ガッカリするには早過ぎる
Nikon Z 6 & Nikon Z 7の実力
2018/9/10:発行
2018/11/27:追記
2018/11/27:追記
目次
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はじめに
2018/8/23ついにニコン初のフルサイズミラーレス一眼である、Nikon Z 6とNikon Z 7が発表されました。
Nikon Z7
昔からのニコン愛用者や、カメラに興味のある方々は、待ちに待った瞬間だったのではないでしょうか。
ところがどっこい。
いざ蓋を開けてみると、かなりガッカリした所がいくつかあります。
一体どこがどうガッカリなのか、じっくりお伝えしたいと思います、と書き始めたのですが、調べていくにつれて、逆の結論に至るではありませんか。
恐らく似た様なガッカリ記事は山ほどあると思いますが、本書の様に逆の記事は少ないでしょうから、騙されたと思って読んでみて頂ければと思います。
消えた被写界深度目盛
さて、先ず以てガッカリしたのは、ボディーではなくその専用レンズです。
今回ニコンのフルサイズミラーレス機専用レンズとして、Zマウントレンズが3本発表されたのですが、見た瞬間ガックリうなだれてしまいました。
ズームの目盛以外、全て削除されたZマウントレンズ
今どき絞りリングが無いのは止むを得ないとしても、距離目盛も被写界深度目盛も全て廃止されてしまったのです。
ご存じの通り、従来のFマウントレンズには、(AF化に伴って、視認性十分とは言えないまでも)距離目盛も被写界深度目盛もしっかり備わっていました
曲がりなりにも距離目盛と被写界深度目盛のあるFマウントレンズ
(左から50mm f1.8、28mmf1.8、85mmf1.8)
にも関わらず、Zマウントレンズからは完全に削除されてしまったのです。
ただでさえボケ易いフルサイズですので、被写界深度を全く知らずに写真を撮るのは、殆どギャンブルとしか言いようがありません。
またパンフォーカスで室内や風景を撮影するには、どうしても被写界深度がどれくらいあるのか確認する必要があります。
にも関わらず、Zマウントレンズからそれらは完全に葬(ほおむり)さられてしまったのです。
ご存じかもしれませんが、SONYのミラーレス機用Eマウントレンズも同じ様に距離目盛は廃止されました。
SONYのEマウントレンズには被写界深度目盛が無い
ですが、コニカミノルタのカメラ部門を吸収したと言えども、元々SONYはビデオカメラ屋さんなので、それも止むを得ないかと思っていました。
しかしニコンは、紛れも無く生粋のスチールカメラメーカーですので、よもや距離目盛も被写界深度目盛を全廃するとは夢にも思いませんでした。
とガックリしていたのですが、もう一つのZマウントレンズを見て思わぬ事に気が付きました。
帰ってきた被写界深度表示
そのもう一つのZマウントレンズとは、以前から噂のあったNIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctです。
NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctには距離目盛がある
何とこのレンズのフォーカスリングには、しっかり距離目盛がプリントされているではありませんか。
おまけに、レンズ中央には怪しげな小窓まであります。
NIKKOR Z 58mm f/0.95 S Noctには被写界深度表示窓がある
どうやらこの窓は、ツアイスのEマウントレンズの様に、距離や絞り値と共に、被写界深度が表示される様です。
ツァイス製のEマウントレンズは被写界深度をデジタルで表示する
と喜んだのも束の間、これはどうやらこのレンズはマニュアルフォーカス専用レンズの様です
ましてや、恐らく1本60万円以上もする超高級レンズに被写界深度が表示されても、我々平民には何の恩恵もありません。
ところが、ニコンの公式HPを見て、もう一つ気になる事実を発見しました。
ニコンの公式HP
上の説明写真の下部に、またまた怪しい指標があるではないですか。
チューリップ(接写)マークと無限遠(∞)マークですので、誰がどうみても距離計の表示です。
そしてその中にある白い帯。
映っている顔の画像とはリンクしないものの、この帯が幅を持っている事から、被写界深度と見るのが自然ではないでしょうか。
もしそうだとしたら、さすがニコン。
ピント拡大時だけの表示かもしれませんが、もしかしたらこれである程度の被写界深度が確認できるかもしれません。
これに距離が表示されれば言う事はなにのですが、どうなのでしょう。
と思っていたら、ニコンの公式HPに以下の記事を見つけました。
少なくともこれを読む限り、MFにおいては、被写界深度が見れるのは間違いありません。
下のNikon Z 7 活用ガイドの説明図もそれを裏付けています。
Nikon Z 7 活用ガイドの抜粋
できれば、(今すぐではなくても)AF時にも被写界深度を表示できる様にして、さらに距離も(できれば常に2桁の)数値で表示してほしいものです。
