カメラのダイナミックレンジ
(RAWファイルの本当のメリットとは?)
Feb. 2016:Release
目次
寸評の答え
最後になりますが、それでは”はじめに”に記載しました寸評が間違いである理由を、復習を兼ねて記載しておきます。
①カメラのダイナミックレンジはフィルムより狭いので、風景写真はフィルムの方が上だね。
一般的なカメラのダイナミックレンジは70dB程度なのに対して、ネガフィルのダイナミックレンジが60dB、リバーサルフィルムで50dB程度ですので、カメラのダイナミックレンジが下というのは明らかに間違いです。
またダイナミックレンジの広いネガフィルムより、むしろ狭いリバーサル(ポジ)フィルムの方が断然綺麗に感じます(それ故プロは感度の低いリバーサルフィルムを多用しました)ので、この点からもこの記述は間違いと言えます。
②写真のダイナミックレンジとはラチュードの事だよ。
カメラのダイナミックレンジとは、カメラが1回の露光で写せる光の範囲の事です。
一方ラチチュードとは適正露出から外れても許容できる光の範囲を指しますので、両者は全く異なります。
③少しアンダー気味にRAWフォーマットで撮影して、現像で持ち上げる方が綺麗なんだよ。
下の図に示します様に、イメージセンサーからの出力は入力光の中央部は比較的リニアなのに対して、暗部や明部はどうしても出力が寝る傾向があります。

撮像素子の入出力カーブ
ですので、仮にRAWファイルから現像する場合でも、適正露出が一番良い結果を引き出します。
ですので、これも間違いです。
④ダイナミックレンジは広ければ広いほど、良いカメラだよ。
防犯カメラの様に、明部から暗部までを1枚の写真に写したいのでしたら、ダイナミックレンジは広い程良いと言えます。
しかしながら一般的な写真においては、出力する紙やモニターにおいてダイナミックレンジが限定されるため、それを包含したダイナミックレンジがあれば十分と言えます。
予告編
時間ができたら次回は諧調性について書いてみたいと思いますので、また覗いてみて頂ければ幸甚です。