デジタルカメラ便覧

2014/10:発行
2018/09:更新

目次


▼デジタルカメラ分類チャート

APS-Cサイズコンパクト



高級コンパクトデジタルカメラの走りとなるのが、このAPS-Cサイズの撮像素子を搭載したコンパクトカメラです。

このクラスのカメラは、フジフィルム、リコー、キヤノン、ニコン、シグマが発売していましたが、残念ながらニコンは撤退しました。

ところで本市場に真っ先に参入したのはどのメーカーかご存知でしょうか?

実はニコンでも、リコーでも、フジフィルムでも、キヤノンでもなく、元々はレンズメーカーであるシグマ光機なのです。

ただしシグマのAPS-Cサイズコンパクトカメラは、他社と異なりFOVEONと呼ばれる三層構造の撮像素子を搭載した異色の存在ですので、別頁でじっくりご紹介したいと思います。

なおAPS-Cサイズと4/3サイズの間になる1.5インチの撮像素子を搭載したキヤノンのコンパクトデジタルカメラがありますので、本頁に載せておきます。


フジフィルム


この分野の先駆けは、フジフィルムと言って良いでしょう。

2011年に発売されたレンズ固定式カメラのFinePix X100は、昔ながらのレンジファインダーカメラの風貌に、光学ファインダーと電子ファイダーの切り替え可能なハイブリッドファインダーを搭載して、一躍脚光を浴びました。


ノスタルジックな風貌を備えて登場したFinePix X100

この流れを汲んで、この後(2012年)レンズ交換式のミラーレス一眼であるX-Pro1が生まれる事になります。

一方、レンズ固定式カメラとして進化してきたのが、X100シリーズです。

X100シリーズ & X70 & XF10

X100シリーズは、初代からフルサイズ換算で35mm F2.0の固定焦点レンズを搭載しています。


X100V

XF10


X100F


X70

X100T

X100S

X100

また2016年に発売されたX70は、リコーのGRシリーズを意識したのか28mmF2.8レンズを搭載しています。


リコーのGRシリーズを強く意識したX70

さらに2018年に発売されたXF10においては、完全にGRシリーズをターゲットとして、小型軽量化を進めています。


リコーのGRシリーズをターゲットとしたXF10

なおこれらのモデルは全てレンズシャッターを採用していますので、1/2000秒以下でストロボ同調が可能です。

モデル
(発売日)
特徴 ファインダー モニター 連写 シャッター
速度
常用ISO感度
(拡張)
画素数
X100V
(20/2)
X100Fの後継機で、引き続き光学と電子のハイブリッドファインダーを搭載。
最新の裏面照射型2610万画素の撮像素子と新画像処理エンジンX-Processor 4を採用し、35mmF2.0のレンズも新開発。動画はDCI4K60PとFHD120Pに対応。
チルト式背面モニター採用。
光学

369万dot
16.8mm
0.66倍
自撮り非対応
3.0型
162万dot
Tilt
11コマ/秒 1/4,000
-30", B
(1/32k)
160- 12,800
(80- 51,200)
2,610万画素
X-Trans
XF10
(18/8)
X70と同様に28mm F2.8の広角レンズを搭載したスナップ対応の廉価モデル。
ただしX70が絞りダイヤルやシャッターダイヤルを備えているのに対して、本機は一般的なモードダイヤルと前後ダイヤル方式に変更。
またアクセサリーシューは廃止され、背面モニターは固定になり、撮像素子は一般的なレイヤー配列。

3.0型
104万dot
固定
6コマ/秒 1/4,000
-30", B
(1/16k)
200- 12,800
(100- 51,200)
2,424万画素

レイヤ配列
X100F
(17/2)
X100の4代目
撮像素子を含めて画像処理系をX-Pro2やX-T2と同じものに一新。
フォーカスエリアも49点から91にアップ。
操作ボタンを本体右側に集約。動画はFHD60Pまで。
光学

369万dot
16.8mm
0.66倍
3.0型
104万dot
固定
8コマ/秒 1/4,000
-30", B
(1/32k)
200- 12,800
(100- 51,200)
2,430万画素
X-Trans
X70
(16/2)
小型・軽量ボディにフルサイズ換算28mm F2.8の広角レンズを搭載したスナップ対応モデル。
最速0.1秒の高速AFを実現し、180°回転チルト式のXシリーズ初の静電式タッチパネル採用。
3.0型
104万dot
自撮り対応Tilt
8コマ/秒 1/4,000
-30", B
(1/32k)
200- 6,400
(100- 51,200)
1,630万画素

