ニコンは今年中にソニーを追い抜く
2021/1/18:発行
2021/1/24:追記
2021/1/24:追記
はじめに
多くのカメラファンの方々は、こう思われていらっしゃるのではないでしょうか。
今後のカメラ業界は、ミラーレス一眼に先行したソニーと、何だかんだ言いながら底力のあるキヤノンの2強時代になり、ニコンは衰退する。
左からα7III、Nikon Z 6II、EOS R6
ですが、そんな事は決してありません。
ニコンはソニーを今年中に抜き去ります。
何故ならば、という話をこれからたっぷりさせて頂きますので、ニコンファンの皆様はじっくり耳を傾けて頂ければと思います。
新マウント立ち上げの知られざる苦労
さて、いきなり本題に入る前に、ニコンが抱える大きなハンディキャップからお伝えしたいと思います。
皆さんはどう思われるでしょう。
もしNikon Zシリーズの様な新マウントシステムを立ち上げるとなると、マウントのサイズや電子接点の数や配置を決めたら、後はひたすらカメラとレンズを開発すれば良いのでしょうか?
フルサイズで最大口径(55mm)となるニコンのZマウント
確かに新興カメラメーカーが、初めてカメラを造るのでしたら、それで良いのですが、ニコンをはじめとする老舗カメラメーカーが新マウントを立ち上げるとなるとそうはいきません。
最も手間が掛かるのは、従来のレンズとの互換性の確保なのです。
600種類以上もあるFマウントレンズのほんの一部
ニコンの技術者も新しいZマウントの事だけを考えて設計できれば、こんなに楽で楽しい事はないのですが、いかんせん市場に1億本以上もあるFマウントレンズを無視する訳にはいきません。
とは言え、Fマウントも当然ながら電気、メカ、ファームの図面があるので、互換性を考慮した新マウントを設計する事自体は、それほど難しい事ではありません。
ですが、大変なのはその互換性評価です。
理由1:互換性評価終了
ご存知の様にニコンのFマウントレンズは他社のどこよりも多くの種類が存在しますので、その評価はとんでもなく大変だった事でしょう。
では一体どれくらいFマウントレンズの種類があるかと言えば、軽く見積もっても600種類以上あるのです。
とは言っても絞り連動爪の関係でニコンのデジタル一眼レフ(Nikon Dfを除く)に装着できるのは、AI NIKKOR以降のレンズなのですが、それでも360種類もあるのです。
まさかと思われるかもしれませんが、これらのレンズを1本1本使ってZマウントレンズと同じ様な互換性の評価が行われたのです。
もしこの評価に1本1日掛かるとしたら、何と1年と4ヶ月も必要なのです。
Nikon Zシリーズ用のマウントアダプター FTZは、一見単なる筒なのに3万円以上もして高いと思われるかもしれません。
マウントアダプター FTZ
ですが360種類ものレンズでAE撮影が可能で、さらにそのうちモーター内蔵のAF-P、AF-S、AF-Iレンズの計90種以上でAE/AF撮影が可能な事を保証しているとなれば、バーゲンプライスと言っても良いのではないでしょうか。
言っておきますが、サードパーティー製のマウントアダプターの様に単に使えるというのと、保証するのとでは天と地ほどの差があるのです。
この辺が一般ユーザーには見えないものの、ニコンが長年育(はぐく)んできた信頼性の証と言えるでしょう。
ですので、もしニコンユーザーでしたら、長年愛用のFマウントレンズを使って、AFで4K動画が撮れるのです。
動画に全く興味がなくても、試してみたいと思いませんでしょうか。
ちなみにソニーもAマウントレンズ用のマウントアダプターを用意しています。
ですがソニーが動作保証しているAマウントレンズは、ソニーブランドにしたAマウントレンズの30数本だけで、それ以前の100本以上あるコニカミノルタやミノルタブランドのAマウントレンズは動作保証外なのです。
ですので、(ニコンと比べれば)互換性評価はかなり楽だった事でしょう。
そして、もっと羨(うらや)ましいのは、パナソニックです。
パナソニックは、いきなりフルサイズミラーレス一眼市場に超ド級のLumix Sシリーズを引き連れて参入してきました。
過去のレンズとの互換性評価が一切必要の無かったLumix S1
ご存知の様にパナソニックは、今までフルサイズ機を一切製造していなかったため、自社製の過去の遺産が全くありません。(マイクロ4/3のレンズはフランジバックの関係で装着不能)
ですので、他社の様な互換性評価が一切不要なので、Lumix Sシリーズの開発リソースを全て新しいカメラとレンズだけに集中できます。(一部のライカ製レンズは評価したかもしれませんが)
