EOS Rの欠点はどこまで解消されたのか(その2)
2020/10/11:発行
2020/10/24:誤記訂正
2020/10/24:誤記訂正
目次
はじめに
1. またもや左肩の電源スイッチ
2.レンズの根元にないコントロールリング
3. 意味の無いズームリングロックレバー
4. 外し難いレンズフード
5. 消えたマルチファンクションバー
6. 本領発揮のモードダイヤル
7. やっぱり使い難いバリアングルモニター
8. 引き出しても消えるモニター表示
9. 暗いと全く見えないファインダー
10. 相変わらず使えないエコモード.
11. 意味不明の測光タイマー
12. 意味不明のLOCK.ボタン
13. 表示されない被写界深度
14. 明るいと見えないモニターとファインダー
15. 是非ほしい絞りブラケットとフォーカスブラケット
16. 敏感過ぎる水準器
17. 顔認識AFだと表示されない水準器
18. 前画像が見れない撮影画像
19. 縦線しか検知できないAF
20. 無駄でチグハグなM-FnボタンとQボタン
21. 詰めの甘いFvモード
22. 露出シミュレーションの罠
23. 縦位置表示に対応しない背面モニター
24. Pモードで機能しない ISOオート時のシャッタースピード低速限界
25. 直ぐに表示されない撮影画像
26. 自己否定の評価測光
その他
まとめ
1. またもや左肩の電源スイッチ
2.レンズの根元にないコントロールリング
3. 意味の無いズームリングロックレバー
4. 外し難いレンズフード
5. 消えたマルチファンクションバー
6. 本領発揮のモードダイヤル
7. やっぱり使い難いバリアングルモニター
8. 引き出しても消えるモニター表示
9. 暗いと全く見えないファインダー
10. 相変わらず使えないエコモード.
11. 意味不明の測光タイマー
12. 意味不明のLOCK.ボタン
13. 表示されない被写界深度
14. 明るいと見えないモニターとファインダー
15. 是非ほしい絞りブラケットとフォーカスブラケット
16. 敏感過ぎる水準器
17. 顔認識AFだと表示されない水準器
18. 前画像が見れない撮影画像
19. 縦線しか検知できないAF
20. 無駄でチグハグなM-FnボタンとQボタン
21. 詰めの甘いFvモード
22. 露出シミュレーションの罠
23. 縦位置表示に対応しない背面モニター
24. Pモードで機能しない ISOオート時のシャッタースピード低速限界
25. 直ぐに表示されない撮影画像
26. 自己否定の評価測光
その他
まとめ
11. 意味不明の測光タイマー
測光タイマーも相変わらずです。
おまけに説明書の記載もEOS Rと全く同じです。
既に元記事でお伝えしました様に、この測光タイマーは、以下の様に2種類の機能が存在します。
①一度シャッターボタンを半押しして、それから指を離してから8秒間、ファインダー上にリアルタイムの露出値を表示する。(AEロックはしない)
②AEロックボタンを単押しすると、8秒間AEロックし、8秒を超えるとAEロックを解除する。(ただしAEロックをホールドに設定すると、再度AEロックボタンを押すまでAEロックを継続)
説明書を読んでこれを読み取るのは不可能ですので、説明書くらい書き直せば良さそうなものの、相変わらずその気は無さそうです。
生憎EOS Rは既に手放してしてしまって再確認できないのですが、EOS Rにおいては測光タイマーが働いている間でしたら、常に露出補正を受け付けてくれていました。
ところがR5/R6においては、シャッターボタンを半押し(もしくはAEロックボタン押下)しながらでないと露出補正を受け付けてくれなくなりました。
測光タイマー動作中であれば、絞りもシャッタースピードもISO感度も自由に変えられるのに、何故露出補正のみこんな風にしたのでしょうか?
