デジタルカメラ便覧

2014/10:発行
2020/02:更新

目次


▼デジタルカメラ分類チャート

4/3サイズミラーレス


4/3(フォーサーズ)システムは、オリンパスとコダックが提唱して2002年に規格化されたデジタル一眼レフ用の規格で、さらにこれをミラーレス用に改定されたのが2008年に発表された今回ご紹介するマイクロ4/3システムです。


4/3システム(左)とマイクロ4/3システム(右)

撮像素子の大きさは4/3システムと同じ17.3x13mmで、フルサイズ(36x24mm)と比べると撮像素子の面積は1/4(26%)で、APS-Cサイズ(23.6x15.8)と比べると2/3(60%)の大きさですので、その分ボケ量は小さくなるものの、ボデイーもレンズも小型になります。


EOS(フルサイズ)とLumix(マイクロ4/3)のフラッグシップ機

また縦横比は、フルサイズやAPS-Cサイズが3:2であるのに対して、4:3と若干縦長になり正方形に近くなっています。


これは一般的なPCのモニターサイズ(4:3)に合わせたためです。

またマイクロ4/3システムのメリットはミラーレス化に伴う小型化だけだと思われるかもしれませんが、実は4/3システムと同様に更に2つの特徴があります。

1点目は、カメラを考慮してレンズからの光が撮像素子に極力垂直に当たる様に光学系を規定している事です。

このため、レンズが投影する範囲(イメージサークル)を大きくできる様に、マイクロ4/3システムのレンズマウントは撮像素子が小さい割に、それよりかなり大きくなっています。


これによってフィルム用の光学系を流用しているカメラより、高画質を得られる事になります。

2点目は、マイクロ4/3システムは単に光学系だけでなく機械系、電気系も標準化して開示していますので、これに対応しているミラーレス機とレンズは、メーカーが異なってもAFを含めて互換性が保たれているのです


また4/3システムのレンズであっても、専用のアダプタを使えばマイクロ4/3システム対応のミラーレス機にも使用可能です。

生憎4/3システム対応の一眼レフは、従来の一眼レフユーザーを取り込むほどには至りませんでしたが、4/3サイズミラーレス機はスマホやコンパクトカメラからステップアップしたユーザーを取り込んで、確固たる地位を築いた模様です。

現在4/3対応ミラーレス機を牽引しているのは、実質オリンパスパナソニックの2社ながら、非常に魅力的な機種が揃いつつあります。


OMDS(旧オリンパス)


OMDS(旧オリンパス)のミラーレス機は、大きく分けてフィルム時代の面影を残したOM-D系とペン系の2系統が存在します。

オリンパスの系列 機種 対象
OMD系 E-M1X フラッグシップ
OM-1(E-M1) 高級機
OM-5(E-M5) 中級機
OM-10(E-M10) 普及機
ペン系 PEN-F フラッグシップ
PEN E-P ハイアマチュア用モデル
PEN E-PL 普及機
PEN E-PM 入門機

もう少し具体的に言うと、OM-D系が電子ファインダーを搭載した一眼レフスタイルで、ペン系が電子ファインダー非搭載(PEN-Fを除く)のレンジファインダースタイルです。


1)OM-D系


という訳で、先ずはOM-D系から見ていきたいと思います。

この中にはE-M1X、E-M1、E-M5、そしてE-M10の4モデルがあり、既にお伝えしました様に以下の様な分類になります。

機種 分類 特徴
E-M1X プロ 縦位置グリップ一体型
バリアングルモニタ
OM-1
(E-M1)
フラッグシップ 金属筐体
2代目からバリアングルモニタ
OM-5
(E-M5)
ハイアマチュア 3代目からモールド筐体
2代目からバリアングルモニタ
OM-10
(E-M10)
ミドル 低画素撮像素子搭載
ストロボ内蔵
チルト式モニタ

ところが、オリンパスは新技術を開発機に惜しみなく投入する事から、発売時期によっては下位モデルであるE-M5の方がE-M1より優れている様に見える場合もあります。

このため本書では、E-M1とE-M5を併記する事にします。

また以前はE-M1がフラッグシップだったのですが、2019年にプロ用モデルとして縦位置グリップ一体式のE-M1Xが発売されました。


1-1)E-M1X

2019年にモータースポーツ、鉄道、飛行機に重点を置いて開発されたのが、オリンパスのモデルで唯一インテリジェント被写体認識AFを搭載したE-M1Xです。

もしかしたらE-M1XはE-M1シリーズの中に入れるべきかもしれませんが、縦位置グリップ一体構造と明らかに従来機種とは一線を画す内容ですので、単独で項目を設けたいと思います。