フランジバック付きレンズ
Zマウントレンズを見て落胆したのは、被写界深度目盛だけではありません。
もう一度先ほどの3本のレンズを見て下さい。
特に見て頂きたいのは、レンズの根元部分(黄色で囲んだ部分)です。
3本とも似た厚みで同じ様な太さの部分があります。
単なるデザイン状の特徴だと思われるかもしれませんが、それでは次にZマウント用のマウントアダプターを見て下さい。
マウントアダプター FTZ
ピッタリ同じではありませんが、似た様な厚みと太さだと思われないでしょうか。
という事は、レンズの構成図を見るまでは断言できませんが、ZマウントレンズはFマウントレンズにフランジバック分の厚みを足しただけの可能性があるのです。
ご存じの方も多いと思いますが、大きくて高画質で有名なシグマのArtレンズにおいては、ミラーレス機用のレンズは一眼レフ用のレンズにマウントアダプター分鏡筒を延ばしているのです。
ミラーレス用のシグマArtレンズの後端(赤丸部)は空洞になっている
ニコンのプレスリリースによれば、”大口径のZマウントにする事で、レンズ設計の自由度が格段に上がり、光学性能の驚異的な向上を実現”とありますが、少なくとも3本のレンズの外観を見る限り、Fマウントレンズをフランジバック分だけかさ上げした(延ばした)様にしか見えません。
本当にそうなのでしょうか?
と思ってレンズ構成を見たら、これまたびっくりです。
新設計の光学系
先程までは空洞だろうと思っていたレンズ鏡筒の根元部分ですが、レンズ構成を見ると3本とも根本までしっかりレンズが詰まっているではありませんか。
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
NIKKOR Z 35mm f/1.8 S
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
おまけにどのレンズも非球面レンズやED(特殊低分散)レンズをふんだんに使っており、NIKKOR Z 24-70mm f/4 Sに至っては、非球面レンズを何と4枚も使っています。
てっきり、手っ取り早く従来のレンズ構成を流用してフラジバック分を延ばしただけだと思ったのですが、ニコンはかなり本気モードでこのレンズを開発した模様です。
となったら、このレンズの性能がどれくらいなのか知りたくなるのが、世の常、人の常です。
驚きのMTBF
という訳で、取り敢えず50mmf/1.8のMTF(Modulation Transfer Function)を、従来のFマウントレンズとを比べてみるとこれまたビックリです。
左がAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(Fマウント)、右がNIKKOR Z 50mm f/1.8 S(Zマウント)
上のチャートをご覧頂きます様に、値段も重さも大きさも増え、尚且つ最新レンズなので、当然と言えば当然かもしれませんが、ZマウントレンズのMTFは大幅に改善されています。
ただしFマウントの50mm f/1.8は少々古いレンズ(2011年発売)ですし、小型軽量の廉価版レンズという位置づけもあり、元々性能はソコソコの可能性もあります。
という訳で、次は35mm f/1.8(2009年発売)と比べてみたいと思います。
左がAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G(Fマウント)、右がNIKKOR Z 35mm f/1.8 S(Zマウント)
すると上のチャートの様に、これまたすばらしく改善されています。
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S |
NIKKOR Z 35mm f/1.8 S |
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S |
どうやらニコンは、完全に本気モードです。
普通に考えれば、依然ニコンの売り上げのの主流は一眼レフですので、先鋒となるZマウントレンズは多少控え目の性能かなと思ったのですが、初っ端(しょっぱな)のレンズから自社のFマウントレンズを凌駕する性能をZマウントレンズに与えた様です。
と言うよりむしろ、ニコンはZマウントレンズをFマウントレンズより上位の高画質路線に位置付けたのではないかとさえ思われます。
Zマウントレンズのロードマップ
上のZマウントレンズのロードマップを見ると、その方針が如実に伝わってきます。
更にZ 7の公式HPには、以下のキャプションが踊っています。
Z 7が(同じ画素数のD850を差し置いて)ニコン史上最高画質と呼ぶのであれば、ZマウントレンズはFマウントレンズより高画質と宣言しているのと同じ事です。
だとすると、今後一眼レフの立場はどうなるのでしょう。
ミラーレス一眼を高画質対応機とすると、一眼レフは高速対応機として扱かうのでしょうか?
