デジタルカメラ便覧
2014/10:発行
2018/11:更新
2018/11:更新
目次
APS-Cサイズミラーレス
フジフィルム
フジフィルムのAPS-Cサイズミラーレスですが、これもかなり気合いが入っています。
プロ用を意識したフラッグシップモデルのX-H1(2018/3発売)
先ず2012年にXシリーズのフラッグシップ機として発売されたX-Pro1は、一昔前のレンジファインダーカメラのスタイルを踏襲しながら、光学式ファインダーと電子ビューファインダーの切り替えを可能にする凝りようです。
2012年に発売されたX-Pro1
さすがに今時光学式レンジファンダーにこだわる方はいないだろうと思っていたのですが、徹底したマーケッティングとFUJIFILM X100(レンズ固定式のハイブリッドビューファイダー搭載機)による市場からのフィードバックにより見事に金脈を掘り当てた様で、本体だけでも15万円と高額でありながら予想外の売れ行きだった様です。
その後どんどんXマウントのモデルを増やしていき、今では以下の様な製品系列になっています。
系列 | 機種 | 特徴 | 撮像素子 |
---|---|---|---|
X-H | X-H2、X-H2S、X-H1 | プロ用を意識した堅牢モデルでH2からモードダイヤル採用(ボディー内手ブレ補正搭載) | X-Trans |
X-T+1桁 | X-T4、X-T3等 | クラシック一眼レフスタイルの高級機 | X-Trans |
X-T+2桁 | X-T30、X-T20 | クラシック一眼レフスタイルの中級機 | X-Trans |
X-T+3桁 | X-T100 | クラシック一眼レフスタイルの入門機 | ベイヤー |
X-S | X-S10 | 一眼レフスタイルで他社と同じモードダイヤル採用(ボディー内手ブレ補正搭載) | X-Trans |
X-Pro | X-Pro2、X-Pro1 | レンジファインダースタイルの高級機 (光学ファインダーと電子ファインダー搭載) |
X-Trans |
X-E | X-E3、X-E2等 | レンジファインダースタイルの中級機 (電子ファインダー搭載) |
X-Trans |
X-M | X-M1 (一代で終了) |
レンジファインダースタイルの中級機 (ファインダー非搭載) |
X-Trans |
X-A | X-A5、X-A3等 | レンジファインダースタイルの入門機 (ファインダー非搭載) |
ベイヤー |
具体的には、プロ用モデルが1機種と、一眼レフスタイルが3機種、レンジファインダー風が3機種(1機種は終了)です。
なおX-Transとは、フジフィルムオリジナルのカラーフィルター配列で、これによってローパスフィルター無しでもモアレを抑えられるというメリットがあります。
このため、フジと言えばどうしてもX-Transのイメージが強いのですが、ベイヤーフィルター搭載機も定評のあるフジカラーを再現しています。
X-Proシリーズ & X-Eシリーズ
それでは、そのX-Proシリーズと中級機のX-Eシリーズを見ていきましょう。
X-E4 |
X-Pro3 |
X-E3 |
X-Pro2 |
X-E2 |
X-E1 |
X-Pro |
X-Eシリーズは、X-Proシリーズからハイブリッドビューファイダーの光学ファインダーを除いた様なモデルですので、電子ファインダー付きのミラーレス機がほしい人にお勧めです。
X-Pro2から光学ファインダーを取り除いたX-E3(XF23mmF2 R WR)
X-E1は2012年製と少々古いのですが、X-E2と画像系は同じですので、中古としてはお勧めです。
X-Mシリーズ & X-Aシリーズ
次はコンパクトモデルのX-MシリーズとエントリークラスのX-Aシリーズです。
X-Aシリーズは、撮像素子はX-TシリーズやX-Proシリーズと異なる一般的なベイヤー配列で、更にファインダーの無いモデルと言えば分かり易いでしょう。
一般的なベイヤー配列の撮像素子を採用したエントリモデルのX-A5
一方X-Mシリーズは、当初上位機種と同じX-Trans CMOSを搭載したファインダー無しモデルだったのですが、さほど市場性がなかったせいか、それともX-AシリーズやX-Eシリーズとバッティングしまったのか、その後後継機の登場はありません。
X-Trans CMOSを採用したものの1代限りに終わったX-M1
X-A7 |
X-A5 |
X-A3 |
X-A2 |
X-A1 |
X-M1 |
生憎このモデルは定評のあるX-Trans™ CMOSではなく一般的なベイヤー配列の撮像素子を使い、ローパスフィルター有りなのですが、他のモデルと画像を比べても遜色ありません。
X-Tシリーズ
一方の雄であるX-Tシリーズは、同じく一昔前の一眼レフカメラを彷彿させるスタイルで、ダイアルで各種設定が行える様になっており(レンズに絞りリングも付いています)、昔ながらのメカニカルな操作が好きな方には最適です。
X-T30 II |