 
OM-D E-M1X

初めて本機の存在を知った時には、はたしてこの様なモデルが売れるのかと心配してしまいましたが、機動性や速写性からするとフルサイズのEOS-1D X IIやNikon D5を凌駕しているとも言えます。

なにしろ、多少本体が大きく重たくなっても、レンズは明らかにフルサイズより断然小型軽量ですので、スポーツの報道部門からすればかなり魅力的な存在です。

そして、確かに撮像素子がフルサイズより小さいのですが、動体撮影でしたら中途半端なボケなど必要ありませんので、むしろフルサイズより2段階も被写界深度の深い4/3サイズの方が好都合です。

モデル 特徴 EVF
倍率はフル換算
モニター Wi
-
Fi
連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
OM-D
E-M1X
(19/2)
縦位置グリップ一体構造を採用したプロ用モデル。
秒速60コマの高速連写はE-M1 IIと同じながら、プロキャプチャーモード、世界最高7.5段分 の手ぶれ補正、全点クロス121点AFセンサー搭載。
ダブル画像処理エンジンによる高速レスポンスによる車両、飛行機等の被写体認識と手持ちハイレゾショット、ライブND(疑似ND)を実現。防滴性能アップ。
GPSに加えて電子コンパス、気圧センサー、温度センサーを内蔵。
236万
dot

0.74~
0.83倍

120fps
遅延5ms
3型
104万
dot

Vari

Touch
分類 メカ 電子
AF 10 18
固定 15 60
(1/32k)
1/8k
~60",
B, T
(64)
200

25.6k
2037
万画素

すなわち、ピントが合い易い(ピンボケし難い)分、撮像素子が小さい方が有利と言えます。

秒速20コマのSONYのα9シリーズより、新参カメラながらAF/AE固定ながら秒速60コマやプロキャプチャーモードを搭載しており、こちらの方が東京オリンピックで決定的瞬間を捕えられるのではないでしょうか。


1-2)OM-1(E-M1)シリーズ & OM-5(E-M5)シリーズ

続いては高級機のE-M1と中級機のE-M5です。

 E-M5 Mark II                E-M1




一部の機能が初代E-M1より優れていたE-M5 Mark II

既にお伝えしました様に、オリンパスは新技術を開発機に惜しみなく投入する事から、発売時期によっては下位モデルであるE-M5の方がE-M1より優れている様に見える場合もあります。

実際第E-M1 Mark II(2016年)の発売前は、E-M5 Mark II(2015年)の方が初代E-M1(2013年)より性能は上の様に思えたものです。


E-M1 Mark II

とは言え、2016年にE-M1 Mark IIが発売され、その逆転現象は無くなったものの、コストパフォーマンスからすると相変わらずE-M5 Mark IIの方がお勧めかもしれません。


E-M1 Mark III



E-M5 Mark III
 
E-M1 Mark II 
 
E-M5 Mark II 
 
E-M1  

E-M5

ただし2019年発売のE-M5 Mark III以降は、ボディーがプラスチックになり、ファインダー倍率を落としたり、連写性能等、E-M1と微妙に差別化が図られています。


ボディー材質や外観、操作性等がE-M1と差別化が図られたE-M5 Mark III(銀と黒)

なおこれらの機種最大のアドバンテージは、手ブレ補正、防塵防滴、AF性能と言えます。


E-M5 Mark IIの防滴性能を誇示する広告写真

特に上の写真にあります様に、防滴にはかなりの自信がありそうです。

そしてオリンパスのカメラ部門が独立してできた新生OMDSから発売されたのが、OM-1です。



モデル 特徴 EVF
倍率はフル換算
モニター 連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
OM SYSTEM OM-5
(22/11)
OM-D E-M5 Mark IIIの後継機。
外観は先代とほとんど同じで、中身はE-M1 Mark III のディチューン版。
具体的には手振れ補正が最大7.5段で、メモリースロットが1個、連写速度等がディチューンされている。
ただしファインダーがOLEDに更新され、OM-1と同じ防塵防滴IP53を達成し、動画の30分制限を解除し、縦位置動画にも対応。動画は4K/30p、FHD60P。
236万
dot

