暗闇を掌握したD5と動画を強化したEOS-1Dの真向勝負
NIKON D5 VS EOS-1D X Mark II
February 2016: Issued
January 2020: Reviced
January 2020: Reviced
はじめに
オリンピック開催年に当たる2016年。
カメラファン待望のニコンとキヤノンのフラッグシップ機であるNIKON D5とEOS-1D X Mark IIが発表になりました。
非常に高価(いずれも70万円以上)なので一般ユーザーには簡単には手が届きませんが、両社の最先端技術がふんだんに投入されていますので、今後のカメラ一眼レフのトレンドを見ていく上でも参考になります。
発売はいずれもしばらく先の初春ですが、いち早く仕様書からそれぞれの性能を比較をしてみたいと思います。
どういう結果になるか乞うご期待。
結論
それではいつもの様に、先に結論を述べておきましょう。
このクラスになると、報道、スポーツ、スタジオ撮影等、万能性を要求されるので、どちらも同じ様なスペックになると思われるでしょう。
ところがどっこい。
調べてみると、今回の両機種には明確な違いがありました。
先ず、暗い条件下での撮影を強化したいのでしたら、ISO感度328万の達成と、-4EVでも働くAF機能、更には暗闇でも認識できるイルミネーションボタンを搭載したNIKON D5が断然お勧めです。
感度が上がれば月夜でも手持ち撮影が可能になる(F2.8 1秒 ISO160,000)
例えば上の写真はISO6万5千のシャッタースピード1秒で撮影していますが、D5のISO328万でしたら1/60秒のシャッタースピードが可能になります。
またもし動画を強化したいのでしたら、フレームレイト60Pの4K動画や、4K動画の1枚切り出し、更にはFHD(ハイビジョン画像)でのスローモーション再生可能な120pを実現したEOS-1D X Mark IIがお勧めになります。
シネマ撮影用EOS-1DC(4Kとスーパー35mm動画にも対応)
或いは、もし光学ファインダーに拘(こだわ)るのでしたら、倍率0.76倍でアイポイント20mmのEOS-1D X Mark II。
もしモニターに拘るなら、ドット数236万ドットのタッチセンサー付き液晶を搭載したNIKON D5がお勧めになります。
また殆ど知られていませんが、両者とも2500mAh前後の似た様なバッテリーを使っていながら、D5の方が3倍近く消費電力が少ないのは特筆できます。
このクラスになると、必然的に昔からの固定層が主要顧客になるので、簡単に機材の入れ替えはできないのでしょうが、少なくとも今回の2機種には、暗闇と動画で明確な差異があります。
恐らく今頃両社とも、ライバル機のスペックを見て、次期フラッグシップの仕様を今から練っているのでしょう。
はたして次期フラッグシップはお互いに足りない部分を補強して結果としてまた似てくるのか、はたまた長所を更に伸ばして違いが広がっていくのか。
それとも誰もが全く予想もしなかったミラーレス機が割り込んでくるのか。
それが分かるのは、東京オリンピックが開催される4年後です。
基本コンセプト
先ずニコンの報道資料によれば、D5は格段に向上した動体捕捉力や高感度画質をはじめとする高いパフォーマンスで、幅広いシーンと被写体に対応したフラッグシップモデルとの事です。
以下がその報道資料の抜粋です。
NIKON D5
新世代の153点AFシステムと、約12コマ/秒(AF・AE追従)の高速連続撮影性能によって、さまざまな状況で被写体をより確実に捉えることができます。
また、新開発のニコンFXフォーマットCMOSセンサーと新画像処理エンジン「EXPEED 5」により、ニコン史上最高の常用感度ISO 102400を実現。
静止画撮影時はもちろん、新たに対応した4K UHD(3840×2160)動画撮影時にも優れた高感度性能を発揮します。
さらに、タッチパネル採用の高精細画像モニター、前機種「D4S」(2014年3月発売)から通信速度を大幅に向上させた有線LAN(内蔵)・無線LAN通信、同種メディア2枚が使えるメモリーカードダブルスロットなどにより、ワークフローの高速化を可能にしています。
このほか、180KピクセルRGBセンサーを新採用したアドバンストシーン認識システムがAF、AE、AWBの高性能化に寄与。
低消費電力化、高精度・高耐久性シャッターなどとともに、制御精度と耐久性の両面から信頼性を高めています。
一方EOS-1D X Mark IIにおいては、従来機種のEOS-1D Xより、さらなる高画質化と高速連写を実現しているほか、動画撮影機能と通信機能を強化しているとの事です
EOS-1D X Mark II
高画質と最高約14コマ/秒の高速連写を両立
自社開発の約2,020万画素フルサイズCMOSセンサーと、新映像エンジンを2基搭載した「デュアルDIGIC 6+」やAFセンサー、測光センサーなど、キーデバイスを刷新し、基本性能が大幅に向上しています。