理解に苦しみます。
誤記訂正
2020/10/24
当初シャッターボタンの半押し、もしくはAEロックボタン押下しながらでないと露出補正を受け付けてくれなくなったと記しておりましたが、これはデフォルト設定時で、ダイヤルのカスタムセッティングによってダイレクトに露出補正できる事が判明しましたので、該当する記述さ削除させて頂きました。
また今回新たに気付いたのですが、測光タイマー動作中にISO感度は変えられるものの、何故かいくらダイヤルを回してもISO AUTOに設定できません。
ですが、ダイヤルを使ってISO AUTOから数値にする事は可能で、またタッチパネルを使えばISO AUTOに設定できます。
これは仕様ではなく、明らかにバグの類(たぐい)でしょう。
いくら言っても良くしては貰えないのは重々承知なのですが、折角ですので忘れない内に要望を明記しておきます。
①説明書の記述を修正する。
③測光タイマー動作中に、ダイヤルでもISO AUTOに設定できる様にする。
④測光タイマーに0秒と常時を設定する。
12. 意味不明のLOCKボタン
相変わらず意味不明な物は、まだまだあります。
それがカメラ本体右肩の一等地にある、LOCKボタン(マルチ電子ロックボタン)です。
一度も使った事のないEOS RのLOCKボタン
これは、メイン電子ダイヤル、サブ電子ダイヤル、マルチファンクションバー、コントロールリングをロックして、不用意に設定が変わらない様にするものです。
こんな無駄なもの、一体誰がいつ使うのでしょうか?
お願いですからこれについても、是非EOS Rユーザーに、以下の様な設問のアンケートを実施して頂けないものでしょうか。
EOS Rを購入後、貴方はこのLOCKボタンを押した事がありますか?
そんなアンケートを実施したとしたら、その集計結果はどうなると皆様は予想されるでしょうか?
このボタンを押した事のあるユーザー比率は、10%でしょうか、20%でしょうか、それとも50%でしょうか?
幣サイトの予想は、100%です。
何故ならば、このLOCKボタンは近傍にある録画ボタンと、(微妙に高さは変えられているものの)形状も押し心地も非常に良く似ているので、ファインダーを覗いて操作すると必ず間違えて押してしまうからです。
という事は、使わないボタンがあるだけではなく、このボタンがあるが故に誤操作まで誘発しているという事です。
おまけに、このLOCKボタンには、ご丁寧に他の機能は一切登録できない様になっているのです。
一体何なのでしょう、このLOCKボタン様は。
恐らくこれも、大して撮影しないご意見番の御威光に沿ったものなのでしょう。
13. 表示されない被写界深度
これも、ダメでした。
折角レンズとカメラが高速で通信できる様になったのでしたら、撮影距離表示の中に被写界深度を表示してくれても良さそうなものですが、ダメでした。
EOS Rの撮影距離表示
フジフィルムのカメラは、下の様にしっかり被写界深度を表示してくれますので、本当に便利です。
フジフィルムX-T3の距離指標と被写界深度表示
何とか次機種に期待したいものです。
と、ここまで書いてようやく気が付きました。
どうもEOS Rで指摘した問題点は、R5とR6において殆ど対応されていない感じです。
通常でしたら、全部とはいかないまでも、後継機には先代の問題点をある程度潰すものなのですが、両機にはそういった形跡は全くと言って良いほど見受けられません。
その理由ですが、両機ともEOS Rに対する市場の声を、製品(図面)に反映させる時間的な余裕が殆ど無かったのではないでしょうか?
ご存知の様にEOS R5は、本年(2020年)2月のCP+においてサンプル機の展示を含めて正式発表される予定でした。
CP+で展示される予定であったEOS R5の外観
そしてその後、報道関係者に公開されたR5の外観を見る限り、ほぼ本型を使って生産されたと思われる完成度の高さです。
それからすると、2019年の上期は開発出図の最終段階で、下期は工場での生産準備期間だったと推測されます。
となると、どうみてもEOS Rに対する市場の声を、図面に反映させる時間的な余裕は全くないのです。
ましてや、両機は基本性能を大幅にアップさせたのですから、それを問題なく立ち上げるだけで、リソースは手一杯だったのでしょう。
それに気づいてしまうと、この先本書を書く気がしなくなってしまいますが、もしかしたらこの次の機種では、大々的に市場の声を聞き入れて頂ける可能性が高いとも言えます。
そんな訳で、これからは多少心を入れ替えて(愚痴を控えて)、前向きに書き進めていきたいと思います。
14. 明るいと見えないファインダーとモニター
2019/6/24:追記
次なる問題点は、明るいと見えないファインダーとモニターの話です。
