EOS R5/R6供給遅延の原因

2020//9/10:発行

はじめに


EOS R5やR6を予約したのに、なかなか手元に届かないのでヤキモキされている方も多いのではないでしょうか。


依然品薄状態が続くEOS R5とR6

実際ネット販売店の在庫状況を調べてみると、どこも在庫欄には”問合せ”の3文字が並んでいるだけで、いつ入庫するのか皆目分からない状況です。

このため従来機では殆ど無かったと思うのですが、転売業者によって高値で販売されるケースも見受けられます。

となるとこの現象は、単にコロナの影響等で生産台数が少ないためなのか、或いは飛んでもなく人気が高いせいなのかを知りたくなってきます。

そんな訳で、早速調べてみる事にしました。


供給


先ずEOS R5とR6の生産台数ですが、ネット情報によれば、月産1.2万台1.6万台との事です。

この情報がどこまで正しいか分かりませんが、取り敢えずそんな所にしておきましょう。

なお、一時期コロナの影響により部品供給の遅延等はあったのでしょうが、元々両機はオリンピック前に売り出す予定を数か月遅らせていますので、現状の生産は予定通りに進んでいる思って間違いないでしょう。

また品薄ならば増産すれば良いのにと安易に思われるかもしれませんが、未来永劫この需要が続く筈もありませんので、生産ラインを増やす事などそう容易(たやす)くできるものではありません。

また残業を増やして増産するにしても、生産台数分の部品しかないのですから、それも不可能です。

さらに部品の発注は、ベンダーに対して数か月前に行われますので、急いで発注量を増やした所で、それが届くのは数か月先です。

ですので、現状供給面で対応できる事は非常に限られます。


需要


次に需要ですが、CIPA(一般社団法人カメラ映像機器工業会)の集計によれば昨年度のミラーレス一眼の販売台数は年間で400万台(全世界)ですので、月平均に直すと33万台です。

ちなみに今年度上期は、コロナの影響で昨年の半分近くに落ち込んでいます。

ミラーレス一眼の種類は、小型のマイクロ4/3機から中判フォーマット機まで入れると、恐らく50機種以上はあるのではないでしょうか。

ですが売れ筋とそうでない機種が混在していますので、ここはエイヤで上位10機種が月々の販売台数の半分を占めるとすると、上位機種1台当たりの月々の平均販売台数は1.7万台になります。

これを比較的高価格帯のEOS R5とR6の生産台数である月産1.2万台と1.6万台と比べると、かなり妥当な数値と言えるのではないでしょうか。

更に両機とも、当然ながら発売日までに数か月分の(恐らく5月連休明け以降)作り溜めを行っていますので、初期対応としては特に問題はなかったと言えます。

また国内での販売台数が少ないのではないかとの指摘もある様ですが、当然ながらEOS RやRPを含めた過去の地域別販売実績に基づいて割り振っているのでしょうから、それに文句を言っても始まりません。

にも関わらず依然品薄状態が続いている事からすると、任天堂のファミリーコンピューターやAppleのiPhone 6並みとは言わないまでも、両機は既にかなりのヒット商品になっていると言っても良いのではないでしょうか。

推測ですが、本来だったら他社のミラーレス一眼を購入する予定であった顧客がコロナの影響で買い控えをしている最中にキヤノンがEOS R5の衝撃的な仕様を発表をしたため、それらの顧客を一気に引き寄せてしまったのかもしれません。


まとめ


それではまとめです。

①EOS R5とR6の品薄の原因は、キヤノンの需要予測を見誤ったというより、その予測を遥かに超えたオーダーが殺到したためと思われる。

②その原因は、コロナの影響でカメラの購入を手控えていた顧客のニーズを、この2機種が独占してしまったのかもしれない。

③この品薄状態がもし今年一杯続く様であれば、(コロナの影響で昨年より全体の販売台数が減っている事もあり)ミラーレス一眼のシェアは一気にキヤノンが奪取するのはほぼ間違いなさそうである。

さてこの品薄状態がいつまで続くか、待ち侘びている方には甚だ申し訳なのですが、幣サイトとしては興味津々です。




EOS R5/R6供給遅延の原因





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