話が長くなってしまいましたが、ニコンはこの一番大変な互換性評価を終了したのですから、これからはのびのびとカメラとレンズの開発に集中できる事になります。
理由2:一眼レフの開発終了
互換性の評価と共に、ニコンとしてはもう一つやらなければいけない事があります。
それは、もしかしたら最終モデルになるかもしれない一眼レフの開発です。
どのカメラメーカーにおいても、一眼レフとミラーレス一眼を共存させると言ってはいるものの、今後は技術的に将来性のあるミラーレス機に開発の軸足を移さざるを得ません。
となると、一眼レフファンの需要に応えるために、今後数年は第一線で使える渾身の一眼レフを開発しておく必要があります。
例えばソニーの場合、APS-C対応の一眼レフであるα77 IIを2014/6に、そしてフルサイズ対応の一眼レフα99 IIを2016/11に発売しました。
Aマウンの最終モデルとなりそうなα77 II(2014/6発売)とα99 II(2016/11発売)
いずれも目立たない存在ながらも、ミノルタ時代から30年以上も続いたAマウントカメラ(の恐らく最終モデル)として高い完成度を誇っています。
実際新しいAマウントレンズが、2015年6月以降1本も発売されていない事から見ても、上の2機種が最終モデルになるのはほぼ間違いないでしょう。
一方ニコンの場合は、APS-Cサイズの高級一眼レフであるNikon D500を2016/4発売に、そしてフルサイズの高級一眼レフNikon D850を2017/9に発売しました。
Nikon D500(2016/4発売)とNikon D850(2017/9発売)
これまた両機とも、非常に完成度の高いモデルで、これ以上の機種はおいそれとは出せないだろうと思わせるほどの出来映えです。
すなわち、ニコンとしてもこれを最終モデルと決めたわけではないものの、もしかしたら最終モデルになるかもしれないと思って開発したのは間違いないでしょう。
それはひとえに、(ソニーと同様)ミラーレス機にリソースを集中させるためです。
さらにフルサイズの中級機であるNikon D780も2020/1に発売され、プロ機のNikon D6も予定通り2020/6に発売されました。
開発発表されたプロ用一眼レフのNikon D6
そんな訳で、現在ニコンでは一眼レフの開発は一時中断して、ミラーレス一眼に集中していると思って間違いないでしょう。
理由3:開発リソースの比較
それでは次に、ニコンがミラーレス一眼に開発リソースを集中した場合、ソニーとのリソースの差を見積もってみたいと思います。
当然ながら開発リソースについては、企業秘密なので正確には分かりませんが、製品数を見れば凡その比較はできます。
例えば、自動車メーカーでしたら、販売車種の数を見れば凡その開発リソースが比べられます。
ではその観点から、ニコンとソニーの一眼レフのモデル数を比べてみたいと思います。
ニコン一眼レフ | ソニー一眼レフ | |||
---|---|---|---|---|
フル | APS-C | フル | APS-C | |
プロ機 | D1桁系 | D3桁系 | α99系 | |
上級機 | D800系 | D7000系 | α70系 | |
中級機 | D700系 | D5000系 | α60系 | |
初級機 | D600系 | D3000系 | α50系 | |
特殊機 | Df | |||
小計 | 5機種 | 4機種 | 1機種 | 3機種 |
総計 | 10機種 | 4機種 |
両社のフルサイズミラーレス一眼が発売された時点での一眼レフのラインナップ
上の表をご覧頂きます様に、ニコンが一眼レフの全盛期だった頃(2018年)10機種を擁していたのに対して、ソニー(2013年)はたったの4機種です。
すなわち、ニコンの方が2.5倍も機種が多かったのですから、単純にニコンの開発リソースはソニーの2.5倍ある事になります。(フルサイズだけで比べると5倍の差)
という事は、これらのリソースを全てミラーレス一眼の開発に回したとすると、ソニーが2.5年掛かる所をニコンは1年で、そしてソニーが5年掛かる事を、ニコンは2年で可能という事です。
そう言うと、ソニーはAPS-Cサイズのミラーレス一眼や、1インチサイズのレンズ固定式カメラが多数あると思われるかもしれませんが、ソニーはこのシリーズも旧製品の併売を行っていますので、実質開発チームは非常に少ないと推測できます。
ちなみにニコンもディスコンになりましたが、1インチサイズのミラーレス一眼であるNikon 1シリーズを販売していましたし、2016年の熊本地震の影響で発売はされませんでしたが、1インチサイズコンパクトのNikon DLシリーズも開発していたのです。
