α7R II vs α99 II
(ポートレート用にはどちらが適しているのか?)
2015/06:発行
目次
- はじめに
- 価格
- 大きさ
- 性能
- レンズ
- まとめ
はじめに
2015/6に発売されたα7R II。
SONY α7R II
そして2016/11に発売されたα99 II。
SONY α99 II
いずれも同じ裏面照射型の4200万画素撮像素子を搭載した、SONYの最新鋭フルサイズデジタル一眼です。
とは言え、α7R IIは小型軽量が特徴のミラーレス一眼、対するα99 IIは固定式ながら半透明ミラーを搭載した一眼レフです。
さてこの2機種をポートレート用として使うには、どちらが適しているでしょうか?
色々撮り比べてみましたので、その結果をご報告したいと思います。
価格
さて真っ先に気にになるのは、価格でしょう。
発売当初の価格は、α7R IIが45万円、α99 IIは40万円でしたが、今(2017/5時点)ではいずれも30万円前後に落ちています。
日銀も頑張っているのかもしれませんが、日本のデフレは未だに収束していない様です。
少し待てば値段が下がると思えば、誰も慌てて買いません。
それはともかく、価格に関しては引き分けです。
大きさ
そして、価格の次に気になるのがやはりその大きさと重さでしょう。
ポートレートと言えども、重いカメラを長時間抱えるのは大変ですし、機材一式を運ぶのも一苦労です。
α7R II α99 II
ミラーレスであるが故に小型軽量が売りのα7R IIは、下の表にあります様に電池とメモリー込みで625gなのに対して、α99 IIは849gで、その差は224gもあります。
項目 | α7R II | α99 II | 比率 |
幅×高さ×奥行 | 127 x 96 x 60mm | 143 x 104 x 76mm | - |
体積 | 732cm3 | 1131cm3 | 1:1.5 |
重さ(本体のみ) | 625g(582g) | 849g(770g) | 1:1.4 |
比率で言えば、何と1.4倍も違います。
体積比で見ると1.5倍違いますので、ほぼ見かけ通りの差と言えるのですが、いずれにしろ小さくて軽いに越した事はありません。
という訳で、本体の大きさと重さについては、α7R IIの勝ちなのは間違いありません。
トータルの重さ
先ほど、本体の大きさと重さについてはα7R IIの勝ちなのは間違いありません、と少々持って回った様な言い方をしたのには訳があります。
薄々気が付かれているかもしれませんが、カメラにはレンズが必要なのです。
下の表は、両者の同じ種類のポートレート用レンズの重さを比較したものです。
装着レンズ | Eマウントレンズ (α7R II用) |
Aマウントレンズ (α99 II用) |
差 (E-A) |
35mm F1.4 | 630g | 510g | 120g |
50mm F1.4 | 778g | 518g | 260g |
85mm F1.4 | 820g | 640g | 180g |
24-70mm F2.8 | 886g | 974g | -88g |
レンズ総計 | 3114g | 2642g | 472g |
レンズ総計+カメラ | 3739g | 3491g | 248g |
これをご覧頂きます様に、一般的にミラーレスの方がレンズも軽いと思われがちですが、実はそうでもないのです。
例えば、上の表の上段3本の単焦点レンズ(35mm F1.4、50mm F1.4、85mm F1.4)の場合、一眼レフのAマウントレンズの方が軽いのです。
この理由は、Aマウントレンズの35mmと85mmはAF駆動モーターを内蔵していないせいもあるのですが、ミラーレスだからと言って、レンズが極端に軽くなる訳ではない事は分かって頂けると思います。
なお標準ズームの24-70mm F2.8については、いずれもAFモーターを内蔵している事もあり、Aマウントレンズの方が重くなっていますが、これら4本のレンズの重さを足しても、総重量はAマウントレンズの方が軽いのです。
更に、これらの4本のレンズ+カメラでしたら、依然Aマウントのα99 IIの方が軽いのです。
と言う訳で、ポートレート用の機材一式を運ぶ事を考えると、α99 IIの有利と言えます。
それでは次に撮影時の重さ、すなわちカメラ本体にレンズを装着した時の重さを調べてみましょう。
下の表はα7R IIとα99 IIに、前述のレンズを装着した場合の重さを示しています。
装着レンズ | Eマウントレンズ +α7R II |
Aマウントレンズ +α99 II |
差(E-A) |
35mm F1.4 | 1255g | 1359g | 104g |
50mm F1.4 | 1403g | 1367g | -36g |
85mm F.4 | 1445g | 1489g | 44g |
24-70mm F2.8 | 1511g | 1823g | 312g |
これをご覧頂きます様に、カメラ本体の差は224gもありますが、単焦点レンズを装着すると、その差は-36g~104gに縮小するのです。
特に50mm F1.4レンズ装着時は、むしろα99 IIの方が36gも軽くなっているのです。
という訳で、ポートレート用の単焦点レンズを装着した場合の重さ、すなわち撮影時の重さに関して言えば、α7R IIの方が各段に優れていると言えないのを分かって頂けると思います。