これにより、高画素化とともに、AF・AE(自動露出制御)を追従させながら最高約14コマ/秒の高速連写性能を達成しています。
さらに、AF低輝度限界性能が向上し、暗い環境下での撮影の幅を拡大しています。
また、画質劣化の要因となる歪曲収差や回折現象なども撮影時の補正を可能とし、さらなる高画質を実現しています。
キヤノン独自の撮像面位相差AF技術などによる動画撮影性能の強化
CMOSセンサーの画素が撮像と位相差AFの両方を行う「デュアルピクセルCMOS AF」により、素早く追従性の高いAFを実現しています。
さらに、4K/60pの高精細で滑らかな動画撮影機能に加え、スローモーション映像の撮影に適した120fpsのハイフレームレート動画撮影(フルHD)が可能です。
また、撮影した4K動画から任意の1フレームを静止画として切り出す機能を備えています。
プロのニーズに応える通信機能の強化
USB3.0規格にも対応しており、プロのニーズに応える通信機能を備えています。
また、GPSユニットを内蔵しており、位置情報や撮影時刻の記録が可能です。
さらに、新製品のワイヤレスファイルトランスミッター“WFT-E8B”(別売)を併用すると、5GHz帯域において高速通信が可能です。
両社とも連写、動画、通信機能について語っている所が興味深い所です。
デザイン・サイズ
デザインは両機種とも先代の流れを踏襲していますので、一目でそれと分かります。
実際下の写真を見比べてみても、銘版以外でD4SとD5の差が分かる方は少ないでしょう。
項目\機種 | NIKON D4S | NIKON D5 | 新旧差異 |
---|---|---|---|
サイズ | 約160 × 156.5× 90.5mm | 約160 × 158.5 × 92mm | 高さと奥行が2mmほどアップ |
質量 | 1350g | 1415g | 65gアップ |
バッテリー | 186g | 186g | 新旧変わらず |
ただし折角新しいモデルを購入しても、周りの人に新機種だと分かって貰えないのが寂しい所かもしれません。
その昔は、発売されたばかりのNIKON F2を持っていると、周囲の視線を感じたものです。
一方EOSについては、今回GPSをペンタプリズム上部に搭載した事から、特徴的な膨らみができましたので、知っている人が見ればそれで識別が可能になります。
機種 | EOS-1D X | EOS-1D X II | 新旧差異 |
---|---|---|---|
サイズ | 約158 × 163.6 × 82.7mm |
約158 × 167.6 × 82.6mm |
高さが4mmアップしたが、他は同じ |
質量 | 1530g | 1530g | 重さが変わらないのは立派 ただしNIKON D5より115gも重い |
バッテリー | 185g | 185g | 新旧変わらず |
この特等席にGPSを搭載したのは、撮影時にGPSからの微弱電波が遮られるのを防ぐため、最も人が触れる可能性が少ない場所だったのでしょう。
ちなみに、今にして思えばEOSの原型になったキヤノンT90の外観はこんな感じです。
次にD5とEOSを比較すると以下の様になります。
機種 | NIKON D5 | EOS-1D X II | 差異 |
---|---|---|---|
サイズ | 約160 × 158.5 × 92mm | 約158 × 167.6 × 82.6mm | 高さはEOSが10mmも高いが、幅は2mm、奥行は9mmEOSの方が小さい。 |
質量 | 1415g | 1530g | EOSの方が115gも重い |
バッテリー | 186g | 185g | バッテリーの重さは殆ど変らず |
両機を比べると、高さ以外はEOSよりD5の方が大きいものの、やはりEOSの方が115gも重いのは、短所と言わざるを得ないでしょう。
操作系
操作系についても、新旧で殆ど変らないとみて良いでしょう。
実際背面を見ても、その差はわずかです。
NIKONの場合ですと、背面左側にFn3ボタンが追加された事ぐらいでしょうか。
またEOSについては、Mark IIになってファインダー横にライブビューと動画の専用切り換えスイッチが追加され
、右下のスイッチ周辺に若干の形状変更が見られます。
なおD4Sのときからですが、D5のボタンにはイルミネーション機能が付いているのは、暗闇の中での撮影に非常に重宝します。
撮像素子
次は撮像素子です。
これはちょっと驚きではないでしょうか。
機種 | NIKON D4S | NIKON D5 | EOS-1D X | EOS-1D X Mark II |
---|---|---|---|---|
画素数 | 1,623万画素 | 2,082万画素 | 1,810万画素 | 2,020万画素 |
いずれも画素数を2000万にアップしていますが、EOS-1D X Mark IIの撮像素子は当然ながら自社製として、NIKONの撮像素子はどこ製なのでしょうか?
