EOS R6の手振れ補正効果を大口径レンズ(RF85mm F1.2L USM)を付けて試してみた

2020/10/03:発行
2020/10/04:追記

はじめに


既にご存知の様に、EOS R5とEOS R6にキヤノン初となるボディー内手振れ補正機構が搭載されました。


EOS R6のボディー内手振れ補正の説明図

これに伴い、一枚一枚のレンズが重くてレンズ内手振れ補正の搭載が難しかった大口径単焦点レンズでも、手振れ補正が効く様になりました。


EOS R6とボケ量ランキング第3位のRF85mm F1.2L USM

とは言っても、せいぜい2~3段程度の効果しかないのだろうと思っていたら、CIPA準拠の試験方法で50mm F1.2は7段、85mm F1.2に至っては何と8段分もの補正効果があるそうです。


レンズ別の手振れ補正効果段数

となれば、実際にどれだけの効果があるか、試してみたくなるのが人情でしょう。

またEOS R6の操作マニュアルを見ると、手振れ補正の設定には”常時”と”撮影時のみ”が存在します。


手ブレ補正の”常時”と”撮影時のみ”の選択画面

バッテリーを長持ちさせるには、当然”撮影時のみ”が良いのは間違いないものの、(シャッターボタン半押しではなく)シャッターボタンを押した瞬間に果たしてどれだけ手ブレ補正が瞬間的に動作するのかも気になる所です。

そんな訳で、EOS R6にRF85mm F1.2L USMを付けて、手振れ補正の2通りの試験を行ってみましたので、その結果をお知らせしたいと思います。


試験条件


前以て試験条件をお伝えしておきますと、以下の通りです。

対象:EOS R6(最新Ver.1.1.1)+RF85mm F1.2L USM(最新Ver.1.0.4)

撮影方法:カメラから1mほど先にあるカレンダーを、シャッタースピードを1段づつ変えて(1/60秒から2秒)手持ちで撮影。

手振れ補正設定:①手振れ補正なし、②手振れ補正あり(常時)、③手振れ補正在り(撮影時のみ)


試験方法


それでは結果発表です。


①手振れ補正なし

少々小さくて恐縮ですが、下が手振れ補正無しで撮影した写真です。



これをご覧いただきます様に、1/30秒までは手振れ無しで撮れたものの、1/15秒辺りから軽微なブレが発生し、1/4秒では使い物にならないレベルのブレが発生しました。


②手振れ補正あり(常時)

次は手振れ補正を常時ONにして撮った写真です。

この場合、ファインダーを覗いた状態でも十分手振れ補正の効果が確認できます。



その結果、何と1/2秒まで手振れを抑える事ができました。

前述の手振れ補正なし(1/30秒までOK)と比べれば、4段分の手振れ補正効果になりますが、それでも1/2秒まで手持ちで撮れるのは驚きです。

それもレンズ側には一切手を加えていないのですから、大したものです。

特にボディー内手振れ補正は、広角系と比べると望遠系では効果が薄れるにも関わらずこれだけ効くとは。

以前使った事のあるボディー内手振れ補正搭載のソニーのα99 IIと比べれば、雲泥の差です。


ボディー内手振れ補正が効いてるのかどうか良く分からなかったSONY α99 II

なお、一般的にボディー内手振れ補正は、画質に全く影響を与えないと思われていますが、実際には通常使わない領域の画像(イメージサークルのフレーム外の画像)を使うので多少は画質に影響を与えるのです。


ボディー内手振れ補正時はフレーム外の領域を使う

ですが、全域がブレブレの画像と比べれば、無視して構わないレベルと言えるでしょう。


③手振れ補正あり(撮影時のみ)

最後は、手振れ補正を”撮影時のみ”にして撮った写真です。

はたして、”常時”と差があるのでしょうか?



これをご覧頂きます様に、今回は残念ながら1/2秒で若干ブレの発生が認められたものの、この程度の差はバラツキの範囲内でしょう。

そんな訳で、”撮影時のみ”と”常時”の手振れ補正効果は、同じと見て良さそうな感じです。

ですので、もしバッテリーを長持ちさせたいのならば、手振れ補正は”撮影時のみ”を選択した方が賢明です。

4段分の手振れ補正も驚きなのですが、シャッターが切れるのとほぼ同じタイミングで、手振れ補正が遅れなく追随するのもこれまたビックリです。

推測ですが、撮影時以外も常時ジャイロ等の手振れ検知用のセンサーは働いており、シャッターボタンを押した瞬間に撮像素子だけが瞬間的に補正位置に移動するのではないでしょうか。

もしそうだとすると、常に撮像素子がセンター位置から移動するので、こちら(撮影時のみ)の方が手振れ補正効果の平均値は高くなるかもしれません。


④”撮影時のみ”を選択できるのはレンズ内手振れ補正非搭載レンズのみ
2020/10/04:追記

本記事を書き上げてからようやく気が付いたのですが、何と”常時”と”撮影時のみ”の選択ができるのは、レンズ内手振れ補正非搭載のレンズのみなのです。


レンズ内手振れ補正搭載レンズ(RF85mm F1.2)装着時のメニュー画面

すなわち、レンズ内手振れ補正を搭載したレンズは、下のメニュー画面にあります様に”常時”と”撮影時のみ”の選択はできず、常に手振れ補正は動き続けているのです。(手振れ補正のON/OFFの切り替えは、レンズ側のスイッチでのみ行なう)


レンズ内手振れ補正搭載レンズ(RF35mm F1.8)装着時のメニュー画面

従来機の(ボディー内手振れ補正非搭載の)EOS RやEOS RPの場合、レンズ内手振れ補正搭載レンズを装着すると常時手振れ補正が働いており、他社機の様にシャッターボタン半押しでONする様にすれば良いのにと思ったものです。

今回これが改善されたと喜んでいたのですが、何とレンズ内手振れ補正搭載レンズを装着すると、相変わらず常時手振れ補正は働いているのです。

キヤノンは、何故こんな奇妙な仕様にしたのでしょうか?

これならばむしろ、レンズ内手振れ補正非搭載レンズのほうが、実用的な手振れ補正性能は上の様に思ってしまいます。


まとめ


それではまとめです。

①EOS R6にRF85mm F1.2L USMを装着して手振れ補正効果の確認を行った所、4段分の効果が認められた。

②手振れ補正の設定を”撮影時のみ”にしても、”常時”と同じ様な効果が見られる。

③理論的に考えると、手振れ補正を撮影時のみONにする方が、手振れ補正効果の平均値は高くなる可能性がある。

④ただし手振れ補正の設定を”撮影時のみ”に選択できるのは、レンズ内手振れ補正非搭載レンズのみである。


いずれにしろ、明るい大口径レンズは(暗いレンズより)シャッタースピードを速くできるので、元々手振れには強いのですが、1/2秒まで手持ちで撮影できるのは大きな魅力です。

これでしたら、日没後や暗いレストラン等でも、手持ち撮影が可能になります。

ただし注意しなければならないのは、うっかり1/2秒で人物を撮影すると間違いなく被写体ブレが発生しますので、そんなときはモデルになるべく動かない様にお願いしておく必要があります。




EOS R6の手振れ補正効果を大口径レンズ
(RF85mm F1.2L USM)を付けて試してみた





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