カメラのダイナミックレンジ
(RAWファイルの本当のメリットとは?)
2018/4/15:更新
目次
1) ダイナミックレンジとは
2018/4/15:更新
それではダイナミックレンジについて、先ず言葉の意味から調べてみましょう。
なお検索エンジンの都合で、本頁にいきなりお越しになられた方は、前頁の”はじめに”からお読み頂けると更に分かり易いと思います。
ダイナミック(Dynamic)とは”動的”という意味です。
そしてレンジ(Range)とは”範囲”を意味します。
ですので二つ合わせて、”動的な範囲”という事です。
いきなり”動的”と言われてもピンとこないかもしれませんが、”動的”とは”強弱する信号”の事だと言えば何となく雰囲気が伝わりますでしょうか。
では何の信号かと言えば、カメラの場合、当然ながら光の信号になります。
これを要約すると以下の様になります、
カメラのダイナミックレンジとは、1回の露光で写せる光(明るさ)の範囲の事である。
そしてその光の範囲は、カメラが写せる光の最大値と最小値の比率で表します。
例えば、あるカメラで1回シャッターを押すと、例えば明るさ1から明るさ1,000までの撮影が可能だったら、そのカメラのダイナミックレンジは1,000倍という事になります。

ただしこの場合、明るさが1より暗くても(明るさが1の)真っ黒のままで、明るさが1000の場合でも(明るさが1000の)真っ白のままになり、何も写らない事になってしまいます。
ですので、もしそれ以上の暗さや明るさを表現するには、もっとダイナミックレンジの広いカメラを使う必要があるのですが、かと言っていたずらにダイナミックレンジが広ければ良いというものではありません。
この辺の事をこれからじっくりお話したいと思います。
またダイナミックレンジを100倍とか1,000倍と呼ぶと、桁数が多くて分かり難いので、下の図の様にデシベル(dB)、もしくはEV値と呼ばれる桁数を抑えた表現方法が使われます。

ちなみにデシベルとは、倍数のゼロの数を20倍した数値になります。
ですので10倍ですと、ゼロが1個あるので、それを20倍した20がデシベルになります。
またEV値とは、2倍で1EV、4倍で2EV、8倍で3EVと徐々に増えていきます。
下の表はそれをまとめたもので、1,000倍は60デシベル(10EV)で、10,000倍は80デシベル(13EV)になります。
倍率とdB値とEV値の関係
注:端数のあるEV値は整数に丸めてあります。
倍率 | dB | EV値 (注) |
1倍 | 0dB | 0EV |
2倍 | 6dB | 1EV |
3倍 | 10dB | 2EV |
10倍 | 20dB | 3EV |
16倍 | 24dB | 4EV |
32倍 | 30dB | 5EV |
100倍 | 40dB | 7EV |
250倍 | 48dB | 8EV |
316倍 | 50dB | 8EV |
500倍 | 54dB | 9EV |
750倍 | 58dB | 10EV |
1,000倍 | 60dB | 10EV |
3,162倍 | 70dB | 12EV |
10,000倍 | 80dB | 13EV |
32,768倍 | 90dB | 15EV |
100,000倍 | 100dB | 17EV |
1,000,000倍 | 120dB | 20EV |
最近カメラの広告で、ダイナミックレンジ15ストップとか17段とか書かれた記事を見かける様になりましたが、これは15EV或いは17EVと同じ意味で、明るさの写る範囲が1~32,768倍(15EV)、1~100,000倍(17EV)という事を示しています。
ちなみにデシベルについてもう少し詳しく知りたい方は、こちらへ。
また倍率とdB値とEV値の変換(計算)方法を知りたい方は、こちらへ。
ダイナミックレンジと聞くと一見難しく聞こえますが、分かってしまえば簡単な事なのです。
敢えて分かり易い日本語名を付けるとしたら、”1露光撮影可能明暗範囲”と言えるでしょうか。
なおここで1露光と言っているのは、絞りやシャッタースピードを変えれば、もっと暗い光やもっと明るい光を写せるので、敢えて1露光と断っています。
言葉の意味が分かった所で、次に図を見ながらダイナミックレンジについてご説明したいと思います。