もしSONY製だとすると、最新の背面照射型になると思うのですが、仕様書にはその様な記述はありません。
また後述しますが、フルサイズで且つ驚くほど高感度のため、一般向けの撮像素子を製造しているサムスン、オムニビジョン、オンセミコンダクター等の海外製とも思えません。
このD5の撮像素子は侮れません。
巷ではルネサス製ではないかとも見られていますが、車載用半導体の世界最大手企業とは言え、そう簡単にキヤノン以上のフルサイズ対応高感度撮像素子を製造できるとは思えません。
ニコンの公式HPを見てもこの撮像素子については、殆ど触れられていない分、余計に興味をそそられます。
なお参考で主要機種の画素数を比較したグラフを貼付しておきます。
これをご覧頂きます様に今時2000万画素前後の撮像素子はめずらしくはないものの、感度や諧調性とのバランスを考えると、この辺が打倒なのでしょう。
ファインダー
恐らくこのクラスのカメラを使う方には、ファインダーにも相応の拘(こだわ)りがあるのでしょう。
このクラスですとどれも視野率は100%なのでこれ以上差別化することはできませんが、以下の様に倍率には違いがあります。
機種 | ファインダー倍率 |
---|---|
NIKON D4S | 0.70倍 |
NIKON D5 | 0.72倍 |
D810 | 0.70倍 |
α99 | 0.71倍 |
α7 | 0.71倍 |
α7R II | 0.78倍 |
EOS-1D X | 0.76倍 |
EOS-1D X II | 0.76倍 |
EOS 5Ds | 0.71倍 |
EOS 5D III | 0.71倍 |
ファインダーの倍率が大きいと、ファインダーの視野が広がります。
下のグラフを見て頂きます様に、ファインダー倍率については明らかにEOSに優位性があります。
またアイポイントもD5が17mmに対して、EOSは20mmを確保しています。
EOS-1D X Mark IIのファインダー
EOSがD5より100g以上重いのは、ファインダーの光学系が重いのも理由の一つかもしれません。
なお電子ファインダーなので一概に比較できないのですが、ソニーのα7RIIのファインダー倍率は世界最大の0.78倍を達成しており、この辺にもミラーレス機の優位性を感じます。
AF性能
次はAF性能です。
これについては、先に新旧の差から見ておきたいと思います。
Nikon D4S
先ずはNikon D4Sです。
この場合、位相差センサー51点が下図の様に配置されています。
ライビューにすれば当然コントラストAFも可能なのですが、これを見る限り光学ファインダーの限界を感じます。
もちろん瞳AFは働きません。
Nikon D5
次にNikon D5です。
本機にいては、従来の位相差センサー51点に対して153点(うち55点を任意選択可能)になり、D4S比で130%以上の広い範囲を高密度にカバーするそうです。
またこのうち99点は、クロスセンサーとしているそうです。
ただし実測では、AFのカバーエリアは全体の19%ほどです。
ちなみミラーレスですと撮像素子を使ったコントラストAFが使えますので、α7R IIですと全画面の64%をAFがカバーしてくれています。
なお5DのAF輝度範囲は-4EVとなり、これは大いに評価できます。
EOS-1D X
続いてキヤノンのEOS-1D Xです。
これも相変わらずの方式です。
上の図の様に、61点の位相差センサーが上図の様に配置されており、その内41点がクロスタイプです。
EOS-1D X II
EOS-1D X Mark IIのAFセンサー配置は以下の通りです。
測距センサー数は、従来と同じ61ポイントですが、画素数は従来の約3倍の36万画素RGBセンサーとIRセンサーを搭載したそうです。
またAF輝度範囲も-3EVまで広がりましたが、NIKON D5の-4EVには後塵を拝しました。
AF性能のまとめ
上記をまとめると、以下の様になります。
機種 | 位相差AF (クロスタイプ) |
像面位相差AF | コントラストAF | 瞳AF | 最低輝度 |
---|---|---|---|---|---|
NIKON D4S | 51点 (15点) |
- | - | - | -2EV |
NIKON D5 | 153点 (99点) |
- | - | - | -4EV |
EOS-1D X | 61点 (41点) |
- | - | - | -2EV |
EOS-1D X II | 61点 (41点) (デュアルクロス5点) |
- | - | - | -3EV |
α7RII | - | 399点 | 25点 | ○ | -2EV |
α77II (APS-C) |
79点 (15点) |
- | - | ○ | -2EV |
α6000 | - | 179点 | 25点 | ○ | -0EV |
α99 | 19点 (11点) |