これについては、SONY機と比べると明らかに劣ります。
RGBW配列の昼までも明るい液晶パネル
元記事にも書きました様に、フルサーズミラーレス一眼において、5年以上も先行したソニーとキヤノンとの差は、こういった仕様書に載らない部分にあるのかもしれません。
そんな訳で、キヤノンの次期機種においては、解像度やフレームレートだけでなく、明るさも気にして頂ける事を強く期待したいと思います。
それともう一つお願いしたい事があります。
なぜファインダーやモニターの明るさを自動で調整してくれないのでしょうか。
幣サイトが知っている限りでは、ファインダーやモニターの明るさは、他社機を含めてどれもマニュアルで調整しなければなりません。
高価な受光素子を搭載しているのですから、その受光量に合わせてファインダーやモニターの明るさを自動的に調整して貰う事はできないのでしょうか。
15. 是非ほしい絞りブラケットとフォーカスブラケット
絞りブラケットとフォーカスブラケットについては、Lumix S1のサブ機とも言えるLumix S5にも標準で搭載されましたので、キヤノンの是非次期機種にも搭載して頂きたいものです。
絞りブラケットとフォーカスブラケットを搭載したLumix S5
これさえあれば、被写界深度の浅い大口径RFレンズを縦横無尽に使いこなせる様になります。
大口径ズームレンズのRF 28-70mm F2 L USM
ところでご存知かもしれませんが、両機にはEOS RPに搭載されていたフォーカスブラケット機能が搭載されました。
ところがこれは、深度合成写真を意識した機能のためか、(これまた説明書には一切記載はありませんが)ブレを防ぐため強制的に電子シャッターに切り替わってしまいます。
EOS RPのHPにある深度合成写真の説明図
これでメカシャッターを使える様になれば、言う事ありません。
期待してますよ、キヤノンさん。
16. 敏感過ぎる水準器
EOS Rの水準器は、α7 IIIと比べると非常に敏感で、水平に撮ろうとすると、ついつい水準器にばかり注意が向いてしまうとお伝えしました。
敏感過ぎるEOS Rの水準器
そしてもしかしたら、その原因はα7 IIIにはボディー内手振れ補正がある事によって、ローリング方向のブレが抑えられるためではないかともお伝えしました。
となると、新たにボディー内手振れ補正が搭載された両機においてはどうなるでしょう?
そんな訳で早速EOS R6で試してみました所、どえらい進歩です。
とまでは言わないものの、何となくその効果が認められます。
そんな訳で本件はクローズにしたい所ですが、まだダメです。
EOS Rシリーズの水準器は、動く指針が1本だけで基準線が無いため、水平に近い状態になると、(完全に水平にするため)更に右に傾ければ良いのか、それとも左に傾ければ良いのかの判断が付かなくなってしまいます。
本書としては、表示方法についてもう一段の工夫をお願いしたい所です。
17. 顔認識AFだと表示されない水準器
もしかしたら、自信を持って対策済みと言えるのは、これが初めてではないでしょうか?
EOS Rでは、顔認識AF(顔+追尾優先AF)の場合、水準器が表示されなかったのですが、両機においては水準器が表示される様になりました。
ハード変更の伴う改良は難しいものの、ファームウェアの改良だけでなら何とか間に合ったのか、それとも元々両機で改良するつもりだったのかはわかりませんが、これは見事に解決しました。
できればEOS Rも、バージョンアップで対応してほしいものです。
18. 前画像が見れない撮影画像
これも相変わらずです。
ミラーレス一眼の場合、撮影後の数秒間、撮った写真をファインダー(もしくは背面モニター)に表示する事が可能です。
ところが、撮影画像が表示されている間に前の画像を見ようと、画像送りのダイヤルを回しても受け付けてくれないのです。
ですので、前の画像と見比べるためには、一度再生ボタンを押さなければいけないのです。
既に再生画像が表示されているのに、再生ボタンを押さなければならないとは、情けないの一言です。
何とかならないものでしょうか。
恐らくそう言うと、撮影直後に表示される画像はカメラのバッファーにある画像で、再生ボタンを押して表示される画像はメモリーカードに保存された画像だからそれは無理だ、とご意見番は言うのでしょう。
ですが、そんな事はありません。
撮影直後の画像が表示されている間に画像送りダイヤルが回転されたら、(再生ボタンを押す事なく)メモリーカードの画像を呼び出せば良いだけの話です。
簡単な事です。
19. 縦線しか検知できないAF
これは難易度大です。
ご存知かもしれませんが、ミラーレス一眼の像面位相差AFで縦線と横線が検知できるのは、今の所オリンパス機のみです。