X-T4 |
X-T200 |
X-T30 |
X-T3グラファイト |
X-T3 |
X-T100 |
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X-T2 |
X-T20 |
X-T1 |
X-T1グラファイト |
X-T10 |
X-T10はX-T1の基本性能を踏襲した廉価版モデルですが、プラスチックの外観で一目でそれと分かってしまいますので、X-T1を購入した方が後悔しないと思います。
と言っていたのですが、X-T20になってからは、かなりX-T2の性能に肉薄してきましたので、外観に抵抗がなければ、安いX-T20がお勧めです。
モデル (発売日) |
特徴 | 動画 | EVF | モニター | ストロボ | 連写 (コマ/秒) |
シャッター 速度 (電子) |
ISO感度 (拡張) |
画素数 |
X-T30 II (21/11) |
X-T30のマイナーチェンジモデル。 外観や撮像素子、画像処理エンジンは同じながら、AF性能、自動露出モード、連写可能枚数、背面モニター、4K動画撮時間を向上。 |
C4K 30P FHD 240P |
0.4型 236万dot 0.62倍 |
3型 104万dot 上下tilt Touch |
内蔵 | 8 コマ (30) |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
160- 12800 (80- 51200) |
2610 万画素 |
X-T4 (20/4) |
X-T3の後継機。 X-Tシリーズとして初めて最大6.5段のボディ内手ブレ補正機能を採用。 新開発のシャッターを採用し、15コマ/秒の高速連写に対応。 新開発の大容量バッテリー採用。 最短0.02秒の高速・高精度AFも実現。フィルムシミュレーション」に、ETERNA ブリーチバイパス追加。 |
C4K 60P FHD 240P 120P |
0.4型 369万dot 0.75倍 |
3型 162万dot Vari Touch |
同梱 | 15 コマ (30) |
1/8000 -30, B,T (1/32k) |
160- 12800 (80- 51200) |
2610 万画素 |
X-T200 (20/2) |
X-T100の後継。 厚みは増したもの外観はほぼ同じで78gの軽量化を実現。 背面モニターが3軸チルトからバリアングルに変更。 連写性能、動画性能アップ。撮像素子は一般的なベイヤー配列。 |
4K 30P FHD 60P |
0.4型 236万dot 0.62倍 |
3.5型 276万dot Vari Touch |
内蔵 | 8 コマ |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
200- 12800 (100- 51200) |
2424 万画素 |
X-T30 (19/3) |
X-T20の後継機であり、X-T3のデチューン版。 撮像素子と画像処理エンジンはX-T3と同じのため、AF性能、ISO感度等もX-T3と同じ。 ただしシャッタースピード、ファインダー、モニター等が僅かずつX-T3より劣る。 ボディ外観はX-T20を踏襲しつつ、親指側のホールド性を高め、十字キーの代わりにフォーカスレバーを搭載。 |
C4K 30P FHD 120P |
0.4型 236万dot 0.62倍 |
3型 104万dot 上下tilt Touch |
内蔵 | 8 コマ (30) |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
160- 12800 (80- 51200) |
2610 万画素 |
X-T3 (18/9) |
X-T2の後継機。 第4世代の新撮像素子と新エンジンに換装し、処理速度が従来機の3倍に引き上げられ、AF精度と速度が大幅に向上。 また常用ISO最低感度が200から160に引き下げられた。 APS-Cサイズのミラーレスカメラとしては世界初の4K/60pに対応、 フィルムシミュレーションに、ETERNAやカラークローム・エフェクト等追加。 |
C4K 60P FHD 120P |
0.5型 369万dot 0.75倍 100fps 遅延5ms |
3型 104万dot 3方向tilt Touch |
同梱 | 11 コマ (30) |
1/8000 -30, B,T (1/32k) |
160- 12800 (80- 51200) |
2610 万画素 |
X-T100 (18/6) |
一眼レフスタイルの入門モデル 他のX-Tシリーズと異なり、撮像素子は一般的なベイヤー配列。 ただしX-Tシリーズで初めて、自撮り可能なVari式タッチモニターを搭載。 バッテリーもX-A5に匹敵する最大430枚撮影が可能。 |
4K 15P |
0.4型 236万dot 0.62倍 |
3型 104万dot Vari Touch |