X-Trans
X100T
(14/11)
光学ファインダーにピントエリアのデジタル画像を拡大表示できる新機能を搭載、操作性改善、1秒~1/32000秒の電子シャッター搭載。 光学

236万dot
0.65倍
3.0型
104万dot
固定
6コマ/秒 1/4,000
-30", B
200- 6,400
(100- 51,200)
1,630万画素

X-Trans
X100S
(13/2)
外観は先代のX100を踏襲し、撮像素子を含め中身を一新したモデル。
像面位相差AF採用、起動時間短縮、ローパスフィルターレス。
光学

236万dot
0.65倍
3.0型
46万dot
固定
6コマ/秒 1/4,000
-30", B
200- 6,400
(100- 25,600)
1,630万画素

X-Trans
X100
(11/2)
マニア好みの外観とハイブリッドビューファインダーを搭載した記念すべき1号機。
世界初となるハイブリッドビューファインダーは、光学ファインダーと電子ファイダーの切り替え可能。
レンズシャッターを採用し、搭載レンズは35mm/F2.0
光学

144万dot
15mm
2.8型
46万dot
固定
3コマ/秒 1/4,000
-30", B
200- 6,400
(100- 12,800)
1,230万画素

レイヤ配列
上記機種は全てストロボ内蔵

なおX100シリーズはX100S以降、撮像素子には画像に定評あるX-Trans CMOS IIを使って、ローパスフィルター無しを実現しています。


リコー


リコーのGRシリーズは、フィルム時代の高級コンパクトカメラであるリコーR1(1994年発売)、リコーGR1(1996年)の流れを受けてデジタル化された単焦点広角レンズ搭載薄型コンパクトカメラです。

初代のリコーGR DIGITAL(2005年)は1/1.8型CCDセンサーだったに対して、GRから撮像素子をAPS-Cサイズにしてより高画質を追求しています。

外観はパッとしませんが、薄型で携帯性に優れ、なお且つ目立たない事から、スナップ好きのカメラ愛好家に根強い人気を誇っています。


フィルムカメラ時代からスナップシューターの名をほしいままにしているGR III

ただし広角系のレンズを搭載している事もあり、撮像素子が多少大きくなっても、ボケの効果を期待するのは無理かもしれません。


GR III

GR II

GR

GR DIGITAL Ⅳ


モデル
(発売日)
特徴 自撮り ストロボ 連写 シャッター
速度
常用ISO感度
(拡張)
画素数
GR IIIx
2021/10
基本性能はGR IIIと同じで、レンズをフルサイズ換算で40mm F2.8にしたモデル。 非対応 無し 不明 1/4,000
-30s

B
(10s-20m)
100- 102,400 2,424万画素
GR III
2019/3
主要デバイス全てを一新したGR IIの後継機。
画素数を2400万画素にアップしながらボディを小型化。
約0.8秒の高速起動と高速ハイブリッドAF、3軸4段分の手ぶれ補正機構、タッチパネル搭載など操作性、機能性を強化。
ローパスフィルターレスながら、手ブレ補正を使ったローパスセレクト機構搭載。
BluetooothとUSB Type-C新規搭載。
非対応 無し 不明 1/4,000
-30s

B
(10s-20m)
100- 102,400 2,424万画素
GR II
2015/7
先代のGRに対して画像処理システムを変更し、Wi-FiとNFC機能を追加。 非対応 内蔵 不明 1/4,000
-5分, B, T
100- 25,600 1,620万画素
GR
2013/5
APS-Cサイズ撮像素子、広角28mm F2.8相当(フルサイズ換算)のGR LENS 18.3mm F2.8を搭載。 非対応 内蔵 不明 1/4,000
-5分, B, T
100- 25,600 1,620万画素
GR DIGITAL Ⅳ
2011/10
1/1.7型CCDを搭載したGRデジタルの最終モデル。
センサーシフト式手ブレ補正、フルサイズ換算28mm F1.9レンズ搭載。
非対応 内蔵 1.5コマ/秒 1/2,000
-3分, B, T
80- 3,200 1,040万画素


