写真写りを良くする方法
(可愛く写るための全10章)
Jan. 2013:発行
Jul. 2019:更新
Jul. 2019:更新
目次
第3章:ポーズを決めたらほんの少し停止する
非対称のポーズ(pose)を表現できる様になった所で、次に覚えてほしいのが、写してほしい所でほんの少し停止(pause)する事です。
前の写真を見て頂く様に、非対称のポーズは日常には存在しない状態(姿勢)ですので、ついついすぐに次の動作に移行しがちですが、(恥ずかしがらずに)撮ってほしい所でほんの少し停止する事が必要です。
そうすれば、撮影者はそこで自然にシャッターを押してくれますので、いつもの真正面から撮った左右対称の写真より、動きも出て明らかに魅力的に写ります。
もっと正確に言うと、ほんの少し停止する事で、実は貴方自身が撮影者を操って(manipulate)シャッターを押させる、と思った方が良いかもしれません。
ただし、前章でも述べました様に、この停止が長過ぎてもいけません。
下の写真はいずれも左右非対称を意識して撮られていますが、前の写真と比べると何となく不自然な気がしませんか?
だとすると、その理由は簡単です。
そうです。
上の写真の場合、非対称の状態で完全に止まって(freeze)いるために、見ている方がその不自然さに気が付いて、何となく気恥ずかしい思いになってしまうのです。
本来の左右非対称のポーズは、あくまでも次への動作の途中を示していますので、この姿勢で完全に止まってしまったら、それはそれでまた不自然になるという訳です。
要点としては、撮影中は動き続ける、でもポーズが決まったら(被写体がブレないために)ほんの2~3秒停止する事です。
これも簡単にはできませんので、前の章のポーズと共に、鏡をみながら練習しておきましょう。
なお念のため補足しておきますと、身体全体の写真は、プロのモデルでもかなり難しいのは事実です。
後ろ姿を撮ってみる
本書としては少々逆説的かもしれませんが、後ろ姿を撮ってみるのはいかがでしょうか。
下の写真はいずれも同じ女性の後ろ姿ですが、確かに多少カメラを意識されているものの、上段の写真より明らかに自然ですし、見ている方も安心感があり、ついつい惹かれるものがあります。
どうしてもポーズが不自然になる場合、後ろ姿から始めてみるのも良いかもしれません。
第4章:ポーズを変えて数多く撮影する
一般的に良い写真を撮るコツとは、カメラの性能が良くて、撮影者の腕も良くて、モデルの才能が良ければと思いがちですが、どれも正しくはありません。
大切なのは、とにもかくにも数多く撮影する事です。
実際プロのカメラマンは、似たショットであってもかなりの枚数撮影します。
これは表情や構図や陰影や露出等、無数の組み合わせからベストショットを得るには、頭の中で思い描いて狙いすまして撮った1枚より、多数撮った中から1枚を選んだ方が格段に効率が良く、更に写真の選択肢が多い方がクライアントにもモデルにも喜ばれるからです。
それこそ高価なカメラで10枚撮った写真と、普通のカメラで100枚撮った写真を比べたら、被写体や撮影者に関係なく100枚撮った方が間違いなく良い写真が撮れます。
ですので、貴方の場合もポーズを少しずつ変えて、沢山写真を撮って貰う事をお勧めします。
銀塩フィルム時代は大量に撮影するのは難しかったのですが、カメラになってからはそれが誰にでも可能になりましたので、是非試してみて下さい。
沢山撮れば、間違いなく気にいったショットがあります。
おまけに、よくある目つぶり写真もしっかり防げますし、更にカメラのシャッター音にも慣れていき、どんどん自然な表情に変わっていきます。
また沢山の写真を見ていると、更にこういう向きの写真があれば良かった、或いはもう一段明るい露出で撮っておけば良かった等、次回への改善策が見えてきます。
下手な鉄砲も数撃てば当たると言いますが、現代は誰もがカメラというマシンガンを手に入れた様なものですから、それを有効に使わない手はありません。(偶然以上の偉大なクリエータは存在しません)
パスカルとデカルト
突然ですが、パスカル(下左)とデカルト(下右)の思想の違いをご存じでしょうか?
非常に短く述べると、デカルトは自然界の出来事は全て因果関係で成り立っているので、つき詰めていけばいつか人間が解き明かせると主張するのに対して、パスカルは自然界は偶然によっても左右されているため、人間が全てを解き明かすには限界があるというものです。
何が言いたいかといえば、少なくとも写真写りに関してはパスカルの方が正しい、すなわち”偶然によって写真の写りは強く左右される”というのが筆者の思いなのですが、皆さんはいかがでしょうか?