0.65~
0.74倍

3型
104万
dot

Vari

Touch
分類 メカ 電子
AF 6 10
固定 10 30
(1/32k)
1/8k
~60",
B, T
(64)
200

25.6k
2037
万画素
OM SYSTEM OM-1
(22/3)
OMDS初のフラッグシップ機。
撮像素子は裏面照射の積層型となり画像処理エンジンも刷新。最大常用ISO感度をフルサイズ機並みの102400を達成。
手ぶれ補正効果が最大で8段に向上。
クアッドピクセルAF方式を採用し、オールクロス像面位相差に対応しAI被写体認識。動画は4K60PとFHD240Pに対応。
IP53対応の防塵防滴設計。
576万
dot


0.74~
0.83倍

120fps
遅延5ms
3型
162万
dot

Vari

Touch
分類 メカ 電子
AF 10 50
固定 10 120
(1/32k)
1/8k
~60",
B, T
(80)
200

102.4k
2037
万画素
OM-D
E-M1
Mark III

(20/2)
第3世代となったフラッグシップ機。
外観は先代とほぼ同じながら、新画像処理エンジン(TruePic IX)搭載、手ぶれ補正効果が最大で7.5段に向上。
星空AF、ライブNDを新規搭載、顔優先/瞳優先AFの性能向上。
手持ちハイレゾショット対応、40万回の高耐久シャッターユニットを搭載、AF低輝度限界が-6EVにUSB給電が可能に、背面にマルチセレクターを装備。
動画機能はEM-5 IIIと同じ。
236万
dot

0.65~
0.74倍

120fps
遅延5ms

3型
104万
dot

Vari

Touch
分類 メカ 電子
AF 10 18
固定 15 60
(1/32k)
1/8k
~60",
B, T
(64)
200

25.6k
2037
万画素
OM-D
E-M5
Mark III

(19/11)
E-M5の3代目
上位モデルのE-M1 Mark IIと同じ画像処理エンジンを採用し、ダイヤル位置を含めた操作性の見直し、及び材質変更とバッテリー変更に伴う軽量化を実施。
手ブレ補正効果が最大5.5段に、AFが全点クロス測距121点に向上。
プロキャプチャー連写が可能に。
ハイレゾショットの解像力が5000万画素相当になり、C4K/24Pと4K/30p動画とUSB給電が可能になる。
236万
dot
有機EL
0.6~
0.7倍

60fps
分類 メカ 電子
AF 6 10
固定 10 30
(1/32k)
1/8k
~60",
B, T
(64)
200

25.6k
2037
万画素
OM-D
E-M1
Mark II

(16/12)
第2世代となったフラッグシップ機。
先代に対して、レリーズタイムラグを約1.4倍に高速化、起動時間を50%短縮、AF性能向上(コント81→121点、位相差37点→オールクロス121点)、5軸手ブレ補正改善(4段→5.5段)、4K(24P)動画対応。
236万
dot

0.65~
0.74倍

120fps
遅延5ms
分類 メカ 電子
AF 10 18
固定 15 60
(1/32k)
1/8k
~60",
B, T
(64)
200

25.6k
2037
万画素
OM-D
E-M5 Mark II
(15/2)
E-M5の後継機でハイアマチュア対応モデル。
初代E-M5に対して、5軸手ぶれ補正機能強化、電子ファインダー解像度60%アップ、瞳優先C-AF搭載、バリアングルモニタ、EV -2~20。ただしE-M1の像面位相差AFは非搭載(コントラストAFのみ)で動画はFHDで変わらず。
236万
dot

0.65~
0.74倍

遅延10ms
分類 メカ
AF 5
固定 10
(1/16k)
1/8k
~60",
B, T
(100)
200

25.6k
1628
万画素
OM-D
E-M1
(13/10)
従来のフォーサーズ(一眼レフ)とマイクロフォーサーズ(ミラーレス)を統合したフラッグシップ機。
E-M5に対して、ビューファインダーは236万画素になり、従来コントラストAFだったのがコントラストAF+位相差AFのデュアルAFに進化。
更にローパスフィルターレスで、タッチパネルも搭載。ライブコンポジット対応。
AFが、EV-2~20に対応しているのは立派。
236万
dot

