10分で分かるdpiとppiの違い
2020/01/10:発行
はじめに
幣サイトへようこそ。
恐らくこの記事に辿(たどり)り着いた貴方は、今まで散々ネットでdpiとppiの違いを調べられた方ではないでしょうか。
Photoshopの画像解像度で表示されるpixel/inchとは何か?
そして、いくら調べても良く分からないで、ヘトヘトに疲れ果てた所ではないでしょうか。
何を隠そう、実は幣サイトも以前はそうだったのです。
ですが、その後ようやくその違いが明確に分かってきましたので、今回はそれをご紹介したいと思います。
これで今夜はぐっすり眠れると思います。
ドットとピクセルの違い
では、早速本題に入りましょう。
dpiが dot per inchの略で、ppiがpixel per inchである事は今さら述べるまでもないでしょう。
問題はドットとピクセルの違いでしょう。
先ずドットとは、画像入出力装置において単色を表現できる最小単位を指します。
そしてピクセルとは、フルカラーを表現できる最小単位です。
早い話が、白黒画像を表現できるのがドットで、カラー画像を表現できるのがピクセルだと思って頂ければ大きな間違いではないでしょう。
これを聞かれただけでも、かなり頭の中がスッキリしたのではないでしょうか。
それでは次に、各画像出力装置におけるドットとピクセルについてご説明したいと思います。
液晶モニターのドットとピクセル
先ずは簡単な所で、液晶モニターのドットとピクセルです。
どこのご家庭にもある液晶モニター
これはもう下の図を見て頂くだけで、分かって頂けるのではないでしょうか。
液晶モニターの場合、赤緑青のドットをまとめたものが1ピクセルになる
不要かもしれませんが念のために説明しておきますと、上はどこのご家庭にもある液晶画面を虫眼鏡で覗いたら見える模様です。
この場合、内部にある液晶の濃さを変える事によって、赤緑青の一つの粒の明るさを通常256段階に変化させる事ができます。
ですので、この赤緑青に光る一つの粒が、先程お伝えした”単色を表現できる最小単位”である1ドットになります。
そして、この赤緑青の3粒(3色)が集まれば、光の3原色としてフルカラーを表現できますので”フルカラーを表現できる最小単位”である1ピクセルになるという訳です。
すなわち液晶モニターにおいては、3ドットが1ピクセルになるという訳です。
ちなみに1ドットが256段の明るさに変わるとしたら、3色あればその3乗で、1700万色(=256の3乗)が再現できる事になります。
ここまでは、すんなりご理解頂けるのではないでしょうか。
液晶モニターのdpiとppi
それでは次に、液晶モニターのdpiとppiを考えてみましょう。
例えばここに24インチのFHDモニターがあったとします。
24インチですと画面サイズは530mm x 299mmです。
またFHDの画素(ピクセル)数は、1920pixel × 1080pixelです。
これからピクセル解像度(ppi)を求めると以下の様になります。
24インチFHDのピクセル解像度(ppi) | =(全画素数÷(インチ横 x インチ縦))^0.5 |
=((1920 x 1080)÷((530/24.5) x (299/24.5)))^0.5 | |
=92ppi |
また3ドットが1画素(ピクセル)になりますので、ドット解像度は92を3倍して276dpiになります。
すなわち、24インチFHDモニターの解像度は、ピクセル解像度で92ppi、ドット解像度で276dpiという事です。
これでかなりスッキリしてきたのではないでしょうか。
プリンターのドットとピクセル
次はプリンターのドットとピクセルです。
ここではインクジェットプリンターを例にしてご説明します。
インクジェットプリンター
この場合、表現できる最小単位は3色あるインクの一滴であり、それが1ドットになります。
インクジェットプリンターの場合、インク1滴が1ドットになる
ここまでは簡単なのですが、これから少々ややこしくなります。
先ほどの液晶モニターの場合は、1粒(1ドット)が256段階に明るさを変える事ができました。
ところがインクの場合、吐出する一滴の大きさは常に一定ですので、例え3色あってもフルカラーを表現する事はできません。
色の3原色だけでは7色しか表現できない
ではフルカラーを表現するためにはどうするかと言えば、以下の様に1ドットを縦横に16個ずつ配置した仮想のパレットを3色分用意します。
プリンターのドットと画素のイメージ図
そして入力された8ビットの色情報(256諧調)に沿ったインクを仮想パレット上に用意し、用紙上の同じ個所にそれらの色を着弾させます。
なお上の図では、分かり易くするため同じ個所(ドット)に着弾した色のみが混じり合った状態で描いていますが、実際は3色のインク(液体)が異なる量で混じり合いますので、全体として見れば7色以上の微妙な色が再現できるという訳です。
これを16×16のマスを使って調合すれば、1色で256諧調が再現でき、それが3色あれば256×265×256の1700万色が(液晶モニターと同様に)再現できます。
すなわち、カメラの1画素を表示するのに、液晶モニターは3ドットで済むのに対して、プリンターの場合256ドットも必要になるとういう訳です。
こんな説明でご納得頂けますでしょうか?