102点 | - | - | -1EV |
という訳で、位相差AFのポイント数ではNIKON D5に劣りますが、小さなAFセンサーで数を増やすか、大きなAFで数を減らすかの差ですので、実質的には殆ど差はないと言えると思います。
ただし最低輝度が-4EVという事で、AF性能についてはD5に軍配を上げたいと思います。
ただしこの2台だけで比べれば、そう言えますが、ミラーレス機と比べればいずれも劣ると言わざるを得ません。
なぜならば、(途中で何度か述べました様に)ライブビュー以外でコントラストAFが使えないからです。
コンティニュアスAFにおいても働く瞳AF
今時ミラーレス機では当たり前になっている瞳AFが使えないのは、どう考えても遅れています。
2020/1/5:改訂
と従来は書いていたのですがEOS-1D X Mark IIにおいては、中央の5点がデュアルクロスセンサーである事をすっかり見落としていました。
これは1ポンと当たり4つのAFセンサーを使いますので、この5点で20個ものAFセンサーを使って測距精度を上げていると言えます。
という訳で測距点が少ないながらも、シングルとクロスタイプのAFセンサーしか田泓祭していないD5や、ましてや縦線しか検知できないシングルタイプのAFセンサーしか搭載していないミラーレスより、EOS-1D X Mark IIのAF性能は優れていると言えます。
ISO感度
ISO感度については、NIKON D5が俄然目立ちます。
下の表をご覧頂きます様に、従来はα7SのISO感度40万がトップだったのですが、D5はその4倍の321万を達成しています。
機種 | 撮像素子 | 常用ISO感度 | 拡張ISO感度 |
---|---|---|---|
NIKON D4S | 1,623 万画素 | 100- 25,600 | 30- 409,600 |
NIKON D5 | 2,082 万画素 | 100- 102,400 | 30- 3,280,000 |
D810 | 3,635 万画素 | 100- 12,800 | 32- 51,200 |
α99 | 2,430 万画素 | 100- 25,600 | 50- 25,600 |
α99II | 4,240 万画素 | 100- 25,600 | 50- 102,400 |
α7S | 1,220 万画素 | 100- 102,400 | 50- 409,600 |
EOS-1D X | 1,810 万画素 | 100- 51,200 | 50- 204,800 |
EOS-1D X II | 2,020 万画素 | 100- 51,200 | 50- 409,600 |
EOS 5Ds | 5,060 万画素 | 100- 6,400 | 50- 12,800 |
EOS 5D III | 2,230 万画素 | 100- 25,600 | 50- 102,400 |
当然感度を高くするとノイズも増えるのですが、それでも増感できる価値はあります。
数値だけですとピンとこないと思いますので、これを対数グラフで表すと以下の様になります。
これもISO感度の桁数が多くて分かり難いので、ISO100を0とした場合のEV値で表したグラフが以下になります。
これをご覧頂きます様に、その気になればD5はEOSより3段階暗い所でも写真が撮れるという訳です。
かなり脅威ではないでしょうか。
背面モニター
背面モニターについてもD5の優位性が光ります。
下のD5の宣伝にもあります様に、D5は236万ドットのモニターを搭載してきました。
これを他社のカメラと比較した表が以下になります。
機種 | サイズ | ドット数 | タッチパネル |
---|---|---|---|
NIKON D4S | 3.2型 | 92万ドット | - |
NIKON D5 | 3.2型 | 236万ドット | ○ |
D810 | 3.2型 | 123万ドット | - |
α99 | 3.0型 | 123万ドット | - |
α7 | 3.0型 | 92万ドット | - |
α7 II | 3.0型 | 123万ドット | - |
EOS-1D X | 3.2型 | 104万ドット | - |
EOS-1D X Mark II | 3.2型 | 104万ドット | ○ |
EOS 5Ds | 3.2型 | 104万ドット | - |
EOS 5D III | 3.2型(3:2) | 104万ドット | - |
これを更にグラフにすると、以下の様に他社のモニターの解像度と比べて飛び抜けている事が分かります。
推測ですが、恐らくこれは赤青緑の三色LEDに白色LEDを追加した屋外でも明るく見やすくした液晶で、画素数に直すと59万画素に相当すると思われます。
この解像度のモニターを身近で探すと、サイズは異なるもののiPhone 4の61万画素に近づきますので、撮影後のピント確認もかなり楽になります。