興味のある所です。
杞憂だった異様に太いレンズ鏡筒
レンズについては、もう一つ心配事がありました。
それはレンズ鏡筒の太さです。
Zマウントのマウント径は55mmで、Fマウントの44mmに対して、直径が11mmも太くなっています。
このため、(当然ながら)レンズの鏡筒自体も根本が11mm太くなりますので、全体的に太くなる事が容易に想像できます。
という訳で、早速50mm f1.8同士で比べてみました。
レンズ | 最大径 | 長さ | 質量 |
---|---|---|---|
AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G | 72.0mm | 52.5mm | 185g |
NIKKOR Z 50mm f/1.8 S | 76.0mm | 86.5mm | 415g |
左がAF-S NIKKOR 50mm f/1.8G(Fマウント)、右がNIKKOR Z 50mm f/1.8 S(Zマウント)
すると、恐らくニコンのFマウントレンズの中では最も小型であろうと思われる50mm f/1.8レンズと比べても、Zマウントの50mm f/1.8レンズは最大径で4mmしか変わらないのです。
マウント径が大きくなるので、全体的にレンズが太くなるのは間違いないでしょうが、レンズの性能が良くなる事を考えれば、十分許容範囲と言っても良さそうです。
レンズが異様に太くなるというのは、どうやら杞憂だった様です。
APS-Cサイズのミラーレス一眼
マウント径が11mm大きくなった事で、もう一つ心配していた事が有ります。
それは、このZマウントを使ったAPS-Cサイズのミラーレス機が発売されるかどうかです。
数年前、SONYがAPS-Cサイズのミラーレス一眼であるNEX-5シリーズを発表したときを覚えていらっしゃるでしょうか。
下の写真の様に、レンズの鏡筒がボディーよりはみ出るといった、一風変わった形状になっていました。
ボディーの高さよりレンズの直径の方が大きかったNEX-5R
もしZマウントに対応したAPS-Cサイズのミラーレス一眼を作ったとしたら、これより更にレンズ鏡筒がはみ出る事になります。
フルサイズ機しか興味はないので、APS-Cサイズ機の話は不要と思われるかもしれませんが、そうでもないのです。
もしAPS-Cサイズ専用レンズが作られたとしたら、当然ながらそのレンズは、フルサイズと比べて小型軽量で価格も安いのは間違いありません。
ですので、フルサイズ撮像素子の全域は使えないものの、滅多に使わない接写レンズや超広角レンズを、APS-Cサイズ専用レンズで取り敢えず揃えておく事ができるのです。
おまけに、フルサイズ機にAPS-Cサイズ専用のレンズを装着すると、同じ画角の同じ絞り値でも、被写界深度が1.3段階ほど深くなります。
となると、気軽なスナップ撮影にも最適です。
今後ZマウントのAPS-Cサイズのミラーレス一眼とその専用レンズが出るかどうか。
レンズ自体はそれほど太くならないとしたら、出る可能性が高いと考えるのが妥当ではないでしょうか。
ただしZマウントレンズの高画質路線と、どう折り合いをつけるかが難しそうです。
フルサイズ対応のZマウントレンズと同様に高画質路線でいくのか、それとも低価格路線でいくのか、それとも両方を求めるのか。
次世代のXQDカード
レンズの話が続いてしまいましたが、次はいよいよ本体側です。
そして真っ先に指摘しなければいけないのが、メモリーカードがXQDカードになった事でしょう。
32G SDカード |
32G XQDカード |
64G XQDカード |
XQDカードリーダ |
XQDカード自体はニコンの上級一眼レフに使われていましたので、以前からニコン製品を使われている方にはそれほど珍しい物ではないでしょう。
ですが、それ以外の方にとっては、初めて聞く名称ではないでしょうか。
XQDカードとは、次世代のメモリーカードという事で開発され、従来のメモリーカードより速度も信頼性も格段に高くなっており、その分お値段も今どき一般的なSDカードと比べると10倍近くもしてしまいます。
何が言いたいかと言えば、ニコンのユーザー以外が、初めてニコンのフルサイズミラーレスを購入しおうとすると、追加でこのメモリーカードとリーダーを購入しなければいけないという事です。