ニコン


ニコンは、前述したリコーのGRシリーズが、APS-Cサイズの撮像素子を搭載する数か月前にこの分野に進出しています。

ところが、登場時期が早過ぎたのか、或いは発売当初の値段が高過ぎたのか、それともCOOLPIXと従来と同じモデル名を採用してプレミアム感が低かったせいか、後継機の発売もなく生産中止になっていました。



モデル
(発売日)
特徴 自撮り ストロボ 連写 シャッター
速度
常用ISO感度
(拡張)
画素数
COOLPIX A
(13/3)
28mm F2.8の単焦点レンズを搭載した、ニコン初のプレミアムコンパクト機。
デジタル一眼レフD5100の作像系を流用。ローパスフィルターレス。
非対応 内蔵 4コマ/秒 1/2,000
-30", B
200- 6,400
(100- 25,600)
1,616万画素

またその後、DLシリーズとしてCXサイズ(1インチサイズ)で復活する予定だったのですが、2016/4の熊本地震の影響等もあり、2017/2に販売中止が決定されました。


キヤノン


従来キヤノンは、コンパクトカメラのフラッグシップとして、1.5型の撮像素子を搭載したPowerShot G1 Xシリーズを発売していました。


1.5型撮像素を採用した先代のPowerShot G1 X II

1.5型の撮像素子と聞くとは、感覚的にはオリンパスやパナソニックが採用している4/3サイズより小さい気がしますが、実際にはそれより僅かながら大きいのです。


1.5型撮像素は4/3サイズより僅かに大きい

ところが2017年に発売された3代目のPowerShot G1 X IIIにおいては、新たにデュアルピクセルCMOS AFに対応したAPS-Cサイズの撮像素子を搭載しました。


APS-Cサイズの撮像素子を採用したPowerShot G1 X III

G1 X IIIは、ファインダーも追加され操作性もEOSと同じ方式を導入して、EOSユーザー向けのサブ用高性能コンパクトモデルと言った方が良いかもしれません。

なお1.5型撮像素子はAPS-Cサイズより4/3サイズに近いのですが、PowerShot G1 X IIIがAPS-Cサイズを採用したのに伴い、1.5型撮像素子を搭載した旧PowerShot G1 X もこちらに記載しておきます。

ちなみに、他のPowerShot Gシリーズの構成は以下の様になっています。

モデル名 特徴 撮像素子
G1 X フラッグシップ機 1.5インチ、APS-Cサイズ
G3 X 高倍率ズーム搭載モデル 1インチ
G5 X ファインダー搭載モデル
G7 X ファインダー無しの標準モデル
G9 X 薄型軽量モデル


G1 X III

防水ケースWP-DC56

G1 X II

EVF-DC1

防水ケースWP-DC53


G1 X

防水ケースWP-DC44

モデル 特徴 ストロボ 自撮り Wi
-
Fi
連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
PowerShot
G1 X III

2017/11
新たに APS-Cサイズ撮像素子(デュアルピクセルCMOS)を搭載したG1 X IIの後継機。
電子ファインダーを搭載し、操作性をEOSと共通化し、bluetooth搭載、防塵防滴と最新技術を惜しみなく投入しながらG1 X IIより小型化を達成。
24-72mm F2.8-F5.6レンズ、10cmの接写可能。動画はFHD60Pまで。399g
内蔵 搭載 9
コマ
1/2k

30" B
100
~25.6k
2420
万画素
PowerShot
G1 X II

2014/3
1.5型撮像素子を搭載したG1 X の後継機。レンズを24-120mm F2.0-F3.9に変更し、鏡筒部にコントロールリングを2個搭載、光学式ファインダー廃止し、チルト式の外付け電子ファインダーをオプション設定。液晶モニターは上下チルト式に変更。動画はHDに対応。553g 内蔵 不可 搭載 5
コマ
1/4k

60"
100
~12.8k
1280
万画素
PowerShot
G1 X
2012/3
1.5型撮像素子を搭載した初代G1 X 。
28-112mm F2.8-F5.8の3倍ズームレンズを搭載し、シーンによって自動で切り替わる4段分のレンズ内手ブレ補正と光学式ズームファインダー搭載。
液晶モニターはバリアングル式。
最短撮影距離が20cmが不満。
534g
内蔵 非搭載 4.5
コマ
1/4k

60"
100
~12.8k
1430
万画素

PowerShot Gシリーズは、過去より防水ケースも用意しており、こんな所も好感が持てます。




フジフィルム、リコー、ニコン、キヤノン/APS-Cサイズコンパクト




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