像の見え方

先ほどカメラの画像をハイビジョンテレビで見るには、300万画素の記録画素数で充分だとお伝えしました。

とは言え、こう思われている方はいらっしゃるのではないでしょうか?

もっと記録画素数を大きくすれば、もっと高精細の綺麗な画像になるはずだ。

そう思われる方のために、実際に記録画素数を変えてハイビジョンテレビに映し、画像の見え方を調べてみました。


具体的には、上の風景をカメラの記録画素数を1200万画素~100万画素に変えて撮影し、これをハイビジョンテレビに出力し、そのモニター画像の一部を拡大して撮影したのが下の写真です。


3968x2976 (1200万画素)   3264x2448 (800万画素)    2560x1920 (500万画素)


2048x1536 (300万画素)    1600x1200 (200万画素)    1280x960 (100万画素)

いかがでしょう。違いが分かりますでしょうか?

300万画素がほぼ等倍(標準)なのですが、100万画素で確かに劣化が認められるものの、それ以外は全く差が認められないというのが感想ではないでしょうか。

その通りなのです。

300万画素以上の画像ファイルの場合、それ以上の画素は単純に間引かれる(捨てられる)だけですので、決して画像の精細性は上がらないのです。

また200万画素の画像についても、計算上は300万画素に対して1.5倍に拡大しているのですが、この程度の拡大ですと然程劣化を感じないのです。

いずれにしろハイビジョンテレビで画像ファイルを見る限り、300万画素で十分である事はご理解頂けたのではないでしょうか。


6. モニターの解像度と必要な記録画素数

いままではハイビジョンテレビを例に話してみましたが、それ以外のモニターで必要となる記録画素数を以下に示します。

モニター解像度(Pix) 例(用途) 必要な記録画素数
(縦横比3:2の場合)
7680x 4320 3,318 万画素
(33MPix)
8Kテレビ(16:9) 3932
万画素
7680 x 5120
3840 x 2160 829 万画素 4Kテレビ(16:9)
Xperia Z5 Premium
983 万画素 3840 x 2560
2732 x 2048 560 万画素 iPad Pro(4:3) 629 万画素 3072 x 2048
2560 x 1600 400 万画素 Xperia Z4 Tablet (16:10) 437 万画素 2560 x 1707
2048 x 1536 314 万画素 現行iPad、iPad mini(4:3) 354 万画素 2304 x 1536
1920 x 1200 230 万画素 Xperia Z3 Tablet Compact(16:10) 246 万画素 1920 x 1280
1920 x 1080
207 万画素 フルHVテレビ(16:9)
iPhone 6Plus系
246 万画素 1920 x 1280
1440 x 900 130 万画素 MacBook Air 13インチ(16:10) 138 万画素 1440 x 960
1366 x 768 105 万画素 MacBook Air 11インチ(16:9) 124 万画素 1366 x 911
1334 x 750 100 万画素 iPhone 6系(16:9) 119 万画素 1334 x 889
1280 x 720 92 万画素 副HVテレビ(16:9) 109 万画素 1280 x 853
1024 x 768 78 万画素
(236万 ドット)
初代iPad、iPad mini(4:3)
ミラーレス一眼用電子ファインダー
(α7シリーズ、X-T1等)
88 万画素 1152 x 768
1136 x 640 73 万画素 iPhone 5系(16:9) 86 万画素 1136 x 757
720 x 480 35 万画素
(104万 ドット)
カメラ用背面モニター(3:2)
EOS 5Ds、X-T1等
35 万画素 720 x 480
640 x 480 31 万画素
(123万 ドット)
カメラ用背面モニター(4:3)
(赤青緑に白を追加)
(α7IIシリーズ、Nikon D7100等)
35 万画素 720 x 480
640 x 480 31 万画素
(92万 ドット)
カメラ用背面モニター(4:3)
(α7シリーズ等)
35 万画素 720 x 480
480 x 320 15 万画素 初期iPhone(3:2) 15 万画素 480 x 320
注:4:3の背面モニターは、下部1/9の領域をデータ表示に、上部8/9の領域を画像表示(3:2)に使用している。

上の表をご覧頂きます様に、フルハイビジョンテレビで写真を見る限り、300万画素(正確には246万画素)で写真を撮っておけば十分という事になります。

また今話題の4Kテレビで見る事を考えると、記録画素数はフルハイビジョンテレビの4倍の1,000万画素(正確には983万画素)で撮っておけば良い事になります。

さらにその先の8Kテレビの場合、4,000万画素が必要になりますが、これが普及するのはまだ数年先でしょう



7. 推奨記録画素数

今までは、現実的な記録画素数について述べてきましたが、折角買ったカメラを贅沢に使いこなしたい方へのお勧めをご紹介したいと思います。

それは、先ず64GB程度の大容量メモリーを用意して、RAWファイル+JPEGファイルで撮影する事です。

この利点は以下の通りです。

①64GBのメモリーを用意すれば、例えRAWファイル+JPEGファイルであっても、1000枚以上の写真を撮影でき、数日間は撮影可能枚数を気にせずにいられる。

ちなみに今時一般的な、2,400万画素のカメラの撮影可能枚数は以下の通りです。


②RAWファイルで撮影すれば、ホワイトバランスもダイナミックレンジも露出も、後でいかようにも調整でき、万一露出不足等があっても簡単に救済できる。

③RAWファイルだけだと、後でパソコンを使った面倒な現像処理が必要になるが、同時にJPEGファイルも作成しておけば、その手間が省ける。

④RAWファイル+JPEGファイルで撮影すると、ファイル容量が膨大になってしまうが、もしJPEGファイルで問題なければ、RAWファイルのみ消去してしまえば、ファイル容量を一気に減らす事が可能である。


5: まとめ


それでは最後にまとめです。

①ハイビジョンモニタで写真を見るのであれば、記録画素数は300万画素、4Kモニタならば1000万画素、8Kモニターならば4000万画素で十分である。

②上記より画素数を上げても、各モニターで見る写真の画質は変わらない。

③写真を16:9のモニターでしか見ないという方以外は、縦横比は3:2を選択するべきである。






カメラの画素数とモニターの解像度との関係





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