ボケ易い単焦点レンズのベスト15
(お勧めポートレート用レンズ)
第13位:50mm F1.4
上半身撮影距離:1.2m
ボケ易い単焦点レンズの第13位は、50mm F1.4です。このクラスのレンズは、標準中の標準と言えるレンズですので、ご存知の通り光学メーカー各社から多数発売されています。
ただしそれを逆に言えば、一番特徴の無いレンズとも言えるかもしれません。
実際これで顔のアップを撮ると、広角レンズほどではないものの僅かながら変形(デフォルメ)が生じます。
かと言って被写体から離れると、絞り開放でも背景のボケ効果がどんどん薄れてしまいます。
ですので、もし5万円前後でポートレート用のレンズをお探しならば、本書としては10位の85mm F1.8レンズをお勧めします。
と言い放って、今までは個々のレンズの詳細については割愛していたのですが、この数年このクラスのレンズが明らかに変わってきました。
それが何かと言えば、従来5万円前後の価格帯だったのが、価格が2倍以上となり、更にレンズ自体も長く重くなっているのです。
恐らくこれは、高画素のカメラに対応するため、レンズ性能も大幅に引き上げる必要性が出てきたためなのでしょう。
という訳で、今回はこれら新世代の高級標準レンズに焦点を当てて、いくつかのレンズを取り上げてみたいと思います。
はたして旧世代のレンズより、大幅に進歩しているのでしょうか?
EF50mm F1.4 USM フルサイズ
と言いながら、先ずご紹介するのは、旧世代標準レンズの代表格とも言えるキヤノンのEF50mm F1.4 USMです。
EF50mm F1.4 USM
EF50mm F1.4 USM(1993/6発売) | |||
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最短撮影距離 | フィルター径 | サイズ | 質量 |
0.45m | 58mm | φ74mm×51mm | 290g |
AFモーター | マイクロUSN(超音波モーター) | ||
絞り羽根 | 8枚 | ||
操作性等 | フルタイムマニュアルフォーカス採用 |
ご存知の通り本レンズは、フィルム一眼レフのキヤノンF1と共に登場したFD50mm F1.4の時代から、標準レンズ中の標準とまで言われた銘レンズです。
FD50mm F1.4 S.S.C.
ただしMTFについては、今どきのレンズと比べると、左程良いとは言えないのが辛い所です。
EF 50mm F1.4 USMのMTFチャート
これと比べて、はたして新世代のレンズはどの程度の実力か、これから見ていきたいと思います。
SONY Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM
今になってみれば、新世代高級標準レンズの早過ぎたトップバッターは、これだったのかもしれません。
それは、ソニーのAマウントレンズであるPlanar T* 50mm F1.4 ZA SSMです。
Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM
本レンズはソニーの第2世代となるフルサイズデジタル一眼レフであるα99が発売された2012年に開発発表され、翌年の7月に発売が開始されました。
α99とPlanar T* 50mm F1.4 ZA SSM
紛れも無くソニー製ですが、カール ツァイスの厳しい認定基準に適合した性能と品質を満たしている事から、ZEISSのロゴとPlanarの名称が付与されています。
SONY Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM(2013/7発売) | |||
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最短撮影距離 | フィルター径 | サイズ | 質量 |
0.45m | 72mm | φ81mm×72mm | 518g |
フォーカス | リヤフォーカシング | ||
AFモーター | 超音波モーター | ||
レンズ | 非球面レンズ2枚、EDガラス、T*コーティング | ||
絞り羽根 | 9枚 | ||
操作性等 | ダイレクトマニュアルフォーカス機能、フォーカスホールドボタン搭載、防塵防滴仕様 |
上の仕様表をご覧頂きます様に、従来の標準レンズより一回り大きく、発売当初はなぜF1.4の標準レンズがこんなに大きいのか(まるでF1.2並みに)不思議に思ったものです。
当時第3グループだったソニーとしては、強豪2社と渡り合うためには、こ辺りのレンズから抜本的に改革していかなければならないと、早い内に思い至ったのかもしれません。
前置きが長くなってしまいましたが、気になるMTFは以下の通りです。
Planar T* 50mm F1.4 ZA SSMのMTFチャート
これをご覧頂きます様に、従来の標準レンズとは明らかに一線を画する性能を有しています。
道理で、デカくて高い筈です。
SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM
お次は昨今評判の高い、シグマのArtレンズ 50mm F1.4 DG HSMです。
SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM(2014/4発売)
SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM(2014/4発売) | |||
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最短撮影距離 | フィルター径 | サイズ | 質量 |
0.40m | 77mm | φ85mm×100mm | 815g |
AFモーター | 超音波モーター | ||
レンズ | 非球面レンズ、SLDガラス | ||
絞り羽根 | 9枚 | ||
操作性等 | フルタイムマニュアルフォーカス |
評判が高いだけあって、前述のソニー製よりMTFは優れています。
SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSMのMTF(赤が10本/mm、緑が30本/mm)
となるこれと比べてみたいのが、(これより更に高くて新しい)SONYのEマウントレンズであるFE 50mm F1.4 ZAではないでしょうか?
