単焦点レンズの勧め

2020/12/30:発行

はじめに


写真がお好きな方でしたら、何方も思いは同じ事でしょう。

もっと綺麗な写真が撮りたい。

もっと透明感があって、奥行きのある写真を撮ってみたい。

そのために、高いカメラを買ったりレフ板やストロボを使ったり、RAWファイルを現像したりと、あの手この手を駆使されている事と思います。

ところが、画質は良くなるしコストも抑えられるにも関わらず、面倒でやっていない事があるのです。

今回は、それが何かについてお話してみたいと思います。


単焦点レンズを使う


その方法とは、単焦点レンズを使う事です。

何だそんな事かと思わずに、もう少し話を聞いて頂けますでしょうか。

1. 価格

下はソニーEマウントの標準ズームレンズです。


24-105mm F4

24-70mm F2.8

ご覧の様にいずれもかなりのお値段です。

それに対して単焦点レンズでしたら、以下の様に数本揃える程度でしたらソコソコ手の届きそうな価格です。


28mm F2

35mm F1.8

50mm F1.8

85mm F1.8

そうなると試しに単焦点レンズを使ってみようかと、思われるのではないでしょうか。


2. 画質

単焦点レンズの魅力は、何と言ってもその画質でしょう。

とは言え、もしかしたら普及価格帯の単焦点レンズより、高価なズームレンズの方が画質は良いと思われてはいないでしょうか?

そんな事は絶対にないとは言わないまでも、異なる焦点距離を全域カバーしなければならないズームレンズと、単一焦点距離に特化した単焦点レンズではどちらが光学性能が良いかは考えるまでも無いでしょう。


3. 開放F値

そして最も注目して頂きたいのが、単焦点レンズの開放F値です。

先ほどお見せした単焦点レンズであれば、いずれも開放値はF1.8~F2と、F2.8の大口径標準ズームより1段以上も明るいのです。

先程単焦点レンズの方が画質は良いと言った手前、余り大きな声ではいえませんが、画質については単焦点レンズであろうがズームレンズであろうが、今どきのレンズであれば大きく拡大したり周辺部のあら探しでもしない限り、そうそう違いを判別できるものではありません。

ところが、絞りが1段違うという事は、ボケの直径は1.4倍(正確には√2倍)も異なるのです。

ですから、仮に背景に点光源がないとしても、背景のボケ具合の違いよって明確に違いを出せるという訳です。

また暗闇でも、1段分のアドバンテージがあります。


4. フード

それだけではありません、単焦点レンズにはもう一つ、大きな優位性があるのです。

それはレンズフードです。

下は、キヤノンの標準ズームレンズ(RF24-70mm F2.8)と単焦点標準レンズ(RF50mm F1.2)です。


標準ズームレンズのフードは浅い

この2本のレンズフードをご覧頂きます様に、当然ながら標準ズームレンズのフードは広角端以外でケラレが発生しない様に、50mmの単焦点レンズのフードより遥かに浅くなります。

すなわち、広角端以外の焦点距離においては、ズームレンズのフードは殆ど役に立っていないという事です。

それに対して単焦点レンズは、専用フードですので、余分な外光を最大限遮断できます。

いくらレンズのコーティング技術が進んだとは言え、レンズに直接外光が当たればフレアも発生しますし、コントラストも低下します。

そんな訳で、専用のレンズフードが使えるというのは、単焦点レンズの大きな魅力の一つと言えるのではないでしょうか。


5. 小型軽量

レンズは小型軽量に越した事はないのですが、ここで敢て5番目の利点として上げたのには訳があります。

それはジンバルへの対応です。


ジンバルに乗せるカメラは極力軽くしたい

ジンバルにも便利なズームレンズを搭載したい所ですが、ジンバルにフルサイズのカメラとズームレンズを搭載するとなると、どうしても一回り大きなジンバルが必要になります。

だったら小サイズのカメラとレンズにすれば良いと思われるかもしれませんが、そうなると動画でボケを表現するのが難しくなります。

となると、ジンバル使用時も単焦点レンズがお勧めと言えます。


各社の動向


それでは次に、単焦点レンズに関する各社の動向を見ておきたいと思います。

興味深いのは、ニコンとパナソニックです。

下をご覧頂きます様に、ニコンはZマウントレンズにおいて開放値F1.8で24mmから85mmを準備してきました。


24mm F1.8

35mm F1.8

50mm F1.8

85mm F1.8
ニコンのF1.8通しの単焦点レンズ

いずれも高級タイプのS-Lineで、動画用にピント位置が変わっても画角変動を抑える設計がされているそうです。

更にパナソニックに至っては、下にあります様に同じF1.8で何と外形まで統一させるという念の入れ様です。


外観まで統一させたLUMIXのSマウントの単焦点レンズ

この理由は、カメラに動画用の機材を装着した場合に、レンズを交換してもリグの再調整を無くすためとの事です。

どうやらカメラメーカーは、今後動画を意識しながら単焦点レンズを流行(はや)らそうとしている様です。


単焦点レンズの使い方


そうは言っても、時間の限られた撮影で使うとなると、どうしてもズームレンズに手が出てしまいます。

そんな訳で、実際に現場で単焦点レンズをウマく使う方法を考えてみたいと思います。


メインはズームレンズでサブに単焦点レンズ

これが一番妥当な組み合わせではないでしょうか。

メインの撮影はズームレンズを使って行ない、ここぞという場面で単焦点レンズに切り替える方法です。

当然ながらここぞという場面とは、画質を極めたい、背景をもっとぼかしたい、もっとハレ切りをしたい様な場面です。

これでしたら、撮影時間を大きくスポイルしないで、単焦点レンズを使えるのではないでしょうか。

ところで何方も経験があると思うのですが、一度レンズを交換すると、使い難いと思った単焦点レンズのままでも結構色々撮れてしまうから不思議です。


メインもサブも単焦点

次の手は、メインもサブも単焦点レンズを使う事です。

これはズームレンズを使わないという強い意志と、レンズの交換回数を最小にするために、ある程度の熟練が必要ではないでしょうか。

例えば人物写真の場合、ズームレンズでしたら同じ背景で全身/上半身/アップの3種類が一気に撮れてしまいます。

ところが単焦点レンズだけでしたら、何度もレンズ交換をするわけにいきませんので、先ず広角系を使って背景の異なる全身像を一通り撮り、次に標準系で上半身、中望遠で表情のアップと、レンズ交換に合わせて効率良く撮る必要があります。

また、風景写真やスナップ写真ならばご自分に合った広角系のレンズを主体に、必要に応じてレンズを交換する事になるのではないでしょうか。

そんな訳で、単焦点レンズだけで撮ると言うのは、ある程度ご自分の撮影スタイルが決まらないと難しい様な気がします。


複数持ち

単焦点レンズを使う撮影での理想形はこれでしょう。

複数のカメラに、異なる単焦点レンズを装着しておく事です。

これでしたらズームレンズと同じとは言わないまでも、かなり近い撮り方ができます。

ただしこの場合、当然ながらそれなりの財力と体力が必要になります。


まとめ


それではまとめです。

①写真の画質を極めたいのであれば、単焦点レンズにこだわるのも手である。

②その場合、ズームレンズと比べて価格、画質、ボケ、遮光性、可搬性においてメリットがある。

③ただし間違いなくズームレンズより使い難くなるので、それなりの覚悟と熟練が必要になる。

④このため、ズームレンズをメインに使用して、ここぞという場面で単焦点レンズを使うのが、一番無難かもしれない。

こんなまとめで、お役に立ちましたでしょうか。




単焦点レンズの勧め




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