内蔵 | 6 コマ |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
200- 12800 (100- 51200) |
2424 万画素 |
X-T20 (17/2) |
X-T2のデチューン機 ファインダー液晶の大きさを抑え、モニターのtiltを2方向にし、シャッター速度を1/4000とし、非防滴仕様とし、ストロボ内蔵でTouch採用。 |
4K 30P FHD 60P |
0.4型 236万dot 0.62倍 55fps 遅延5ms |
3型 104万dot 上下 tilt |
内蔵 | 8 コマ |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
200- 12800 (100- 51200) |
2430 万画素 |
X-T2 (16/9) |
X-T1の後継機。画素数をアップし、AF(測距点49点→91点)及びシャッタータイムラグの高速化し、操作系をブッラシュアップ。3方向tiltモニター、ダブルスロットも採用し、4K動画対応。 | 0.5型 236万dot 0.77倍 100pps 遅延5ms |
3型 104万dot 3方向 tilt |
同梱 | 8 コマ |
1/8000 -30, B,T (1/32k) |
200- 12800 (100- 51200) |
2430 万画素 |
|
X-T10 (15/6) |
X-T1のデチューン機 ファインダーとモニターの解像度を落とし、非防滴仕様とし、ストロボ内蔵としている。 |
FHD 60P |
0.4型 236万dot 0.62倍 |
3型 92万dot 固定 |
内蔵 | 8 コマ |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
200- 6,400 (100- 51,200) |
1630 万画素 |
X-T1 (14/2) |
一眼レフスタイルのフラッグシップ機 防塵防滴、ローパスフィルターレス、マニュアル操作踏襲、ファームのバージョンアップで機能/操作性向上を実施。動画はFHD/60P |
0.5型 236万dot 0.77倍 |
3型 104万dot 上下 tilt |
同梱 | 8 コマ |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
200- 6,400 (100- 51,200) |
1630 万画素 |
なお先ほどお伝えした様に、Xシリーズはメカニカルなダイヤルを多用している事に伴い、他社のモデルと併用すると、設定方法がかなり違うので少なからず戸惑う事になります。
実際、夜間撮影の翌日に昼間の撮影をすると、かなりあたふたする事になります。
X-Hシリーズ
当初はレンジファインダースタイルのX-Proと、一眼レフスタイルのX-Tシリーズがフラッグシップの双頭だったのですが、2018年3月にそれらの上位機種に当たるX-H1が発売されました。
同社の中判カメラGFX 50Sと同様に小型の液晶モニターの搭載されたX-H1
特徴としては、既に発売されていたX-T2に対して、ボデー全体の堅牢性と操作性を向上させ、ボディー内手ブレ補正を追加しています。
X-H1 |
縦位置グリップ |
ただし、半年後の2018/9に最新の撮像素子とエンジンを搭載したX-T3が登場した事に伴い、売り上げには余り寄与しなかった模様です。
その汚名を晴らすためか、2022年に登場したX-H2SとX-H2には最新の第5世代の撮像素子とエンジンを真っ先に搭載して登場しました。
X-H2(27万円) |
X-H2S(30万円) |
X-Sシリーズ
従来のXシリーズの特徴であるフィルムカメラの操作性から、今風のモードダイヤルと電子ダイヤルの操作性にシフトしたモデル。
X-S10
X-S10の販売状況によっては、X-Sシリーズの一桁モデルや二桁モデルが発売される可能性もあり。
モデル (発売日) |
特徴 | 動画 | EVF | モニター | ストロボ | 連写 (コマ/秒) |
シャッター 速度 (電子) |
ISO感度 (拡張) |
画素数 |
X-S10 (20/10) |
Xシリーズながら他社機と同じ操作性を採用したモデル。 画像系はX-T4と同じ。 X-T4より小型で基本性能は多少劣るが、新開発のボディ内手ブレ補正機構を搭載。 グリップも大きくし、一般的なモードダイヤルを搭載。 フラッシュを内蔵し、バリアングルモニターを採用。 動画はC4K/30P。 |
C4K 30P FHD 240P 120P |
0.39型 236万dot 0.62倍 |
3型 104万dot Vari Touch |
内蔵 | 8 コマ (20) |
1/4000 -30, B,T (1/32k) |
160- 12800 (80- 51200) |
2610 万画素 |
フジフィルムレンズ群