0.65~
0.74倍

遅延16ms
3型
104万
dot

2方向Tilt

Touch
分類 メカ
AF 6.5
固定 10
1/8k
~60",
B, T
(100)
200

25.6k
1628
万画素
OM-D
E-M5
(12/3)
OM-Dシリーズ初のミラーレス機。
本体5軸手ぶれ補正機能、防塵防滴性能、マグネシウム筐体、EV 0~20のAF。
動画はフルHD対応。
144万
dot

0.46~
0.58倍
3型
61万
dot
2方向
Tilt
Touch
分類 メカ
AF 4.2
固定 9
1/4k
~60",
B
(100)
200

25.6k
1605
万画素
注:初代OM-D E-M5以外は全てWi-Fi搭載

なおE-M1及びE-M5シリーズは、全てストロボは外付けです。


1-3)E-M10シリーズ

次はOM-Dシリーズの普及機にあたるE-M10シリーズです。


OM-D E-M10 Mark II

E-Mシリーズがフィルムカメラ時代のOM-1シリーズの流れを受けているのに対して、これはやはりフィルムカメラ時代の普及機であったOM-10シリーズのスタイルを踏襲しています。



E-M10のデザインのルーツとなるフィルムカメラのオリンパスOM-10


E-M10 Mark III

E-M10 Mark II

E-M10

モデル 特徴 ストロボ EVF
倍率はフル換算
モニター 連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
OM-D
E-M10 Mark IV

(20/9)
E-M10の4代目で、E-M5 Mark IIIのデチューン版の様なモデル。
画像処理エンジンは同じながら、撮像素子が2000万画素にアップし、コントラストAFがハイブリッドAFに変更。
連写性能と手振れ補正が4.0から4.5段にアップし、バッテリーライフも向上。
内蔵 236万
dot

6.2倍
3型
104万
dot

2方向Tilt
下方向に自撮り可能

Touch
8.6
コマ
1/4k

60", B, T
(100)
200

25.6k
2030
万画素
OM-D
E-M10 Mark III

(17/9)
E-M10の三代目。
画像処理エンジンを、最新のTruePic VIIIに変更。
グリップが僅かに厚くし、ショートカットボタンの追加等で、操作性を向上。
新たに4K動画対応。
コントラス方式のAF測距点が、先代の81点から121点にアップ。
内蔵 236万
dot

6.2倍
3型
104万
dot

2方向Tilt

Touch
8.6
コマ
1605
万画素
OM-D
E-M10 Mark II
(15/10)
E-M10の後継機。
手ぶれ補正が5軸になり、ファインダーのドット数が236万ドットにアップ。
外観の高級感も向上し、AFターゲットパッドを新採用。
可動式液晶モニターは、上向きに85度、下向きに45度
内蔵 236万
dot
0.54~

6.2倍
8.5
コマ
OM-D
E-M10
(14/2)
OM-Dシリーズの普及機。
手ぶれ補正が3軸で、AFがコントラス方式。
星の軌跡を写せるライブコンポジット搭載
ファインダーのドット数は144万ドット。
可動式液晶モニターは、上向き80度、下向き50度。
内蔵 144万
dot

0.5~
0.6倍
8
コマ

このモデルは、AFがコントラスト方式ながら、ストロボ内蔵で、2ダイヤルも搭載して、おまけに星の軌跡を写せるライブコンポジット搭載しており、そこそこ楽しめるモデルになっています。




2)ペン系


次はペン系です。

ペン系には3種類あって、上級機のE-Pシリーズと普及機のE-PLシリーズ、それに入門機のE-PMシリーズががあります。

また今後シリーズ化されるかどうか不明ですが、ファインダーを搭載した最上位機種にあたるPEN-Fが最近発売されました。

機種 分類 特徴
PEN-F フラッグシップ 自撮り対応でストロボ同梱
電子ファインダー搭載
PEN E-P ハイアマチュア用 自撮り非対応でストロボ内蔵
PEN E-PL 普及機 自撮り対応でストロボ同梱
(最新機でストロボ内蔵)
PEN E-PM 入門機 モニター固定でストロボ同梱

E-PシリーズとE-PLシリーズの主な違いは、前者が高機能で自撮りに非対応でストロボ内蔵であるのに対して、後者は若干機能を落とし自撮り対応でストロボ同梱になっています。

