綺麗に撮れるカメラとは
2015/03:発行
2019/12:更新
2019/12:更新
目次
4. ポートレートにほしい機能
デジタルカメラの種類が大凡分かった所で、今度はポートレート撮影にほしい機能をお伝えしておきましょう。
これを知っておけば、カタログを見る際にかなり参考になると思います。
なお事前にお話しておくと、ポートレートに限らず写真の三大悪とは、ピンボケ、ブレ、露出不良です。
一部にはこれらをワザと発生させている写真も無い訳ではありませんが、普通の写真でこれが発生しているとガックリさせられのは何方も経験済みだと思います。
4-1. 瞳認識/瞳認識機能
スマートフォンを含めコンパクトカメラでは一般的な顔認識機能ですが、顔がメインの被写体であるポートレートには是非ほしい機能です。

今どき当たり前の顔認識
顔認識機能は、撮像素子を使っていたので、光学系ファインダーを搭載したデジタル一眼レフカメラでは、ミラーを上げた状態で背面モニターを使用したライブビューモニター使用時しか使えませんでした。
ところが最近のデジタル一眼レフカメラ(ニコンD4、ニコンD800、キヤノンEOS-1D X)は撮像素子とは別にAF用の多画素RGBセンサーを搭載し、ライブビューでなくても(一眼レフファインダーでも)、顔認識AFが働く様になっています。
と本書の初版(2015年)当時は書いていたのですが、さすがに今なら瞳認識でしょう。

ミラーレス一眼なら当たり前の瞳認識
これ自体も、今どきのミラーレス一眼でしたらどれも搭載していますので、敢て書く必要もないかもしれません。
4-2. 手ブレ補正機能
これは既にご存じの方が多いのではないでしょうか?
レンズ内、或いは本体内に手ブレ防止装置を備え、シャッタースピードが遅い場合にカメラの微妙な揺れによる画像のブレを抑える装置です。
なおポートレートの場合、明るいレンズを使うケースが多いので、比較的早いシャッタースピードを使う事ができます。
またISO感度を上げてやる事でも、シャッタースピードをブレが発生しないレベルまで上げる事が可能です。
また手ブレ補正が働くのはカメラ側の揺れを抑えるだけで、被写体のブレまでは抑えられません。
ですので、この機能は必須とまでは考えなくても良いかもしれませんが、無いより有った方が良いのは間違いありません。
ところで、最近のミラーレス一眼はボディ内手ブレ補正が搭載されており、これがあればどんなレンズを装着しても手ブレが抑えられると思われています。

Nikon Z7のボディ内手ブレ補正の説明図
ところが実際の所、下のパナソニックの説明図にもあります様に、ボディ内手ブレ補正が有効なのは、然程(さほど)手ブレの目立たない広角レンズの場合で、手ブレ補正が効いてほしい望遠レンズは殆ど効果は無いのです。

では何が一番有効と言えば、以下の様にレンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正が協調して動作するもので、次がレンズ内手ブレ補正、最後がボディ内手ブレ補正なのです。
レンズ内+ボディ内(約5段)>レンズ内(約4段)>ボディ内(約2段)
ですので、もし貴方が使いたいレンズに手ブレ補正が付いているのでしたら、敢てボディ内手ブレ補正の付いたカメラを買う必要はないと言えます。
とは言いながらも、今後は高級機のミラーレス一眼にはボディ内手ブレ補正が搭載される事になるのでしょう。
4-3. 背景ぼかし機能
これはもう十分ご理解頂いている事でしょう。

ポートレート、特に屋外のポートレートにおいては背景がボケた写真は、被写体を浮き上がらせる効果があります。
ただし撮像素子が小さくなるほど、ボケの効果が小さくなります。
このため一部のスマートフォンには、疑似的に背景をぼかし機能が搭載されています。

iPhone 7 Plusの背景を疑似的にぼかしたポートレートモード(右)
これはかなりCPUに負担を掛けますので、カメラに搭載されるかどうかは不明ですが、この機能無しでスマホと戦うのは難しいかもしれません。
4-4. 美肌機能
さて最後は美肌機能です。
”真を写す”と書く写真の概念からするれば、後から写真に手を加えるのは邪道と言われたのは今から数十年も前の話です。
今やインスタグラムをはじめとした写真を媒体にしたSNSがこれだけ普及すると、邪道だろがなかろうが、少しでも美人になった自分の写真をアップしたいのは誰でも同じでしょう。
実際ネットを覗いてみると、肌をツルツルにして、顔を細くして、顎(あご)を尖(とが)らせて、目を大きく加工した写真で溢れかえっています。

タップリ加工されて髪型以外はどれも同じに見える自撮り写真
その理由はご存知の通り、スマートフォンに無料で優秀な顔整形アプリが搭載される様になったためですが、単体カメラもその流れに逆らう事はできないでしょう。
そう聞くと、高尚なカメラにそんな機能は不要だとおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、カメラで撮った写真を何時間も掛けて美人にレタッチする事を考えれば、カメラに同じ機能が入って困る事はないでしょう。
という訳で、スマートフォン並みの顔整形アプリは難しいとしても、せめて美肌機能だけでもあった方が何かと便利なのは間違いありません。
ただし現在美肌機能が搭載されているのは、どちらかと言えば入門機だけです。

フルサイズながら美肌機能を搭載しているキヤノンのEOS RP
おまけに美肌機能を使うと、RAWファイルで保存できないという縛りまであります。
ですので、いつか美肌機能を搭載し、尚且つ同時にRAWファイルで保存できる機種が発売されるまで待つしかなさそうです。
ここまで分かって頂いた所で、次章からいよいよ楽しいカメラ選びです。