結論としては、プリンターにおいては、256ドットが1ピクセルになるという訳です。
プリンターのdpiとppi
それではモニターと同様に、プリンターのdpiとppiを考えてみます。
dpiは簡単です。
何しろプリンターの仕様書にそのまま書かれているのですから。
一般的なカラープリンターの解像度(dpi)を調べてみると、低解像度の4800 x 1200dpiから高解像度の9600 x 2400dpiまであります。
既にお伝えしました様に、プリンターにおいては、256ドット(16 x 16)が1ピクセルになりますので、上記をピクセル解像度(ppi)に直すと、300 x 75ppi ~ 600 x 150ppiになります。
これを先ほどの液晶モニターと比べると(下表参照)、プリンターの方がドット解像度は遥かに高いものの、ピクセル解像度になると依然プリンターの方が高いものの、その差は縮まってきているのが分かります。
解像度\種類 | 液晶モニター | インクジェットプリンター |
ドット解像度 | 276 x 276dpi | 4800 x 1200dpi~9600 x 2400dpi |
ピクセル解像度 | 92 x 92ppi | 300 x 75ppi ~ 600 x 150ppi |
なお見た目に直接関係するのは、当然ながらピクセル解像度になります。
また液晶モニターのピクセル解像度がプリンターより低い理由は、紙にプリントされた写真は近く見るのに対して、液晶モニターは離れてみるからです。
PCの画面よりスマホの画面の方が高精細なのは、それが理由です。
本当に256ドットが1ピクセルのか
さて、これで疑問は全て解消したと思うのですが、中には本当に256ドットが1ピクセルなのかと疑っている方もいらっしゃる事でしょう。
そんな訳で、これが事実かどうか検証をしてみたいと思います。
下はキヤノンの公式HPにある、印刷サイズに適したカメラの記録画素数の表です。
この表の4.5M以上でA4程度とあるのは、写真をA4サイズにプリントするには4.5M(450万pixel)以上の画素数が必要だという事です。
一方こちらの計算では、カラープリンターのピクセル解像度は300 x 75ppi ~ 600 x 150ppiになります。
これからA4サイズの画素数を計算すると、以下の様になります。
A4プリントの画素数(低解像度) | =A4のインチ面積 x (300 x 75) |
=(210/25.4 x 297/25.4) x (300 x 75) | |
=217万pixel |
A4プリントの画素数(高解像度) | =A4のインチ面積 x (600 x 150) |
=(210/25.4 x 297/25.4) x (300 x 75) | |
=870万pixel |
上記の様に、450万pixelはこれら2つの画素数の間にありますので、256ドットが1ピクセルというのは概ね合っていると言えそうです。
まとめ
それでは、まとめです。
①ドットとは単色(白黒画像)を表現できる最小単位であり、ピクセルとはフルカラーを表現できる最小単位である。
②液晶モニターにおいては、赤緑青に光る一つの粒が1ドットであり、赤緑青の3色が合わさったものが1ピクセルである。
③プリンターにおいては、インクの1滴が1ドットであり、それらが16x16ドット(256ドット)集まって1ピクセルとなる。
これで疑問は晴れましたでしょうか。
10分で分かるdpiとppiの違い