また上級機のE-Pシリーズは2年置きの発売なのに対して、普及機のE-PLシリーズは毎年新機種が発売されています。

ただしE-PLシリーズは、ハードを含めたフルモデルチェンジが2年置きで、1年置きはファーム変更によるマイナーチェンジになります。

E-PMシリーズは2012年以降新機種の発売は無い事から、恐らく今後も発売される予定は無いと思われます。

またそういう意味からすると、E-Pシリーズも2013年以降新機種の発売はありませんので、もしかしたらこれもディスコンになるかもしれません。


2-1) PEN-F

従来ペンシリーズは、スマホやコンパクトカメラからステップアップしてきた女性や初心者の受け皿的なポジションでした。

ですがPEN-Fは、値段からいっても、概観からいっても、どうみても年配者用と言っても良いでしょう。



モデル 特徴 ストロボ 自撮り 動画 連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
PEN-F
2016/2
E-P5の基本性能を踏襲し、レトロ調概観、EVF搭載、5軸手ブレ補正、高画素化、3.0型2軸可動式タッチパネル、ハイレゾショット、ローパスフィルターレスに対応。 付属
Vari
Touch
FHD
60p
10
コマ
1/8k
~60", B, T
(100)
200
~25.6k
2,030
万画素

フジフィルムのX-Proが開発した、ノスタルジックなレンジファインダーの外観を踏襲した高級ミラーレス機の市場はかなりの需要がある様で、本機をはじめルミックスのGXシリーズも参入してきています。

ただし昔のレンジファインダーを知る年配者達が去った後、この市場がいつまで続くのか、かなり興味があります。

なおこの後ご説明するE-P5の発売が2013年でしたので、実質的にこのPEN-Fが、E-P5の後継機と言えるかもしれません。


2-2)E-Pシリーズ

次に上級機のE-Pシリーズを見てみましょう。

最新のE-P5は、前述のOM-D E-M5からファインダーを取って外装をPEN仕様に変えた高性能カメラですので、小型のカメラで拘(こだわ)って写真を撮ってみたい方にお勧めです。


E-P5


E-P5
 
E-P3
 
E-P2
 
E-P1

E-P5からようやくモニターが可変式になったのですが、残念ながら自撮りまではできません。

オリンパスとしてはE-Pシリーズは(普及機のE-PLシリーズと違って)じっくりと自分以外の被写体を撮るためのツールと想定している様です。

ちなみに2018年の中古価格は以下の通りです。

機種 E-P5 E-P3 E-P2 E-P1
中古価格 3万円 1.5万円 1万円 6千円

上の表の様に先代のE-P3は、価格(中古価格:1.5万円台)もそこそここなれて来てはいるものの、発売が2011年と古く、やはりモニターが固定式ですので、もしこれを選ぶのであれば、むしろ次にご紹介する普及機のE-PLシーリーズから選んだ方が良いかもしれません。


モデル 特徴 ストロボ 自撮り Wi
-
Fi
動画 連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度
(拡張)
画素数
E-P5
2013/5
OM-D E-M5の画像系を搭載し、シャッター速度1/8000、5軸手ブレ補正機構、チルト可能タッチパネル液晶、WiFi搭載、薄いローパスフィルター搭載
一言で言えば、E-M5からファインダーを取った様な高機能モデル。
内蔵 対応
Tilt
Touch
対応 FHD
30p
9
コマ
1/8k
~60", B, T
(100)
200
~25.6k
1605
万画素
E-P3
2011/7
10k
先代に対して、フォーカスエリア数とAF速度が3倍にアップ、フルハイビジョン動画対応、固定式ながらタッチパネルの有機EL液晶採用、ストロボ内蔵 内蔵 不可
Touch
FHD
30p
3
コマ
1/4k

60" B
(100)
200
~12.8k
1230
万画素
E-P2
2009/12
先代に対して、外付けのEVF(電子ビューファインダー)が装着可能。 別売 不可 HD
30p
3
コマ
1/4k~60", B (100)
200
~6.4k
1230
万画素
E-P1
2009/7
ペンの初代フラッグシップ機
2軸手ブレ補正内蔵、
別売 不可 HD
30p
3
コマ
1/4k~60", B 1230
万画素