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA
それではその、ソニーのEマウントレンズPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAです。
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA(2016/7発売)
SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA(2016/7発売) | |||
---|---|---|---|
最短撮影距離 | フィルター径 | サイズ | 質量 |
0.45m | 72mm | φ84mm×108mm | 778g |
フォーカス | インターナルフォーカシング | ||
AFモーター | リングドライブ超音波モーター | ||
レンズ | 9群12枚、高度非球面レンズ、EDガラス、T*コーティング | ||
絞り羽根 | 11枚 | ||
操作性等 | 絞りリング、AF/MFを切り換えるフォーカスモードスイッチ搭載、防塵・防滴仕様 |
上の表をご覧頂きます様に、質量は若干シグマより軽いものの、大きさはほぼ同じです。
また嬉しい事に、懐かしい絞り環も備えています。
ですがEマウントレンズの特徴で、距離指標と被写界深度目盛はありません。
気になるMTFと言えば、以下の通りです。
Planar T* FE 50mm F1.4 ZAのMTFチャート
これをご覧頂きます様に、高いだけあってシグマより更に優れています。
HD PENTAX-D FA☆50mm F1.4 SDM AW
そして最後に控えしは、大御所ペンタックスのHD PENTAX-D FA☆50mm F1.4 SDM AW です。
HD PENTAX-D FA☆50mm F1.4 SDM AW (2018/7発売)
本レンズはペンタックスファンが待ちに待った、DFA☆シリーズ初の単焦点レンズになります。
HD PENTAX-D FA☆50mm F1.4 SDM AW(2018/7発売) | |||
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最短撮影距離 | フィルター径 | サイズ | 質量 |
0.4m | 72mm | φ80mm×106mm | 910g |
フォーカス | リヤフォーカシング | ||
AFモーター | リング型超音波モーター | ||
レンズ | 3枚の異常低分散ガラスと非球面レンズ1枚を採用 | ||
コーティング | HDコーティング エアロ・ブライト・コーティングII SPコーティング |
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絞り羽根 | 9枚 | ||
操作性等 | 防塵・防滴仕様、AF/MFを切り換えスイッチ |
上の表をご覧頂きます様に、外形は僅かながらソニーのEマウントレンズの方が大きいものの、重さは本クラスで最大級です。
またコーティングは優秀で、フレアが殆ど出難いとの評価が多く見られます。
更に他社のレンズの最短撮影距離が押し並べて0.45mなのに対して、本レンズは0.4mというのも高く評価できます。
気になるMTFと言えば、以下の通りです。
HD PENTAX-D FA☆50mm F1.4 SDM AWのMTFチャート
これをご覧頂きます様に、MTFの性能はシグマとソニーのEマウントレンズの中間と言った所でしょうか。
LUMIX S PRO 50mm F1.4
さてシンガリに控えしは、ご存知噂のLUMIX S PRO 50mm F1.4です。
LUMIX S PRO 50mm F1.4(2019/3発売)
重さ995g、価格28万円の光学性能はどれほどなのでしょうか?
LUMIX S PRO 50mm F1.4(2019/3発売) | |||
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最短撮影距離 | フィルター径 | サイズ | 質量 |
0.44m | 77mm | φ90mm×130mm | 955g |
フォーカス | インナーダブルフォーカス方式 | ||
レンズ | 非球面レンズ2枚とEDレンズを3枚採用 | ||
絞り羽根 | 11枚 | ||
操作性等 | 防塵・防滴仕様、-10℃の耐低温設計 フォーカスリングをスライドさせることで距離指標があらわれるマニュアルフォーカス可能 |
さすがに高価な事だけはあって、MTFは以下の様にとてつもなく優秀です。
まとめ
という訳で、比較的新しい高級50mm F1.4クラスのMTFチャンピオンは以下の様になります。
1.LUMIX S PRO 50mm F1.4(2019/3発売)
2.SONY Planar T* FE 50mm F1.4 ZA(2016/7発売)
3.HD PENTAX-D FA☆50mm F1.4 SDM AW(2018/7発売)
4.SIGMA Art 50mm F1.4 DG HSM(2014/4発売)
5.SONY Planar T* 50mm F1.4 ZA SSM(2012/7発売)
なお高級標準レンズのMTFだけを比べる記事を番外編としてアップしましたので、もし宜しければこちらを覗いてみて下さい。
50mm F1.4レンズのMTF比較
続いては、第14位の50mm F1.8です。