綺麗に撮れるカメラとは

2015/03:発行
2019/12:更新

目次



2-3:撮像素子が変わると画角が変わる?


さて次は、撮像素子のサイズが変わると、レンズの画角(写せる範囲)が変わる事についてもご説明したいと思います。

画角とはカメラで撮影できる範囲を、角度で表したものです。


ですので広角レンズですと画角が大きくなり、望遠レンズだと小さくなります。

従来でしたらレンズを交換して画角を変えていたのですが、レンズが同じでも撮像素子の大きさが変わると、画角も変わってしまうのです。

これ自体はさほど重要な事ではないのですが、次のボケの話に影響しますので、一応触れておきます。

まずここに、以下の2台のカメラを用意したとします。
          
フルサイズ            APS-Cサイズ

1台はフルサイズの撮像素子、もう1台はそれより一回り小さいAPS-Cサイズの撮像素子を搭載していますが、いずれも同じメーカーの同じレンズマウントですので、全く同じレンズが装着できます。

これに同じ135mmのレンズを付けて、これまた同じシャッタースピードと絞りで女性を撮影したとしたらどう写るでしょう。


答えは下の写真の通りです。

 
フルサイズ(135mm F2.0)         APS-Cサイズ(135mm F2.0)

どうでしょう。

何だAPS-Cサイズで撮った画像は、望遠で撮ったのと同じだと思われたら、正解です。

APS-Cサイズの写真は、フルサイズの写真の中央部分(破線部分)を抜き取ったのと同じ写真になりますので、より望遠レンズで撮ったのと同じになります。

 
フルサイズ(135mm F2.0)         APS-Cサイズ(135mm F2.0)

ちなみに、フルサイズとAPS-Cサイズを比べると、フルサイズが36mmx24mmに対して、APS-Cサイズが24mmx16mm(実際にはもう少し小さい)ですので、長さの比で2/3になっています。

ついでに面積比ですと、2/3の2乗(=2/3x2/3=4/9)ですから、フルサイズに対して約44%(= 4/9 x 100%)の大きさになります。


ですので、上の写真の位置関係を図で示すと以下の様になります。


この図で分かります様に、同じ135mmのレンズを使っていながら、フルサイズカメラの場合画角が18°なのに対して、APS-Cサイズのカメラですと画角は12°(18°の2/3)になってしまいます。

ちなみにフルサイズとAPS-Cサイズの焦点距離は以下の式で変換できます。

  フルサイズの焦点距離=キヤノンのAPS-Cサイズ×1.62

  フルサイズの焦点距離=一般的なAPS-Cサイズ×1.53

また参考で、フルサイズとキヤノンのAPS-Cサイズの画角の違いを写真で示しておきます。


フルサイズとキヤノンのAPS-Cサイズの画角の違い

前置きが長くなりましたが、この画角12°のレンズをフルサイズ対応のレンズで調べてみると、焦点距離200mmのレンズになります。

      

ですので、フルサイズカメラに焦点距離200mmのレンズを装着して同じ場所から撮影すれば、APS-Cサイズと同じ画角の写真(右上の写真)が撮れます。

一方、APS-Cサイズ対応のレンズで画角18°のレンズを調べると85mmになりますので、APS-Cサイズのカメラに85mmのレンズを付けると、フルサイズと同じ画角の写真(左上の写真)が撮れるという訳です。

      


本項をまとめると、以下の様になります。

撮像素子が小さくなると、望遠レンズで撮ったのと同じ画像になる。
ただしレンズを換える事で、(撮像素子が小さくても)同じ画角の写真を撮る事は可能である。


注:上記はあくまでも画角だけについての話です。ボケについては次の項でじっくりお話します。

ところで、少し脇道に逸れますが、ここで撮像素子が変わるとレンズ自体の大きさも変わる話もしておきましょう。

撮像素子が小さくなると、それによってレンズ自体も小さくできるのです。

前段の写真を見てお分かり頂けます様に、撮像素子が小さくなると、本来もっと広い領域を写せるレンズでありながら、中央部分しか使っていません。

ですので、仮にAPS-Cサイズ専用のレンズを作るとしたら、無駄な外側は省いて内側のみ結像するレンズを作れるので、もっと小さなレンズになるという事です。



それでは次に、フルサイズはボケ易いのかどうかについて考えてみます。






2-3: 撮像素子が変わると画角が変わる?





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