性能
それでは次に性能を比べてみましょう。
先ほど両者は同じ撮像素子を搭載しているとお伝えしましたが、細かく比べるまでもなく明らかに性能はα99 IIの方が上です。
主要な性能を比較すると以下の様になります。
α7R II | α99 II | |
発売日 | 2015/6 | 2016/11 |
撮像素子 | フルサイズ4,240画素 | フルサイズ4,240画素 |
使用レンズ | Eマウント | Aマウント |
ボディ内手ぶれ補正機構 | 搭載(最大効果4.5段階) | 搭載(最大効果4.5段階) |
ファインダー | 視野率100%EVF(倍率:0.78倍) アイポイント約23mm |
視野率100%EVF(倍率:0.78倍) アイポイント約23mm |
オートフォーカス測距点 | 撮像面位相差検出方式:399点 コントラスト検出方式:25点 |
位相差検出方式::79点 (クロスタイプ15点、中央1点はF2.8光束対応) 撮像面位相差検出方式:399点 (ハイブリッドクロス測距点79点) |
測光方式 | 新たにハイライト重点測光、画面全体平均測光追加 | |
ISO感度 | ISO100-25600 拡張:下限ISO50、上限ISO102400 AUTO :ISO100-6400 (上限/下限設定可能) |
ISO100-25600 拡張:下限ISO50、上限ISO102400 AUTO :ISO100-6400 (上限/下限設定可能) |
シャッター速度 | 1/8,000~30秒、バルブ | 1/8,000~30秒、バルブ |
連写 | 最高約5.0コマ/秒 低速約2.5コマ/秒 |
最高約12.0コマ/秒 低速約4.0コマ/秒 |
連続撮影可能枚数 | JPEG:約24枚 RAW:約23枚 RAW+JPEG:約22枚 |
JPEG:約74枚 RAW:約57枚 RAW+JPEG:約56枚 |
動画機能 | 4K対応 | 4K対応 |
液晶モニター形式 | 上下可変(上107°、下41°) TFT駆動3.0型(1,228,800ドット) |
3軸チルト可動式液晶 TFT駆動3.0型(1,228,800ドット) |
カメラアプリ | 使用可能 | 使用不能 |
端子 I/F |
マルチ/マイクロUSB端子 NFC Wi-Fi HDMIマイクロ端子 マイク端子 ヘッドホン端子 |
マルチ/マイクロUSB端子 NFC Wi-Fi HDMIマイクロ端子 マイク端子 ヘッドホン端子 Bluetooth シンクロターミナル |
メモリー | シングルスロットル | デュアルスロットル |
使用電池 | リチャージャブルバッテリーパック NP-FW50 |
リチャージャブルバッテリーパック NP-FM500H |
撮影可能枚数 | ファインダー使用時:約290枚 液晶モニター使用時:約340枚 |
ファインダー使用時:約390枚 液晶モニター使用時:約490枚 |
防滴防塵機能 | 搭載 | 搭載 |
上の表をご覧頂きます様に、AF性能、連写速度、連写撮影可能回数、液晶モニター、バッテリーの撮影可能枚数等は、明らかにα99 IIの方が上です。
また細かい所では、シンクロターミナルが搭載されているのは、スタジオ撮影において評価できますし、3軸チルト可動式液晶はローアングルの縦位置撮影で重宝します。
性能については、α99 IIの圧勝としたいと思います。
レンズ
先ほどレンズの重さについて述べましたが、次にポートレート用レンズの価格も見ておきたいと思います。
先ずはα7R IIのEマウントレンズです。
35mm F1.4 ZA 50mm F1.4 ZA 85mm F.4 GM 100mm F2.8 GM 24-70 F2.8 GM
次はα99 IIです。
35mm F1.4 50mm F1.4 ZA 85mm F.4 ZA 100mm F2.8 ZA 24-70 F2.8 ZA
どれも結構なお値段です。
それはともかく、設計が古い事もあるのですが、Aマウントレンズの方が全体的に安い印象があります。
特にAマウントレンズは中古品が多く出回っている事もあり、更に安いのが分かります。
という訳で、ポートレート用レンズの価格に関してもα99 IIの方が優位性が高いと言えます。
なおレンズについては当然ながら画像が重要なのですが、撮った写真を見比べて識別するのは不可能である事から、ここでは値段だけにこだわっておきます。
まとめ
さてまとめです。
下の表をご覧頂きます様に、α7R IIとα99 IIをポートレート用として比較すると、本体価格とレンズ付きの重さは拮抗しているのに対して、性能についてはα99 IIのが断然優れているので、こちらがお勧めになります。
項目 | α7R II | α99 II |
本体価格 | ○ | ○ |
本体大きさ | ○ | |
AF性能 | ○ | |
連写性能 | ○ | |
レンズ価格 | ○ | |
レンズ重さ | ○ |
また速写性に関してもα99 IIの方が優れているので、スポーツ写真においてもこちらの方が向いていると言えます。
α7R IIにするか、α99 IIにするか悩んでいる方がありましたら、間違いなくα99 IIです。
そんな方に、本書がお役に立てば幸いです。