日の目を見る事がなかったNikon DLシリーズ
またレンズに関しては、ニコンのフルサイズ一眼レフ用が42本、ソニーのフルサイズ一眼レフ用(Aマウントレンズ)が20本(ただし大多数がミノルタ時代の設計)ですので、やはりニコンの方が2~3倍以上のリソースがあると考えて良いでしょう。
と言う訳で、これらのリソースを一気にミラーレス一眼に集中すれば、2倍以上の速さでソニーに追い付くと予想できます。
理由4:高級レンズから開発開始
ついでにこの話もしておきましょう。
Zマウントレンズが一気に揃うもう一つの理由が、開発が難しい高級なS-Lineレンズから発売した事です。
S-Lineレンズの代表格であるNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noct
技術的に難しくて重いレンズから開発する事によって、早い時点でZマウントの問題点を抽出できますし、更にこのS-Lineレンズを使ったプロからの良質な問題点指摘を吸い上げる事が可能になりますので、新マウントの完成度を早い時点で高める事が可能になります。
もしこれを逆に進めたとなると、レンズ開発に伴って発生した問題点をボディー側で対応できなかったり、(市場からの指摘がアマチュア層だけに偏って)プロの意見を吸い上げられないと言った問題が発生し、新マウントの熟成に時間が掛かってしまいます。
この点、キヤノン同様にニコンも同じアプローチをしている事が伺えます。
これに対してソニーは、安くて暗くて軽いレンズから発売したため、その後強度面やグリップ性能、更にはAF性能で色々問題があったのはご存知の通りです。
マウント爪がモールドだった初代α7とα7R
実際、初代α7Sにその後発売されたFE85mm F1.4の大口径単焦点レンズを装着して撮った所、瞳AFと言いながら全くピントが合わないので、唖然としたものです。(詳細はこちら)
理由5:ニコンとソニーの性能比較
ここまで読んで頂ければ、本書の予想もあながち絵にかいた餅ではない事をご納得頂けるのではないでしょうか。
とは言え、それでもフルサイズのミラーレス一眼で5年も先行しているソニーに対して、性能面で追い付くのは大変だと思われる事でしょう。
残念ながら、その心配もご無用です。
ニコン機の性能は、ソニーに追い付きつつあるというより、既に追い抜いているのです。
実は本書を書こうとしたきっかけは、何を隠そう今頃になってこれを知ったからに他(ほか)ありません。(詳細はこちら)
下は、同じソニー製のセンサーを使用しているNikon Z 6IIとα7 IIIの仕様を比較した表です。
項目\機種 | Nikon Z 6II (2020/11) |
α7 III (2018/3) |
画素数 | 2450万画素 | 2420万画素 |
ISO感度 (拡張) |
100-51,200 (50-204,800) |
100-51,200 (50-204,800) |
シャッタースピード | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B |
AF | ハイブリッドAF 瞳AF 動物AF 最大81% EV-4.5 |
4D FOCUS リアルタイム 瞳AF 最大93% EV-3 |
連写 | 14コマ/秒 | 10コマ/秒 |
手ブレ補正 | 最大5段 | 最大5段 |
ファインダー | 0.5型 369万dot 0.8倍 21mm |
0.5型 236万dot 0.78倍 19mm |
モニター | 3.2型 210万dot チルト |
3型 92万dot チルト |
動画 | 4K60P (クロップ) FHD120P |
4K30P (クロップ) FHD120P |
無線LAN | 802.11ac | 802.11b/g/n |
価格 | 25万円 | 21万円 |
太字は優れている性能を指す
これをご覧頂きます様に、Nikon Z 6IIの方が新しく価格も上なのですが、明らかに性能はα7 IIIより上である事が分かります。
Nikon Z 6II |
α7 III |
特にに毎秒14コマの連写速度は、プロ機であるNikon D6と同じ性能なのですから、ソニーが逆立ちしても簡単に追い付けるものではありません。
ちなみにメカシャッターで世界速のEOS-1DX IIIですら毎秒16コマです。
恐らくニコンは、Nikon D6のシャッターユニットを惜しげもなく本機に採用したのでしょう。
おまけに毎秒14コマで連続124コマ(9秒間)も撮れるのですから、数年前ならモンスターマシンと呼ばれてもおかしくない性能です。
ニコンもなかなかやるではありませんか。