今どきの一眼レフでしたら、(測距点は少ないとは言え)入門機のEOS Kissでさえ全点縦横検知が可能で、更に中央の1点は斜め線まで検知可能なのです。
全45点クロスAFセンサーを搭載したEOS Kiss X9i
にも関わらず、上位機種であるEOS Rシリーズにおいては、水平線には決してピントが合わないのです。
簡単にはいかないのは重々承知なのですが、何とか早い内に縦横線が検知できるクアトロピクセルCMOS AFを実用化するか、さもなければ中央だけでもクロス測距可能なAFセンサーを埋め込んで頂きたいものです。
20. 無駄でチグハグなM-FnボタンとQボタン
M-Fn(マルチファンクション)ボタンとQ(クイック設定)ボタンについても、EOS Rから何も変わっていない様ですので、元記事をそのまま貼り付けておきます。
---------------------------------------------------------
どうも無駄でチグハグに感じるのが、M-Fn(マルチファンクション)ボタンとQ(クイック設定)ボタンです。
似た様な機能のボタンが2つある理由は一体何なのでしょう。
先ずM-Fnボタンですが、これは下の説明図にある様にISO感度やドライブモード等を調整できます。
一方背面にあるQボタンを押すと、下の図の様にその時の表示形式によって2種類の設定画面になります。
Qボタンを押して表示される設定画面1(左)と設定画面2(右)
これらの設定できる項目を表にすると以下の様になります。
設定項目\呼出方法 | M-Fnボタン (注) |
Qボタン 設定画面1 |
Qボタン 設定画面2 |
---|---|---|---|
ISO感度 | ○ | ○ | |
ドライブモード | ○ | ○ | ○ |
AF動作 | ○ | ○ | ○ |
WB | ○ | ○ | ○ |
露出補正 | ○ | ○ | |
ストロボ調光補正 | ○ | ○ | |
露出モード | ○ | ○ | ○ |
ピクチャースタイル | ○ | ○ | ○ |
AF設定 | ○ | ○ | |
フリッカー | ○ | ||
画像サイズ | ○ | ○ | |
オプティマイザ | ○ | ○ | |
クロップ | ○ | ||
その他 | ○ |
注:8項目中5項目を選択して登録可能
この表を見て、どう思われるでしょうか?
恐らく頻繁に変更する可能性が高い項目がM-Fnボタンに登録されており、Qボタンはそれよりもっと多い項目を選択できる様になっているのでしょう。
ですが似た様な機能のボタンを二つ設けるというのは、ここ数年他社機(ソニーのα7シリーズ)を使ってきた身からすると、かなり無駄な仕様に思ってしまいます。
これもまた、キヤノンの一眼レフから引き継がれている仕様の様です。
また”マルチファンクション”と”クイック”という名称自体も、しっくり来ません。
むしろ5項目しか選択できない方を、クイックと呼ぶべきではないでしょうか。
おまけにM-Fnボタンを押した後の選択は、カメラ上部の電子ダイヤルでしかできず、背面にある上下左右ボタンでは一切操作できないのです。
もしかしたらファインダーを覗いた状態ならば、電子ダイヤルで操作できた方が便利と言われるかもしれませんが、それなら上下左右ボタンでもファインダーを覗いたまま親指だけで操作できます。
なぜ両方で操作できる様にしなかったのでしょうか?
実際クイック設定の場合は、近くにある上下左右ボタンと電子ダイヤルの両方で操作できるのです。
更にです。
設定画面1の場合、何故か良く使うISO感度と露出補正とストロボ調光補正がなく、その代わりに滅多に使わないと思われるフリッカーやクロップの切り替えが登録さており、クイック設定2ではフリッカーとクロップが無くなっています。
どういう思想に基づいてこの機能は選択されているのでしょうか?
誰がどう考えてもこの二つのボタンがあるのは無駄で、且つ中身がチグハグに思うのですが、いかがでしょうか?
ここまでのまとめ
それでは最後に、ここまでのまとめをしておきましょう。
内容 | 対策 |
11. 意味不明の測光タイマー | 未 |
12. 意味不明のLOCK.ボタン | 未 |
13. 表示されない被写界深度 | 未 |
14. 明るいと見えないモニターとファインダー | 未 |
15. 是非ほしい絞りブラケットとフォーカスブラケット | 未 |
16. 敏感過ぎる水準器 | 不十分 |
17. 顔認識AFだと表示されない水準器 | 済み |
18. 前画像が見れない撮影画像 | 未 |
19. 縦線しか検知できないAF | 未 |
20. 無駄でチグハグなM-FnボタンとQボタン | 未 |
未対策のオンパレードですが、はたして次期機種は対応して頂けるでしょうか?
11. 意味不明の測光タイマー/EOS Rの欠点はどこまで解消されたのか(その2)