ファインダー撮影はもう古い

2021/05/07:発行


目次



1. はじめに


スマホを使って撮影する機会が増えたせいなのか、背面モニターを使って撮影する機会が多くなってきました。

そうは言ってもカメラを使って撮影する場合は、両脇を締めてカメラを顔に押し当ててファインダーを覗いて撮るのが基本中の基本だと思われている事でしょう。

かく言う幣サイトも、今まではそう思っていたのですが、どうもここ最近むしろ背面モニターを使った撮影の方が合理的ではないかと思う様になってきました。

そんな訳で今回は、ファインダーなど使わずに背面モニターを使った撮影を主流にすべきだという持論を展開させて頂きたいと思います。

なおここでは、光学ファインダーを搭載した一眼レフではなく、現在主流になりつつありますミラーレスカメラを基に話をしています。


2. ファインダー撮影は高さが限定される


それでは先ず、ファインダー撮影における問題点から話を進めていきたいと思います。

通常ファインダーを使った撮影を行なう場合、立ったままの状態か、もしくはしゃがんだ状態での撮影の2者択一ではないでしょうか。

この場合、カメラの高さは成人男子の場合で1mと1.6m前後になります。

当然腰を曲げたり寝転んだりすれば、これ以外の高さの撮影も行なえるものの、頻繁に行なうには無理があります。

すなわち、ファインダーを使った撮影では、撮影高さがこの2点にほぼ限定されるのです。

もっと言わせて頂ければ、ファインダー撮影の大多数は立ったままの状態で行なわれているのです。

実際過去ご自分の撮った写真を見て頂きたいのですが、大多数が地上から1.6m程度の高さから撮られていると思います。

これでは、年中似た様な写真を撮り続ける事になります。


モニター撮影の場合、無理な姿勢をせずに好きな高さで撮影ができる

一方背面モニターでしたら、地面すれすれの低い位置から、手を伸ばした高い位置からも撮れますので、明らかにファインダーを使った撮影よりレパートリーが増えます。


3. ファインダー撮影は速写性が劣る


続いては、ファインダー撮影は速写性が劣るという事です。

通常、撮影時以外のカメラは、首や肩にストラップを付けてぶら下げているか、右手に持った状態で腰の位置にあるのではないでしょうか。

そしていざ撮ろうとしたときに、カメラを顔の高さまで持ち上げる事になります。

ところが背面モニターを使った撮影でしたら、わざわざ顔の高さまで持ち上げる事もなく、腰の位置から即撮れるのです。

何だその程度の差かと思わるかもしれませんが、一瞬を争う射撃の場合、(目の高さで照準を合わせる事なく)ホルスターから抜いた銃を腰の当たりでトリガーを引くのと同じ事です。

また毎度毎度腰の辺りにあるカメラを顔まで持ち上げるは、ヨクヨク考えるとかなり無駄な作業です。

そんな訳で、速射性においては間違いなくモニター撮影の方が優れていると言えます。

ただしここで1点問題があります。

背面モニターがチルト式であれば、モニターを僅かに引き出すだけで画面が見えるのですが、バリアングルモニターの場合、一度180度回転させそれからチルトしなければいけないという手間が必要になります。

そんな訳で、これはあくまでもチルト式の場合で、バリアングルの場合は一テンポ遅れるか、背面モニターを閉じた状態で覗き込むしかないという事になります。

それが故にバリアングルモニターはいい加減止めてほしいのですが、何とかならないものでしょうか。


4. モニター撮影の手振れ問題


モニター撮影のメリットを知って頂いた所で、次にモニター撮影の問題点を考えてみます。

この場合、真っ先に思い浮かぶのは手振れではないでしょうか。

ファインダー撮影の場合、両腕の肘を身体に固定して、かつカメラの背面を顔に固定する事で、3点支持が可能となりブレ難くなります。

ところがモニター撮影の場合、両腕が固定されていないので、手振れが非常に起き易い状態と言えます。

ところがご存知の様に、今どきのカメラは優秀な手振れ補正機能が付いていますので、多少のブレでしたらカメラが防いでくれるのです。

手振れ補正と聞くと、遅いシャッタースピードでのみ有効と思ってしまいますが、むしろモニター撮影のために付加された機能と思った方が良いかもしれません。

そんな訳で、この問題は解決済みにしたいと思います。


5. モニターの視認性


それ以外にモニター撮影の劣る所と言えば、視認性の問題でしょう。

ご存知の様にモニターよりファインダーの方が明らかに視認性は上です。

このため、ピントが正確に合っているかどうかを確認しながら撮影するためには、どうしてもファインダーを覗いて撮影する必要があります。

ところが最近は、瞳AFや動物AFの精度が非常に高くなってきました。

このため、依然モニターの視認性はファインダーより劣るものの、ピント合わせはカメラ任せにできると思ってほぼ問題ないでしょう。

そんな訳で、この問題もほぼ解決済みにしたいと思います。

今後モニターが更に高輝度で、大型になってくれれば視認性もファインダーを凌ぐかもしれません。

なおファインダは周囲が見えない(遮られる)分、撮影に集中できるいう意見もありますが、それについては幣サイトとしては甚だ懐疑的です。

モニター撮影であっても、十分撮影に没頭できます。

何しろモニターを使った撮影中に、道路脇の側溝に落ちた経験があるくらいですから。


6. 外部モニターの追加


先程モニターが高輝度で大型化すると良いとお伝えしましたが、現在でもそれは可能なので、ついでにお伝えしておきます。

それは、下にある様な外付けの外部モニターを追加すれば良いのです。


Feelworld F5 PRO

Feelworld F6

Feelworld F6 Plus

静止画撮影でここまでやられる方はいらっしゃらないでしょうが、動作撮影では既に行なわれている事です。

すなわち動画撮影においては、モニター撮影が当たり前になっているという事です。


まとめ


以上をまとめますと以下の様になります。

①ファインダ撮影の場合、撮影する高さが限定されるのに対して、モニター撮影の場合それがない。

②ファインダー撮影は、モニター撮影より速射性が劣る。

③従来モニター撮影は手振れが最大の問題点であったが、現在ではそれは克服されたと考えて良い。

④モニターの視認性は依然ファインダーより劣るものの、AF性能が向上した現在においては、許容レベルにあると言える。

⑤動画撮影においては、モニター撮影が既に主流になっている。

上記の理由により、(光学ファインダーを搭載した一眼レフならまだしも)ミラーレスカメラにおいては、敢(あえ)てファインダーを覗いて撮る必要はないというより、むしろモニターを使って撮影すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。




ファインダー撮影はもう古い





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