レンズシェードクリップ80の使用方法

2020/02/13:発行

はじめに


先日、遮光対策としてバンドア方式のフレックスレンズシェードSL01をご紹介しました。

 
標準ズームレンズのフードに装着したフレックスレンズシェードSL01

これについては、もう少し遮光板が長いと更に良いものの、本サイトとしてはかなりの高評価を与えました。

ですので、遮光対策が必要ならばこれを使えば良いのですが、お伝えしていなかった問題が一つあります。

それは遮光板をレンズ前面にバンドで固定するため、下の様にレンズが小さいカメラや、沈胴レンズには使えない事です。


沈胴レンズにフレックスレンズシェードSL01を付ける事はできない

ではどうするかとなると、遮光板をアクセサリーに装着するハレ切り方式です。

前回お伝えしたフレックスレンズシェードSL01もハレ切りと言えない事もなにのですが、取り敢えずバンドア方式という事にしておきます。

で、そのハレ切方式ですが、今回は次にご紹介するアストンのレンズシェードクリップ80を使ってみます。

どんな結果になりますか、お楽しみに。


商品紹介


それでは本商品のご紹介です。

本品は何故か、アマゾンでは取り扱っておらず、ネットで調べる限りヨドバシでしか扱っていない様です。


ヨドバシでしか見当たらないレンズシェードクリップ80

アマゾンの販売経路に乗せると、数は出るものの販売価格を維持できないからでしょうか?

その効果があってか、内容物の割には販売価格はかなり強気です。

ネット上ではアストンというブランド名なのですが、現物を見ると何とUNのロゴが入っています。

UNは古くから写真用品を販売している会社なのですが、アストンとはどんな関係なのでしょう。

いずれにしろ中国製ではないようです。

現品が届くまで、遮光板が入っていないのではないかと思っていたのですが、125 x 187mmの黒と白色のプラスチックの板が入っていました。

それと長さ120mmの延長棒も付属しています。

使い方は、もう下の写真を見て頂くだけで分かるでしょう。


Canon G1X mark IIIにレンズシェードクリップ80をセットした所

アーム根元の自由雲台をアクセサリーシューに装着し、クリップに遮光板を挟めばセット完了です。


使用感


さて使用感です。

一言で言えば、ほぼ完璧と言っても良いかもしれません。

敢て言わせて頂ければ、値段が高い事と、遮光板を挟む部分がクリップの先端部だけのため、そこが支点になって遮光板がフラフラ振れる事ぐらいでしょうか。

それ以外は全く不満がありません。


遮光効果


それではいつもの通り、作図を見ながら遮光効果を見ていきたいと思います。

今回は、先ほどお見せしたキヤノンのPowerShot G1 X Mark IIIに本品を装着した場合を図示しています。


図1:キヤノンのG1X mark IIIにレンズシェードクリップ80を装着した場合

これをご覧いただきます様に、本品によって広角端の焦点距離24mm時に遮光できる直射日光の角度は35度です。

また、望遠端の焦点距離72mm時では19度になります。

前回ご紹介したフレックスレンズシェードSL01の場合、焦点距離24mmの時に遮光できる直射日光の角度は48度、105mmで30度でしたので、(カメラは異なりますが)それよりも遮光効果は高いと言えます。


図2:24-105mm標準ズームレンズにフレックスレンズシェードSL01を付けた場合

更に良い事に、先ほどの図1では遮光板を横にしてクリップに取り付けた場合ですが、縦に取り付ければ、更に遮光効果を高める事がきるのです。


図3:遮光板を横から縦に付け替えた場合

その場合、広角端で35度から33度へ、望遠端で19度から16度へ、遮光効果を高める事ができます。


使用上の注意点


ところで、今までの図においては、アームと遮光板が一直線にしている状態でした。

ですが、以下の様にアームと遮光板を折り曲げても遮光は可能です。


図4:アームを折り曲げると遮光効果は低下する

この場合、アームと遮光板の重心がカメラに近づくので、安定は良いのと、遮光板のフチがレンズに近づくので、万一遮光板が風で煽られて画角(画像)に入り込んでも、ボケて分かり難いというメリットがあります。

しかしながら、上の図4の様に僅かながら遮光効果は低下するのです。

具体的には、広角端でアームがストレートの場合35度だったのが折り曲げると37度になり、望遠端で19度だったのが21度になってしまいます。

このため、太陽が真上近くにあるときはこれでも構わないのですが、太陽が傾いてきて、少しでも遮光効果を高めたいのでしたら、アームは極力真っ直ぐ伸ばし、遮光板は縦に取り付けた方が良いと言えます。

ただし太陽が真上に近くなると、下の図の様に遮光板の後端から直射日光がレンズに当たるので、日が高くなる夏場の日中は要注意です。


夏至の時期の昼間は、遮光板の後ろから直射日光がレンズに当たるので要注意

すなわちアームを曲げて、遮光板の後端から入ってくる直射日光を防がなければなりません。


延長棒はいつ使うのか


ところで本品には120mmの延長棒が同梱されています。

これの使い道ですが、望遠レンズの様にレンズの全長が長い場合しか使いそうにありません。

ですので、失くさない様に保管しておいた方が良いかもしれません。

ついでにストロボの拡散しか思い付かない、白いプラスチックの一緒に仕舞っておいた方が良さそうです。

なにしろ、ストロボをカメラのアクセサリーシューに取り付けたら、本品を取り付ける所が無くなるのですから。


おまけ


おまけとして、本品の応用例をご紹介します。

下はG1 X Mark III専用の水中ハウジングなのですが、これを使って陸上で撮ると、前面の防水ガラスのお陰でフレア満開の写真が撮れてしまいます。


G1 X Mark III専用の水中ハウジングにも使用可能

これに何とかフードを付けれないかと思っていたのですが、本品が十分機能してくれます。


まとめ


不要かもしれませんが、最後にまとめです。

①レンズシェードクリップ80は、値段が高いのが難点ではあるものの、小型のカメラにとって有効な遮光対策品である。

②本品の使用においては、遮光板をアームを一直性にした方が遮光効率は高くなる。

③ただし日が高い時には遮光板の後ろ側から日が射す恐れがあるので、その場合はアームを折り曲げて使用する方が良い。


次回は蛇腹式の遮光方法をお伝えしますので、お楽しみに。




レンズシェードクリップ80の使用方法





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