とは言え、今年(2021年)発売されるであろう次期α7 IVでは、ソニーがまた抜き返すだろうと思われる事でしょう。
ならば、幣サイトが勝手に予想したα7 IVのスペックと比べてみましょう。
項目\機種 | Nikon Z 6II (2020/11) |
α7 IV (2021/?) |
画素数 | 2450万画素 | 2420万画素 |
ISO感度 (拡張) |
100-51,200 (50-204,800) |
100-51,200 (50-204,800) |
シャッタースピード | 1/8000-30, B | 1/8000-30, B |
AF | ハイブリッドAF 瞳AF 動物AF 最大81% EV-4.5 |
4D FOCUS リアルタイム 瞳AF 動物検出 最大93% EV-3 |
連写 (電子シャッター) |
14コマ/秒 | 10コマ/秒 |
手ブレ補正 | 最大5段 | 最大5.5段 |
ファインダー | 0.5型 369万dot 0.8倍 21mm |
0.5型 369万dot 0.78倍 21mm |
モニター | 3.2型 210万dot チルト |
3型 144万dot チルト |
動画 | 4K60P (クロップ) FHD120P |
4K60P (クロップ) FHD120P |
無線LAN | 802.11ac | 802.11ac |
デジタルオーディオ インターフェース |
N/A | 対応 |
価格 | 25万円 | 25万円 |
太字は優れている性能を指す
するとご覧の通り、あくまでも(いつも当たらない)幣サイトの予想スペックなのですが、もしα7 IVがα7 IIIと同じ撮像素子を流用するとしたら、依然Nikon Z 6IIの方が性能は上なのです。
何故ならば、埋め込まれているAFセンサーの数も、出力速度変わりませんので、できる事は限られるのです。
また仮にα7 IVが3000万画素になるとしても、実質的にISO感度が落ちますので、Nikon Z 6IIIの方がトータルで見たら使い易くて画質が良いのは間違いありません。
手っ取り早い差別化の手段として、α7 IVのファインダーやモニターの解像度を上げる手もありますが、これでは価格が一気に跳ね上がってしまいます。
α7 IVの発売が遅れている理由は、この辺に理由があるのかもしれません。
理由6:合理的な動画性能
更に他社より遅れ気味と思われている動画性能ですが、Z 6IIでは10bit N-Log動画出力や有償ながら12bit RAW動画出力にも対応しています。
有償ながら12bit RAW動画出力も可能なNikon Z 6II+ ATOMOS社製外部レコーダー
とは言え、それには外部レコーダが必要だったり、有償のファームアップが必要だと聞くと、やっぱり遅れていると思われるかもしれませんが、そんな事はありません。
むしろ極めて合理的な思想です。
そもそも殆どのユーザーが、Log出力やRAW動画出力なんて使いません。
何故ならば、Log出力にしてもRAW動画出力にしても、後処理が面倒ですし、色味を調整(カラーグレーディング)すると言っても既存のLUTを当てているのが関の山です。
それでいてRAW動画の場合、メモリー容量が飛んでもなく大きくなるのですから。
また念のためにお伝えしておきますと、それらの動画出力をカラーグレーディングすれば画質は良くなると誤解されている方が多いのですが、色味が変えられるだけで、画質が良くなる訳ではありません。
特にLog出力の場合、画像を一旦圧縮して後でその一部分を復元する事になりますので、撮って出しの動画より間違いなく画質は劣るのです。
更にそれらの機能を搭載した機種は、当然ながらその分のコストが数万円分上乗せされているのです。
だったら、ニコン機の様に必要最小限の動画機能に留めておく方が、余程合理的ではないでしょうか。
使わない動画機能を標準で備えている機種は、無駄です。
できる事ならこの思想は、チルト式モニターと同様(余程の理由がない限り)末永く引き継いでいって頂きたいものです。
理由7:好感触のユーザー対応
2021/1/24:追記
そしてもう一つお伝えしたいのが、ニコンのユーザー対応です。
例えばNikon Z 6 IIやNikon Z 7 IIが、市場の意見を取り入れてメモリーカードをCFexpressとSDカードのダブルスロットにした事は既にご存知の事でしょう。
ですがそれ以外にも、例えばグリップの深さを若干変えて右手の中指がボディーにぶつからなくしたり、水準器の表示を見易くしたり、ファインダー内の露出表示を完全に消せる様にしたり、電源OFF時にフォーカス位置を記憶してくれたりと、着々と市場からの声を取り入れているのです。
