富士フイルムの中判ミラーレスカメラGFXは、
どれくらいボケるのか?
September 2016
目次
- はじめに
- 結論
- ボケが予想外に小さい理由
- まとめ
はじめに
富士フイルムから中判ミラーレスカメラ、FUJIFILM GFX 50Sが発表されました。
中判ミラーレスカメラFUJIFILM GFX 50S
35mmフルサイズ比で1.7倍のイメージセンサーを搭載していますので、フルサイズより大きなボケを作れるのは間違いありません。
具体的には、イメージセンサーのサイズは43.8×32.9mmですので、同じ画角と絞りのレンズを使えばフルサイズより1.27倍(対角線比)ボケが大きくなります。
本機にはGF110mmF2 R LM WRという、フルサイズで87mm相当のレンズがありますので、これを装着したらどの程度のボケになるでしょうか?
GF110mmF2 R LM WR
早速調べてみたいと思います。
結論
百聞は一見にしかず。
GF110mm F2のボケ量を、35mmフルサイズのレンズ達と比べてみると以下の通りです。
GFX 50Sに110mm F2.0のレンズの組み合わせた場合のボケ量
上のチャートは被写体の高さが58cmになる様に撮影した場合、被写体から6.8m離れた背景がどれくらいボケるかを、フルサイズの50mm F1.4のレンズを基準として表しています。(詳細はこちらへ)
これを見るとかなりがっかりではないでしょうか。
中判フォーマットと聞いてかなり期待したのですが、全く大した事はありませんでした。
具体的には、ボケの大きさは145%とフルサイズの85mmF1.8(120%)と85mm 1.4(154%)の間くらいです。
これでレンズと合せて100万円前後だとするとかなり高いと言わざるを得ません。
ついでにお伝えすると、予想外にボケが小さいのには二つの理由があります。
ボケが予想外に小さい理由
先ず一点目は、撮像素子の大きさです。
これは従来(フィルム時代)の中判フォーマットは、6x7判で56x70mm、それより小さな6X4.5判でも56x41.5mmもありましたので、110mm F2.0のレンズでも十分ボケが期待できました。
ところがGFXのGフォーマット(43.8×32.9mm)は、下の図の様に6X4.5判より更に一回り小さいのです。
撮像素子の大きさの違い
ですので、仮に6X4.5判と110mm F2.0のレンズの組み合わせでボケ量を計算すると、152%になりフルサイズの85mm F1.4の154%に迫ります。
6X4.5判(56x41.5mm)に110mm F2.0のレンズの組み合わせた場合のボケ量
となると、今後GFXシステムはセンサーサイズを拡大するかどうか気になる所ですが、Gマウントの大きさを見る限りその可能性は無さそうです。
Gマウントと中判センサーとの間に余裕はない
そして二点目は、レンズです。
このGF110mmF2のレンズが、仮にF1.8まで明るくなったとすると、ボケ量は161%まで大きくなり、フルサイズの85mm F1.4の154%を軽く抜き去ります。
GFX 50Sに110mm F1.8のレンズの組み合わせた場合のボケ量
更に120mm(フルサイズの95mm相当)のF1.8にすれば、ボケ量は何と172%まで跳ね上がり、フルサイズの300mm F2.8(172%)と同じになります。
となるとかなりのインパクトがあり、ボケ愛好家も俄然興味が湧いてきます。
折角ボケ易い中判フォーマット機を開発しながら、なぜフルサイズのボケを凌駕するレンズを用意しなかったのでしょう。
はっきり言ってこのポートレート用のレンズに関しては、フジフィルムの商品企画に失敗があったと言わざるを得ません
まとめ
という訳で、今の所GFXはボケを期待して購入する意味は無さそうです。
なお本機以外にもデジタルパックや一体式の中判デジタルカメラは既に存在していますが、本体だけでもかるく100万円以上しますので、今の所ボケにこだわるのでしたら35mmフルサイズと大口径単焦点レンズが最も現実的な組み合わせと言えそうです。