水中ハウジングのお手軽結露(曇り)防止策
2020/03/16:発行
2020/05/25:追記
2020/05/25:追記
はじめに
水中写真を撮られる方でしたら、何方も経験がおありでしょう。
水中ハウジングのガラス面内側に生じる、ニックキ結露を。
水中ハウジングのガラス面内側に生じた結露
これを防止するためには、乾燥剤をハウジング内に入れるのが一般的なのですが、乾燥した環境で蓋を閉じれば手っ取り早く、結露を防止する事ができます。
そんな訳で、今回は冷蔵庫を使った簡易結露防止策をお伝えします。
この方法でしたら、乾燥剤の入れられないGopro等の水中カメラにも応用可能ですので、是非参考にして頂ければと思います。
概要
やり方は至極簡単です。
水中ハウジングを裏ブタを開けた状態で冷蔵庫に入れ、空気が入れ替わった頃合いを見計らって、カメラをセットして裏蓋を閉める。
それだけの事です。
そう聞くと、ハウジングが冷えるまで入れたり、カメラまで冷蔵庫に入れたりと、予想外に事をされるかもしれませんので、手取り足取りその手順をお伝えします。
結露再現試験
さて、いきなり結露防止手順に進みたい所ですが、どなたもこれからお話する方法でうまくいくのかどうか心配されている事でしょう。
そんな訳で、先ずは結露を再現させる方法をご紹介したいと思います。
この方法をしっておけば、後で本当に結露防止が有効かどうか、潜る前に確認する事ができます。
ではどうするかですが、これまた恐ろしく簡単です。
①Oリングをセットした水中ハウジングを手元に用意します。
②蓋を閉じます。
③冷蔵庫の製氷皿から氷を1個取り出して、水中ハウジングのガラス面に乗せます。
水中ハウジングのガラス面に氷を乗せる
④あとは数分待つだけです。
⑤恐らく5分も掛からないのではないでしょうか。ガラスの内側に結露が生じます。
氷で冷やされるとガラス面内側が結露する
これで結露を、簡単に再現できる事ができました。
後は結露対策をした後同じ事を行ない、ハウジング内部が結露しない事を確認するだけです。
なおGoPro等の水中カメラの場合、水中ハウジングよりはるかに内部の空気量が少ないため、結露する事はかなり稀です。
ですので、もし上記方法でレンズ面が結露しなければ、これからお伝えする結露防止策を講じる必要は一切ありません。
結露防止策
さて、いよいよ本題である結露防止策です。
先ず室内で水中ハウジングとカメラの準備をします。
①水中ハウジングとカメラのセットアップする。
いつもの通り、水中ハウジングのOリングにグリスを塗ったり、カメラのバッテリーや、メモリーカード装填します。
カメラを防水ケースにセットする
準備が整ったら、一旦水中ハウジングにカメラをセットして裏蓋を閉めます。
この作業を冷蔵庫内で行いますので、目をつぶってできる程慣れろ、とまでは言いませんが、速やかにセットできる様にしておいて下さい。
その状態で数枚撮ってみて、問題ない事を確認したら、裏蓋を開けてカメラを取り出します。
②冷蔵庫にスペースを確保する。
この水中ハウジングを冷蔵庫に入れるのですが、恐らく冷蔵庫は食材で満杯だと思いますので、事前に庫内にスペースを確保します。
作業は数分で終わりますので、棚一段分の食材を一旦庫外に出すのも手かもしれません。
なお冷蔵庫内で水中ハウジングの裏蓋を閉めますので、どうしても裏蓋を開閉できるスペースが必要です。
また冷蔵庫の扉を長時間開けていると、庫内の空気が逃げて湿度が高くなっている恐れがありますので、その場合は冷蔵庫の扉を閉めたら数分度待ちます。
③水中ハウジングを裏蓋を開けた状態で、冷蔵庫に入れる。
それではいよいよ冷蔵庫に水中ハウジングを入れます。
冷蔵庫内に水中ハウジングを裏蓋を開けた状態で入れる
当然ながら裏蓋は大きく開けておきます。
また写真では冷蔵庫の扉を大きく開けていますが、実際は最小限開いて、素早く扉を閉じて下さい。
④水中ハウジングを庫内の空気に馴染ます。
水中ハウジングを庫内に入れて、冷蔵庫の扉を閉めたら、3分程待ちます。
何度も言いますが、これは水中ハウジングを冷やすのが目的ではありませんので、3分で十分です。
また間違ってもカメラ本体まで冷蔵庫に入れてはいけません。
この理由ですが、もしカメラを冷やして何かの不都合(例えば裏蓋がうまく閉まらない等)があってカメラを単体で庫外に出す必要があった場合、カメラが一気に結露してしまうからです。
カメラは決して冷やしてはいけません。
⑤冷蔵庫内でカメラのセットアップ
3分過ぎたら、冷蔵庫を開けて、庫外にあったカメラを冷蔵庫内で水中ハウジングにセットして裏蓋を閉じます。
カメラを冷蔵庫内で水中ハウジングにセットして裏蓋を閉じる
できれば、これを10秒以内でやって頂けるのが理想です。
言うまでも無いでしょうが、この時間が短ければ短い程、冷蔵庫内の乾いた空気を水中ハウジングに閉じ込め、結露を防げる事になります。
⑥水中ハウジングを冷蔵庫から取り出す。
水中ハウジングの裏蓋を閉じたら、水中ハウジングを冷蔵庫から取り出します。
取り敢えずこれで終了ですが、念のために効果確認をしておきましょう。
水中カメラの場合
2020/05/25:追記
ここで、GoProの様な水中カメラの結露防止策をお伝えしておきます。①先ず水中カメラからバッテリーやSDカードを抜いて、バッテリー挿入口の蓋を開けた状態で冷蔵庫に入れます。
②カメラの開口部が小さいので、できれば一晩程度は冷蔵庫内に放置したい所です。
なお昼間にカメラを冷蔵庫に入れると、冷蔵庫の開け閉めでカメラが結露する可能性があるので、断然夜間がお勧めです。
③そして朝になったら、冷蔵庫内でバッテリー挿入口の蓋を確実に締めてから冷蔵庫から取り出します。
④冷蔵庫から取り出すとカメラの外周が結露しますが、本体が防水ですので、気にする必要はありません。
これで終わりですが、もしカメラ外周の結露が気になる様でしたら、冷蔵庫から取り出す前にビニール袋にカメラを入れた後冷蔵庫から取り出します。
そうすればビニール袋の外周に結露しても、カメラへの結露を防ぐ事ができます。
そしてカメラの温度が室温と同じになったら、ビニール袋からカメラを取り出します。
結露防止の効果確認も水中ハウジングと同じ様にできます。
なお折角カメラ内部を乾燥できたのですから、なるべくバッテリー挿入口を開けた状態で長い間放置するのは控えましょう。
結露防止効果の確認
先ほどの氷がまだ残っていると思いますので、それを冷蔵庫から取り出した水中ハウジングのガラス面に乗せます。
暫く待って、水中ハウジング内に結露が発生しなければ、終了です。
なお庫内でのカメラのセットに手間取ったりすると、上の写真の様に僅かにガラス面内側が曇る事があります。
氷で冷やして僅かに発生した結露(黄色〇部)は問題ない
ですがこれは水温0℃近い過酷な条件での結露ですので、せいぜい水温20℃程度のスポーツダイビングでしたら全く問題ありません(結露しません)。
冷蔵庫の片付けを除けば、正味10分もあれば終わると思いますので、是非お試し下さい。