また今回ようやく縦位置でも操作できるまとまな縦位置グリップが発売されましたが、これには撮影中に片方の電池を交換できるホットスワップ機能を搭載するなど、長時間露光や動画撮影を行うユーザを泣かせる様な仕様まで入っています。
これです。
製品が売れるかどうかは、この様に地道なユーザー対応が一番大切なのです。
今後2年以内にリリースされるミラーレス一眼
ここまで読んで頂ければ、本書の予想は多少なりとも当たる可能性がある事を、ご理解頂けたのではないでしょうか。
となると、次は楽しみな新製品の予測してみたいと思います
先ずはZマウントのフルサイズ機です。
クラス\年代 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
---|---|---|---|---|
プロ機 | Z-1 | |||
高級機 | Z 7 | Z 7 II | ||
中級機 | Z 6 | Z 6II | ||
初級機 | Z5 |
フルサイズ機の予想日程
希望的観測がたっぷり入れて、今年プロ機のNikon Z-1が発売されると思うのですが、いかがでしょうか。
ただしキヤノンが手ブレ補正効果8段のEOS R5とR6を発売しましたので、ニコンも急遽手ブレ補正ユニットの大幅な見直しにより、Z-1が来年にずれ込む可能性は十分あります。
ただしニコンのZマウントはフルサイズで最大径の55mmを採用していますので、(レンズのイメージサークル次第ですが)キヤノン並みの手ブレ補正効果を達成する可能性は十分あります。
それに対してソニーのEマウントの径は、(元々APS-Cサイズ用として設計されたので)たったの46mmしかありませんので、どんなに頑張っても6段を超える事はないのでしょう。
このマウント径の差が、これからじわじわとボデイーとレンズの性能に現れていく事になります。
実際、初代α7が発売されて既に7年になりますが、未だにソニーのEマウントレンズにF1.2の大口径レンズは無いのですから。
続いては、ZマウントのAPS-Cサイズ機です。
クラス\年代 | 2020 | 2021 |
---|---|---|
プロ機 | ||
高級機 | ||
中級機 | Z 50 | |
初級機 | Z 30 | |
入門機 | Z 20 |
APS-Cサイズ機の予想日程
APS-Cサイズ機については、本年早々ニコンのAPS-Cサイズ一眼レフであるNikon D5600(中級機)とD3500(初級機)が相次いでディスコンになりました。
このため、この代替機として初級機クラスのAPS-Cサイズ機が、近々発売されるのは間違いないでしょう。
幣サイトとしては、ファインダーを外した更に安い入門機も登場すると考えているのですが、どうなる事でしょう。
Zマウントレンズの今後
それでは最後にZマウントレンズを予想してみたいと思います。
今の所、Zマウントのフルサイズ用のレンズは16本(コンバーターレンズを除く)です。
また、現在ニコンが公式に発売を予定しているフルサイズのZマウントレンズは23本です。
公式にコミットされている23本のフルサイズのZマウントレンズ
計算上、年平均8本のレンズをニコンは発売している事になりますので、この23本のレンズ群は今年中に完成すると思ってほぼ間違いないでしょう
一方、ソニーのフルサイズのEマウントレンズは、現時点で34本存在します。
ソニーも当然数本のレンズを今年発売するのでその差は11本以上ですが、レンズ本数が追い付くのもそう先の話ではないでしょう。
まとめ
さてまとめです。
本書では以下の理由により、ニコンは今年中にソニーに追い付き追い抜くと予想します。
①一番大変なFマウントレンズの初期互換性評価が完了した。
②一眼レフの開発もひと段落して、リソースをミラーレス一眼に集中できる。
③ニコンの開発リソースは、少なく見積もってもソニーの2倍以上ある。
④難易度の高いレンズから開発を進めた事により、Zマウントシステムの完成度が高く、今後廉価版レンズの開発が容易になる。
⑤Nikon Z 6IIの性能は、既にα7 IIIはおろか次期α7 IVをも凌(しの)いでいる。
⑥また市場の指摘に対して着々と改良を加えている。
⑦不要な動画機能をオプション設定にしている。
⑧今年中にAPS-Cサイズの初級機が出れば、プロ機以外の商品構成が一通り完成する。
⑨マウントサイズがEOS R以上に大きい事から、その気になれば手ブレ補正効果8段も夢ではない。
⑩今年中にフルサイズのZマウントレンズは23本になる。
ニコンはまだまだやれると、思ってきて頂けましたでしょうか。
ニコンは今年中にソニーを追い抜く