またこの専用レンズには、比較的大口径な単焦点レンズが用意されていますので、ポートレートにもそこそこ不満はないと思われます。
ちなみに、レンズ名に付加されている記号の意味は以下の通りです。
記号 | 意味 |
XF | 画質や操作性重視 |
XC | 軽量コンパクト |
R | 絞りリングが付き |
OIS | 光学式手ブレ補正(Optical Image Stabilizer)搭載 |
APD | 滑らかなボケを表現するアポダイゼーション (Apodization)フィルター搭載 |
LM | リニアモーター内蔵 |
WR | 防塵・防滴仕様 |
Macro | マクロ |
また現時点で、単焦点レンズが13本、ズームレンズが11本、コンバーター2本が準備されています。
単焦点レンズ
広角・標準レンズ | 換算値 | 望遠レンズ | 換算値 |
---|---|---|---|
XF14mmF2.8 R | 21mm | XF50mmF2 R WR | 76mm |
XF16mmF1.4 R WR | 24mm | XF56mmF1.2 R | 85mm |
XF16mmF2.8 R WR | 24mm | XF56mmF1.2 R APD | 85mm |
XF18mm F2 R | 27mm | XF60mmF2.4 R Macro | 90mm |
XF23mmF1.4 R | 35mm | XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro | 120mm |
XF23mmF2 R WR | 35mm | XF90mmF2 R LM WR | 135mm |
XF35mmF1.4 R | 53mm | XF200mmF2 R LM OIS WR | 300mm |
XF35mmF2 R WR | 53mm |
14mmF2.8 (21mm F4.2) |
16mmF1.4 (24mm F2.1) |
16mmF2.8 (24mm F4.2) |
18mm F2 (27mm F3.0) |
カッコ内の値はフルサイズ換算の焦点距離とその際同じ被写界深度になる絞り値
23mm F1.4 (35mm F2.1) |
35mm F1.4 (54mm F2.1) |
56mm F1.2 (86mm F1.8) |
56mm F1.2(APD) (86mm F1.8) |
90mm F2 (138mm F3.1) |
カッコ内の値はフルサイズ換算の焦点距離とその際同じ被写界深度になる絞り値
ズームレンズ
# | モデル | 換算値 | 手ブレ | 防水 |
---|---|---|---|---|
1 | XF8-16mmF2.8 R LM WR | 12-24mm | ○ | |
2 | XF10-24mmF4 R OIS | 15-36mm | ○ | |
3 | XF16-55mmF2.8 R LM WR | 24-83mm | ○ | |
4 | XF16-80mmF4 R OIS WR | 24-122mm | ○ | ○ |
5 | XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS | 27-83mm | ○ | |
6 | XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR | 27-203mm | ○ | ○ |
7 | XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR | 75-210mm | ○ | ○ |
8 | XF55-200mmF3.5-4.8 R LM OIS | 83-300mm | ○ | |
9 | XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR | 150-600mm | ○ | ○ |
10 | XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ | 23-68mm | ○ | |
11 | XC16-50mmF3.5-5.6 OIS II | 24-75mm | ○ | |
12 | XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II | 75-345mm | ○ |
10-24mmF4 |
16-55mmF2.8 |
16-80mmF4 |
18-55mmF2.8-4 |
18-135mmF3.5-5.6 |
50-140mmF2.8 |
XC15-45mm |
XC16-50mm銀 |
XC16-50mm黒 |
XC16-50mm II |
XC50-230mm |
上の広告にあります様にXC16-50mmはII型に変わっていますが、I型との違いは最短撮影距離が30cmから15cmになっただけですので、一般的な撮影なら安いI型、それも黒よりも更に安い銀色タイプがお勧めになります。