上の表をご覧頂きます様にE-Pシリーズは2年置きに発売されているのですが、2015年以降後継機の発売がないのはPEN-Fに開発ソースを回したためと思われます。


2-3) E-PLシリーズ

次は普及機のE-PLシリーズです。

2010年から発売が開始されたE-PLシーズも9代目(E-PL4は欠番)のE-PL10まで進んできました。


この中でのお勧めは、中古のE-PL7(中古価格:3万円)でしょうか。


E-PL10

E-PL9

E-PL8

これ以降でしたら、Wi-Fiを搭載していますので、スマホへの画像転送が容易にできます。




E-PL7
 
E-PL6
 
E-PL5

ちなみに2018年における各モデルの中古価格は以下の様になります。

機種 E-PL8 E-PL7 E-PL6 E-PL5
2018年中古価格 4万円 3万円 2万円 1.5万円
2017年中古価格 5.6万円 4万円 3.4万円
機種 E-PL3 E-PL2 E-PL1S E-PL1
2018年中古価格 1万円 5千円 3千円 3千円

その理由ですが、先ずE-PL9やE-PL10は新機種のためまだまだ値段が高いのと、E-PL8の基本性能はE-PL7と同じだからです。



E-PL3

E-PL2

E-PL1S

E-PL1

また同じ様にE-PL6はE-PL5のマイナーチェンジ版でありながら、E-PL6の中古価格は2万円に対してE-PL5の中古価格は1.5万円と割安感があるからです。


E-PL6はE-PL5と同様に自撮り対応


E-PL5から自撮りに対応

それではE-PL7(中古価格:3万円)とE-PL5(中古価格:1.5万円)のどちらがお勧めかとなると、E-PL7はE-PL5に対して、モニターが下開きになり、Wi-Fiが追加になり、3軸手ブレ補正、ローパスフィルターレス、タイムラプス、リアルコンポジットの追加とかなり進歩していますので、気合を入れて撮りたいと思う方には断然こちらがお勧めになります。

なおそれ以前のE-PL3については、価格(中古:2万円)は魅力的ではありますが、2011年製と少々古く自撮りにも対応していませんので、今となったら避けた方が無難かもしれません。



E-PL3のモニターは可変式だが自撮りまではできない

モデル 特徴 ストロボ 自撮り Wi
-
Fi
動画 連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
(電子)
ISO感度
(拡張)
画素数
E-PL10
2019/10
ペンライトの9代目
E-PL9のマイナーチェンジ版で、アートフィルターの操作性改善、P/A/S/M/ARTモードで静音撮影対応。
内蔵 対応
Tilt
Touch
対応 4K
30p
8.6
コマ
1/4k
~60"
B, T
(1/16k
~60")
(100)
200
~6400
(25.6k)
1605
万画素
E-PL9
2018/3
ペンライトの8代目
E-PL8と外観はほぼ同じだが、ストロボを内蔵して登場。
撮像素子はそのままで、新たにOM-D E-M1 Mark IIと同じ画像処理エンジン搭載、4K動画対応、電子シャッターとBluetoothを搭載、連写とAF性能向上。
内蔵 対応
Tilt
Touch
対応 4K
30p
8.6
コマ
1/4k
~60"
B, T
(1/16k
~60")
(100)
200
~6400
(25.6k)
1605
万画素
E-PL8
2016/11
ペンライトの7代目
6代目とハード系はそのままで、細部のデザインをより洗練させたマイナーチェンジモデル
僅か(0.5コマ/秒)ながら連写性能がアップし、電子先膜シャッターと、ショートムービー、アートフィルタームービー機能を追加。
同梱 対応
Tilt
Touch
対応 FHD
30p
8.5
コマ
1/4k
~60"
B, T
(100)
200
~1600
(25.6k)
1605
万画素
E-PL7
2014/8
ペンライトの6代目
ローパスフィルター削除、AFポイント増加、WiFi搭載、自分撮り下開きタッチパネルボディー内3軸手ぶれ補正、ライブコンポジット搭載、AFがEV-2~20まで対応。
同梱 対応
Tilt
Touch
対応 FHD
30p
8
コマ
1605
万画素
E-PL6
2013/5
ペンライトの5代目
先代と基本構成は同じで、高速レリーズタイムラグモード、インターバル撮影、タイムラプス動画、水準器などファーム系の新機能が盛り込まれている。
同梱 対応
Tilt
Touch
FHD
30p
8
コマ
1/4k
~60"
B, T
(100)
200
~1600
(25.6k)
1605
万画素
E-PL5
2012/10
ペンライトの4代目
先代に対して、自分撮り可能なタッチパネルを採用、交換式グリップ同梱、動画エフェクト追加、撮影可能枚数2割アップ。
同梱 対応
Tilt
Touch
FHD
30p
8
コマ
1/4k
~60"
B, T
(100)
200
~1600
(25.6k)
1605
万画素
E-PL3
2011/9
ペンライトの3代目
先代に対して、デザインも含めハード系を一新して大幅に小型軽量化をはかったモデル。
新しく上下可動式のチルト液晶モニターを搭載したものの、内蔵ストロボは廃止された。
同時期に発売されたE-P3同様AF速度が大幅にアップし、フルHD動画記録にも対応。
同梱 不可
Tilt
FHD
30p
5.5
コマ
1/4k
~60", B
200
~12.8k
1230
万画素
E-PL2
2011/1
ペンライトの2代目
先代に対して、3型液晶モニターの採用(先代は2.7型)、背面ダイヤル追加、シャッター速度が1/4000秒にアップ、Bluetoothで画像転送を行なえるPENPALを搭載。ファーム面ではアートフィルターの機能拡充。
内蔵 不可 HD
30p
3
コマ
1/4k
~60", B
200
~6.4k
1230
万画素
E-PL1s
2010/12
E-PL1からキットレンズとボディカラーを刷新したマイナーチェンジモデル。
仕様上ISO感度がアップしている。
内蔵 不可 HD
30p
3
コマ
1/2000
~60", B
100
~6.4k
1230
万画素
E-PL1
2010/3
ペンシリーズの中級機(当時は入門機扱い)であるペンライトの初代機。
先行したE-P1やE-P2に対してプラスチックを多用しての軽量化(296g)を達成。
ボディー内手ブレ補正、内蔵ストロボやEVFの装着に対応。
内蔵 不可 HD
30p
3
コマ
1/2000
~60", B
100
~3.2k
1230
万画素