おまけに手袋を使っても反応するタッチパネル(恐らく抵抗膜式)まで搭載していますので、このクラスでは断突1位のモニターと言えます。
ちなみにEOSもタッチパネルを搭載していますが、静電容量式ですので、一般的な手袋をしていると反応してくれません。(導電手袋が必要です)
手ブレ補正
生憎D5にもEOSにもボディー内手ブレ補正は搭載されていません。
一方ミラーレス機は、常時撮像素子で被写体を捉えられる事から、ボディー内手ブレ補正が普及しています。
ニコンもキヤノンもフルサイズのミラーレス機を出す気は全く無さそうですが、長期的な視点で見ればミラーレスの方が将来性があるのは間違いありません。
連写速度
連写速度については以下の通りです。
機種 | 最高速 | AF追随 |
---|---|---|
NIKON D4S | 11コマ | 11コマ |
NIKON D5 | 14コマ | 12コマ |
D810 | 5コマ | 5コマ |
α77 (APS-C) | 12コマ | 12コマ |
α99 | 6コマ | 6コマ |
α7 | 5コマ | 2.5コマ |
α7R II | 5コマ | 2.5コマ |
EOS-1D X | 14コマ | 12コマ |
EOS-1D X II | 16コマ | 14コマ |
EOS 5Ds | 5コマ | 5コマ |
EOS 5D III | 6コマ | 6コマ |
これを速い順にグラフすると以下の様になります。
EOSはとうとう最速で16コマ/秒を達成しました。
初代のEOS-1Dが8コマ/秒でしたので、14年で2倍の速度を達成した事になります。
連写速度を上げるには、必然的にミラーやシャッター、さらにはモーター等の補強が必要ですので、EOSが重い理由はこの辺にもありそうです。
動画
予想通りと言えるでしょうが、D5もEOSも4K動画に対応しました。
ただし5Dの4Kは一般的なUHDTV(3840×2160)ですが、EOSの4Kは映画に対応したより高精細のDCI 4K(4096x2160)に対応しています。
機種 | 動画機能 |
---|---|
EOS-1D X II | 4K(4096×2160):60p/50p/30p/25p/24p Full HD(1920×1080):120p/60p/50p/30p/25p/24p 4K画像の切り出し(885万画素で60コマ/秒) |
NIKON D5 | ・3840×2160(4K UHD):30p/25p/24p ・1920×1080:60p/50p/30p/25p/24p ・1280×720:60p/50p ・1920×1080 クロップ:60p/50p/30p/25p/24p ※60p:59.94fps、50p:50fps、30p:29.97fps、25p:25fps、24p:23.976fps ※標準/★高画質選択可能(3840×2160は★高画質のみ) |
さらに5Dは4Kでのフレームレートが最大30Pですが、EOSは最大60Pです。
またフルHDで5Dは最大60Pで撮影できるのに対して、EOSは最大120Pで撮れますので、スローモーションも可能です。
更にEOSは4K画像の切り出し機能を持っていますので、885万画素で60コマ/秒の連写ができる事になります。
シネマEOS
この辺は映画用のビデオ機を作っているキヤノンの独擅場とも言えます。
電池寿命
さて電池寿命ですが、これはびっくりするほどの差があります。
機種 | 電池寿命 |
---|---|
NIKON D4S | 約3020コマ(Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL18a使用時) CIPA規格準拠 |
NIKON D5 | Li-ionリチャージャブルバッテリー EN-EL18aの1回の充電で「1コマ撮影モード」(CIPA規格準拠)で約3780コマ プロフェッショナルの現場を想定した「連続撮影モード」(当社試験条件)では約8160コマ 動画(CIPA規格準拠)は約110分の撮影が可能 |
EOS-1D X | ファインダー撮影:常温(23℃) 約1120枚/低温(0℃)約860枚 ライブビュー撮影:常温(23℃) 約290枚/低温(0℃) 約250枚 ※フル充電のバッテリーパックLP–E4N使用時 |
EOS-1D X Mark II | ファインダー撮影:常温(+23℃)約1210枚/低温(0℃)約1020枚 ライブビュー撮影:常温(+23℃)約260枚/低温(0℃)約240枚 ※フル充電のバッテリーパック LP-E19使用時 |
仕様書を見ると使用条件の言い回しが異なりますが、いずれもCIPA規格に沿った測定結果なので、直接比較しても良い筈です。
とすると、D5の電池寿命はEOSより3倍も優れています。
本当なのでしょうか?
