ミラーレス一眼で偏光フィルターのピーク角度を見つけ易くする方法
2020/10/19:発行
はじめに
ミラーレス一眼を使い初めて、こんな経験はありませんでしょうか?
レンズに偏光フィルターを付けて撮ろうとすると、今ひとつ偏光効果が最大となるフィルターの回転角度が決まらない。
具体的には、偏光フィルター回すと空の色が一瞬濃くなるものの、暫くすると元に戻ってしまい、濃さのピークを掴めない。
ミラーレス一眼で偏光フィルターを回転させると濃度が戻ってしまいピークを掴めない
一眼レフだったら、もっと簡単に濃度のピークが分かったのに。
そんな経験をされた方に、本書が解決策をお伝えしいたいと思います。
対策
恐らく上記を経験された大多数の方が、既に原因はミラーレス一眼の電子ファインダーにあるのだろうと、薄々気付かれていらっしゃる事でしょう。
そしてそれには、電子ファインダーの表示を露出シミュレーション(設定効果反映)にするか、しないかに関係しているだろう、とも気付かれている事でしょう。
では、どちらにしたら良いのか、じっくり考えてみたいと思います。
露出シミュレーションとは
ご存知の通り露出シミュレーションとは、実際の撮影結果に近い明るさをシミュレートして画像をファインダーに表示する機能です。
これによって、シャッターボタンを押す前に、露出オーバーやアンダーの画像を確認できる反面、露出の設定によっては、ファインダー内が真白になったり真黒になったりする場合もあります。
それに対して露出シミュレーションOFFとは、一般的なビデオカメラのファインダーと同じ様に、ファインダーを覗けば常に適切な明るさの画像が表示されます。
となると、一眼レフのファインダーに近いのは、どちらかと言えば露出シミュレーションOFFの方ですので、これで偏光フィルターを回転させたらどうなるか考えてみます。
露出シミュレーションOFF
これまたご存知の通り、偏光フィルターを回転させて偏光効果を高くすると、空の色が濃くなると共に、(撮像素子に投影される)画像は全体的に暗くなっていきます。
すなわち、レンズから入る光量が少なくなります。
するとミラーレス一眼は、画像が暗くなった分を補正して、電子ファインダーの画像を明るくしてしまいます。
ですので、前段でお話ししました様に、ミラーレス一眼で偏光フィルターを回転させると一瞬空の色が濃くなるものの、暫くすると元に戻ってしまうのです。
このため偏光効果が高くなった角度で、ピークを探すために偏光フィルターを左右に少し回転させても、効果の違いが殆ど分からなくなってしまうという訳です。
そんな訳で、露出シミュレーションOFFで偏光フィルターを使うのは、お勧めではないと言えます。
露出シミュレーションON
となれば、露出シミュレーションをONにすれば良いかと言えば、実はそうでもないのです。
その理由は、露出シミュレーションをONにしても、露出が自動制御(例えば、プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE等)になっていると、露出シミュレーションをOFFにしたのと同じになってしまうのです。
もう少し詳しくお話ししますと、例えば絞り優先AEに設定して、偏光フィルターを回転して画像が暗くなった(空の色が濃くなった)とします。
するミラーレス一眼は、シャッター速度をその分遅くして、画像を適正露出になる様に補正します。
するとファインダー内の画像も明るくなって、やはり偏光フィルターの効果が分からなくなってしまうという訳です。
すなわち、露出シミュレーションをONにするだけでは、やはり偏光フィルターの使用には向かないのです。
露出シミュレーションをON+マニュアル露出
ではどうすれば良いかと言えば、露出を自動制御ではなく、マニュアル制御にすれば良いのです。
そうすれば偏光フィルターを回転させて画像が暗くなっても露出が自動制御されませんので、偏光フィルターの効果を確認し易くなります。
そんな訳でミラーレス一眼で偏光フィルターを使う場合は、露出シミュレーションをONにして、更に撮影モードをマニュアルにする必要があります。
ではこれで一件落着かと言えば、まだ落とし穴があるのです。
露出シミュレーションをON+マニュアル露出+ISO感度固定
それはISO感度です。
ご存知の様に例えマニュアル露出にしても、ISO感度をオートに設定する事も可能です。
その場合も、画像が暗くなるとISO感度を自動で上げてしまうので、またまたファインダー内の明るさが元に戻ってしまいます。
そんな訳で、偏光フィルターを使って偏光効果の最も高い所を探すには、ファインダーの露出シミュレーションをONにし、露出モードはマニュアルにし、更にISO感度は固定にしなければいけないという事です。
ご納得頂けましたでしょうか?
まとめ
それではまとめです。
①偏光フィルターをミラーレス一眼で使用して効果のピークを探す場合、露出シミュレーションをOFFにすると、電子ファインダーの明るさが自動で補正されるため、お勧めではない。
②また露出シミュレーションをONにしても、露出モードがP、A、S等のままだと、同じくファインダー内の明るさが自動補正されるので適さない。
③また露出シミュレーションをONにして、露出モードがMに設定しても、ISOオートのままだと、同じくファインダー内の明るさが自動補正されるので適さない。
④このためお勧めなのは、ファインダーの露出シミュレーションをONにし、露出モードはマニュアルにし、更にISO感度は固定にする事である。
なお、おまけでお伝えしておきますと、この際、ピクチャースタイルをクッキリ感の高い風景に設定して、更にコントラストを最大にすれば、もっと偏光効果のピークが掴み易くなります。
本書がお役に立てば、幸いです。
ミラーレス一眼で偏光フィルターのピーク角度を見つけ易くする方法