これでストロボ内蔵ならば言う事は無いのですが、Pシリーズとの差別化のためなのか、途中から同梱に変わっています。


2-4) E-PMシリーズ

最後は入門機のE-PM(ペンマイクロ)シリーズです。


E-PM2

E-PM1

これは中古でも2万円以上しますので、どうせ買うならE-PLを選んだ方が得策です。

モデル 特徴 ストロボ 自撮り 連写
(コマ/秒)
シャッター
速度
ISO感度 画素数
E-PM2
2012/9
ペンシリーズの更なる小型機
モニターは固定ながら、タッチパネル採用。
同梱 不可
Touch
8コマ 1/4k~60", B, T 200~25.6k 1605
万画素
E-PM1
2011/10
初代ペンミニ
ペンシリーズの入門機として、265gの小型軽量化を実現。
同梱 不可 5.5
コマ
1/4k~60", B 200~12.8k 1230
万画素

また2012年移行新機種の発売がない事から、もしかしたらこの系列はディスコンになったのかもしれません。


オリンパスのレンズ


オリンパスのミラーレス用レンズを見ておきましょう。

ズイコーレンズのマイクロ4/3レンズは19本、コンバーターは4本となりの充実ぶりです。

なお4/3サイズ用レンズの場合、焦点距離を丁度2倍すればフルサイズ換算の焦点距離になります。

ですので、焦点距離45mmのレンズは、フルサイズの90mmのレンズの画角に相当します。


広角系

8mm F1.8 Fisheye

12mm F2.0

17mm F1.8

標準/望遠系

25mm F1.8
 
45mm F1.8
 
60mm F2.8
 
75mm F1.8

300mm F4.0

さすがにフルサイズほどのボケは表現できないものの、そこそこ明るい単焦点レンズが揃っています。

特に45mm F1.8と75mm F1.8については、かなり期待できます。

おまけにズーム系も豊富です。

広角系ズーム

7-14mmF2.8
 
9-18mmF4.0-5.6
 
12-24mmF2.8
 
12-50mm F3.5-6.3

標準系ズーム

14-42mm F3.5-5.6
 
14-42mm F3.5-5.6EZ

望遠系ズーム

14-150mmF4.0-5.6
 
40-150mmF4.0-5.6
 
40-150mmF2.8
 
75-300mmF4.8-6.7




オリンパス/4/3サイズミラーレス/デジタルカメラ便覧





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