この差の理由を知りたくてバッテリーの容量を調べた所、何とEOS用の方が容量が上です。
種類 | 形状 | 型番 | 電圧 | 容量 |
---|---|---|---|---|
NIKON用 | EN-EL18 (旧タイプ) |
10.8V | 2,000mAh (22Wh) |
|
EN-EL18a (新タイプ) |
10.8V | 2,500mAh (27Wh) |
||
EOS用 | LP-E4N (旧タイプ) |
11.1V | 2,450mAh (28Wh) |
|
LP-E19 (新タイプ) |
10.8V | 2,700mAh (29Wh) |
とするとEOSの電池寿命が悪い可能性があるのですが、参考でSONYのα99の電池寿命を調べると以下の様になっていました。
機種 | 電池寿命 |
---|---|
α99 | リチャージャブルバッテリーパック NP-FM500H(7.2V, 1600mAh, 11.5Wh)使用時 ファインダー使用時:約410枚 LCD使用時:約500枚 (CIPA規格準拠) |
これからするとEOSの電池寿命が悪いというよりも、下の宣伝にもあります様にD5の省エネ性能が非常に良いと言った方が良さそうです。
一体どこが違うのでしょうか?
非常に興味がある所です。
通信・その他
最後は通信を初めとしたその他のです。
前段でお伝えしました様にEOSには、GPSが新たに搭載されました。
一方D5には、XQDカードかCFカードかを選択できる様になりました。
D4Sにいては、XQDカードとCFカードの混合でしたので、市場から不便との声があったのでしょう。
スロトッルの違いで2モデル持つのは管理費の関係で好ましくはないでしょうが、一度使った新しい技術を無くすのは更に難しかったのでしょう。
EOSの場合、CFast 2.0カード/CFカード対応のデュアルスロットになっています。
なおこれ以外に、EOSではIR測光センサー搭載により、夕景や朝焼け、自然風景の緑を判断する能力を向上させ、より高度な画作りを実現しているそうです。
まとめ
好き勝手な事を書かせて頂きましたが、いかがでしょうか?
これまでの勝敗をまとめますと、以下の様になります。
項目\機種 | NIKON D5 | EOS-1D X Mark II | 理由 |
---|---|---|---|
デザイン | ★ | D5の方が115g軽い | |
操作系 | ★ | D5にはイルミネーションボタンが有る | |
ファインダー | ★ | 倍率、アイポイントでEOSが上 | |
AF性能 (注1) |
★ | 中央5点にデュアルクロスAF採用 |
|
ISO感度 | ★ | D5はISO感度321万達成 | |
背面モニター | ★ | D5は236万ドットの液晶搭載 | |
連写速度 | ★ | EOSは16コマ/秒を達成 | |
動画 | ★ | 動画機能は明らかにEOSが上手 | |
電池寿命 | ★ | 電池寿命はD5の方が3倍優れている | |
通信その他 | ★ | EOSはGPS搭載 | |
計(注1) | 5 |
5 |
10 |
注1:AF性能はEOS-1D X Mark IIに軍配を変えました。(2020/1/7)
以上より、今回の勝負は
まとめると、Nikon D5はISO感度が高くイルミネーションボタンを搭載してAFも-4EVまで働く事から暗闇に強く、EOS-1D X Mark IIは連写や動画に強いと言えます。
なおまとめを書いて思うのは、これらのカメラでなければ絶対に撮れないという写真はないという事です。
とすると、これらのカメラの優位性は何かとなると、間違いなく歩留まりが良くなる事でしょう。
既に知られている事ですが、優れた写真は撮影枚数が多いほど生まれる可能性が高くなります。
これらのカメラは、優れた耐久性や機能性から、間違いなく不良品の発生頻度を抑えられると言えます。