ニコンとしては上級機にはXQDカードを使うという方針に沿っているのでしょうが、ニコンユーザー以外からの購入の敷居を一段上げたのは間違いありません。
ではそれが大きな判断ミスかと言われれば、そうでもありません。
その理由は次に述べます。
ダブルスロットは必要ない
ところで、ネットで良くZシリーズの問題点として指摘されているのが、メモリーカードがシングルスロットだという事です。
その理由は、シングルスロットだと、撮影した画像データの信頼性に欠けるという事です。
ですが、これについては本書は多いに異論があります。
何故ならば、仮にシングルスロットをダブルスロットにしても、故障のリスクは単純に2分の1になるだけで、決してゼロにはならないにしても飛躍的に向上する訳ではないからです。(詳細はこちらへ)
中にはシングルスロットの故障率が1/100なら、ダブルスロットにすれば故障率は1/10000になるとする誤ったネット記事も見受けられますが、残念ながらそんな夢の様な話はあり得ません。
そもそも100時間で1回故障する物が、2台あるといきなり10000時間で1回しか故障しなくなるなんて、どう考えてもおかしいと、ちょっと考えれば子供でも分かりそうなものです。
話は戻って、(ダブルスロットにしても、故障のリスクは2分の1になるだけならなば)メモリーカードの信頼性を一桁(10倍)上げた方が、よほど合理的です。
XQDカードはそのために開発されたのです。
確かにフラッシュメモリーは、その構造上消去と書き込み可能回数が限られているのですが、実際にSDカードのトラブルの殆どは、パッケージの破損か、端子の接触不良か、静電気による内部破損なのです。
XQDカードの堅牢性と信頼性に関する説明
ですのでメモリーが読めなくなった主原因は、安い海賊製のSDカードを使ったり、SDカードを帯電し易いプラスチックバッグ(ビニール袋等)に入れたり、汚れやすい財布に入れたり、平気で端子部を摘まんだり、浸水させたり、無理やりスロットに差し込んでパッケージやスライドスイッチを破損させたりと、扱いが悪かったせいなのです。
それを徹底的に排除しようとして開発されたXQDカードですので、信頼性の観点からすれば何もダブルスロットにする必要は全くないという訳です。
安くて信頼性の低い物を2個用意するのと、高くて信頼性の高い物を1個用意するのとでは、貴方はどちらが合理的だと思われるのでしょうか?
なお本サイトはどこの団体からも企業からも一切利益供与は受けていないのですが、例えSDカードであっても下にあるソニーのタフSDカードはかなり信頼性が高くてお勧めです。
ただし値段と静電気にはくれぐれもご注意を。
搭載されなかった瞳AF
そして最後は、搭載されなかった瞳AFです。
これを聞いてガッカリした方も多いと思いますが、これについても本書の見解は異なります。
何故ならば、現在(SONYのαシリーズに搭載された)の瞳AFは、殆ど役に立たないからです。
瞳に合焦マークが出ているからといって瞳にピントが合っている訳ではない
確かに瞳にAFの枠が点灯すれば、瞳にピントが合っている様に思いますが、実際には期待したほどピントが合ってないのです。
α7シリーズを使った経験から言わせて頂ければ、被写界深度の深いF値の暗いレンズを使えば多少の効果はあるかもしれませんが、元々被写界深度が深いので(通常の顔認識のAFと瞳AFとの差が無いので)、使う必要もありません。
一方明るい単焦点レンズを開放で使えばが、瞳にピントが合ってる方が奇跡です。
はっきり言わせて頂ければ、まだまだおもちゃの段階なのです。
この理由は簡単で、(ネットでは全く述べられていませんが)実はミラーレス機に搭載されている像面位相差AFは、一眼レフが搭載している位相差AFとは段違いに精度が悪いからです。
難しい話は割愛しますが、測距ポイントは少ないとは言えそもそも下の様にドデカイ一眼レフ用のAFセンサーユニットを設けるのと、測距ポイントがどんなに多くても撮像素子上に数ミクロンしか離れていない2個の素子を(画像に影響しない程度に)バラバラに数万個配置するのと、どちらがより正確に被写体までの距離を測れるでしょうか?
一眼レフ用AFセンサー
ミラーレス用像面位相差AFの構成図
誰がどう考えても、前者の方が優れていると思うのが当然でしょう。
実際一眼レフのシャッターボタンを半押しすれば、合焦ポイントに対して一気にガチッと(まるで被写体を掴む様に)ピントが合うのに対して、ミラーレス機の場合、弱々しく(自信なさそうに)合焦します。
そして撮影した画像を確認すると、その通りの結果です。
またSONYの最新機種であるα7 IIIやα9は、依然ファストハイブリッドAFシステムと呼ぶ像面位相差AFとコントラストAFを併用していますが、これは像面位相差AFだけではどうしても精度良くピントを合わせきれないので、最後にコントラストAFで追い込んでいるのです。
SONYのα7 IIIにおけるファストハイブリッドAFシステムの説明図
ハイブリッドAFシステムと聞くと、進んだシステムの様に誤解してしまいますが、実は未熟さを補うシステムなのです。
おまけに、今どきの一眼レフ用の位相差センサーは縦横斜め線も検知できるのに対して、(カタログには一切記載されていませんが)一般的な像面位相差AFセンサーは縦線しか検知していないのです。
一眼レフ(EOS-1D X Mark II)のAFセンサーは縦横斜めが検知できる
この事実だけでも、両者のAF精度に大きな差がある事を分かって頂けると思います。
ですので、ニコンが現時点で瞳AFを採用しなかったというのは、むしろニコンの良心とも考える事ができます。
しつこい様ですが、単に画像認識で瞳を検知するのと、AFがその瞳にピントを合わせるというのは、全く次元の異なる話なのです。
横を向いたり、下を向いたりしても瞳を検知しても、瞳に精度良くピントが合っていなければ、何の意味もないのです。
ただしキヤノンが採用しているデュアルピクセルCMOS AFは、全画素をAFセンサーとして使用できるので、かなり高精度に被写体までの距離を測定できるのは間違いありません。
瞳AFは、キヤノンのフルサイズミラーレス機が出てからようやく実用化と言えるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
雲散霧消とまでは言えないまでも、当初沸き上がったガッカリ項目は、かなり水泡に帰したのではないでしょうか。
上記をまとめると、以下の様になります。
①Zマウントレンズから被写界深度目盛は消えたものの、ファインダー内で簡易的に被写界深度を確認できる。
②Zマウントレンズは完全な新設計で、MTBFは大幅に改善されており、既にこの時点でマウント径拡大とフランジバックが短くなった効果が出ている。
Nikon Z 6 |
Nikon Z 6 Kit |
Nikon Z 6 Full Kit |
③レンズマウント拡大に伴ってレンズ鏡筒が太くなると思ったが、その心配は杞憂だった。
④今後発売を予定されているZマウントレンズはいずれも明るいレンズであり、公式HPにZ 7の高画質を謳っている事を考えると、ニコンはZマウントのレンズとボディーをFマウントのそれらより明らかに高画質モデルとして位置付けている。
Nikon Z 7 |
Nikon Z 7 Kit |
Nikon Z 7 Full Kit |
⑤Zマウントレンズを使ったAPS-Cサイズのミラーレス機は今後発売される。
⑥XQDカードを使ったメモリーカードのシングルスロットは、至って妥当な選択である。
⑦像面位相差AFの完成度を考えれば、現段階での瞳AFの非搭載は極めて妥当な判断である。
本書がお役に立てば幸いです。